DX推進への取り組み

ビジネスモデルと業務プロセスの変革ドライバー

主な取り組みの目標と実績

デジタルトランスフォーメーションの推進

2022年度 目標 スピードとリスクマネジメントを両立した推進支援体制の確立
2022年度 実績 会社としての重要なDX案件(デジタルマーケティングとSCM標準モデル構築など)については、専任体制を構築し、事業部門・管理部門・工場と強固に連携しながらプロジェクトをリードする体制を確立した
評価 ★★★
2023年度 目標 増加する複数の事業/機能部門を跨ぐDX施策の確実な実現
2022年度 目標 複数の事業/機能部門を跨ぐDX施策の実現
2022年度 実績 推進している重要なDX案件プロジェクトについて、複数部門が関係してくるため、部門横断的な活動のスムーズな推進のための横ぐしを通した調整を行った
評価 ★★
2023年度 目標 ビジネスモデル変革の検討に合わせたデジタル施策の検討
2022年度 目標 ビジネスモデル変革の検討開始
2022年度 実績 事業部門が着手しているビジネスモデル変革に向けた取り組みについて、デジタル技術の有効活用の検討を開始している
評価 ★★★
2023年度 目標 人的リソース・スキル・知見の面でのDX推進体制のさらなる強化
  • 「評価」は、進捗度に関する自己評価によるものです。
    [ 評価マークについて ] ★★★…非常に良好 ★★…順調 ★…要努力

基本方針

DICグループは、デジタル技術とデータの活用による、顧客や取引先などのステークホルダーへの新たな付加価値の提供と、企業体質・競争力の強化を目指してDXを推進していきます。
マーケット、生産・技術、SCMの3領域において、長期経営計画「DIC Vision 2030」で描く成長戦略を加速するための施策を遂行していきます。
また、DXの推進のために必要なインフラとして、次世代デジタル統合プラットフォームの実現や人材の確保・育成にも取り組みます。

  • マーケット:営業およびマーケティング機能を指す。

推進体制

IT戦略部門の情報システム部とDX推進部が、IT・DXの垣根なく、短期・中長期におけるデジタル技術とデータを活用したプロセス最適化・働き方改革・ビジネスモデル革新の実現を推進・支援しています。
また、今後は各事業部門/機能組織が自ら進めるDX施策の増加が見込まれることから、全社最適視点で推進できるよう、WSR2020委員会にてDX施策のトレース、実行支援および実行後のモニタリングを実施しています。

DX推進体制図

マーケット

DXにより、高度な顧客体験の創出を通じたDICブランド力の向上と、ビジネスモデル変革の実現を目指しています。
業務のデジタル化が加速しテレワークが日常化する中、デジタル手段を活用した顧客接点がますます拡大しています。顧客視点の提案から新たな商談を生み出すとともに、継続的にご愛顧いただけるよう、顧客体験の向上を図っています。2023年度も引き続き提案活動を拡充し、デジタルマーケティングによる新たな顧客体験を提供していきます。
また、DXによってDICグループ内連携の活性化を実現し、そこからビジネスモデル変革につながる活動を推進していきます。

生産・技術

生産では、様々なデジタル技術を生産現場に広く展開することで、業務負荷を軽減しかつ安全・安定操業を行うスマートな工場の実現を目指しています。2022年度はデジタルツイン技術による樹脂製品の少量多品種生産の最適化に向けて反応シミュレーション技術(AI)を活用した試験機を開発し、その効果検証に取り組みました。また、データ駆動型の現場運営を実現させるため、データ基盤インフラ整備を加速化させるとともに、スマートファクトリーの脅威となるサイバーセキュリティ管理の強化を推進します。
技術では、AI・MIを駆使した計算科学・データ科学へのウェイトシフトを進めることで、「DIC Vision 2030」で掲げる事業ポートフォリオ変革に資する新技術・新製品の創出を加速していきます。2021年に設立したAI専門組織データサイエンスセンター(DSC)を通じて、新製品の開発期間の半減と重要開発テーマ数の倍増を目指しています。

