BCM・危機管理

主な取り組みの目標と実績

DICグループの事業継続性の確保

2018年度 目標
  • 製品本部BCPの定期更新と製品本部・拠点間のBCP連携の強化
  • グループの中枢機能であるDIC本社の危機管理体制強化と海外安全対策の推進
2018年度 実績
  • 日本各地で続発した自然災害に的確に対応
  • 製品本部・拠点間のBCP連携訓練を実施
  • 海外赴任者・出張者を対象とするセミナーを継続的に実施
評価 ★★★
2019年度 目標
  • グローバル危機管理体制の整備強化
    グローバル:海外安全対策の整備
    グローバルリスク情報の収集と対応ノウハウの蓄積
    日本国内:危機発生時の対策本部対応力強化と、危機対応力の強化
  • 事業継続計画(BCP)の定期更新、製品本部・事業所連携の強化
    グローバル/日本国内:BCPの年次更新と情報共有
    製品本部・拠点連携を強化する各種啓発活動の推進
  • リスクマネジメントに関する方針とリスクマネジメントシステムの周知と展開
    グローバル/日本国内:リスクマネジメントに関する方針、システムの周知を図る
    リスクマネジメントシステム改善と重大リスクの抽出・対策の継続を支援
    グループ各社のリスクマネジメント推進を支援
  • 「評価」は、進捗度に関する自己評価によるものです。
    [評価マークについて] ★★★…非常に良好 ★★…順調 ★…要努力

BCM・危機管理の基本的な考え方

DICグループでは、東日本大震災を教訓に、大規模地震・水害等の自然災害、インフルエンザ等のパンデミック、工場における爆発・火災・漏えい等の事故、重大な企業不祥事等、事業継続に支障を来たすおそれのある、あらゆるリスクをBCMの想定対象とし、これらが発生する可能性、経営に与える影響度などから総合的に評価し、重要度の高いものからリスク対策に取り組んでいます。
火山や地震の活動期に入ったとされる日本においては、自然災害リスクに対応した、本社機能の維持と対策本部体制の整備、被災拠点支援策、主要製品のBCP(事業継続計画)策定・更新など、継続的にリスク対策を図っています。

推進体制

DICグループでは、重大災害発生時の危機管理規則や対策マニュアルを整備した上で、製品本部ごとにBCPを策定しています。また、BCPの形骸化を防ぐため毎年の教育活動や緊急対応訓練などを通して、課題抽出や継続的な改善を行っています。
現在の活動は、社会的責任や顧客要請の観点から2015年から強化を図ったもので、2016年までに全製品本部でBCPの見直しを完了し、年次更新を継続中です。

2018年度のBCM活動

2018年は、6月の大阪北部地震、7月の西日本豪雨、9月の北海道胆振東部地震および台風21号など、日本列島は大きな自然災害が続発しました。DICグループの各拠点・事業所は、これらの災害に際し、BCPに基づき、従業員・家族などの安否確認、被害状況の確認などを行い、DIC本社との情報共有を図りました。幸い、いずれの災害でも人的被害はなく、施設の被災も比較的軽微だったため、生産や製品供給への影響はありませんでした。また、製品供給先やサプライヤーにも甚大な被害を受けた企業はありませんでした。
このような状況の中で、DICは前年に引き続き、全製品本部と日本国内のDICグループ主要拠点のBCP関係者への啓発と教育訓練に注力しました。関係者がビジネス上のリスクについて共通に認識し、被災した際に限られたリソースを駆使してサプライチェーンの確保、拠点復旧など、想定される様々な危機への実効性の高い対処方法を考えておくことが重要との考えに基づき、専門家による経営層への講習や図上訓練、製品本部・拠点連携訓練などを実施し、結果を検証するとともに新たな課題の発見や改善策に反映しました。

緊急事態発生時を想定したBCP教育訓練の概要

生産機能の相互補完

DICグループでは、大規模な自然災害に遭遇した場合でもメーカーの供給責任を果たすという観点を重視しながらBCPに取り組んでいます。例えば、液晶材料等を生産する埼玉工場と中国の青島工場(青島DIC精細化学)は、それぞれの地域で想定されるリスクに応じた緊急対応マニュアルを作成しています。現在、リスク発生時に必要に応じて、この2つの工場が相互に生産補完することを想定した液晶事業の統合BCPの策定や、対応シミュレーション会議の開催を進めています。
また、顔料を生産する事業所では、緊急時に備えた対応方法を常時検討していくなどの体制を整えています。

