物流安全
主な取り組みの目標と実績
製品輸送時におけるCO₂排出量の削減
目標の範囲 | 日本 |
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2021年度 目標 | モーダルシフトの推進と輸送効率の改善によりエネルギー原単位を前年度比1%削減する |
2021年度 実績 | ①エネルギー原単位:前年度より減少 ②CO₂排出量:前年度比1%減 |
評価 | ★★ ★★ |
2022年度 目標 | モーダルシフトの推進と輸送効率の改善によりエネルギー原単位を前年度比1%削減する |
- 「評価」は、進捗度に関する自己評価によるものです。
[ 評価マークについて ] ★★★…非常に良好 ★★…順調 ★…要努力
基本的な考え方
化学品を安全に輸送するための情報提供をはじめ、輸送・配送事業者と協働してリスクの軽減に努めます。
方針と推進体制
DICは、レスポンシブル・ケアを推進する上で「製品輸送時におけるCO₂排出量の削減」を重要テーマと位置づけ、年次目標を設定して継続的に取り組んでいます。
DICの物流体制(工場内・製品輸送・国際物流など)は、1999年に専門子会社を設立してDIC本社の統轄下で業務を行ってきましたが、2011年に合理化・効率化を目的に子会社を物流パートナーに譲渡し、アウトソーシング化を図りました。以後、DICと物流パートナーは連携して、物流安全の向上と温室効果ガスの排出削減を推進してきました。そして2016年1月、化学品の物流を取り巻く社会的な課題に対し、中長期的な視点から対応していくため、各部署に分散していた物流管理機能を強化する目的で「物流部」に統合しました。
物流部は、①物流パートナー(3PL※1会社)と協力して荷主としての物流方針を策定し物流効率化を推進する国内企画と、②アジア地域の物流最適化戦略の企画・立案、通商管理を主体とした外為法に基づく安全保障貿易管理およびFTA※2の全社的な活用推進、貿易業務にかかわるコスト削減策の提案等を実施する海外企画・貿易業務の2グループで構成され、安全の向上と環境負荷低減も含めた活動を行っています。
- 3PL(Third Party Logistics):物流機能の全体または一部を専門会社に委託して最適化・効率化を図る形態の一つ。
- 2ヶ国以上の国・地域が、関税、輸入割当など貿易制限的な措置を一定の期間内に撤廃・削減する協定。

環境負荷低減とホワイト物流
日本における物流環境は、コロナ禍による一時期の物流減少から回復しつつありますが、Eコマースの増加や労働時間上限規制(2024年問題)の影響によるドライバー不足の問題は依然として残されています。また2021 年4 月に発表された日本政府の目標「2030年度に温室効果ガス排出46%削減」を受け、物流場面においても、さらなる環境負荷低減の取り組みを進める必要があります。
このような環境下、DICは日本国内の輸送においてモーダルシフトの推進を図り、物流面での環境負荷低減を進めます。2021年度はトラックの大型化や積載率の向上を図り、エネルギー使用量は約4%、CO₂排出量は約1%減少しました。
さらには国土交通省・経済産業省・農林水産省が推進する「ホワイト物流推進運動」を継続的に支持し、自主行動宣言に沿った対応を実施することで、物流パートナーおよび運送会社との連携を強化し、事業継続性を確保します。2021年度は、リターナブルパレットを使用した工場内でのパレット積替え作業の軽減を一部エリアで実現しました。またリターナブルパレットを使用することで、従来使用していたワンウェイパレットの廃棄処理によるCO₂排出量削減にもつなげています。
海外DICグループにおいても、リターナブルパレットの積極採用等、環境負荷低減の取り組みを継続しております。
製品の安全輸送
安全管理の取り組み
DICグループの化学品輸送については、消防法やUN規格などの輸送関連法規に適合した運搬容器を採用するとともに、GHS 対応ラベルの表示、SDSの提供など、国内・海外を問わず荷主として安全輸送のための適切な情報提供を励行しています。また国連番号該当品(危険物)の船舶・航空輸送についても注意喚起も含めた情報の共有を図っています。
国内物流については、物流部・物流パートナーが連携し、荷役作業や輸送安全の向上に向け、2社合同で定期的に会議を開催し、特にお客様にご迷惑がかかる輸送品質(漏えい・未着・取り違えなど)については「重点管理事故」に指定し、目標・発生件数・原因・防止対策を定例会議で確認することで着実な改善を図っています。また過去に発生した事故の風化防止活動や定期的キャンペーンなど、地道な取り組みを継続して行っています。さらには、各工場の安全衛生委員会や物流パートナーの全国所長会議などに相互の担当者が参加し、場内における安全操業に向けた活動を行っています。
また物流部では、DICの国内主要拠点に駐在する物流パートナー(各営業所)の構内作業について、業務遂行状況の確認を実施し、2021年度は4営業所において、課題を指摘して改善を確認しました。また、輸送時の緊急事態に対処するため、輸送事業者にイエローカード※の携行を義務づけ、万一の事故発生時の被害拡散を防ぐ活動を継続しています。
- イエローカード:一般社団法人 日本化学工業協会で推奨している自主活動で、輸送事業者や消防・警察などが化学物質の輸送事故に際して適切な対応ができるように、事故時の措置や連絡先について記載したカード。輸送事業者は携行が義務づけられている。
TOPICS
コロナ禍における環境安全品質会議
当社の3PLパートナー会社は、全国の営業所とリモートを活用した環境安全品質会議を実施しました。Face to Faceでの安全教育ができない環境下においても、安全意識の徹底と過去の事故の風化防止を強く訴え、その結果が事故発生率の低減につながったと考えます。

リモートを活用した環境安全品質会議
路線業者向け出荷時の養生材使用
従来、路線便での製品輸送時の、荷姿破損や汚れ等のトラブルが一定数発生しておりました。
この問題の対策として、製品の積み付け時に緩衝材やすべり止め等の養生材の使用を検討し、一部の事業所で採用開始し、その効果を測定しました。養生材採用後、荷姿破損や荷崩れ事故が減少するなど、結果が良好であったことから、今後も順次対象を拡大する予定です。

養生材としてグリップシート使用
VOICE
有事における物流の重要性

世界の消費需要は旺盛となる一方で、コロナ禍2年目の2021年は船舶のひっ迫が続き、輸送の重要性を改めて考える1年となりました。昨年の東京オリンピックでは、大きな混乱はなく安定した国内輸送が継続できましたが、2022年に入りウクライナ情勢の悪化により国内輸送、輸出入ともに、様々な影響が出始めています。こういった多様な有事下においても、環境や安全に配慮し、サステナブルな社会を実現していくために、我々物流部は物流会社や船会社と連携を密にし、環境負荷や物流事故の低減に努めていかなければなりません。今後もパートナー会社と協力し、モーダルシフトの推進やホワイト物流推進への取り組みを進めてまいります。
物流部 部長 鶴田 顕一