ダイバーシティ
1. トップメッセージ
DIC株式会社
代表取締役 社長執行役員
池田 尚志
社長メッセージ
DICグループは、60を超える国と地域で2万人以上の社員が活躍し、事業を展開しています。各地域の社員は、国籍、ジェンダー、思想、身体的特徴など一人ひとりが異なる個性をもち、そして様々な働き方をしています。このような、多様な社員の存在は、DICグループの強みの1つでもあります。
多様な社員がその能力を十分に発揮していくために、DICグループではDEI&B(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン&ビロンギング)の実現を進めています。一人ひとりの社員に挑戦する機会が平等に提供され、一人ひとりが持つ多様な能力を存分に発揮して、エンゲージ高く働き、そこから生み出される価値のある製品を、世の中に提供し続けていく取り組みを進めています。これこそがDICの価値であると、私たちは認識しています。
一人ひとりが持つ多様な個性は、多様な発想が生み出される源泉となります。
変化が激しく、予測が困難な現在の環境に対応していける価値のある新たなイノベーションは、多様な発想のぶつかり合いがなければ生み出されません。
DIC株式会社
代表取締役 社長執行役員
池田 尚志
国内においては、2030年に向けての長期経営計画DIC Vision2030を策定しています。その中で、「人的資本経営の強化」を基本戦略の1つに掲げています。ダイバーシティ&インクルージョンについては、『競争優位の源泉としてのダイバーシティ、多様性を強みに転換するインクルージョン』を方針として掲げ、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する活動に取り組んでいます。
女性社員、多様な国籍の社員、障がいのある社員、育休を取得した女性・男性社員、介護や治療との両立をしている社員、など、異なる立場や経験の中から出てくる多様な意見や発想は、DICのイノベーションの宝庫です。
ダイバーシティ活動を通じて、一人ひとりが活き活き働き、そして充実した人生を過ごせる事、仕事と生活が両立できる企業であり続ける事、そして、そのような企業活動から価値ある製品を生み出していく事に、私たちは取り組んでまいります。
2. ダイバーシティ活動の基本的な考え方
DICの経営理念の1つ「協業」に基づき、60か国以上の国と地域においてDEI&Bを推進しており、以下のようなDEI&Bが実現できている組織を目指しています。
ダイバーシティ推進活動のロードマップ
3. 推進体制
ダイバーシティ担当執行役員のもと、クロスファンクショナルチーム(サステナビリティ推進部、総務人事部、人事戦略部、コーポレートコミュニケーション部)にて、DEI&Bを実現する企業文化の醸成を目指し、多様な人材の活躍支援、子育てと業務の両立支援など、DICで生き生きと活躍できる為の各種施策に取り組んでいます。ダイバーシティ推進活動は、社長直轄のプロジェクトであるWSR(Work Style Revolution)委員会にて、定期的な報告を行い、社長をはじめ役員からの意見を反映した推進活動に改良しながら推進しています。
4. ダイバーシティKPI
多様な人材が働きがいをもって活動できるDICである事の指標として、多様性を示す各事項について、KPIを設定しています。
当社は、2030年に向けての長期経営計画DIC Vision2030を策定しています。その中で、「人的資本経営の強化」を基本戦略の1つに掲げ、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)について、『競争優位の源泉としてのダイバーシティ(D)、多様性を強みに転換するインクルージョン(I)』を方針として、D&Iを推進する活動に取り組んでいます。
2030年に向けてのKPIを設定においては、取締役、監査役でのマイノイティ比率は、25年目標の20%から30%に引き上げて設定しました。政府はの女性活躍・男女共同参画の重点方針(女性版骨太の方針)による東証プライム市場に上場する企業の女性役員の比率を2030年までに30%以上にする目標を設けることを受けて設定しています。また、執行役員に占めるマイノリティ比率も、25年目標の20%から30%に引き上げ、このうち女性の比率は5%を目指します。
女性管理職比率は、順調に目標を達成しており、24年時点で25年(26年1月)目標の8%を達成しました。30年には、12%を目標に掲げ、女性社員比率と女性管理職比率を近づけていく事に努めてまいります。
外国人の採用比率、女性社員の採用比率、中途採用の女性比率においては、現状の比率を下回らない事を目標に進めてまいります。
男性の育休取得率は100%を目指し、共に育て共に働く事ができる企業としての環境を整えてまいります。
5. 多様な人材の活躍
【1】女性社員の活躍推進の取組
DIC単体でみると、管理職の女性比率は、年々増加し、24年には8.1%となっていますが、社員の女性比率21%からみると、ジェンダー比率には差が生じています。
女性社員の多様な働き方を支援すると共に、意思決定層にて多様な意見が反映されることによる、新たな価値創造を促進するため、女性社員のキャリアの形成支援に取り組んでいます。
登用される中核人材の多様性を促進するために、外部研修派遣、メンター制度をじはじめとする様々な施策展開しています。
