環境汚染の予防

主な取り組みの目標と実績

VOC大気排出量削減

2020年度 目標 国内DICグループ:345トン(前年度の通常排出量比±0%)
2020年度 実績 国内DICグループ:327トン
評価 ★★
2021年度 目標 国内DICグループ:345トン(2020年度目標維持)
  • 「評価」は、進捗度に関する自己評価によるものです。
    [ 評価マークについて ] ★★★…非常に良好 ★★…順調 ★…要努力

方針および体制

基本的な考え方

DICグループは、事業活動に伴う環境負荷を把握し、計画的に削減するとともに環境汚染の予防に努めます。

化学企業は、他の産業に比べて多種多様な化学物質を大量に取り扱っています。そのため、事業活動を進める上で化学物質の環境中への排出抑制の配慮が求められます。このような背景において、DICグループでは事業活動に伴う環境負荷を把握し、計画的な削減とともに環境汚染の予防に努めています。
DICは2000年度から国内DICグループ各社において、2005年度から化学物質排出把握管理促進法(化管法)で指定された物質、および土壌汚染対策法、PRTR法、オゾン層保護法、フロン排出抑制法、PCB特別措置法などの法規制、さらには一般社団法人日本化学工業協会(日化協)が自主調査対象として定めた物質を調査対象に、大気・水域・土壌など環境への排出削減を進めています。

  • 日化協:日本有数の業界団体としてICCAに加盟し、世界各国の化学工業団体とともに化学工業の健全な発展に努めている。

推進体制

サステナビリティ委員長(社長執行役員)を責任者とし、レスポンシブルケア部と事業所(工場、研究所)の安全環境グループが環境保全活動を計画・推進しています。
法規制等の改正については、世界各国の法規制動向のモニタリング活動をレスポンシブルケア部が実施し、各事業所が確実で速やかな対応を取れるよう努め、コンプライアンス対応への万全を図っています。

2020年度の主な活動

01VOC大気排出量の削減

国内DICグループでは、2007年度に自主目標として「VOC(揮発性有機化合物)大気排出量を2000年度基準に2010年度までに30%削減」をあげて目標を達成しました。その後も設備の改善・管理の徹底により排出量の削減に取り組んでいます。
2020年度は、DIC単体のVOC排出量は162トン(前年度比44%)と大幅減少しました。この原因は、① 2019年度は埼玉工場での倉庫火災により、VOC排出量が多かったこと、②COVID-19による生産減の影響、です。
それゆえ、国内DICグループ全体においても、上述と同じ理由で、VOC排出量は327トン(前年度比60%)に減少しました。
一方、海外DICグループ(中国、アジアパシフィック地区のみ)では、継続的なVOC削減を実現しています。特に中国のグループ会社では、規制強化の対応に向けた、設備更新や排出管理を実施しています。

調査対象物質(PRTR※1 対象物質※2 を含む551 物質(+1 物質群))の大気排出量の推移
  • PRTR:Pollutant Release and Transfer Registerの略。環境汚染物質排出・移動登録。化学物質が、どのような発生源から、どれほど環境中に排出されたか、または廃棄物として事業所外に運び出されたかを把握・集計・公表する仕組み。
  • PRTR対象物質:化学物質排出把握管理促進法(化管法)で指定された462物質で、PRTR制度とは日本国内の届出制度。
  • 551物質(+1物質群):DICグループでは、PRTR第一種指定化学物質462物質+日化協の調査対象物質89物質(第一種指定化学物質以外のもの)+1物質群(炭素数が4~8までの鎖状炭化水素類)を調査対象としている。

なお、2020年度も調査対象物質は、PRTR第一種指定化学物質(462物質)+ 日化協調査対象物質89物質(第一種指定化学物質以外のもの89物質)+1物質群(炭素数が4~8までの鎖状炭化水素類)でした。
2020年度に1トン以上使用または生産した物質数は、DICでは112物質、国内DICグループは130物質でした。

