物流安全

主な取り組みの目標と実績

製品輸送時におけるCO2排出量の削減(Scope3)

2018年度 目標
  • VOC大気排出量の削減
  • モーダルシフトの推進と輸送効率の改善によりエネルギー原単位を前年比1%削減する
2018年度 実績 ①エネルギー原単位:前年比1%減
②CO2排出量: 前年比10%減
評価 ★★
★★
2019年度 目標 モーダルシフトの推進と積載効率向上によりエネルギー原単位を前年比1%削減
1%削減に資するモーダルシフト輸送量を10%拡大
  • 「評価」は、進捗度に関する自己評価によるものです。
    [ 評価マークについて ] ★★★…非常に良好 ★★…順調 ★…要努力

方針と推進体制

DICは、レスポンシブル・ケアを推進する上で「製品輸送時におけるCO2排出量の削減」を重要テーマと位置づけ、年次目標を設定して継続的に取り組んでいます。
DICの物流体制(工場内・製品輸送・国際物流など)は、1999年に専門子会社を設立してDIC本社の統轄下で業務を行ってきましたが、2011年に合理化・効率化を目的に子会社を物流パートナーに譲渡し、アウトソーシング化を図りました。以後、DICと物流パートナーは連携して、物流安全の向上と温室効果ガスの排出削減を推進してきました。そして2016年1月、化学品の物流を取り巻く社会的な課題に対し、中長期的な視点から対応していくため、各部署に分散していた物流管理機能を強化する目的で「物流部」に統合しました。
物流部は、国内企画・海外企画・貿易グループの3部門で構成され、荷主としての物流方針を策定し物流効率化を推進するとともに、日本国内においては一括して業務を委託(3PL)している物流パートナーと連携して、安全の向上と環境負荷の低減を図っています。

  • 3PL(Third Party Logistics):物流機能の全体または一部を専門会社に委託して最適化・効率化を図る形態の一つ。
DICの物流体制

輸送時に関わる温室効果ガス排出量の削減

2018年度は、輸送量が8.8%減少し、エネルギー使用量は10.0%減少、CO2排出量は10.6%減少しました。また、エネルギー原単位は1.0%改善しました。原単位の改善要因は、単載輸送が19%減少し、混載輸送が17%増加したことで効率化が図られたためです。特に西日本豪雨や台風の影響でJRの長期間不通や海上の荒天により船舶の利用が制限され、モーダルシフト輸送量が大幅に減少する中で、関西→北海道、鹿島→関西向け輸送をモーダルシフト化できたことで、モーダルシフト率9.7%を維持したことが奏功しました。
日本では、物流業界におけるドライバー不足や政府主導の「働き方改革」による労働時間の削減が社会的な課題となっており、DIC物流部ではその解決策を探る一環として、物流パートナーと連携して労働環境の改善に向けた活動を行っています。2018年度は、生産拠点での待機時間(荷待ち時間)を検証し、長時間労働のリスクが低いことを確認しました。2019年度は、納品時の軒先条件の見直しによる輸送時間の効率化を計画しています。
また、2017年度から他社との共同輸送の検討を開始し、2018年度では大きな成果を得るまでに至りませんでしたが、2019年度中の実績化に向けて取り組みを進めています。
さらに海外グループ会社への支援活動として、2017年にアジアパシフィック(AP)地区を統括する「DICアジアパシフィック」(シンガポール)に「ロジスティック・マネジャー」を配置し、AP地区においても輸送の合理化・効率化に向けて活動を開始しました。さらに、AP各国に現地スタッフの「カントリーリーダー」を配置し、各国の商習慣などに適切に対応する体制強化を図りました。2019年度は、DIC物流部、APロジスティック・マネジャー、カントリーリーダーの3者が連携し、特にインドとオーストラリアの物流の効率化に注力していきます。

製品輸送時のCO2排出量とエネルギー原単位の推移

製品輸送時のCO2排出量とエネルギー原単位の推移

物流パートナーと連携して積載効率も向上へ

物流パートナーと連携して積載効率も向上へ

VOICE

輸送動線の短縮を共通課題に、多面的な改革を

物流部 部長 山田 和彦

国内でも海外でも共通するテーマは「輸送動線の短縮」です。これを推進することでエネルギー使用量・CO2排出量・輸送コストのすべてを削減できます。そのために何をすべきか、知恵を出し新たな試みに挑戦していきます。例えばDICは国内に相当数の倉庫を借りて在庫調整や配送に利用していますが、その動線距離は適正なのか調査しています。このように従来は見過ごされていた部分も見直していきたいと考えます。
昨今、物流を取り巻く環境は厳しさを増していますが、このような時こそ思い切った改革に取り組み、合理化・効率化を促進するチャンスと考えています。

