取引先とDIC ~持続可能な調達

サプライチェーンにおける社会的責任を果たす調達の推進

12 つくる責任 つかう責任

主な取り組みの目標と実績

持続可能な調達の推進

2023年度 目標 中長期的な視点での持続可能な調達への取り組みとして、原料のCO₂排出量の調査およびその低減、バイオ原料・リサイクル原料の探索等を推進する
2023年度 実績
  • 主要取引先のCO₂排出量削減目標を調査するとともに、削減活動の啓発を実施した(日本)
  • 原料のCO₂排出量の調査を行い、取引先からデータを収集するとともに今後の調査に向けた課題を把握した
  • バイオベース原料に加え、バイオナフサを活用したマスバランス方式原料についても対象原料・市場調査を実施し、導入に向け社内の情報共有化を推進した
評価 ★★
2024年度 目標 中長期的な視点での持続可能な調達への取り組みとして、取引先のCO₂排出量削減目標の調査および削減の啓発、原料のCO₂排出量の調査、バイオ原料・リサイクル原料の探索等を推進する
2023年度 目標 日本およびサンケミカル社における取引先のサステナビリティ調査を継続するとともに、本取り組みを中国・アジアパシフィック地域へ本格的に展開し、取引先のサステナビリティ活動状況の把握・改善を推進する
2023年度 実績 日本およびサンケミカル社における取引先のサステナビリティ調査を継続するとともに、従来からサンケミカル社で活用しているサステナビリティ調査プラットフォーム(EcoVadis)を活動強化のためDICグループ全体へ導入し、日本でも調査を開始した
評価 ★★
2024年度 目標 EcoVadis等を活用した日本およびサンケミカル社における取引先のサステナビリティ調査を継続するとともに、本取り組みを中国・アジアパシフィック地域へ本格的に展開し、DICグループ全体での活動を推進する
  • 「評価」は、進捗度に関する自己評価によるものです。
    [ 評価マークについて ] ★★★…非常に良好 ★★…順調 ★…要努力

持続可能な調達の基本的な考え方

DICグループは、法令・社会規範の遵守、環境配慮、人権の尊重をはじめとした、「持続可能な調達」を実現するための多様な課題についての取り組みが社会の要請として高まっていることを踏まえ、「DICグループ購買に関する方針」を制定し、グローバルに取り組みを推進しています。また、この方針に基づき「DICグループサステナビリティ調達ガイドライン」を定め、取引先に対しても持続可能な調達のための各活動を要請するとともに活動状況の調査や啓発活動を行い、サプライチェーン全体でのサステナビリティ活動を推進しています。

DICグループ購買に関する方針

  • 公正・透明な取引
    DICグループは、従来の商習慣にとらわれることなく、グローバルな見地から国内外の取引先に対して、公正で開かれた購買を行います。
  • 適正な購買と信頼関係の構築
    DICグループは、国内外の関連法規・社会規範を遵守し、適正な品質・価格を追求して取引先と良きパートナーとしての安定的な相互信頼関係を構築し、共存共栄を図ります。
  • 環境・安全への適合
    DICグループは、模範的な企業市民として、環境・安全・健康・品質に責任を持ち、社会の変化を常に意識し、地球環境に配慮した購買を実践します。
  • 新たな価値創造への挑戦
    DICグループは、社会が求める新たな価値に高いレベルで応えるために、価値の創造を共有できる取引先と積極的に挑戦し、共に持続的な発展を目指します。

DICグループ サステナビリティ調達ガイドライン

  • 法令・社会規範の遵守と健全な事業経営の推進
  • 人権の尊重及び労働環境の整備
  • 安全衛生の確保
  • 環境への配慮
  • 情報セキュリティ対策
  • 適正な品質・安全性及び技術の向上
  • 安定供給と変化に対する柔軟な対応
  • サステナビリティの推進と持続可能な調達の取り組み
サステナビリティ活動の把握・改善

取引先のサステナビリティ活動状況の把握および推進

DICグループは「EcoVadis」および「DICグループサステナビリティ調達ガイドブック」を用い、それぞれの特徴を活かしながら、取引先のサステナビリティ活動の状況を把握するとともに取り組みを推進しています。

EcoVadis

サステナビリティ活動推進のためのスコアカード・ベンチマーク等を提供する世界的な評価プラットフォームです。専門のアナリストがエビデンスに基づいて評価を行うため、取引先のサステナビリティ活動について客観性・信頼性の高い評価結果を得ることができます。2020年にSun Chemical社(米国、以下「サンケミカル社」)で導入しました。2023年にはDICグループ全体の統合契約へ移行し、各地域で活用を進めています。

DICグループサステナビリティ調達ガイドブック(以下「ガイドブック」)

取引先のサステナビリティ全般に関する活動の把握および改善を目的とし、2010年に運用を開始しました。その後社会要請の変化に対応するため更新を重ね、現在は2020年2月改訂の Ver.3 を適用しています。

