リスクマネジメント

リスクマネジメントに関する基本的な考え方

DICグループは、経営環境の変化やリスクの多様化に適切かつ柔軟に対応するとともに、発現したリスクによる損害を速やかに最小限に抑えるため、リスクマネジメント活動を進めます。DICグループでは広範なリスクを①発生防止対策を取り得ない外部環境リスク、②発生防止対策を取り得るコーポレートリスク、③事業の中で認識すべき事業ビジネスリスクに区分し、サステナビリティ委員会の下部組織であるサステナビリティ部会が、リスク対策が適切に運用されるよう管理・監督を行っています。

リスクマネジメントに関する方針および推進体制

DICのリスクマネジメント活動は、2001年にコンプライアンス委員会を発足するとともに通報窓口を設置。2012年5月にリスクマネジメント部会を発足し、以降は重大自然災害発生時の対応や事業部門のBCM(事業継続マネジメント)を中心に、全社的な取り組みを推進。2014年度からリスクマネジメント部会が主体となって、方針やマネジメントシステムを策定し、2015年1月には活動や仕組みを実効的かつ継続的に推進するため、DICグループの「リスクマネジメントに関する方針」を制定しました。
さらに、2018年5月からリスクマネジメント部会の機能をサステナビリティ部会に移行するとともに、BCM・危機管理分科会を設置し、リスクマネジメントと事業継続に関わる推進体制の強化を図りました。

リスクマネジメントに関する方針

  • リスクマネジメントの目的

    DICグループは、経営環境の変化やリスクの多様化に適切かつ柔軟に対応するとともに、発現したリスクによる損害を速やかにかつ最小限に抑えるため、リスクマネジメント活動を進めていきます。

  • リスク及びリスクマネジメントの定義

    DICグループは、リスク及びリスクマネジメントを次のように定義します。

    • リスク:DICグループのサステナビリティを脅かし、事業の目的達成に支障を来たす不確実性の影響すべて
    • リスクマネジメント:DICグループを取り巻くあらゆるリスクをグループ全体の視点で合理的かつ最適な方法により管理することで、企業価値を高めていく活動
  • リスクマネジメントの運用

    • DICグループは、経営に与える影響や発生する可能性等に基づいて、グループを取り巻くあらゆるリスクを総合的に評価して優先順位を決め、計画的、組織的、効率的に対応します。
    • DICグループは、リスクマネジメントシステムを構築し、PDCAのサイクルを適切に回すことにより、その有効性を確保します。
    • リスクマネジメント部会は、DICグループの中でこれらの対応が適切に運用されるよう、個別の事業活動におけるリスクマネジメントとの効果的な役割分担を図るとともに、サステナビリティ委員会に対して定期的に活動内容を報告します。

DIC株式会社

周知と啓発

2016年度よりリスクマネジメント方針やリスクマネジメント活動に関して、社内ポータルサイト掲示板や社内広報誌『DIC Plaza』などで、 DICグループ(国内外グループ会社含む)への啓発を行っています。また、国内事業所長やグループ会社幹部などへの研修や説明機会を通じて、リスクマネジメントの啓発とレベルアップに取り組んでいます。

サステナビリティ部会の様子

サステナビリティ部会の様子

DICグループのリスクマネジメント全体像

リスクの定義と対応部門

リスクマネジメントを推進するにあたり、リスクを3つに大別して認識するとともに、リスクごとの担当部門を明確にして対策に取り組んでいます。

リスクマップ

リスクマネジメントシステム

サステナビリティ部会(旧:リスクマネジメント部会)では、方針制定と同時に「DICグループリスクマネジメントシステム」を作成しました。このシステムは、経営幹部向けリスクアンケートの集計結果に基づき重大リスクを抽出し、計画の策定- 実施- 評価- 改善- 経営者によるレビューに至るフェーズのPDCAを回すことで、継続的にリスク低減に取り組むものです。
同システムに基づき、2014~2016年を第1期としてグループ全体のリスクマネジメント活動をスタートし、以降は年次で取り組んでいます。活動推進にあたり、部会を構成する本社の管理部門等(横串の機能体組織)を中心に、重大リスクごとの担当部署(リスクオーナー)を設定し、リスク関連部署とも連携し対策に取り組んでいます。
第1期では、大地震など自然災害リスクや為替・金利変動リスクなど16の重要リスク対策に取り組み、さらに事業機会や企業成長の阻害要因となる7つの重要リスクを抽出し、対策の強化を図りました。
今後も基本方針やリスクマネジメントシステムのさらなる周知・浸透を図り、例えばBCMにおいてはDIC本社による主導のもと「グローバルBCPガイドライン」を策定し、世界各国・地域の実情を勘案しながら最適化しつつグローバル展開を進めていきます。

リスクマネジメントシステムの流れ

2018年度のリスク対策の推進

2018年度は前年度より継続の3テーマに、新たに「サプライチェーン・マネジメントの不足」、「社員の健康管理問題」の2テーマを追加し、取り組み、5テーマについて完了しました。

2018年度の重要リスクと対策概要

01化学物質の管理不足/規制強化への対応不足

好ましくない事象例

生産停止・輸出停止・製品回収・損害賠償法令違反を原因とするマスコミ報道等による社会的制裁・ブランドイメージ低下従業員への健康被害・訴訟

主な対策内容
  • CIRIUS 内情報管理方法の見直し
  • グローバル化学物質情報管理改革プロジェクト
  • 全原料の最新情報の収集
  • 化学物質のリスクアセスメント実施

