ESG部門長メッセージ

持続的・長期的な成長に向けて、社会的価値の向上に資するサステナビリティ活動を強化します

執行役員ESG部門長 向瀬 泰平

執行役員
ESG部門長
向瀬 泰平

深刻化する気候変動に代表されるように、環境問題・資源制約から格差の拡大、サプライチェーンを通じた人権課題などの様々な社会課題が顕在化しています。当社グループでは国連が定めたSDGsに代表されるように国際社会が共通して取り組むべき課題としてこれらを認識し、事業活動を通じてグローバルに持続可能な社会の実現に貢献すべく取り組んでいます。2018年度からはESG部門を立ち上げ、急速に高まる社会の要請に応えるべく活動を加速しています。

DICグループのサステナビリティ・マネジメント

サステナビリティに関する重要な経営課題は、社長直轄の重要会議体である「サステナビリティ委員会」で審議を行って決定しています。年4回開催するサステナビリティ委員会は社長が委員長を、ESG部門長である私が副委員長を務め、各管理部門の長に加えて各事業部門長や各地域統括会社社長も参画して行います。サステナビリティ戦略WGを軌道化させてサステナビリティ活動の強化に向けた施策の審議に重点を置いていますが、同時にガバナンスの観点から必要な事項もしっかり捉えて議論しています。特に昨今、サステナビリティの要請がグローバル・レベルで高まっていることを背景に、委員会の参加者は、時には米国、中国、シンガポールに加えて英国、フランスからも参加するなど、日本基点だけに捕われない世界の大きな潮流を意識した議論を活発化しています。

機動的な活動を進めるために、当社は委員会の下にサステナビリティに関する実務部隊で構成される、「サステナビリティ部会」を設けています。2007年よりDICグループではサステナビリティ活動(注:2007年~2013年はCSR活動)を進めていますが、その日々の活動に落とし込む具体的な取り組みの指揮を執るのはこの部会とその構成メンバーです。ESG部門長である私が部会長も務めています。各専門部署が直接参加しながら「環境・安全」「品質」「人材マネジメント」から「社会課題のビジネス展開」「社会活動・社会貢献」など幅広い活動(サステナビリティ11のテーマ参照)について、各年度の活動計画を作成し、年度末には活動結果の評価まで行って、PDCAを回しています。原料調達場面での人権尊重を考慮した調達活動に関する仕組みの構築と実行、また当社が進める働き方改革(WSR2020)はESGの中でも特に「S」の企業の社会性に関する重点的な取り組みです。

「サステナビリティ指標」DSI(DIC Sustainability Index)で目指す未来

DICグループでは現中期経営計画「DIC111」より、「社会的価値」と「経済的価値」の両立する領域を「目指す事業領域」と定めてValue TransformationとNew Pillar Creationの2本の柱で取り組んでいます。この内「社会的価値」の評価のモノサシとして重要な役割を担うのが「サステナビリティ指標」DSI(DIC Sustainability Index)です。気候変動・食の安全・海洋プラスチック問題など、当社を取り巻く社会課題や社会変革に対して、DICグループの事業(製品)はどのように貢献できるのか。この解としてサステナビリティ指標を用いて自社のすべての製品群にアプローチし、これらの社会課題に対して当社の強みを発揮して社会に貢献できる事業/製品を「サステナブル製品」として特定しました。製品開発から原料購買、生産、販売に携わる社員皆が指標を活用して、サステナブルな製品の拡張を目指すことを促します。
近い将来、各事業の経済的価値の視点とともに、この指標も用いながら慎重かつ大胆なポートフォリオマネジメントを進め、サステナブルな事業の強化によって社会への貢献を高め、同時に当社グループ自身も持続的に成長していきたいと考えています。

「カーボンニュートラル」に向けた取り組み

当社グループは、日本国内では16事業所が国のエネルギー管理指定工場となっていることもあり、早くから組織的に省エネ活動を推進しCO₂排出削減に取り組み、いち早く総量削減目標の公表(2013年~2030年に30%のCO₂排出量を削減)も行ってきました。一方で昨今の気候変動への社会の要請は極めて高いレベルで求められていることを認識し、2019年5月にはTCFDへの賛同を表明し、この提言に沿った情報開示をスタートしました。気候変動の事業へのリスクと機会に注目し、事業戦略に結び付けるべくサステナビリティ委員会での議論を進めています。
2021年1月からはサステナビリティ戦略WG内に気候変動対応分科会を設け生産、購買、物流、R&D、経営企画などの部署が横断的に検討を行ってきましたが、6月に新たな長期目標として、「2050年カーボンニュートラルの実現」と、中間地点である「2030年CO₂排出量の50%削減」(2013年度比)を決定いたしました。新たな実効性のある施策としては、2021年1月より社内カーボンプライス(ICP)の運用を開始しました。将来導入が予測される炭素税に対して社員がCO₂排出に関わるコスト意識を醸成し、CO₂削減に向けたインセンティブを高め取り組めるように仕組みを整備したものです。私たちは環境投資が促進できる施策の推進やその水平展開も心がけ、DICグループは地球環境への負荷削減に向け、グローバルに一体となって取り組みを推進します。

サステナビリティ委員会の開催風景(リモート開催へ移行前の2019年10月の様子)

サステナビリティ委員会の開催風景(リモート開催へ移行前の2019年10月の様子)

「サーキュラーエコノミー」への対応 ― よりサステナブルに

海洋プラスチックに端を発した問題を、様々なポリマ製品を有する当社はとても重要な課題と捉えています。急速に進むサーキュラーエコノミーと市場で起こる需要の変革に的確に対応していくために、当社ではポリスチレンのケミカルリサイクルに関する取り組みを進めています。一方で、より広範囲な事業アプローチとして、中長期の視点でバイオ原料やリサイクル原料への探索も進めていきます。リサイクルに適応する素材や技術の開発など難易度の高い課題への挑戦も必要となりますが、これからの循環型社会の実現に向けて、私たちDICグループもより一層サステナブルに進化すべく取り組んでいきます。