環境汚染の予防

主な取り組みの目標と実績

VOC大気排出量削減

2018年度 目標
  • VOC大気排出量の削減
  • 国内DICグループの各事業所で削減目標を掲げ活動(各工場の目標積み上げ値国内DICグループ:357t前年度比3.7%減)
2018年度 実績 国内DICグループ:336t
前年度比1.3%減
評価 ★★
2019年度 目標
  • VOC大気排出量の削減
  • 国内DICグループの各事業所で削減目標を掲げ活動(各工場の目標積み上げ値国内DICグループ:366t前年度比±0%)
  • 「評価」は、進捗度に関する自己評価によるものです。
    [ 評価マークについて ] ★★★…非常に良好 ★★…順調 ★…要努力

基本的な考え方

DICグループは、事業活動に伴う環境負荷を把握し、計画的に削減するとともに環境汚染の予防に努めます。

方針と推進体制

化学企業は他の産業に比べて多種多様な化学物質を大量に取り扱っています。そのため、事業活動を進める上で化学物質の環境中への排出抑制の配慮が求められます。
DICは2000年度から、国内DICグループ各社は2005年度から化学物質排出把握管理促進法(化管法)で指定された物質、および一般社団法人日本化学工業協会(日化協)が自主調査対象として定めた物質を調査対象として、大気・水域・土壌など環境への排出削減を進めています。

  • 日化協:日本有数の業界団体としてICCAに加盟し、世界各国の化学工業団体とともに化学工業の健全な発展に努めている。

2018年度の主な活動

01VOC大気排気量の削減

国内DICグループでは、2007年度に自主目標として「VOC大気排出量を2000年度を基準に2010年度までに30%削減」を掲げて目標を達成しました。その後も設備の改善・管理の徹底により排出量の削減に取り組んでいます。
2017年度のVOC大気排出量は、DICで177t(前年度比6.3%減)、国内DICグループは371t(前年度比3.6%減)と減少しました。埼玉工場においてVOC削減の取り組みが定着してきたことが主な要因です。
また、海外DICグループ各社(中国、アジアパシフィック地区)においてもVOCの継続的な削減に取り組んでいます。特に中国では、VOCの大気排出規制が一段と強化され、中国のグループ会社では設備更新や排出管理に注力しています。

調査対象物質(PRTR※1 対象物質※2 を含む 551 物質+1 物質群)の大気排出量の推移

なお、2018年度の調査対象物質は、PRTR 第一種指定化学物質(462物質)+ 日化協調査対象物質89物質(第一種指定化学物質以外のもの89物質)+1物質群(炭素数が4~8までの鎖状炭化水素類)となりました。
2018年度に1t以上使用または生産した物質数は、DICでは108物質、国内DICグループは120物質でした。

取り組み事例:蓄熱燃焼装置でVOCを効率的に処理

2017年8月、印刷インキを製造している「迪愛生(広州)油墨有限公司」(DIC広州)は、製造工程から発生するVOC(揮発性有機化合物)を熱分解・脱臭する蓄熱燃焼装置(RTO:Regenerative Thermal Oxidizer)を新たに導入しました。
この装置は、セラミック蓄熱材を燃焼室に充填させ、少量の助燃料を使って、高温でVOCガスを自然燃焼させる仕組みです。従来、VOC 処理は活性炭処理で行っていましたが、今回の設備更新により、中・低濃度のVOCガスの燃焼・脱臭処理を効率的に行え、大幅な省エネ・省メンテナンス化も実現しました。
2018年度には、この装置を広東省で多種多様な樹脂を生産する迪愛生合成樹脂化(中山)に導入しました。

蓄熱燃焼装置(RTO)

蓄熱燃焼装置(RTO)

2018年度に1t以上使用 または生産した物質数/環境排出量10t以上の物質

02SOx、NOx、CODの削減

国内DICグループでは、1990年度を基準年として、ボイラ設備では酸性雨や健康への影響が懸念されるSOx(硫黄酸化物)やNOx(窒素酸化物)の低減、排水設備では水質の指標となるCOD(化学的酸素要求量)の低減に努めています。
また、海外DICグループにおいても、インフラの整備状況に応じて燃料を軽油から天然ガスに転換、軽油・重油ボイラから廃木材を燃料とするバイオマスボイラに切り替えるなどの取り組みを行っています。
CODの削減においても、水を再利用して敷地外へ排出しないクローズドループ方式や排水処理施設で法規制以上の浄化に努めるなど環境保護に取り組んでいます。

SOx、NOx 排出量の推移

SOx、NOx 排出量の推移

COD 排出量の推移

COD 排出量の推移

03ダイオキシン類排出規制の遵守

国内DICグループは、ダイオキシン類発生施設である焼却施設からのダイオキシン類の発生量をモニタリングしています。ダイオキシンには多種類の異性体があり、それぞれで毒性が大きく異なります。
現在、国内DICグループでは焼却施設6施設を所有し、各施設ともダイオキシン類対策特別措置法の排出基準値を大幅に下回っています。

国内DICグループ焼却施設の排ガス・排水中のダイオキシン類濃度

04廃プラスチックによる海洋汚染の未然防止

近年、使用済みプラスチック製品・容器などが不適切に廃棄されるために海の環境や生態系に悪影響を及ぼす「廃棄プラスチック・海洋プラスチック問題」が世界の重要課題となっています。
DICグループでは、①原材料等の工場敷地外への漏えい防止対策 ②工程で発生する廃プラスチックの徹底した再利用を柱に、環境汚染の未然防止を図っています。
2018年度は、廃プラスチックの約60%を原材料としてマテリアルリサイクルし、燃料利用によるエネルギー回収も含めると再利用率は約90%に達しました。
今後も事業所における廃プラスチックの適切な管理・処理を徹底するとともに、パッケージ材料に関わる複数の部門でプロジェクトを結成し、プラスチックの回収・代替材料への切り替え・生分解性材料への転換などに積極的に取り組んでいきます。

