マテリアリティ

IRO-1 重要な影響・リスク・機会の特定および評価プロセスならびに開示対象情報の決定

ダブル・マテリアリティへのアプローチ

DICグループは2024年から2025年にかけて、サステナビリティに関連する影響・リスク・機会(IROs)を特定・評価するため、ダブル・マテリアリティ評価(DMA)を実施しました。本評価では、以下の二つの観点から重要性を検討しています。

  • インパクト・マテリアリティ:当社グループの事業活動が環境および社会に与える実際および潜在的な影響
  • 財務マテリアリティ:サステナビリティに関連し、当社グループの財務業績および企業価値に影響を与える可能性のあるリスクおよび機会

また、グループ会社においてマテリアリティ評価を実施している場合には、その結果を統合し、DICグループ全体レベルのダブル・マテリアリティ評価(DMA)として整理しました。グループ全体レベルのDMAは、2025年5月にDICサステナビリティ委員会によるレビューを経て正式に承認されています。

DMAプロセスは、CSRD担当チームが主導し、各分野に精通した担当者で構成されるCSRD作業チームと連携して実施しました。これらのチームには、DIC(本社)およびSun Chemical双方の財務、法務、人事、レスポンシブル・ケア部門、EHS部門、購買、生産企画、オペレーション、事業部門、サステナビリティ部門の代表者が参画しました。

方法論

潜在的IROトピックの特定

最初に、ESRS 1 AR16に記載されているサステナビリティ課題に基づき、潜在的なIROトピックの範囲を特定しました。これにより、DICグループの上流、事業運営、下流活動を含むバリューチェーン全体に関する環境・社会・ガバナンス(ESG)課題の包括的リストを作成しました。

優先順位付けとマテリアリティ

DICグループは、特定したトピックの重要性を評価するため、体系的な評価プロセスを実施しました。

評価は、CSRD担当チームが主導する部門横断型の討議形式で実施されました。関連する事業部門およびコーポレート機能の代表者が参加し、ESRS基準の解釈を統一し、定義されたスコアリング水準およびマテリアリティ判定基準値を一貫して適用できるよう検証・議論を行いました。また、この評価プロセスには、財務リスクに関する考慮事項、規制動向、および業界関連フレームワークを組み込みました。さらに、サプライヤー、顧客、投資家、経営陣、および従業員を対象としたアンケートや対象別質問票による意見収集をもとに、ステークホルダーの視点も取り入れました。

DICグループは、ESRS要件に従い、以下のとおり評価を実施しました。

インパクト・マテリアリティは、定義された重大性基準(規模、範囲、是正不能な影響〔該当する場合〕)に加え、潜在的な影響の発生可能性も考慮して評価しました。

財務マテリアリティは、影響が発生する可能性と潜在的財務影響の大きさを、定義された時間軸:短期(1年未満)、中期(1〜5年)、長期(6〜30年)ごとに評価しました。

DICグループは、初回のグループレベル評価において、ESRSで定義された基準を適用し、導入初期段階に適したスコアリング方式を用いました。

また、定義されたESRSマテリアリティ判定基準値を超える影響・リスク・機会を重要(マテリアル)として分類しました。

ガバナンス、戦略およびリスクマネジメントへの統合

評価結果は文書化した上でグループレベルで集約し、CSRD担当チームおよび関連する機能部門の代表者がレビューを実施しました。これにより、エンタープライズ・リスクの観点および投資における優先事項との整合性を確認しました。必要に応じて、判定基準値の適用をグループ全体で一貫させ、事業部門間の比較可能性を確保するため、スコアリングの調整を行いました。

特定されたIROトピックは、サステナビリティ戦略、目標設定、およびサステナビリティ開示の範囲・構成の策定に活用するため、当社グループのマネジメントフレームワークに組み込んでいます。

2026年報告年は、グループ全体におけるダブル・マテリアリティ評価(DMA)フレームワーク導入の初期段階に位置付けられます。今後の評価サイクルにおいては、方法論の高度化、文書化の充実、およびグループ全体での整合性の強化を進め、複数年にわたる包括的な見直しを計画しています。

重要なIROトピックの概要

本評価を通じて、DICグループは以下の観点に基づき重要なIROトピックを特定しました。

  • 重大な環境または社会への影響
  • 規制動向、市場環境、または事業運営に関連して生じ得る財務リスク
  • イノベーション、製品開発、または市場ポジショニングに関連する投資の機会
  • 社会への影響および財務的観点の双方に関する事項

