BCM・危機管理

主な取り組みの目標と実績

DICグループの事業継続性の確保

2020年度 目標
  • 事業継続計画(BCP)の定期更新継続、製品本部・事業所連携の強化・充実
  • グローバル危機管理体制の整備とBCP活動展開の推進
2020年度 実績
  • 事業継続計画(BCP)の年次定期更新を実施
  • 本社対策本部、製品本部、事業所の連携強化のための事故・災害情報共有システムの導入を決定。本社対策本部訓練にて本システムのデモ運用による、事業所との初動連携訓練を行った
  • 海外駐在員を対象とするリスク別手引き全8種の整備を完了。(新型コロナウイルス対応を踏まえた感染症対策手引きの見直しを含む)
評価 ★★
2021年度 目標
  • 事業継続計画(BCP)の定期更新、製品本部・事業所連携の強化
  • グローバル危機管理体制の整備強化
  • 「評価」は、進捗度に関する自己評価によるものです。
    [評価マークについて] ★★★…非常に良好 ★★…順調 ★…要努力

BCM・危機管理の基本的な考え方

DIC グループでは、大規模地震・台風・水害等の自然災害、感染症によるパンデミック、工場における爆発・火災・漏えい等の事故等、事業継続に支障を来たすおそれのある、あらゆるリスクをBCMの想定対象とし、これらが発生する可能性、経営に与える影響度などから総合的に評価し、重要度の高いものからリスク対策に取り組んでいます。
また、本社対策本部・事業対策本部・現地対策本部の3つの対策本部構成による対策本部体制の整備や、リスク別の全社マニュアルの設定、主要製品のBCP(事業継続計画)策定など、BCM・危機管理対応策の策定や改善、情報の更新等にも、継続的に取り組んでいます。

BCPの推進体制

DICグループでは、重大災害等発生時の危機管理規則や個別のリスク別対策マニュアルを全社マニュアルとして整備した上で、製品本部ごとにBCPを策定しています。
また、大規模な自然災害に遭遇した場合でもメーカーの供給責任を果たすという観点を重視しながらBCPの策定に取り組んでおり、具体的な取り組みにおいては、社会的責任、顧客要請の2つの視点から重要性の高い製品を検討し、BCPに反映しています。
さらに、策定されたBCPの運用を想定した製品本部と生産工場によるBCP連携訓練を行い、マニュアルとしての有効性を確認するとともに、課題抽出を通じ、継続的な改善につなげています。

2020年度のBCM活動

2020年度は幸い自然災害による被害が少ない年となった一方で、新型コロナウイルスの感染拡大への対応が必要となり、国内外事業所にマスクや非接触型体温計等の送付や、有効な感染防止対策の実施に努めました。また、既存のパンデミック用BCPで想定した感染症は新型インフルエンザでしたが、今回の新型コロナウイルスとの対応にはそぐわない内容が発生したことから、パンデミックマニュアルについては、特定の感染症対応に限定しすぎずに作成する必要があるとの気づきを得ました。今後は、感染症共通の汎用・普遍的な対応を中心にパンデミック用BCPを改定していきます。
事故・災害に適切に対応するためには、BCMを理解し、策定したBCPを適切に運用することが必要ですが、それには教育・訓練が欠かせないことから、DICではグループ内のBCPの運用に関わる関係者への教育・啓発に注力しております。具体的には、例年、専門家の監修・指導による、経営層を対象とした本社対策本部メンバーへの演習・図上訓練や、製品本部と工場によるBCP連携訓練を実施しております。
2021年には、事故・災害発生時に、本社対策本部と事業所、製品本部間で情報共有するための災害等専用情報管理ポータルシステム「DIC BCPortal」を本格導入する予定です。2020年度の本社対策本部訓練では、この「DIC BCPortal」の試用として、実際に東京工場と通信を繋ぎ、災害発生時の情報共有を想定したシミュレーション訓練を実施しました。今後は「DIC BCPortal」とweb会議システムを併用することにより、対策本部と複数拠点とのオンラインによるスムーズな情報共有を目指していきます。