女性社員の比率(DIC籍DIC株式会社社員 24年1月値)
社員の女性比率
管理職の女性比率推移
- 管理職社員の他社との交流による更なる視野の拡大のため、経済産業省WIL、社外役員のコーチング研修、等への参加
- 将来のリーダーとなる、管理職手前の社員に対し、NPO法人 J-win等の社外研修への参加を通して、ネットワーキングの構築や事業の考え方を学ぶ場を提供
- 役員による、管理職へのメンター制度の実施
- 女性管理職による、管理職手前の一般社員へのメンター制度の実施
- 管理職手前の一般社員を対象としたマインドセット社内集合研修の実施
TOPICS
令和5年度 「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」に初選定されました
DICは、柔軟な働き方の推進、キャリアを継続できる施策の整備、採用から登用までのキャリア形成支援など様々な取り組みを進めてきました。加えて、男性社員も子育てに参加できるよう環境を整備し、共に育て共に働ける企業風土醸成に努めています。これまでの取り組みにより、当社社員の平均勤続年数は男女差を解消(2023年現在:男性社員19.3年、女性社員20.5年)、産休からの復職率はほぼ100%、男性社員の育児休業取得率は約90%などの成果を得ています。今回の選定では、これらの取り組みや実績に加え、積極的な情報開示が高く評価されました。
【2】外国人社員への支援
DICは、グローバルなマインドや高い専門能力・語学力等を持つ人材として、日本の大学・大学院を卒業した外国人留学生、海外の大学を卒業した日本人留学生、外国人学生、職務経験・専門知識の豊富な経験者を積極的に採用しており、現在、62名の外国人社員が様々な職種で活躍しています。(2023年12月31日時点)外国人社員の活躍支援のために、主要な社内情報の英語化や外国人向けの相談窓口等、インフラ面や制度面の整備も進めつつ、2020年12月からは外国人社員を対象としたネットワーク会議を開催しています。また、2022年度からは外国人新入社員が入社する部署向けに、異文化研修の展開も開始する等、人種や国籍を問わず、一人ひとりが個の力を発揮し活躍できる職場環境を目指し、様々な施策に取り組んでいます。
- 外国人社員を対象としたネットワーク会議の実施
- 外国人社員同士でのランチ会の実施
- 新入外国人社員の配属部署向けの異文化研修の実施
- 外国人社員向けの相談窓口設置
- 外国人社員向けウェブサイトの新設
- 社内文書の英語化
TOPICS
23年7月にDIC本社で外国人社員ネットワーク会議を開催しました
第6回外国人ネットワーク会議を2023年7月に本社で開催しました。本会議は、外国人社員同士のネットワーク強化のために、2020年度より、年に2回実施しています。今回からは、外国人社員の数名が事務局に加わり、会議テーマの設定等、企画段階から一緒に進めました。色々なアイデアが出ましたが、まずは一人ひとりの悩みをより深く把握すべく、事務局2名と外国人社員2名で意見を交換する機会の開催を会議テーマにあげ、第6回会議の中で、開催の是非についての意見を外国人社員からヒアリングしました。
その上で、2023年度下期には、実際に外国人社員ボランティアと事務局メンバーでペアを組み、希望者向けに「2on2ミーティング」を実施しました。2on2で多くあげられた悩みについては、次回以降の会議テーマとして取り上げ、議論を深めることで解決につなげていきたいと思います。2023年度から新たに約20名の外国人社員が加わっていますので、自身の強みや能力を最大限に活かしながら働くことができる環境となるよう、今後はより一層外国人社員とコミュニケーションを取りながら活動していきます。
【3】業務と育児の両立支援
子供を育てながら働き、キャリアを積める企業である事を目指し、DICでは、育児に関する各種制度を整備しています。育児休業制度を利用する社員の復職率はほぼ100%となっており、男性育休の取得率も90%を超えています。また、復職時の研修や、子育てと業務の両立に悩む社員に対して、子供をもつ管理職社員との相談会開催などを実施し、1人で悩まないサポート体制をとっています。さらに、シッターの割引制度の導入により、シッターを利用しやすい環境を整えています。
- 産休からの復職者を対象とした復職者研修
- 子供のいる女性管理職を相談役とした、子育てと業務に関する相談会の開催
- 男性育休の制度説明会
TOPICS
子育てキャリアの両立支援について、子供のいる女性管理職による相談会を開催
子育て中の女性社員に向けて、子育てと仕事の両立と、自身のキャリアについての悩みについて、子供をもつ女性管理職が相談役となった相談会を開催しました。女性管理職の実際の経験談を聞く事で、参加者は様々な気づきが得られる会となりました。また、相談役の女性管理職での相談会振り返りを実施し、これからの子育てと仕事の両立について意見交換をおこないました。今後は、男性社員も参加しての相談会、懇談会も開催し、両立支援の施策を継続的に実施してまいります。
【4】LGBTQ+への取組
働き方が多様化している昨今、多様な人材がその能力を発揮して働き、新たな価値を生み出していく事のできる企業である事が必要です。多様な人材の活躍を目指すDICのダイバーシティ活動で、私たちは、外国人社員、女性社員の活躍、そして働き方の多様性を取り上げてきてきました。
