デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
2022 年 主な取り組みの目標
デジタルトランスフォーメーションの推進
2022年度 目標 |
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基本方針
DICグループは、デジタル技術とデータの活用による新たな付加価値の提供と企業体質の強化を目指してDXを推進していきます。
マーケット※、生産・技術、SCMの3領域において、長期経営計画「DIC Vision 2030」で描く成長戦略を加速するための施策を遂行していきます。
また、DXの推進のために必要なインフラとして、次世代デジタル統合プラットフォームの実現や人材の確保・育成にも取り組みます。
- マーケット:営業およびマーケティング機能を指す
推進体制
2022年度にIT戦略部門を設立しました。
傘下に情報システム部とDX 推進部を置き、IT・DXの垣根なく、グローバルベースで短期・中長期におけるデータとデジタル技術を活用したプロセス最適化・働き方改革・ビジネスモデル革新の実現を推進・支援していきます。
また、今後は各事業部門/ 機能組織が自ら進めるDX施策の増加が見込まれることから、全社最適視点で推進できるよう、2022年度設立のWSR2020委員会にてDX施策のトレース、実行支援および実行後のモニタリングを実施していきます。

マーケット
DXにより、高度な顧客体験の創出を通じたDICブランド力の向上と、ビジネスモデル変革の実現を目指しています。
テレワークの普及や業務のデジタル化が加速する中、ウェブを活用した調査やコミュニケーションが拡大しています。DICグループは、デジタル手段を顧客との重要なチャネルと位置づけ、2021年度はDICウェブサイトの製品コンテンツの大幅な拡充を順次行った他、特定の事業領域ごとに顧客の課題解決視点のオンライン展示会を開催しました。2022年度も引き続きDICウェブサイトの製品コンテンツ拡充を加速する他、新たな事業領域でのオンライン展示会開催や、ウェブセミナーの実施など、アプローチをさらに拡充・高度化していきます。
また、ビジネスモデル変革につきましては、事業部門とIT戦略部門の連携を一層強め、各種検討を開始しています。
生産・技術
生産では、様々なデジタル技術を生産現場に広く展開することで、業務負荷を軽減しかつ安全・安定操業を行うスマートな工場の実現を目指しています。2021年度は生産現場における技術伝承を目的としたAIシステム「Prism」を開発し運用を開始するとともに、樹脂製品の製造プロセス全体を自動化するデジタルツイン技術の実用化への取り組みを開始しました。
技術では、AI・MI※を駆使した計算科学へのウェイトシフトを進めることで、「DIC Vision 2030」で掲げる事業ポートフォリオ変革に資する新技術・新製品の創出を加速していきます。2021年に設立したAI専門組織データサイエンスセンター(DSC)を通じて、新製品の開発期間の半減と重要開発テーマ数の倍増を目指しています。
- MI :“Material Informatics(マテリアルインフォマティクス)”の略で、統計分析などを活用したインフォマティクス(情報学)の手法により大量のデータから新素材を探索する取り組み。

SCM
DICグループ全体でサプライチェーン上のモノと情報の流れを可視化するとともに、業務プロセス・KPIを標準化・統合し、グローバルで業務の効率化とマネジメントの高度化を目指すサプライチェーン改革を進めています。2022年度より段階的に導入を予定するデジタル技術を活用した販売・生産間のリアルタイムの計画情報連携や統計的需要予測の提供などで、その実現に貢献します。
基幹業務システム
DICグループでは2024年の基幹業務システム更新を予定しています。これを機に、外部環境変化/事業構造変革/デジタル技術の進展に対応し、10 年後も進化を続けられるグローバルでのデジタル基盤とその運営体制の構築を行います。その一環として、DXへの活用を前提に外部との柔軟かつ迅速なシステム連携および様々な視点からのデータ分析を可能とする、次世代デジタル統合プラットフォームを確立していきます。
人材確保・育成
DX推進のための人材育成に力を入れています。2020年度に社内研修制度を整備し データサイエンティスト データ利活用人材の育成を行ってきました。
これらに加えて、2022年度より、各事業/機能部門からの選抜人材(DXリーダー)に対し、「デジタル技術の活用により事業・業務改革をリードするための教育」を開始します。
さらに、アジャイル開発への対応など社内人材では補いきれない領域を中心に、社外人材の採用を積極的に進めていきます。
TOPICS
デジタルマーケティングの推進
SalesforceやMA※を導入して3年、2021年度からコンテンツ作成支援のワークショップも始めたことで、社内浸透が加速しています。ワークショップでは、クライアントとその先の顧客に対して「DICが提供可能なソリューションは何か?」から考え、従来の製品起点プラス顧客価値視点でウェブサイトを作成しています。そのページにデジタル手段を用いて、新規の引き合い獲得活動を開始しました。参加部署は、通常の営業活動ではつながらない顧客と次々に接点ができ成果が出始めたことで手応えを実感しています。
デジタルのメリットは、活動の結果を数字でタイムリーに把握できることです。可視化によって、事業部門の担当者は数字を読み解きながら、「次は具体的に何ができるのか?」や、行った施策に対して「どうフォローアップするのか?」などを自発的に考え始めるようになりました。
マーケティングを起点とした考え方を社内に広く展開することで、様々な製品群の価値訴求の最大化を行っていきます。
- MA:“Marketing Automation(マーケティングオートメーション)”の略で、新規顧客の獲得や見込み顧客の育成なども含めたマーケティング施策をサポートするためのツールやソフトウェア。

コンテンツ作成支援ワークショップの開催風景