DICグループのマテリアリティ

DICグループはグループが取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を下記のとおり抽出・特定し、その進捗に取り組んでいます。

事業活動におけるマテリアリティ

1.社会の持続的繁栄に貢献する事業ポートフォリオへの変革

社会的価値並びにサステナビリティに配慮した事業への質的な転換
(DIC Vision 2030で掲げる5つの重点事業領域に取り組み、社会的価値に配慮した事業へ転換)

2.カーボンニュートラル社会の実現

市場でのCO₂排出量削減の推進、製品やサービスを通じた脱炭素社会への貢献
(2050年カーボンネットゼロ宣言、Scope1,2の削減と、製品カーボンフットプリント(CFP)の提供)

3.新たな事業の柱の創出

人々の暮らしや地球環境を含めたより良い未来の実現と、株主利益を包摂する社会的利益の実現
(社会課題・社会変革と当社のコンピタンスとの交点の領域で、新たな事業を構築)

4.人的資本価値の最大化

中長期的観点で人的資本価値を最大化するための、戦略的人材ポートフォリオ構築の実現
(材流動性対応、エンゲージメント・組織力強化を推進し、ダイバーシティ&インクルージョン、働き方改革を継続)

5.グローバルな経営体制の強化

重点事業領域のグローバル展開の加速
(グローバルな経営ガバナンス、経営人材の育成・強化、基幹システムの確保と向上を推進)

6.DXの推進

デジタル技術とデータの活用により、新たな付加価値の提供と企業体質の強化
(業務プロセス・働き方・ビジネスモデルの革新、企業文化・体質を転換)

7.資源循環型社会の創出

世界の求める気候変動への取り組みの一環として、資源消費に依存せず、廃棄物のない社会の実現
(Scope3 カテゴリー1&12の削減、ケミカルリサイクル&マテリアルリサイクルの推進)

8.持続可能なサプライチェーンの構築

グローバルな人権の課題、気候変動や水リスクなどの環境課題に配慮した、責任ある調達活動の実施
(カントリーリスクや各種供給障害リスク、環境対応等の現状把握と適切な対応を推進)

マテリアリティ(重要課題)の抽出

持続可能なスマート農業を実現する食用藻類の培養工場を新設

DICグループ会社Earthrise Nutritionals, LLC社(米国)は、2025年3月に持続可能なスマート農業を実現する新たな食用藻類スピルリナの培養工場を稼働しました。スピルリナの培養工程では、光合成により二酸化炭素(CO₂)が利用されます。工場では、年間1,200トン以上の精製CO₂を利用し、再生可能エネルギーを50%以上使用することで環境対応型生産方式を実現しています。また、スピルリナから水抽出技術で生産される食品用天然系青色素「リナブルー®」の生産工程においても、最新テクノロジーを応用し工場排水ゼロを実現しています。
DICグループは、今後も高品質で環境に配慮した製品をグローバルに提供していく方針です。

食用藻類培養工場竣工式の様子(2025年4月)と工場の全景

PFASフリーと高性能を両立した自動車(EV)向け潤滑油用添加剤を開発

PFAS系添加剤は、高い熱安定性と耐久性を兼ね備えているものの、環境への潜在的リスクから欧米を中心に規制に向けた議論が進んでいます。一方、一般的なシリコーン系添加剤ではPFAS系製品と同等の性能を持つことが長年の課題となっていました。このため、DICでは世界的に高まるサステナブルニーズへの先行的な対応として、PFASの代替品の開発を進めてきました。環境に配慮した原料の採用と当社独自の分子設計技術により、PFASフリーでかつPFAS系と同等レベルの高性能な界面活性剤「MEGAFACE®EFSシリーズ」の開発に成功しました。
DICグループは、サステナブル対応製品を中核とした事業拡大を掲げています。今後も社会課題の解決に貢献するサステナブル製品として、PFASフリー製品のラインアップを拡充し、持続可能な産業活動の推進と環境へのリスク低減に貢献していきます。

合成樹脂製造プラント運転自動化を図るデジタルツイン技術の実用化

DICと株式会社日立製作所は、合成樹脂製造プラントの運転自動化を目指し、プロセス・インフォマティクスを活用したデジタルツイン技術を実用化しました。このシステムは、AIを用いて反応予測モデルを構築し、プラントの最適な運転条件を導き出します。これにより、品質の安定化や作業効率の向上が期待されます。2021年からの共同実証を経て、DICの国内プラントで2025年1月から本格稼働し、今後は国内外の拠点へ展開予定です。
DICグループでは、IoTの導入やAIを活用した製造現場の効率化とスマートな工場の実現を目指しています。自社工場内で適材適所を前提としたデジタル化を進め、販売先からの要望に応えながら、サプライチェーン全体で合理化を実現し、DICの生産力を新たな次元へ向上させていきます。

グローバルイノベーションセンター・グローバル人事部の設立

DICグループは、日本をはじめとしたアジア、欧米を中心としてグローバルに事業を展開しています。2025 年1 月に設立されたグローバルイノベーションセンターは、グループ全体のケイパビリティを活用し、次世代のビジネスを支える新技術開発・製品開発を推進します。また、グローバル人事部では、DICグループ一体経営の高度化に資する人材マネジメントの仕組みの検討、選択、導入を推進します。
DICグループは、これらの取り組みにより地域という枠組みを超え、グローバルな競争力をより一層強化することで持続可能な成長を目指します。

その他の重要項目

マテリアリティの抽出を通じて、DICグループでは次の各項目が経営に大きな影響を与える課題と認識しています。
事業活動を通じた強化・対応を図っていきます。

環境 プロダクト・スチュワードシップ、環境負荷の低減、知的財産戦略
環境と社会 パートナーシップの強化
社会 顧客・市場とのコミュニケーション、地域コミュニティへの貢献、パンデミックへの対応
ガバナンス 資本効率の最適化、事業継続の確保、政治・地政学変動、情報セキュリティ、税務リスクへの対応、為替変動への対応
彩りある快適な社会の実現