  • MI :“Materials Informatics(マテリアルズ・インフォマティクス)”の略で、統計分析などを活用したインフォマティクス(情報科学)の手法により大量のデータから新素材を探索する取り組み。
デジタルツイン技術活用イメージ・AI/機械学習活用のイメージ

SCM

サプライチェーン上のモノと情報の流れを可視化し、地域/事業/組織を俯瞰してサプライチェーン全体を最適化するサプライチェーン改革を進めています。
日本、中国、アジアパシフィック地域で2022年度より段階的に導入しているデジタル技術を活用した販売・生産間のリアルタイムの計画情報連携や統計的需要予測の提供などで、その実現に貢献します。

基幹業務システム刷新とデジタル統合基盤整備

DICグループでは2024年に基幹業務システムの刷新を予定しています。ここでは、外部環境変化/事業構造変革/デジタル技術の進展に対応し、10年後も進化を続けられるグローバルでのデジタル基盤とその運営体制の構築を行います。デジタル技術とデータの活用、およびグループ内外との柔軟かつ迅速な連携を実現する次世代デジタル統合プラットフォームを確立していきます。

デジタル人材確保・育成

デジタル技術とデータを駆使して業務改革や課題解決および意思決定を行うため経営層から社員に至る土壌づくりに注力しています。
2020年度には社内研修制度を整備しデータサイエンティスト等データ利活用人材の育成を行ってきました。
これらに加えて、2022年度よりビジネス部門におけるデジタル化推進を担う体制およびコミュニティづくりとその人材の層を厚くするための実践的な教育・研修を実施しております。
さらに、アジャイル手法などでの現場での開発やデータ活用を拡大定着させるための社内人材の育成や新卒・キャリア採用を積極的に進めております。

TOPICS

デジタルマーケティング活動

Salesforceの国内導入から4年が経ち、各部署でのデジタルマーケティング活動が定着し始めました。営業起点でのデジタルマーケティング活動にとりかかる段階から、各部署が主体的にその活動を定量的に分析し次のアクションを決定する段階に進んでいます。そして活動の定着化に伴い、各部署での組織体制づくりも進んでいます。
また、昨年と比較してオフラインでの活動が増えたことで、展示会にデジタルマーケティングを取り入れた「ハイブリッド型」の活動も新たに実施されました。例えば、リードの獲得を目的とした展示会出展では、メールマーケティングを展示会のオペレーションに組み込むことで、名刺獲得数の増加・ターゲットとしていた顧客との接点創出に成功しています。
 デジタルマーケティングはパソコンの中で完結する活動ではありません。これまで営業や技術が培ってきた知識や経験がさらなる顧客価値創出につながるよう、全社視点での価値訴求の最大化を行っていきます。

コンテンツ作成支援ワークショップの開催風景

デジタルマーケティングを取り入れた展示会

TOPICS

デジタルマーケティングの推進

SalesforceやMAを導入して3年、2021年度からコンテンツ作成支援のワークショップも始めたことで、社内浸透が加速しています。ワークショップでは、クライアントとその先の顧客に対して「DICが提供可能なソリューションは何か?」から考え、従来の製品起点プラス顧客価値視点でウェブサイトを作成しています。そのページにデジタル手段を用いて、新規の引き合い獲得活動を開始しました。参加部署は、通常の営業活動ではつながらない顧客と次々に接点ができ成果が出始めたことで手応えを実感しています。
デジタルのメリットは、活動の結果を数字でタイムリーに把握できることです。可視化によって、事業部門の担当者は数字を読み解きながら、「次は具体的に何ができるのか?」や、行った施策に対して「どうフォローアップするのか?」などを自発的に考え始めるようになりました。
マーケティングを起点とした考え方を社内に広く展開することで、様々な製品群の価値訴求の最大化を行っていきます。

  • MA:“Marketing Automation(マーケティングオートメーション)”の略で、新規顧客の獲得や見込み顧客の育成なども含めたマーケティング施策をサポートするためのツールやソフトウェア。
コンテンツ作成支援ワークショップの開催風景

コンテンツ作成支援ワークショップの開催風景