05PCB機器の管理・保管

PCB(ポリ塩化ビフェニル)を使用した機器(旧型の変圧器、コンデンサ、安定器など)については、PCB特措法に基づき、適切に回収・保管・管理しています。また、PCBの処理を進めるJESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)の事業進展に合わせ、使用機器の処理を推進しています。

06アスベスト(石綿)対策

DICグループでは、解体工事や機器更新時の石綿によるリスクを事前に把握し、適切な対応を継続しています。2018年度は機器の撤去等に伴い、石綿含有(保温材等)が発生しましたが、法に基づき適切に処理しました。

TOPICS

DICアストラケミカルズ社がジャカルタ首都特別州から環境保全優良企業として表彰

インドネシアでプラスチック用着色剤やコンパウンドの製造販売を行うDIC アストラケミカルズ社は、長きにわたり一貫してインドネシアおよび周辺地域の環境規制を遵守してきた ことと、汚水処理および汚染大気排出に関する管理システムが評価され、ジャカルタ首都特別州から「DKI-Jakarta - Company Environment Performance Appraisal Program」を受賞しました。
同賞は、州が域内全企業の環境負荷低減における取り組みのパフォーマンスを監査し、環境保全優良企業として認めるもので、1,000社以上の在ジャカルタ製造業から8社が選ばれました。

DICアストラケミカルズ社がジャカルタ首都特別州から環境保全優良企業として表彰

千葉工場が「環境の保全に関する協定」を締結

京葉臨海地域の大規模工場(50社59工場)は、千葉県及び関係6市(千葉市、市原市他)と、3者で「環境の保全に関する協定」を締結し、大気汚染や水質汚濁の防止等のための排出基準などを定めた「細目協定」を締結しています。
中災防は、企業が行う安全衛生活動を支援し、毎年、長年にわたり産業安全や労働衛生の推進向上に尽力し、顕著な功績が認められた個人およびグループなどに緑十字賞を贈り、表彰しています。

写真:千葉県提供

写真:千葉県提供

2015年は細目協定の5年ごとの見直し年であり、3月に新たな「細目協定」の締結式が開催されました。当日は藤野千葉工場長が市原市八幡地区の協定締結企業を代表して、各市・地区企業代表者と共に出席し、森田千葉県知事、佐久間市原市長と細目協定書を手交しました。
今回締結した「細目協定」は、近年における環境問題の動向等を踏まえ、微小粒子状物質(PM2.5)に関する規定を盛り込むなど、全国でも先進的な取組となっており、2015年4月から2020年3月の5年間がその締結期間です。

タンク洗浄工程で有機溶剤の使用をとりやめた小牧工場

小牧工場(愛知県)では、タンク洗浄工程で有機溶剤を使用していました。有機溶剤は、長期間の使用によって将来に健康被害を生ずる可能性が否定できないため、囲い込み装置の設置や労働衛生保護具の着用などの衛生工学的対策を徹底して、ばく露防止措置を講じてきました。

しかし、従業員の健康障害予防および化学物質使用量の低減を図る観点から、2014年度はタンク洗浄工程での有機溶剤使用をとりやめ、水洗浄に切り替えました。DICは、今後もこうした作業環境の見直し・改善を継続的に推進し、従業員の健康障害の予防に努めます。

鹿島工場に超高効率排水処理装置を導入

鹿島工場では、排水処理設備の増強を目的に、同工場内に嫌気性排水処理装置(住友重機械エンバイロメント株式会社製の「バイオインパクト(BIOIMPACT®)」)一基を導入し排水処理能力の向上や省エネルギー化を進めています。
化学系排水の処理については、酸素を必要とする活性汚泥(注1)を用いて、排水中の有機物を炭酸ガスと水に分解する好気性処理法(活性汚泥法)が一般的ですが、このたび導入した排水処理装置「バイオインパクト(BIOIMPACT®)」では、新たに実用化された嫌気性処理法(グラニュール法)が採用されています。嫌気性処理法(グラニュール法)は、グラニュールと呼ばれる嫌気性(酸素を必要としない)の菌を高濃度に充填したタンク内で、排水中の有機物を短時間でメタンガスと二酸化炭素(CO2)に高速分解する処理方法です。
同装置は発生するメタンガスの工場稼働への再利用も含めて高効率、省スペース、省エネルギーなどを実現する画期的な排水処理設備として注目されています。
これにより鹿島工場では、CO2の発生を年間720トン削減し、また運転コストについても大幅に低減していく見込みです。

鹿島工場の超高効率嫌気性排水処理装置「バイオインパクト」

鹿島工場の超高効率嫌気性排水処理装置「バイオインパクト」

先進的な取り組みに対してグリーンカンパニー認定(中国)

中国では経済成長と環境保全の両立に向けて、化学物質に関する規制の強化を図っています。こうした中で、中国で事業を展開するDICグループ20法人は、環境マネジメントシステムに基づく改善活動に取り組み、化学物質の排出量、取水・排水量、廃棄物処分量、エネルギー使用量の削減に努め、毎年、データを当局に報告しています。

グリーンカンパニーの認定証看板

グリーンカンパニーの認定証看板

このような透明性の高い取り組みが評価され、有機顔料や印刷インキなどを製造する「南通迪愛生色料有限公司」(江蘇省南通市)は、環境に配慮した事業活動を実践している「グリーンカンパニー」に認定され、化学工場のモデル的存在となっています。