特定した重要なIROトピックおよびその分類の概要は、下記に示しています。

環境の持続可能性※ 従業員の能力発揮と成長 責任ある企業行動
気候変動対策 循環性の推進 従業員の能力開発 ダイバーシティ&
インクルージョンの推進
企業文化の強化 持続可能なサプライチェーンの構築 製品安全と情報の信頼性を通じた消費者の信頼確保

※ 生物多様性は、Sun Chemicalグループがステークホルダーにより重要なテーマとして特定されています。

IRO-2 サステナビリティ・ステートメントに含まれる重要な影響・リスク・機会、および開示要件

ダブル・マテリアリティ評価の結果

DICグループは、IRO-1に記載したダブル・マテリアリティ評価に基づき、サステナビリティレポートの基礎となる重要なサステナビリティに関する影響・リスク・機会(IROs)を特定しました。

本評価は、ESRS 1 第3章の要件に準拠し、以下の二つの観点から重要性を検討しています。

  • インパクト・マテリアリティ:当社グループの事業活動が環境および社会に与える実際および潜在的な影響
  • 財務マテリアリティ:サステナビリティに関連し、当社グループの財務業績、キャッシュ・フロー、資金調達能力および企業価値に影響を与える可能性のあるリスクおよび機会

また、本評価の対象範囲には、DICグループの自社事業活動に加え、上流および下流を含むバリューチェーン全体の活動を含めています。一方で、ESG事項に直接関連しない当社グループ固有の経営課題については、本評価の対象外としています。

重要ESGトピックの特定

本評価の結果、DICグループは、重要なESGトピックを以下の観点に基づき体系的に整理し、構造化されたマテリアリティフレームワークとして確立しました。

  • 重大な環境および社会への影響
  • 規制動向、市場環境、または事業運営に関連して生じ得る財務リスク
  • イノベーション、製品開発、または市場ポジショニングに関連する投資の機会
  • インパクト・マテリアリティおよび財務的観点の双方に関する事項

特定したIROトピックおよびその分類の概要は、マテリアリティ・マトリクスおよび関連する表に示しています。

環境の持続可能性※ 従業員の能力発揮と成長 責任ある企業行動
気候変動対策 循環性の推進 従業員の能⼒開発 ダイバーシティ&インクルージョンの推進 企業文化の強化 持続可能なサプライチェーンの構築 製品安全と情報の信頼性を通じた消費者の信頼確保
気候変動の緩和   製品やサービスに関連する資源の流出 雇⽤の確保  多様性  企業⽂化  児童労働   (質の⾼い)
情報へのアクセス
 気候変動への適応  資源の利⽤を含む資源の流⼊  労働時間  男⼥平等と同⼀価値労働同⼀賃⾦   強制労働  ⾝の安全 
 エネルギー    適正な賃⾦ 研修およびスキル開発  ⽀払慣⾏を含むサプライヤーとの関係管理  児童の保護 
  社会的対話   障がい者の雇⽤とインクルージョン    
 健康と安全  
 ワークライフバランス

※ 生物多様性は、Sun Chemicalグループがステークホルダーにより重要なテーマとして特定されています。

サステナビリティ開示への適用

DICグループは、DMAの結果を踏まえ、サステナビリティレポートを以下の基準に従い作成しています。

  • ESRS 2(一般開示事項)
  • DMAにより重要と判断されたESRSトピック別基準

ESRS 2に基づく一般開示事項については、サステナビリティレポートのガバナンスおよび戦略の各セクションにおいて開示しています。また、環境・社会・ガバナンスに関する開示事項については、それぞれ該当するESRSトピック別基準のセクションにおいて記載しています。

なお、DMAの結果、重要性が認められなかったトピックに関連する開示要件については、ESRS 1の規定に従い、サステナビリティレポートには含めていません。

さらに、サステナビリティレポートでは、該当する開示要件への対応箇所およびページ番号を明示し、参照可能性を確保しています。

DMAフレームワークの継続的な強化

2026報告年は、グループ全体におけるダブル・マテリアリティ評価(DMA)フレームワーク導入の初年に該当します。DICグループは、サステナビリティ報告実務の進展を踏まえ、方法論の高度化、文書化の充実、およびグループ全体での整合性の強化を段階的に推進します。また、DMAフレームワークについては、数年単位でより包括的な見直しを実施する計画です。