LGBTQ+の社員が働きづらさを感じない環境への整備に向けて、2023年11月に、人権方針の改定をしました。【人権尊重の責任】の項目において、「人種、宗教、性別、肌の色、年齢、婚姻状況、性的指向」の文言を入れ、目で見える表層的多様性、外見では分からない深層的多様性、これらの全てを網羅した人権尊重に改定しています。
2024年6月に、LGBTQ+の相談窓口を設置し、ジェンダーに関わりなく働き易いDICである事への第一歩としています。
TOPICS
ダイバーシティ担当者と総務人事部福祉担当マネジャーはAlly宣言をしました
ダイバーシティ担当の5名と、総務人事部福祉担当マネジャー1名との合計6名はDICで初めてのAlly宣言をしました。これをきっかけに社内でのLGBTQ+への理解を促進し、だれもが働きづらさを感じないDICへとしてまいります。
【5】発想の多様性
DICでは、自身の強みの資質を改めて知ってもらう事を目的に、クリフトンストレングス®アセスメントを全社に展開しました。この強みの資質をチームビルディングにも使い、部署のメンバーが今現在、強みとしている資質を知り、お互いのやり方を理解し、部署の心理的安全性を高めるツールの1つとしています。
Gallup社が開発した「一人ひとりの異なる才能を発見できるアセスメントツール」です。
アセスメント結果は、*計4つの分野にカテゴライズされている34個の資質の中から自身との関連が強い資質(=上位に出てくる資質がいわゆる強み資質)の順番に出てきます。
*実行力の資質、影響力の資質、人間関係構築力の資質、戦略的思考力の資質
右の円グラフは、当社の強み資質の分布傾向です。当社は、人間関係構築力と実行力を持っている社員が多いという結果となりました。
TOPICS
クリフトンストレングス®を使ったチームビルディング結果を社員に聞いてみました
実施後アンケートでは、チームビルディングに参加した社員の9割が「参加してよかった」と回答しており、さらには、以下のような効果を感じたとの声もありました。
- テレワークの普及に伴って同僚と会う機会が減少していたが、今回のチームビルディングを通して、同僚との距離感が近くなり、働く上での安心感を得ることが出来た。
- チームには様々な強みを持ったメンバーが必要であると実感した。
- メンバーからのコメントのおかげで、自身でも気が付かなかった強みの発見ができた。
6. 多様性理解の促進
多様性の理解をを促進するため、国内DIC社員を対象としたeーラーニングを実施しています。
eーラーニングの動画・資料、およびeーラーニング中で実施した調査結果については、社内ポータルのダイバーシティサイトでいつでも見たり、部署教育での再利用ができるようにしています。
- アンコンシャスバイアス eーラーニング
- 男性育休について eーラーニング
- 心理的安全性 eーラーニング
- LGBTQ+について eーラーニング
- 男性育休制度の説明
- グローバルビジネスで通用する‘’伝え方‘’(資料の作り方)の研修
7. 外部機関からの評価
くるみん認定
DICは、1986年に化学業界で初めて育児休業制度を導入、2007年より「仕事と育児の両立支援」に取り組み、法定を上回る様々な制度を導入し、利用促進を図っています。2008年には、次世代育成支援対策を積極的に推進する企業として、厚生労働省から「2008年認定事業主」に認定されています。
令和5年度 「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」
経済産業省と東京証券取引所が共同で主催する令和5年度「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」に初選定されました。同選定は、令和5年度に新設されたもので、全業種から16社(うち素材・化学業種は2社)が選定されました。
Equileap社による企業のジェンダー・ダイバーシティに関する取組の評価
2023年から新規に設定された「Morningstar Japan ex-REIT Gender Diversity Tilt Index」では、当社はジェンダー・ダイバーシティに関する取り組みに関し、5段階の中で最高位の「Group 1」に格付けされました。
8. グローバルでのダイバーシティ
DICは、世界62の国と地域に185のグループ会社を通じて事業を展開しています(2023年12月31日現在)。連結従業員数は22,255名で、このうち約73%の16,198名が海外の拠点で活躍しています。グローバルに事業を展開していることから、性別の違いのみならず、国ごとの文化、人種、宗教、思想の違い等の様々な多様性があります。これらの違いは、違いとして放置すれば課題となり得ます。しかし、グループ全体で始めたダイバーシティ活動を通じて、私たちはその違い、すなわち多様性を強みに変え、一緒に働くすべての社員が自分の能力を十分に発揮できる会社にしていきたいと考えています。直面する課題は国ごとや地域ごとに異なるため、各地域でもっとも課題と感じているところから優先して取り組みを進めています。また、各地域のDEI&B人事責任者および担当者が定期的に集まり、互いのアイデアや成功・失敗事例について共有し、One DICの構築に向けて、グループ全体で改良しながらダイバーシティを推進しています。