BCPの形骸化防止と実効性の向上への取り組

DICグループでは、策定されたBCPの計画内容が最新の状態であることを確認するため、毎年、役員をメンバーとするBCP更新ヒアリングを開催しており、BCPの形骸化を防止しています。本年はオンラインでヒアリングを実施しました。
また、災害などで工場が被災した場合、限られたリソースを駆使して迅速に拠点の事業を復旧させるには、平時より各部門・部署が共通の危機意識を持ち、連携して対応力を高めることが重要であることから、前出のとおり、毎年「製品本部・工場BCP連携訓練」を実施しています。この訓練では、策定された製品本部BCPの有効性や機能を災害シミュレーションに基づき確認するとともに、災害発生時の初動、拠点復旧、代替戦略、サプライヤー管理、地域対応などの想定を通じ、災害等に対し実効性の高い対処方法へのブラッシュアップや、新たに発見された諸課題の改善にも注力しています。この連携訓練は、2020年度はコロナ対応のため休止しましたが、今後も継続的に開催していく予定です。

緊急対応訓練の実施

DICグループでは、毎年、前出の本社対策本部訓練、従業員の安否確認通報訓練、事業所間の緊急無線通報訓練、事業所別の総合防災訓練などを実施し、いついかなる時に災害が発生しても被害を最小限にとどめ、速やかな復旧により事業を円滑に継続できる体制の整備と維持に努めています。なお、2020年度の本社対策本部は、前述のとおり、災害発生時に多くの役員、社員がテレワーク中との想定のもと、本社在籍の全執行役員がオンライン参加にて実施し、テレワークの中でも対策本部を機能させる訓練も含めたものとなりました。

本社総合防災訓練

本社総合防災訓練

対策本部図上訓練

対策本部図上訓練

本社BCP講習

本社BCP講習

危機管理

海外安全対策の強化

DICグループのグローバルな事業展開により、海外拠点の新規設置や海外駐在、出張の機会が増大している中で、海外でのテロの多発、暴動、感染症発生などのリスクが高まっていることから、DICグループ社員の危険回避のため、「自然災害」「感染症」「自動車事故」等の「項目別の手引き」を整備し、安全対策を強化しています。関係者の意識啓発と本社としての緊急事態時の対応力強化を目指し、海外緊急連絡網整備、海外向けリスク情報提供、『安全ハンドブック』の配布、海外赴任者・出張者安全研修会の開催、危機管理マニュアルの整備、想定訓練の実施などを行っています。

海外赴任者安全研修会

海外赴任者安全研修会

海外出張者安全研修会

海外出張者安全研修会

COMMENT

真に機能する初動対応・事業継続対応体制の実現に向けて

株式会社レスキューナウ アドバイザー袴田一樹様

DIC様には、大地震を想定した初動対応・BCP訓練を中心に、2019年7月より支援をさせていただいております。DIC様の製品群には、社会に広く流通し無くてはならない存在と言えるものが数多くございます。大地震等の災害が発生した際であっても、DIC様が安定した供給を継続できるよう、災害対応体制をさらに強化していくことが重要だと感じております。
2019年は、四日市工場・堺工場・東京工場にて、製品本部・事業所間BCP連携訓練を実施いたしました。初動対応マニュアルの実効性の精査・改善点の整理を目的に、訓練参加者はリアリティを追求した想定被害を使用し、模擬を進めるとともに、工場と製品本部の情報共有および連携についてルールの確認・課題の抽出を実施しております。
本社対策本部訓練では、南海トラフ地震を想定し、工場と製品本部からの報告の流れを確認、要対応事項への指示等も演習に取り入れました。
これらの取り組みにより、DIC様の初動およびBCPに関連する情報が、より的確かつ速やかに経営陣に共有される体制が構築されます。今後ともDIC様のBCPへのさらなる取り組みにご期待いただきたいと思います。

株式会社レスキューナウ アドバイザー袴田一樹様

現実に役立つ実効性の高い「本物のBCP」を目指して

リーガル・リスクマネジメント研究機構 代表理事 森 健 様

DIC様には、BCPの浸透・ブラッシュアップのお手伝いを中心に、2016年10月よりサポートさせていただいております。DIC様のBCPやリスクマネジメントに関する取り組みの特徴は、他企業の一般的取り組みと異なり、「本質を追究」する点にあると日々感じています。2017年には国内全拠点において「BCP出前講座」を開催し、BCP浸透のために現地現物を見ながらBCPの基本を確認しつつ、各拠点の取り組み状況を拝見し、どのような点に課題があるかを明確にしました。さらに2018年は、拠点(特に工場)と製品本部の合同訓練を企画し、拠点と事業部門の連携体制をさらに強化すべく、BCPの取り組みを続けていく予定です。これらの取り組みは、「BCP(事業継続計画)」を形骸化させずに、実効性の高く、現実に役立つ「本物のBCP」を目指す取り組みとなっています。是非今後もDICのBCP・リスクマネジメントの取り組みにご期待いただきたいと思います。