生産機能の相互補完

国内生産拠点で「BCP出前講座」を開催

DICの各製品本部は、想定される自然災害やパンデミック、重大事故などの発生時に、拠点と本社が連携して的確な初動対応を行えるよう2016年度にBCPを見直し、2017年度にその啓発活動の一環として、国内20ヶ所の主要拠点を対象に「BCP出前講座」を実施しました。
DICでは、製品供給が滞ると社会的に多大な影響を及ぼす素材・部材を数多く生産しています。そのため災害などで工場が被災した場合、生産を代替・補完する工場(国内工場、国内外グループ会社、下請会社)、原材料を調達するサプライチェーンの機能確保が重要で、平時から非常事態を想定した体制を整備しておく必要があります。それには製品本部を中心に各部門・部署が共通の危機意識を持ち、担うべき役割や担当者を明確にして連絡網などを整備し、訓練を通じて対応力を継続的に高めることが不可欠です。

2017年度にBCP出前講座を開催した拠点

より実効性の高いBCPの策定に向けて

災害などで工場が被災した場合、迅速に事業を復旧させるためには、平時より各部門・部署が共通の危機意識を持ち対応力を高めることが不可欠となります。2018年度は製品本部スタッフと国内外グループ会社の幹部・リーダーが参加する「BCP講座」を開催、また国内7ヶ所の主要拠点で「製品本部・工場BCP連携訓練」を実施しました。

対策と対応

2018年度は、国内7拠点と7つの製品本部を対象に「製品本部・工場BCP連携訓練」を実施しました。これは製品本部BCPの有効性を確認するとともに、拠点と製品本部で理解 共有を図るものです。連携訓練では、各拠点は防災・減災を目的とする災害想定図上訓練を行い、製品本部では事業継続の観点で図上訓練を行いました。また、この他にもサステナビリティ部会メンバーによる7つの製品本部にBCPの更新内容を確認するなどして、BCPの形骸化を防いでいます。
今後も、このような取り組みを継続的に行い、災害発生時の初動、拠点復旧、代替戦略、サプライヤー管理、地域対応などの対策のレベルアップを図っていきます。

災害想定図上訓練

災害想定図上訓練

2018年度はグループ会社を含む「製品本部・拠点連携訓練」を実施

COMMENT

現実に役立つ実効性の高い「本物のBCP」を目指して

リーガル・リスクマネジメント研究機構 代表理事 森 健 様

DIC様には、BCPの浸透・ブラッシュアップのお手伝いを中心に、2016年10月よりサポートさせていただいております。DIC様のBCPやリスクマネジメントに関する取り組みの特徴は、他企業の一般的取り組みと異なり、「本質を追究」する点にあると日々感じています。2017年には国内全拠点において「BCP出前講座」を開催し、BCP浸透のために現地現物を見ながらBCPの基本を確認しつつ、各拠点の取り組み状況を拝見し、どのような点に課題があるかを明確にしました。さらに2018年は、拠点(特に工場)と製品本部の合同訓練を企画し、拠点と事業部門の連携体制をさらに強化すべく、BCPの取り組みを続けていく予定です。これらの取り組みは、「BCP(事業継続計画)」を形骸化させずに、実効性の高く、現実に役立つ「本物のBCP」を目指す取り組みとなっています。是非今後もDICのBCP・リスクマネジメントの取り組みにご期待いただきたいと思います。

リーガル・リスクマネジメント研究機構 代表理事 森 健 様

緊急対応訓練の実施

DICグループでは、毎年、安否確認訓練・緊急無線通報訓練・総合防災訓練・災害図上演習・BCP 訓練などを実施し、いついかなる時に災害が発生しても被害を最小限にとどめ、速やかな復旧により事業を円滑に継続できる体制の整備と維持に努めています。

本社総合防災訓練

本社総合防災訓練

対策本部図上訓練

対策本部図上訓練

本社BCP講習

本社BCP講習

危機管理

海外安全対策の強化

DICグループのグローバルな事業展開により、海外拠点の新規設置や海外駐在、出張の機会が増大している中で、海外でのテロの多発、暴動、誘拐などリスクが高まっていることから、DICグループ社員の危険回避のための安全対策を強化しています。関係者の意識啓発と本社としての緊急事態時の対応力強化を目指し、海外緊急連絡網整備、海外向けリスク情報提供、『安全ハンドブック』の配布、海外赴任者・出張者安全研修会の開催、危機管理マニュアルの整備、想定訓練の実施などを行っています。

海外赴任者安全研修会

海外赴任者安全研修会

海外出張者安全研修会

海外出張者安全研修会

COMMENT

グローバルにサステナブルな海外安全対策を

リロ・パナソニックエクセルインターナショナル株式会社 参与 辻 廣道 様

グローバル化に突き進む企業社会において、リスクマネジメントは世界中のステークホルダーの期待に応える必須要件であります。弊社は、2016年度より海外安全対策、医療対策をご支援しておりますが、DIC様には精力的に「しくみづくり」にご尽力いただき、コーポレートガバナンスや安全配慮義務の要件を見据え、強固であらゆる課題にしっかり対応できる体系の構築にお取り組みいただきました。さらに、2018年度は各種のハンドブックを作成し、4ヶ所の事業場にて約760名のご参加を得て研修会を開催いたしました。
DIC様の活動の特徴は、このように「しくみづくり」にとどまらず、現場で危機管理意識を醸成する点に注力されていることにあり、この「しくみを活かす」活動が、サステナブルな海外安全対策に直結していると考えております。
2019年度は、「しくみの強化」に取り組むとともに、世界各地の現場のニーズに対応した「しくみの実践」を通じて、より一層グローバルな活動をご支援したく存じております。

