DICの前身「川村インキ製造所」の創業
日露戦争後、人々の生活は近代化に向かい、大衆文化・消費文化が大いに発展しました。美術雑誌の活発な刊行や絵葉書ブームのほか、化粧品や食品などの包装パッケージの需要拡大など、文化の活性化は印刷需要と密接につながり、印刷業も急伸の兆しを見せていました。こうしたことから、創業者・川村喜十郎は印刷インキ分野での起業を決意し、「川村インキ製造所」を誕生させました。
東京市本所(現墨田区)の工場には、ガスエンジンで動く8×12インチの小型ロール3台を設置。従業員は3人で、そのほかに販売専門の外交員を委嘱していました。需要の多かった木版、石版、活版用の白、藍、黄、赤といったインキから製造を開始。原料の顔料、ワニスを購入し、練肉して製品にしました。売れ行きは好調で、当社は先ずは順調な滑り出しを見せました。