2020年度に1トン以上使用または生産した物質数

02SOx、NOx、CODの削減

国内DICグループでは、1990年度を基準年に、ボイラー設備において酸性雨や健康への影響が懸念されるSOx(硫黄酸化物)やNOx(窒素酸化物)の低減、排水設備において水質の指標となるCOD(化学的酸素要求量)の低減に努めています。
2020年度の大気負荷に関して、DICのSOxの排出量が4トン(前年度比200%)、NOx の排出量が155トン(同108%)となり、両方とも増加しました。それに伴い国内DICグループ全体では、SOx の排出量が12トン(前年度比152%)、NOx の排出量は182トン(同100%)でした。
一方、排水負荷に関して、DICのCOD排出量は570トン(前年度比82%)、国内DICグループ全体では723トン(同85%)でした。COVID-19による生産減により、減少しました。引き続き、排水負荷の適切な管理と抑制に取り組んでまいります。
海外DIC グループでは、インフラの整備状況に応じて燃料を軽油から天然ガスに転換し、軽油・重油ボイラーからバイオマスボイラーへ切り替える等の取り組みを行っています。COD削減においても、水を再利用して敷地外への排出を抑制するクローズドループ方式、排水処理施設を採用し法規制以上の浄化に努めるなど環境保護に取り組んでいます。

SOx、NOx 排出量の推移

SOx、NOx 排出量の推移

COD 排出量の推移

COD排出量の推移

03ダイオキシン類排出規制の遵守

国内DICグループでは、ダイオキシン類発生施設である焼却施設からのダイオキシン類の発生量をモニタリングしています。ダイオキシンには多種類の異性体があり、それぞれ毒性が大きく異なります。現在、国内DICグループでは焼却施設6施設を所有していますが、各施設ともダイオキシン類対策特別措置法が定める排出基準値を下回っています。

国内DIC グループ焼却施設の排ガス・排水中のダイオキシン類濃度
  • DIC千葉工場の排水濃度に関して、これまで焼却施設の排水経路の濃度のみを報告していましたが、焼却施設以外の排水経路があり、その排水濃度の測定値は6.0pg-TEQ/ℓでした。本排水経路の濃度については、2016年度の測定値から千葉県に報告しており、数値は3.2~7.9pg-TEQ/ℓとすべて基準値(10pg-TEQ/ℓ)を下回っています。

04PCB機器および廃棄物の処理

PCB(ポリ塩化ビフェニル)を使用した機器(旧型の変圧器、コンデンサー、安定器など)については、PCB特措法(ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法、平成13年法律第65号)に基づき、適切に回収・保管・管理しています。また、PCBの処理を進めるJESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)の事業進展に合わせ、使用機器の処理を推進しています。そして、他のPCB廃棄物に関しても適正な管理・処理を進めています。

05アスベスト(石綿)対策

DICグループでは、解体工事や機器更新時の石綿によるリスクを事前に把握し、労働安全衛生法に基づく石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)および改正大気汚染防止法に基づき、適切な対応を継続しています。

サーキュラーエコノミーへの取り組み

近年、使用済みプラスチック製品・容器などの不適切な廃棄が繰り返されていることを要因に、海の環境や生態系が悪影響を受ける「廃棄プラスチック・海洋プラスチック問題」が世界の重要課題になっています。
国内DICグループでは、事業所において廃プラスチックの適切な管理を進めています。具体的には、プラスチックの原材料等が工場敷地外へ漏えいしないように、防止対策を実施しています。また、製造工程で発生する廃プラスチックを積極的に再利用しています。2020年度は、廃プラスチックの約46%を原材料としてマテリアルリサイクルを行い、燃料利用によるエネルギー回収も含めると再利用率は約92%に達しました。
また、サーキュラーエコノミーの取り組みには、一企業では解決できない広範な問題があるため、産業界や官民の連携による取り組みが行われています。DICは、化学業界5団体により設立されたJaIME(Japan Initiative for Marine Environment)、プラスチック製品のサプライチェーン全体に関わる事業者を中心に設立された経産省主導のCLOMA (Japan Clean Ocean Material Alliance)に参画し、また、サンケミカル社では軟包装分野における欧州循環型経済の実現を推進するCEFLEX(Circular Economy for Flexible Packaging)に参画し、最新情報を収集・グループ共有しています。サーキュラーエコノミーに関わる複数の部門でプロジェクトを結成し、プラスチックの回収・代替材料への切り替え・生分解性材料への転換などに取り組んでいます。

TOPICS

DICアストラケミカルズ社がジャカルタ首都特別州から環境保全優良企業として表彰

インドネシアでプラスチック用着色剤やコンパウンドの製造販売を行うDIC アストラケミカルズ社は、長きにわたり一貫してインドネシアおよび周辺地域の環境規制を遵守してきた ことと、汚水処理および汚染大気排出に関する管理システムが評価され、ジャカルタ首都特別州から「DKI-Jakarta - Company Environment Performance Appraisal Program」を受賞しました。
同賞は、州が域内全企業の環境負荷低減における取り組みのパフォーマンスを監査し、環境保全優良企業として認めるもので、1,000社以上の在ジャカルタ製造業から8社が選ばれました。