物流部 部長 山田 和彦

製品の安全輸送

安全管理の取り組み

DICグループは、化学品の輸送については、消防法やUN 規格などの輸送関連法規に適合した運搬容器を採用するとともに、GHS対応ラベルの表示、SDSの提供など、国内・海外を問わず荷主として安全輸送のための適切な情報提供を励行しています。
国内物流については、物流部・物流パートナーが連携し、荷役作業や輸送安全の向上に向け、2社合同で定期的に会議を開催しています。
特にお客様にご迷惑がかかる輸送品質については「重点管理事故(漏えい・未着・取り違えなど)」に指定し、目標・発生件数・原因・防止対策を月次会議で確認することで着実な改善を図っています。2018年度の事故発生率は46ppmで、前年度(44ppm)とほぼ同等の事故率でした。
また、各工場の安全衛生委員会や物流パートナーの事故撲滅委員会などの会議には相互の担当者が参加し、情報共有と場内における安全操業に向けた活動を行っています。
さらに物流部では、DICの主要20拠点に駐在する物流パートナー(営業所)の構内作業について業務遂行状況の確認を行っています。2018年度は9営業所で実施し、課題を指摘して改善を確認しました。
また、輸送時の緊急事態に対処するため、輸送事業者にイエローカード※の携行を義務づけ、万一の事故発生時の被害拡散を防いでいます。

  • イエローカード:一般社団法人 日本化学工業協会で推奨している自主活動で、輸送事業者や消防・警察などが化学物質の輸送事故に際して適切な対応ができるように、事故時の措置や連絡先について記載したカード。輸送事業者は携行が義務づけられている。
物流パートナーとの定期的な会議

物流パートナーとの定期的な会議

輸送事業者に携行させているイエローカード

輸送事業者に携行させているイエローカード

TOPICS

フォークリフトによるトートタンク取り扱い教育と登録制度の導入

フォークリフトでトートタンク(金属製運搬容器)を運搬する際、不適切なフォーク角度や停車スピードにより、タンクの落下・転倒事故が2017年度に6件発生しました。これを背景に、物流パートナーの日立物流ファインネクストの発案により、2018年6月からトートタンクの取り扱い事業所および運送会社の拠点(7ヶ所)で、トートタンクの取り扱い講習を実施しました。
これはフォークリフトによるタンクの落下・破損事故を再現し、事故を体験することでフォークの角度や停車スピードなど安全な取り扱い技術を習得することを目的としています。
また、講習を機に「滑り止めマット」を新たに導入するとともに、講習会への参加者を登録して登録者以外はトートタンクの取り扱いを禁止する制度を設けました。
講習会は12月までに13回開催され、登録者が363名に達する中で取扱者の意識が高まり、制度のスタート以来、トートタンクの落下・転倒事故は1件も発生していません(2018年末現在)。

講習ではトートタンクの落下・転倒事故を再現

講習ではトートタンクの落下・転倒事故を再現

容器の振動実験データを輸送品質の改善に

2017年、DIC物流部は輸送品質の確保に向けた取り組みとして、石油缶(18ℓ)などの容器が輸送中の振動でどの程度の損傷を受けるかを検証する実験を行いました。通常、石油缶に封入したDIC製品は、石油缶を結束バンドで荷締めし、パレットに載せてトラックに積み込みます。振動実験では、相当の悪路においても擦り傷程度で、石油缶に大きな損傷はありませんでした。
このことからフォークリフトによる荷あげ・荷降ろしの際の取り扱いが損傷の要因と考えられ、中継地点での積み替え作業が多いほど損傷リスクが高まると推定されます。物流部は、この実験データを物流パートナーに提示し、ともに改善策を展開する基礎資料として活用しています。DICは今後も化学品を取り扱う事業者として継続的に物流安全の向上に努めていきます。

VOICE

社会から「選ばれる荷主」であるために

物流部 部長 鶴田 顕一

近年の日本の物流業界は一昔前とは様変わりし、ドライバーの高齢化・なり手不足に加えて働き方改革の波が押し寄せています。こうした中でDICグループの物流業務を滞りなく安全に遂行していくには、荷主も柔軟かつ積極的な取り組みが要求されます。
例えば、工場での荷待ち時間の調査と改善はその一環ですが、こうした地道な活動がドライバーの長時間労働を抑制し、安全向上にも役立ち、ひいては「選ばれる荷主」につながることは間違いありません。モーダルシフトや共同輸送による温室効果ガスの抑制も同様の意識で取り組んでいます。
物流事情の変遷は荷主に対する社会的要請ととらえ、今後も生産拠点や物流会社との協調をさらに強め、新たな課題の抽出と解決に努めていきます。

物流部 部長 鶴田 顕一