水資源の管理
主な取り組みの目標と実績
生産拠点の水リスクを評価し、対策を管理
目標の範囲 | 年度 | 目標 | 実績 | 評価 |
---|---|---|---|---|
グローバル | 2024 | 水リスク拠点の対策 2024年度までにすべて実施 |
水リスク拠点の対策をすべて実施 |
★★★ |
2025 | 2026年以降のロードマップの見直しを行う | ― | ― |
- 「評価」は、進捗度に関する自己評価によるものです。
[ 評価マークについて ] ★★★…非常に良好 ★★…順調 ★…要努力
基本的な考え方
DICグループでは、事業活動に関する水リスクを把握し、水資源の有効活用に取り組んでいます。
方針および体制
水資源の節減・管理は世界共通の重要課題です。DICグループは、生産における設備の冷却や製品への使用、そして従業員の飲用として、複数の水源から取水しています。その後、排水する際は、国・地域の規制と同等以上の自主基準を設けて浄化処理し、河川等に排出しています。DICグループでは、各事業所における水リスクを評価し、対策を実施するとともに水資源の有効活用に取り組んでいます。
2024年度の主な活動と実績
01水リスクの管理
水リスクは渇水、洪水、水質など広範なリスクを含み、また地域により発生するリスクが異なることから、近年WWFが提唱する地域の課題を踏まえた目標設定※1が求められています。DICグループでは、一般的な水リスクの評価方法アキダクト※2を2016年度より用いて、世界中の各事業所を「その事業所が位置する地域の水リスク(外部要因)」から評価してきました(図1)。また、特に日本、中国、APのDICグループでは、上記に加えて事業所ごとの「操業上のリスク(内部要因)」を加味した評価を第三者機関の指導のもと実施しました。具体的には、水リスクの種類を「渇水」、「洪水」、「水質」等の項目に分類しました。そして、それぞれの項目に対して、各事業所の「地域の水リスク」と「操業上の水リスク」のスコアを2軸でマッピングし、右上のゾーンに位置する事業所を高リスク事業所として判定しました(図2)。「地域の水リスク」はアキダクトで評価、「操業上の水リスク」は当社の調査票により評価し、それぞれスコア化した結果、16事業所を高リスク事業所として抽出しました。
2021年から2024年にかけて高リスク16事業所の対策を確認し、その実施率を目標に設定しました。
高リスク事業所に関しては、2021年度に4事業所、2022年度に4事業所、2023年度に3事業所、2024年度に4事業所の対策を確認しており、計画をすべて完了しました。
なお、高リスク事業所と特定した16事業所のうち、1事業所が2023年末に閉鎖したため、現在、高リスク事業所は15事業所となっています。
- WWF(World Wide Fund for Nature:世界自然保護基金)の目標設定「Setting Site Water Targets Informed By Catchment Context: A Guide For Companies」。
- 世界資源研究所(WRI)が提供する水リスクの評価ツール。世界186ヶ所の水ストレス、干ばつリスク、洪水リスクを地図上で表示している。正式名は「Aqueduct Water Risk Atlas」。



02取水量・排水量の管理
DICグループでは2017年度より水資源管理に関するデータ集計項目をGRIスタンダード※3に基づいて変更し、取水源および排水先ごとの水量を把握しています。
2024年度は、DICグローバルの総取水量は36,558千m³(前年度比77%)、総排水量は33,778千m³(前年度比78%)となり、いずれも減少しました。
国内DICグループでは、取水量13,085千m³(前年度比51%)、排水量11,473千m³(前年度比48%)となり、前年度比減となりました。これは、主に連結子会社であった星光PMC株式会社(当時)の譲渡によるデータ集計対象範囲変更の影響です。
海外グループの取水量は主に欧米での生産量増加に伴い、23,473千m³(前年度比108%)、排水量は22,305千m³(前年度比114%)と増加となりました。
今後もDICグループは水資源の適正管理に注力していきます。
- 国際NGOのGRI(Global Reporting Initiative)が発行する持続可能性報告のための国際的ガイドライン。

03水使用量削減や排水リスク低減への取り組み
DICグループでは、水の用途の多くは設備の冷却であるため、クーリングタワーなどにより水をリユースし、水使用量の削減に努めています。一方、排水リスク低減のため、工場からの排水は法規制以上の浄化に努めるなど環境保護に取り組んでいます。例えば、工場内から排出される生活排水は、油水分離等の1次処理を実施し、工場外に排出しています。製造系排水は、活性汚泥等の2次処理を実施し、常温に冷却してから、油水分離等を行い、排水しています。排水によっては有害物質を除去するため、活性炭処理等の3次処理を実施するケースもあります。また、DIC総合研究所(千葉県)やDIC Siam Chemical Industry社(タイ)では、排水においてゼロエミッションを達成し、水資源への負荷低減に努めています。DIC総合研究所では、日量約60m³の事業所用水を地下水で賄いますが、敷地内での完結処理(クローズドシステム)を確立しています。また今後、取水量低減を目的とした再利用水の水質向上のため、純水化設備の導入計画を進め、水資源の確保に努めていきます。
04CDP水セキュリティ2024
DICグループは、2024年度のCDP※4水セキュリティにおいて「B-」評価でした。今後も、水セキュリティ対応を強化し、評価向上を図っていきます。
- CDPは、温室効果ガス排出削減や水資源管理、森林保全を促進している国際NGO。