リロ・パナソニックエクセルインターナショナル株式会社 参与 辻 廣道 様

弾道ミサイルを想定した対応訓練

朝鮮半島で政治的な緊張が高まった2017年9月、DIC本社では弾道ミサイルの発射を想定した初期対応訓練を初めて実施しました。訓練はミサイル発射を受け、全国瞬時警報システム(Jアラート)が作動したという想定でサイレン音と危険回避行動のアナウンスを館内放送で流し、各フロアの自衛消防隊メンバーが、窓際から離れて物影に隠れるよう呼びかけました。不測の事態が発生した場合、冷静に行動してパニックを防ぐことがもっとも重要です。リスクマネジメント部会では、様々な訓練を実施した都度検証し、地震や火災などの防災計画にも反映し、従業員がスムーズに的確な初期行動がとれるよう訓練を重ねていきます。

訓練の様子

訓練の様子

内閣府ポスターを食堂に掲示

内閣府ポスターを食堂に掲示

『非常時対応ポケットブック』の配布

DIC本社ビルには関係グループ会社を含め1,300名を超える社員が勤務していることから、非常時にも適切に行動(自助・共助)できるようポケットブックを作成し、社員と家族に配布しています。いざという時にとるべき行動、非常時の本社体制、フロアや部署の対応について明記しています。また、家族との連絡手段を取り決め、あらかじめ記入しておき、各自携帯できるようにコンパクトサイズにしています。

非常時対応ポケットブック

非常時対応ポケットブック

TOPICS

大規模災害時における地域対応

日本は世界有数の地震国で、過去に幾度となく巨大地震に見舞われ甚大な被害が発生しています。そのため地震発生時の防災・減災への取り組みが社会の重要課題となっています。
DIC本社ビルが立地する東京都中央区日本橋は、大型の商業施設やオフィスビルが密集するエリアのため、毎年恒例でDICビル周辺の空地において、地域ぐるみで防災訓練を実施しています。
2017年9月には、日本橋地域で将来の発生が予想される首都直下型地震(震度6弱)を想定した防災訓練(参加者:約300人)が行われました。参加者は日本橋消防署の署員の指導のもと、①応急救護訓練(AED、止血法)、②消火栓による消火訓練、③帰宅困難者一時受入施設展示見学、④日本赤十字社救護テント展示見学などを体験しました。
最新の免震設計が施されたDIC本社ビルは、東京都中央区の帰宅困難者一時滞在施設に指定されていることから、1階エントランスを一部開放して帰宅困難者(主に商業施設の買い物客を想定)一時滞在施設の設置・収容訓練を実施しました。訓練にはDICグループ社員60名も参加し、防災センターの方々と受付・誘導、備蓄品配布(飲食料・毛布・防寒シートなど)、応急救護、情報提供などの手順の確認を行い、施設展示紹介を行いました。
また、2018年11月には、DIC本社で第1回地域防災カンファレンス「災害と地域防災」(主催:日本橋地域防災連絡会)が開催されました。DIC本社がある日本橋地域は東京駅に近いことから昼夜を通じて人口が多く、首都直下型地震・ゲリラ豪雨・巨大台風の発生時での被災が懸念されています。カンファレンスは、こうした災害時に地域住民が連携し、被害を最小限に抑える体制の構築を目的に開かれました。
会議には、町会や企業、自治体の防災課や消防署の関係者が出席し、災害救助の専門家とNPOの講義(防災組織の体制・情報収集・記録・課題の対応法など)やハザードマップを使ったワークショップ形式の図上訓練を行いました。参加者はチームごとに課題に取り組み、非常時の防災対応について理解を深める貴重な場となりました。
DICでは、今後も地域ぐるみの共助体制の強化に努め、災害に強い街づくりに貢献していきます。

応急救護訓練(AED、止血法)

応急救護訓練(AED、止血法)

消火栓による消火訓練

消火栓による消火訓練

ディーアイシービル帰宅困難者対応展示

ディーアイシービル帰宅困難者対応展示

第1回地域防災カンファレンスでの図上訓練

第1回地域防災カンファレンスでの図上訓練

    PDFファイルの閲覧にはAdobe® Reader®が必要です。お持ちでない方は「Adobe®のサイト」から無料で配布されておりますので、そちらからダウンロードし、ご利用ください。