社会との共生・社会貢献
彩りのある快適な暮らしのために
3 すべての人に健康と福祉を 4 質の高い教育をみんなに

社会貢献の基本的な考え方

DICグループは、地域や社会の皆様と共生を図り、社会との良好な関係づくりを重視し、2009年度に定めた「社会貢献活動ガイドライン」に基づいて、事業所のある各地で社会貢献活動を進めています。

社会貢献活動ガイドライン

DICグループは、経営ビジョン「彩りと快適を提供し、人と地球の未来をより良いものに– Color & Comfort –」により、色彩の文化と快適な暮らしの向上に貢献するために、事業活動、文化・教育、地域・社会の3つの領域において社会貢献活動に取り組んでいきます。

事業活動

DICグループは、「事業活動を通じてのサステナビリティ」という観点から、持続可能な社会の発展と地球環境の保護に貢献する製品やサービスを提供していきます。

文化・教育

DICグループは、色彩の文化および化学の分野において、次世代を担う人材育成など、文化・芸術、学術・教育の振興・発展に寄与する活動を行います。

地域・社会

DICグループは、地域社会との共生を図り、相互の信頼関係の構築に努めます。また、社員が地域社会への自発的貢献活動を積極的に行える環境を整備します。

主な社会貢献の取り組み

「カラーユニバーサルデザイン」による彩りと快適の提案

DICグループは、彩りと快適を提供するという経営ビジョンのもとカラーユニバーサルデザインの研究・開発に取り組み、様々な分野で彩りある暮らしに貢献しています。

2007年~

東京大学監修のもと一般社団法人日本塗料工業会、石川県工業試験場、NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構と「カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット」を開発。検証と調整を重ね、塗装・印刷・画面表示で再現可能な色から、多様な色覚の人々にとって比較的見分けやすい色の組み合わせを選定し、普及・啓発活動を始めました。

2011年~

東京大学や建築家の隈研吾氏らと、景観調和とロービジョンの方の視認性の両立を目指した「視覚障がい者用誘導ブロック」を開発。2018年春に各社から製品化されたウォームイエローとクールイエローは、「ルシダ®」という名称で商標登録され、様々な建築物や駅などで設置が進んでいます。

2015~2017年

産学連携の共同研究を実施。千葉大学、DIC総合研究所、DICカラーデザインの3者で包装印刷の注意表記等に用いられる特色赤色インキの見分けに関する研究や、高齢者の可読性を対象とした印刷物の配色に関する研究に取り組み、国内外の学会で発表しました。

2018年〜

「カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット」は、約10年の使用実績を踏まえて色彩値を見直しました。使用法をまとめたガイドブックは第2版に改定し、ユーザビリティの向上を図りました。
2018年に公示された「JIS安全色(JIS Z 9103)」は、ユニバーサルデザインの観点から世界に先駆けて多様な色覚の人々が識別しやすいよう色合いが改正されました。DICグループは原案作成委員会に参画し、印刷用のCMYK推奨値の策定を中心となって行うとともに、普及活動にも協力しています。

2019年〜

防災情報の配色の策定にも協力しています。2020年に内閣府から発表された「大雨の警戒レベルを分かりやすく伝えるための5色配色」では、画面表示用RGB値を策定する検証に参加。2021年発表の同配色のCMYK値策定では、候補色の検証だけでなく、DICグラフィックスが検証用カラーチャートを印刷する形でも協力しました。

2022年3~4月

2022年3~4月には、DICグループウェブサイトのコラム記事として、「色彩を通じたDICの社会貢献」を公開。DICグループが暮らしやすい社会を実現するためにこれまで取り組んできた色覚の多様性への対応について、社内・社外の関係者の皆様の声とともに、ステークホルダーの方々に向けて発信しています。

2023年3月

DICカラーデザイン主催ウェビナー「カラーユニバーサルデザインの価値と活用~色彩がSDGsのためにできること~」を開催。多様性社会におけるカラーデザインの課題を踏まえ、色彩がSDGsの実現に向けて貢献できるよう、モノづくりに携わる方々へ向けてDICが培ってきた経験とCUDの技術を提供しました。

DICカラーデザイン主催ウェビナー「カラーユニバーサルデザインの価値と活用~色彩がSDGsのためにできること~」

DIC川村記念美術館

DICは「色」に関わる企業にふさわしい社会貢献活動として、DIC川村記念美術館を運営しています。1990年に千葉県佐倉市の総合研究所敷地内に開館した同館は、国内では希少なレンブラントの油彩画をはじめ、モネ、ルノワール、ピカソ、シャガールなどのヨーロッパ近代美術、日本の現代美術など幅広いジャンルの作品を所蔵しており、とりわけロスコ、トゥオンブリー、ステラなど20世紀アメリカ美術のコレクションには定評があります。常設展で選りすぐりの作品を紹介するとともに、コレクションへの理解を深めるための企画展を年に数回開催しています。
美術鑑賞の前後に散策を楽しめる庭園の自然環境は、作品・建物と並んで当館が大切にしている要素です。緑豊かな3万坪の敷地では、10種250本の桜をはじめとした四季折々の草花が目を愉しませ、人々の憩いの場となっています。
開館34年目を迎える2023年は、2つの企画展を開催します。「芸術家たちの南仏」展は、20世紀の芸術が展開した場として南仏に着目し、その地で広がりをみせた交流や、表現あるいは技法について、国内の美術館などが収蔵する約30作家の作品と関連資料150点を通して紹介します。「ジョセフ・アルバースの授業色と素材の実験室」展は、画家、デザイナー、そして美術教師としてドイツとアメリカで活動したアルバースに迫る、日本初の回顧展です。
定時ガイドツアー、対話型鑑賞「mite!」、教育サポートなど館内での鑑賞ガイドや、グループ単位での来館受け入れについては、コロナ禍で多くの制約がありましたが、今後は感染症対策を講じつつ、以前の実施水準に戻すべく順次調整・再開してゆく予定です。
今後も企画展開催と地域連携を軸とした社会貢献、デジタル環境に対応し、より広域へのコミュニケーション機会を視野に入れた運営を目指してまいります。