02グローバルな最適生産体制整備の不足/遅れ

好ましくない事象例

コスト競争力の低下による国内外市場での大幅な販売減、利益減グローバル生産拠点が見出せず事業展開の限界拠点災害による供給不安

主な対策内容
  • ポリマ・インキ部門の最適生産/ 安全操業支援
  • 製品本部に中期経営計画策定時に生産体制の検討を依頼し、ヒアリング実施
  • 各製品本部のグローバル生産体制の全体俯瞰

03子会社ガバナンス

好ましくない事象例

子会社代表者に不適格者選任や取締役会による監視が不十分による不祥事、不適切対応の放置、企業のレピュテーションの低下

主な対策内容
  • グループ・ガバナンス体制の可視化
  • 子会社経営者の適格性の確保
  • 子会社取締役会の適正性の確保
  • 子会社現場における合理的な業務水準の確保

04サプライチェーンマネジメントの不足

好ましくない事象例

原料サプライヤーにおける事故・トラブルや、環境規制等による生産減・事業撤退等により、当社原料の供給が停止し、当社の重要製品生産活動に影響を及ぼすことで、事業継続・当社収益に多大な悪影響を及ぼす

主な対策内容
  • 重要原料でリスク度が高い原料の抽出
    所在地含めたデータ整備、閲覧可能な仕組み構築
  • (A) 代替品・代替サプライヤーの調査・開拓、順次品質評価を実施
    (B) 高リスク原料の在庫積み増しの順次実施

05社員の健康管理問題(含むメンタルヘルス)

好ましくない事象例

①疾病による長期休暇
②疾病による能力低下とそれに伴う処遇とのアンマッチ
③長期休暇による業務の質・量・効率の低下
④欠員による他課員への負担増加と疲弊

主な対策内容
  • 長期休職者のリワークプログラムの策定と実施
  • 健診データの充実と情報共有による個別リスクの事前把握
  • 定期健康診断における健康リスク項目の洗い出しと取り組み強化
  • 統括産業医による全体管理
  • メンタル不調発症の原因究明、分析により、対策を立て実行する

子会社ガバナンスの体制強化

DICグループは、64の国と地域で174のグループ会社が事業展開し、従業員の3分の2が海外拠点で従事。売上高の60%が日本以外の国・地域で計上されています。文化・制度・商習慣が異なる中で、各子会社が共通の価値観やビジョンを共有し、各地域の法規制やルールを遵守しつつ経営資源を最大限に活用することでDICグループは持続的に成長できます。一方で、拠点のどこかで不 祥事や不測の事態が発生すると、ブランドイメージは損なわれ、グループ全体がダメージを被ります。DICはこれをリスクマネジメントにおける喫緊かつ継続的な重要課題と位置づけ、リスクを回避するためのサポート体制の強化を推進しています。

子会社の経営を支える仕組みづくり

DICグループは、これまでも内部統制およびガバナンス体制の強化に努めてきました。さらにリスクマネジメントの視点でグローバル経営の強化・効率化を図るには「子会社の経営者の選定、監督の仕組み、経営者を支える子会社の業務体制、本社からの支援体制」の強化が重要と考え、2016年度より以下4テーマの整備に取り組んでいます。

  • グループガバナンス体制の可視化:DICグループは、製品軸と地域軸によるマトリクス組織のため、現地の子会社がビジネス上の判断基準をどちらに置くべきか、業務分掌や権限ルールなどを整理・明確化。
  • 子会社取締役会の適格性の確保:子会社の経営者を監視する責任を持つ子会社取締役会の構成メンバーの選任要件や取締役会の運営ガイドラインを設定。
  • 子会社経営者の適格性の確保:リーダーシップ、マネジメント能力、コンプライアンス意識の高さなどの適格性を満たした経営者が選任されるよう子会社社長の選任要件を設定。
  • 子会社の現場が合理的な業務水準を確保するための施策:本社の目標値に沿った子会社評価のためのKPIの設定、本社の各機能部署が子会社の業務を支援・管理する水準の設定、子会社に期待する業務水準の設定。

上記の取り組みは、2017年までに日本国内の子会社の管理基準の設定を完了し、テーマごとの進捗状況を点検しています。2018年は、海外子会社へも展開を開始し、定着・浸透を図りながら子会社ガバナンスに関する様々なリスクの低減に取り組んでいます。

新たな法規制への対応

子会社に関わる課題の一つに移転価格税制があります。グループ内取引における移転価格については、所在国と相手国間での二重課税のリスクがあります。また、BEPSプロジェクトにより、2018年度から当社拠点が所在するすべての国と地域で、現地の税務当局に対して一貫した説明が求められます。これらに対応するため、地域統括会社(DIC China、DIC アジアパシフィック、サンケミカル社)の関連組織とともに取引条件の確認・整理を行っています。

  • BEPS:Base Erosion and Profit Shifting(税源浸食と利益移転)の略。課税所得を人為的に減少させることと、経済活動の実態のない国(主として低税率国)に利益を移転させることを指す。「BEPSプロジェクト」は、これに対処しG20加盟国の要請により策定された税制の抜け穴を塞ぐ取り組み。