新技術と価値の創造 9 産業と技術革新の基盤をつくろう 12 つくる責任 つかう責任

主な取り組みの目標と実績

持続的社会に貢献する新製品・新技術の開発力の向上

2018年度 目標
  • オールDICの技術部門連携
  • グローバルな研究開発力の強化
  • OI、AI活用による研究開発のスピードアップ
2018年度 実績
  • 2018年は、顔料技術センターをインドネシアに開設、これにより初期の体制が整い、各拠点が連携し研究開発を推進した。
  • AIの有効活用により、厚膜レジスト樹脂等、新製品開発が促進した。
評価 ★★
2019年度 目標
  • グローバル技術拠点が一体となった戦略製品・新技術の開発促進
  • 複合化、OI、AI活用による高付加価値創出技術の開発加速

環境調和型製品・サービスの開発推進

2018年度 目標 低炭素、環境負荷低減に資する製品の開発促進
2018年度 実績
  • グラビアインキや包装用接着剤等で、バイオマス製品のラインアップを拡充した。
  • 環境調和型製品の全製品に占める取扱高比率は57%であった。
評価 ★★
2019年度 目標 サステナビリティに貢献する製品の開発促進
  • 「評価」は、進捗度に関する自己評価によるものです。
    [ 評価マークについて ] ★★★…非常に良好 ★★…順調 ★…要努力

持続的成長に向けて

DICグループは、ブランドスローガン「Color & Comfort」のもと、サステナブルな社会への貢献を目指し、光学・色彩、有機分子設計、高分子設計、分散等の基盤技術と、合成、配合、表面処理などの各種要素技術を駆使した高付加価値製品の開発に取り組んでいます。グループ全体の技術リソースの融合により、また産官学連携などオープンイノベーションも積極的に活用し、持続的成長につながる次世代製品・新技術の開発を目指しています。

事業ポートフォリオ転換を支える新技術・製品・ソリューションの開発

具体的な取り組み

DICグループでは、クリーンテクノロジーの開発、利用を推進しています。省エネルギー化や水性化、無溶剤化など環境負荷のより少ない素材や、エレクトロニクス、パッケージング・グラフィック関連などのDIC製品をご使用いただく各種分野において、より環境に配慮した製品を具現化するための様々な部材を環境調和型製品と位置づけ、開発に取り組んでいます。

エレクトロニクス関連

液晶ディスプレイ関連では、カラーフィルタ用顔料の輝度向上や、ディスプレイの製造工程短縮に有用な高反応性PSA(Polymer Sustained Alignment)液晶、ディスプレイの高速応答化に有用なナノ相分離液晶、ポリイミド配向膜が不要な自発垂直配向型液晶などの開発に取り組んでいます。また、工業用両面粘着テープは、テープを引き延ばして剥がせる易解体性を付与した新製品が、強接着で剥がせるという機能から大型ディスプレイの固定用として市場の好評価を得ています。
次世代ディスプレイ材料では、インクジェット印刷方式による量子ドットカラーフィルタ用インキに関しNanosys社(米国)との共同開発を進めています。
電子材料用途では、耐熱性等に優れる半導体封止材向け活性エステル型硬化剤や、半導体実装向け厚膜レジスト用樹脂を開発しました。この厚膜レジスト用樹脂は独自の高分子設計技術とAI 技術を駆使し新たなフェノール樹脂骨格を見出すことにより高耐熱性と柔軟性を両立したものです。
プリンテッドエレクトロニクス分野では、高導電性銀インクや銅ナノペーストなどの開発に注力しています。

パッケージング・グラフィック関連

グラビアインキではバイオマス系のラミネート用インキを開発しバイオマス認定を取得、包装用接着剤の新製品もバイオマス認定を取得し、バイオマス製品のラインアップの拡充を進めています。また、耐油性、耐水性を付与できる食品紙容器の内面に使用できる水性コーティング剤や、高精細印刷対応のボイル・レトルトパッケージ向け水性フレキソインキ、各種用途向け高感度UVインキなどの環境調和型の製品を市場に投入しました。
多層フィルムでは、透明薄手フィルムとマット調フィルムが菓子パン包装用で、イージーピール型はコンビニの惣菜用容器のシール用で市場実績を拡大しています。
海外ではサンケミカルグループが、再生可能な包装材への取り組みを強化しており、植物由来の再生可能な樹脂をベースにした水性インキの新シリーズの拡充を図っています。またテキスタイル用の顔料IJインキを市場に投入しました。