ガイドブックでは、「DICグループサステナビリティ調達ガイドライン」により取引先へ要請事項を周知するとともに、セルフチェックシートによるアンケート調査を行い、サステナビリティ活動の状況を確認しています。このアンケートは同ガイドラインの8項目をさらに細分化した45の設問から構成されています。アンケートの分析・評価結果を各社にフィードバックするとともに、必要に応じて訪問調査や書面によるフォローを実施することで、取引先のサステナビリティ活動を推進しています。
ガイドブックに含まれる「DICグループグリーン調達ガイドライン」では、化学物質管理の徹底・関連法規制の遵守・環境負荷低減の推進を各製造業者に求めています。また調査票による確認を適宜行い、製造業者の対応状況の把握および必要なフォローを実施しています。

評価分布図

各地域の取り組み状況

・日本

2010年よりガイドブックによる活動を継続しており、最新版(Ver.3)のアンケートを使用した調査では、日本の原料購買金額の85%以上を占める取引先から回答を受領しました。また取引先が商社の場合には、製造業者に対しても追加で調査を実施しています(総回答社数691社)。回答いただいたすべての取引先・製造業者に対して評価結果をフィードバックするとともに、追加の訪問調査をこれまでに102社に対して実施しました。
EcoVadisによる取引先調査も2023年より開始しています。今後順次対象を拡大し、取引先のサステナビリティ活動の評価・推進を強化する計画です。

・中国・アジアパシフィック地域

EcoVadisおよびガイドブックを使用した取引先調査を2024年から本格的に開始する計画です。

・欧米地域

サンケミカル社では2020年よりEcoVadisを使用したサステナビリティ活動の評価・推進活動を実施しています。これまでに原料購買金額の約80%を占める取引先の評価を完了し、現在も調査を継続しています。

サプライチェーンにおける人権デューデリジェンスの推進

DICグループはサプライチェーンにおける人権の尊重を重要な課題ととらえ、取引先と連携してサプライチェーンを通じた取り組みを進めています。

取引先に対する活動

DICグループは、「DICグループサステナビリティ調達ガイドライン」により、取引先に対して従業員の機会均等、強制労働等の禁止、ハラスメントの防止、適切な賃金の提供、適正な労働時間の管理、従業員の結社の自由、団体交渉の権利の尊重などを要請しています。また、EcoVadisおよびガイドブックを使用して取引先の活動状況を確認するとともに、フィードバックや訪問調査等を通じて改善を啓発しています。

責任ある鉱物調達

DICグループは「責任ある鉱物調達に対する基本的な考え方」を示し、適切な鉱物調達のための各種調査等を実施しています。

関連リンク

新規取引原料に関する事前調査

DICグループでは新規取引原料について、各種法規制への適合や安全性、その他持続可能な調達に関する事項に問題がないことを事前に確認しています。例えば日本では原料登録時に「DIC原材料調査票」※1、「SDS(Safety DataSheet)」、「chemSHERPA」※2、およびCMRTの提出を要請し、多角的に導入予定原料の調査をしています。

  • DIC原材料調査票:原料の各成分の基本情報や法規制適合状況を確認するための調査票。
  • chemSHERPA:化学物質の情報をサプライチェーン全体で適正に管理し伝達するための情報伝達スキーム。

持続可能な原料への取り組み

DICグループは、中長期的な視点でも持続可能な原料への取り組みを推進しています。

原料のCO₂排出量調査

社会・顧客の要請に対応し製品カーボンフットプリント(製品のライフサイクルを通したCO₂の排出量)を算出するため、購買原料のCO₂排出量調査に取り組んでいます。取引先への調査を実施し、一定の品目についてデータを取得するとともに、取得品目数の向上を課題として把握しました。今後も業界動向等を踏まえながら調査を継続し、製品カーボンフットプリントの算出およびその削減に努めていきます。

原料のCO₂排出量削減の推進

DICグループは、SBTに認定された気候変動リスク低減のためのScope3関連目標を達成するため、取引先と連携し購買原料のCO₂排出量削減を推進しています。その一環として、2023年に日本では、購買金額の約90%を占める取引先に対し、CO₂排出量削減についての中長期目標の設定状況を確認するとともに、本取り組みの周知・啓発を実施しました。

  • SBTの詳細はP88をご参照ください。

バイオ原料およびリサイクル原料の導入推進

DICグループはバイオ原料およびリサイクル原料の導入を推進しています。グローバルなサプライチェーンを活かした原料調査を行い、その結果を技術部門のメンバーと共有し、製品設計の見直しにつなげています。

社内体制および社内教育

社内体制

本社購買部にはサプライチェーンにおけるサステナビリティ活動専門のチームが組織されており、DICグループの持続可能な調達の実現に向け、前述の各活動についてKPIを定めて活動しています。またグローバルミーティング等を通じ、それぞれの活動について各地域間の情報共有および連携を取っており、DICグループ全体として持続可能な調達に向けた取り組みを強力に推進しています。
これらの活動の結果、DICグループが受審したEcoVadisの「持続可能な資材調達」分野では70点(2023年)の高評価を受けています。

社内教育

持続可能な調達に関する社内購買担当者向けの教育(転入時・入社時・その他適時)を実施し、社内の理解促進に努めています。

関連リンク