DIC川村記念美術館

DIC川村記念美術館

緑豊かな庭園とテラス

緑豊かな庭園とテラス

エントランスホール

エントランスホール

関連リンク

理科実験授業

DICは、文部科学省が振興を図る理科教育の一環として、社会貢献活動「理科実験授業」を、小学生を対象に実施しています。授業は、経営ビジョン「Color & Comfort」をテーマに、カラー印刷の仕組みや藻類からの天然色素抽出、リサイクルできる接着剤の溶解実験といった、人と地球の未来をより良いものにする“化学”に触れる内容となっています。DIC理科実験授業の歴史は長く、2010年より延べ46施設(小学校や大学イベント)3,300人に色彩を生み出す実験を提供してきました。10年目を迎える年にコロナ禍となり、理科実験授業の在り方を考える局面となりましたが、実施できない期間を好機ととらえ、熟考を重ね、2022年12月には刷新した内容にて東北大学大学院工学研究科のプロジェクト「サイエンスキャンパス」での提供を果たしました。発見する喜びや実験の楽しさが体感できるとともに、不思議を紐解く原理に加え、企業が時世に沿った新製品の開発に至る経緯に触れられる貴重な機会になったと、受講生のみならず保護者や主催者の方々からも好評いただきました。DICグループは、子どもたちに「化学のワクワク」を感じてもらう活動を継続していく考えです。

総合研究所での取り組み

総合研究所では教育支援の取り組みとして、千葉大学の高大連携企画である高校生理科研究発表会を後援しており、研究所の研究員5名が参加し、全国から参加している高校生の研究発表を聴取し、質疑応答など、技術系志望の高校生の理科研究活動を応援する活動を行いました(総数493件の発表)。
また、SSH指定校である茨城県の清真学園高等学校や千葉県立佐倉高等学校、千葉県立船橋高等学校のSSH講座、千葉県立佐倉東高等学校向けのファッションデザイン講習会など地元の学校向けにDICの強みを活かした講座の提供を行っています。

  • スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校:将来有為な科学技術系人材の育成を目的に、学習指導要領によらない教育課程を編成・実施し、理科・数学教育に重点を置いたカリキュラムを行う高校として、文部科学省から指定された学校を指す。

2022 年度の活動

  • 教育支援講座として千葉県立佐倉東高等学校、SSH化学講座として清真学園高等学校などで開催しています。SSH運営の面では上記の千葉県立佐倉高等学校、千葉県立船橋高等学校の企業側運営委員として研究所の幹部クラスが学校主催の会議に参加するなど、運営に協力しています。
  • 千葉県教育庁主催で小学生対象の「千葉県夢チャレンジ体験スクール」を開催したり、千葉県立現代産業科学館の展示会「これでわかった!未来の技術」にも出展し、夏休み期間の子どもたちに科学技術への関心とモノづくりを志す次世代を育てる取り組みにも協賛しています。

鹿島工場での取り組み

鹿島工場では、茨城県立波崎高等学校が2008年度から行っている企業へのインターンシップ事業「波高デュアルシステム」に協力し、毎年実習生を受け入れています。2022年も工業化学・情報科の生徒3名が3ヶ月間、製品知識や安全、コンプライアンスに関する講義を受講し、製造現場での実習を行いました。

海外グループ会社の社会貢献活動について

Sun Chemical Colombia社にてボトムアップ型の環境対策プロジェクト立ち上げ

Sun Chemical Colombia社では、環境負荷低減を目的として、生産活動で生じる廃棄物を抜本的に削減する「廃棄物ゼロプロジェクト」を立ち上げました。同プロジェクトは、製造過程で使用する容器や物流資材などのリユースや廃棄物の徹底した分別とリサイクル、揮発性溶剤の保管に密閉蓋を採用した有害物質流出防止策など、現場社員のアイデアを積み重ねて実行するボトムアップ型の活動です。DICグループは社員一人ひとりが挑戦することを良しとする社風のもと、人と地球の未来をより良いものにしてまいります。

ウクライナ人道支援

DICではウクライナ避難民全般に対する人道支援を目的として、総額30万米ドル相当の支援を実施しました。国連UNHCR協会への拠出に加え、グループ会社であるSunChemical社と共同で救援ファンドを設立し、DICとSunChemicalでそれぞれ10万€を拠出いたしました。救援ファンドでは、ウクライナのDICグループ従業員、取引先従業員、難民を支援するため、複数のNGO団体への寄付をはじめ、ポーランドに避難した従業員への宿泊施設の提供や子どもへのギフト購入などを行っています。

マッチングギフト

DICグループでは、毎年末に労働組合が主体となって実施している社会福祉を目的とした募金活動に協力し、集められた募金額と同額を会社が上乗せする「マッチングギフト」を行っています。2022年は、各事業所の近隣にある19の社会福祉施設、障がい者支援施設などに寄付を行いました。

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