DICアストラケミカルズ社がジャカルタ首都特別州から環境保全優良企業として表彰

千葉工場が「環境の保全に関する協定」を締結

京葉臨海地域の大規模工場(50社59工場)は、千葉県及び関係6市(千葉市、市原市他)と、3者で「環境の保全に関する協定」を締結し、大気汚染や水質汚濁の防止等のための排出基準などを定めた「細目協定」を締結しています。
中災防は、企業が行う安全衛生活動を支援し、毎年、長年にわたり産業安全や労働衛生の推進向上に尽力し、顕著な功績が認められた個人およびグループなどに緑十字賞を贈り、表彰しています。

写真:千葉県提供

写真:千葉県提供

2015年は細目協定の5年ごとの見直し年であり、3月に新たな「細目協定」の締結式が開催されました。当日は藤野千葉工場長が市原市八幡地区の協定締結企業を代表して、各市・地区企業代表者と共に出席し、森田千葉県知事、佐久間市原市長と細目協定書を手交しました。
今回締結した「細目協定」は、近年における環境問題の動向等を踏まえ、微小粒子状物質(PM2.5)に関する規定を盛り込むなど、全国でも先進的な取組となっており、2015年4月から2020年3月の5年間がその締結期間です。

タンク洗浄工程で有機溶剤の使用をとりやめた小牧工場

小牧工場(愛知県)では、タンク洗浄工程で有機溶剤を使用していました。有機溶剤は、長期間の使用によって将来に健康被害を生ずる可能性が否定できないため、囲い込み装置の設置や労働衛生保護具の着用などの衛生工学的対策を徹底して、ばく露防止措置を講じてきました。

しかし、従業員の健康障害予防および化学物質使用量の低減を図る観点から、2014年度はタンク洗浄工程での有機溶剤使用をとりやめ、水洗浄に切り替えました。DICは、今後もこうした作業環境の見直し・改善を継続的に推進し、従業員の健康障害の予防に努めます。

鹿島工場に超高効率排水処理装置を導入

鹿島工場では、排水処理設備の増強を目的に、同工場内に嫌気性排水処理装置(住友重機械エンバイロメント株式会社製の「バイオインパクト(BIOIMPACT®)」)一基を導入し排水処理能力の向上や省エネルギー化を進めています。
化学系排水の処理については、酸素を必要とする活性汚泥(注1)を用いて、排水中の有機物を炭酸ガスと水に分解する好気性処理法(活性汚泥法)が一般的ですが、このたび導入した排水処理装置「バイオインパクト(BIOIMPACT®)」では、新たに実用化された嫌気性処理法(グラニュール法)が採用されています。嫌気性処理法(グラニュール法)は、グラニュールと呼ばれる嫌気性(酸素を必要としない)の菌を高濃度に充填したタンク内で、排水中の有機物を短時間でメタンガスと二酸化炭素(CO₂)に高速分解する処理方法です。
同装置は発生するメタンガスの工場稼働への再利用も含めて高効率、省スペース、省エネルギーなどを実現する画期的な排水処理設備として注目されています。
これにより鹿島工場では、CO₂の発生を年間720トン削減し、また運転コストについても大幅に低減していく見込みです。

鹿島工場の超高効率嫌気性排水処理装置「バイオインパクト」

鹿島工場の超高効率嫌気性排水処理装置「バイオインパクト」

先進的な取り組みに対してグリーンカンパニー認定(中国)

中国では経済成長と環境保全の両立に向けて、化学物質に関する規制の強化を図っています。こうした中で、中国で事業を展開するDICグループ20法人は、環境マネジメントシステムに基づく改善活動に取り組み、化学物質の排出量、取水・排水量、廃棄物処分量、エネルギー使用量の削減に努め、毎年、データを当局に報告しています。

グリーンカンパニーの認定証看板

グリーンカンパニーの認定証看板

このような透明性の高い取り組みが評価され、有機顔料や印刷インキなどを製造する「南通迪愛生色料有限公司」(江蘇省南通市)は、環境に配慮した事業活動を実践している「グリーンカンパニー」に認定され、化学工場のモデル的存在となっています。