グローバルな研究開発体制で新製品開発を推進

DICグループでは、日本のDIC(技術統括本部、R&D 統括本部、新事業統括本部)とDICグラフィックス(株)、米国、英国およびドイツのサンケミカルグループの研究所、中国市場を視野に総合的な研究開発を行う中国開発センターが連携し、さらに2014年からは主に中国、アジアパシフィック地域における技術開発活動の拠点として印刷インキ技術センター、ポリマ技術センター、ファインケミカル技術センター、ソリッドコンパウンド技術センター、顔料技術センターを整備し、グループ一体となってグローバルに製品・技術の開発を行っています。また米国の藻類研究センターでは、健康食品などに展開しているスピルリナの知見を活かし、藻類を培養から応用利用まで総合的に研究しています。

環境調和型製品の促進

DICグループは、プロダクトスチュワードシップに配慮した事業活動を推進しています。環境調和への意識を高め、有害物質の使用削減、有害性のより低い製品、リサイクル可能な製品、安全性が高く廃棄物の少ない省エネルギーに配慮した生産プロセスなど、社会に役立つ新製品、新技術の開発に取り組んでいます。

コンパウンディング力による革新

DICは、インキ製造で培われた顔料と樹脂を分散、配合する技術を基盤として、様々な異なる特性や機能を持つ素材を組み合わせるコンパウンディング力により、今までにない新しい製品や付加価値を創り出してきました。
PPSコンパウンドでは、電気自動車のモータ部品や機能部品用の新製品を開発した他、高耐冷熱衝撃性グレード、高流動良耐冷熱衝撃グレードなどの自動車部品用途向けラインアップの拡充を図りました。新規分野では、3Dプリンタ向けの成型材料として光造形用コンパウンドの開発が本格化し、歯科分野での機器や工業用分野での成形部品などへの展開に取り組んでいます。
これからも、DICグループが持つ幅広い技術領域を独自のコンパウンディング力によりさらなる強みに変え、イノベーションを加速させていきます。

VOICE

次世代技術の課題をケミストリーの視点で解決

ポリマ技術 第一本部 ポリマ技術5グループ 研究主任 伊部 武史

近年、半導体集積回路の微細化が進み、半導体製造にかかる工程数並びにコストの肥大化が問題となっています。今回、当社R&D本部で開発した光硬化性樹脂は、次世代技術として期待されるナノインプリントリソグラフィ(NIL)に対応したレジスト用材料です。特徴とする有機無機複合構造の制御により、迅速な光硬化性並びに優れたエッチング耐性を両立するだけでなく、半導体製造の工程数の大幅な削減が期待されています。今後も、化学メーカーの立場で次世代技術の課題解決と持続可能なものづくりに貢献します。

ポリマ技術 第一本部 ポリマ技術5グループ 研究主任 伊部 武史

知的財産活動への取り組み

競争力の基盤の強化にあたり、DICグループでは他社の知的財産を尊重するとともに、オープン&クローズ戦略のもと、自社の技術の権利化とブラックボックス化を推進しています。
DICの知的財産活動は社外的にも注目を集めており、その一例として外部機関が行った「2018年度特許資産規模ランキング」において、化学業界で2位と上位に位置づけられております。その一方、DICの特許登録件数は年間400件程度で、化学業界大手他社よりやや少なく、特許資産規模で高ポイント獲得の理由は、当社が保有する特許の質が高く、注目度が高いことが社外的にも認められた成果と考えます。今後も持続的発展のために、知的財産活動の取り組みを推進していきます。

  • 外部機関: 株式会社パテント・リザルト。

TOPICS

杉江会長と当社社員が合成樹脂工業協会賞を受賞

2014年10月、日本国内の熱硬化性樹脂の業界団体である合成樹脂工業協会の、第38回合成樹脂工業協会賞「特別賞」を杉江会長が、「学術奨励賞」を当社千葉工場 ポリマ第一技術本部の有田和郎主任研究員がそれぞれ受賞しました。

合成樹脂工業協会では、あらゆる架橋性高分子を『ネットワークポリマー』と称し、原料、応用加工、分析・物性、環境対応技術など、周辺分野を含めた研究や議論が行われていますが、年に一度、ネットワークポリマー講演討論会を開催し、同時に学術誌・ネットワークポリマーで発表された優れた研究成果に対して顕彰する合成樹脂工業協会賞を発表しています。

今回、杉江会長は合成樹脂工業協会の前会長として、また企業のトップとして協会の学術活動に直接の指導、支援の功績により特別賞を受賞、有田主任研究員は、従来技術では合成が困難だったナフチレンエーテルの分子量制御に成功し、両立が困難であった、高いガラス転移温度(物理的耐熱性)と優れた耐熱分解性(化学的耐熱性)を兼ね備える新規ナフチレンエーテルオリゴマー型エポキシ樹脂を実用化したことが評価され、学術奨励賞を受賞しました。

向かって左より2番目に有田主任研究員、4番目に杉江会長

向かって左より2番目に有田主任研究員、4番目に杉江会長