リーガル・リスクマネジメント研究機構 代表理事 森 健 様

グローバルにサステナブルな海外安全対策を

リロ・パナソニックエクセルインターナショナル株式会社 参与 辻 廣道 様

グローバル化に突き進む企業社会において、リスクマネジメントは世界中のステークホルダーの期待に応える必須要件であります。弊社は、2016年度より海外安全対策、医療対策をご支援しておりますが、DIC様には精力的に「しくみづくり」にご尽力いただき、コーポレートガバナンスや安全配慮義務の要件を見据え、強固であらゆる課題にしっかり対応できる体系の構築にお取り組みいただきました。さらに、2018年度は各種のハンドブックを作成し、4ヶ所の事業場にて約760名のご参加を得て研修会を開催いたしました。
DIC様の活動の特徴は、このように「しくみづくり」にとどまらず、現場で危機管理意識を醸成する点に注力されていることにあり、この「しくみを活かす」活動が、サステナブルな海外安全対策に直結していると考えております。
2019年度は、「しくみの強化」に取り組むとともに、世界各地の現場のニーズに対応した「しくみの実践」を通じて、より一層グローバルな活動をご支援したく存じております。

リロ・パナソニックエクセルインターナショナル株式会社 参与 辻 廣道 様

『非常時対応ポケットブック』の配布

DIC 本社ビルには関係グループ会社を含め約1,400名の社員が勤務していることから、非常時にも適切に行動(自助・共助)できるようポケットブックを作成し、社員と家族に配布しています。いざという時にとるべき行動、非常時の本社体制、フロアや部署の対応について明記しています。また、家族との連絡手段を取り決め、あらかじめ記入しておき、各自携帯できるようにコンパクトサイズにしています。

非常時対応ポケットブック

非常時対応ポケットブック

大規模災害時における地域対応

日本は世界有数の地震国で、過去に幾度となく巨大地震に見舞われ甚大な被害が発生しています。そのため地震発生時の防災・減災への取り組みが社会の重要課題となっています。
DIC本社ビルが立地する東京都中央区日本橋は、大型の商業施設やオフィスビルが密集するエリアのため、毎年恒例でDICビル周辺の空地において、地域ぐるみで防災訓練を実施しています。
最新の免震設計が施されたDIC本社ビルは、東京都中央区の帰宅困難者一時滞在施設に指定されており、大震災が発生した際には、地域と連携した帰宅困難者対応を行うべく、中央区帰宅困難者支援施設運営協議会会員として日頃より活動しております。災害発生時の混乱した中においても、避難情報等について、地域と相互に情報共有を行えるように実施される情報連携訓練にも参加しています。
DICでは、今後も地域ぐるみの共助体制の強化に努め、災害に強い街づくりに貢献していきます。

応急救護訓練(AED、止血法)

応急救護訓練(AED、止血法)

消火栓による消火訓練

消火栓による消火訓練

ディーアイシービル帰宅困難者対応展示

ディーアイシービル帰宅困難者対応展示

第1回地域防災カンファレンスでの図上訓練

第1回地域防災カンファレンスでの図上訓練

パンデミックへの対応

DICはパンデミックに備え、平時より製品本部ごとにパンデミック用のBCPを備えております。社員に感染者が複数名発生してしまう状況に備え、工場の現場ごとに対応計画を持っております。パンデミックへの対応は、前述のとおり、感染症のタイプによって、感染拡大の様子やその対応も異なるため、パンデミック用BCPについては、異なるタイプの感染症にも対応可能な、汎用・普遍性のある対策を中心としたものに改定していく予定です。
また、2020年の新型コロナウイルスの対応においては社員の感染予防対策として、全世界への出張禁止を実施したことを始めとして、本来はテレワークの対象ではない派遣社員を含めたテレワークと時差出勤の実施、本人や同居家族に体調不良者が発生した場合の自宅待機の徹底、会議やイベントの自粛等、を実施しております。
DICグループでは、従来から大規模災害発生時におけるサプライチェーンの分断リスクや素材産業における影響の重要性を認識しており、サプライチェーンを踏まえたBCPの整備にも取り組んでいます。