社会との共生・社会貢献(2021年以前の取り組み)

「カラーユニバーサルデザイン」による彩りと快適の提案

DICグループは、化学で彩りと快適を提案するという経営ビジョンのもとカラーユニバーサルデザインの研究・開発に取り組み、様々な分野で彩りある暮らしに貢献しています。
2007年より、東京大学監修のもと一般社団法人日本塗料工業会、石川県工業試験場、NPO 法人カラーユニバーサルデザイン機構と「カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット」を開発。検証と調整を重ね、塗装・印刷・画面表示で再現可能な色から、多様な色覚の人々にとって比較的見分けやすい色の組み合わせを選定しました。2018年には約10年の使用実績を踏まえて色彩値を改訂し、ユーザビリティの向上を図りました。使用法をまとめたガイドブックを発行し普及・啓発も行っています。
2015~2017年には産学連携の共同研究を実施。千葉大学、DIC総合研究所、DICカラーデザインの3者で包装印刷の注意表記等に用いられる特色赤色インキの見分けに関する研究や、高齢者の可読性を対象とした印刷物の配色に関する研究に取り組み、国内外の学会で発表しました。
2011年からは東京大学や建築家の隈研吾氏らと、景観調和とロービジョンの方の視認性の両立を目指した「視覚障がい者用誘導ブロック」を開発。2018年春に各社から製品化されたウォームイエローとクールイエローは、人々が向かう方向を導く誘導ブロックの機能とかけ、夜空に光る星座の中でもっとも明るい星を意味する「ルシダ®」という名称で商標登録されました。現在、様々な建築物や駅などで設置が進んでいます。
2018年公示の「JIS安全色(JIS Z 9103)」は、ユニバーサルデザインの観点から世界に先駆けて多様な色覚の人々が識別しやすいよう色合いが改正されました。DICグループは原案作成委員会に参画し、印刷用のCMYK推奨値の策定を中心となって行うとともに、普及活動にも協力しています。
2019年からは防災情報の配色の策定にも協力しています。2020年に内閣府から発表された「大雨の警戒レベルを分かりやすく伝えるための5色配色」では、画面表示用RGB値を策定する検証に参加。2021年発表の同配色のCMYK値策定では、候補色の検証だけでなく、DICグラフィックスが検証用カラーチャートを印刷する形でも協力しました。
2022年3~4月には、DICグループウェブサイトのコラム記事として、「色彩を通じたDICの社会貢献」をテーマに「前編:色材メーカーとしての社会的責任~人に優しいカラーコミュニケーションを目指して~」、「後編:わたしたちの暮らしを守る色彩~身近なところにあるユニバーサルデザインカラー」を公開。DICグループが暮らしやすい社会を実現するためにこれまで取り組んできた色覚の多様性への対応について、社内・社外の関係者の皆様の声とともに、ステークホルダーの方々に向けて発信しています。

伊藤啓氏(東京大学客員教授/ドイツ・ケルン大学教授/ NPO 法人カラーユニバーサルデザイン機構副理事長)

中川真章氏(DIC(株)コーポレートコミュニケーション部部長)

理科実験授業

DICとDICグラフィックス株式会社は、国が力を入れている「キャリア教育」の一環として、また、社会問題化している子どもの理科離れの対策として、「理科の勉強は社会生活に密着している」ということを児童に実感させることを目的とした理科実験授業を公立小学校に提供しています。「顔料合成実験」 と「平版印刷実験」 を通じて、「理科は楽しい」、「理科の勉強は身近な社会生活に役に立っている」ということを感じてもらえるような、当社ならではの授業内容となっています。
2010年に活動を開始して以来、2019年までに延べ42の小学校で6年生約3,300人に授業を提供してきました。また、2018年度、2019年度は、東北大学大学院工学研究科のプロジェクト「サイエンスキャンパス」において実験授業を実施し、参加した小学生のみならず、保護者の方からもご好評をいただきました。
2020年度、2021年度は、新型コロナ感染防止対策のため、理科実験授業の実施は見合わせましたが、コロナ終息後においては、DICグループは当活動を継続していく考えです。

理科実験授業の様子

COMMENT

化学による社会の発展の担い手になる楽しさに気づかせる

東北大学 工学研究科・工学部 創造工学センター副センター長 准教授 中村 肇 様

東北大学サイエンスキャンパスの体験型科学教室では、企業の技術者・研究者等が講師となって子どもたちに私たちの生活を支えているものづくりや最新の科学技術につながる製作体験や実験などの機会を提供し、ものづくりや科学技術への興味・関心を育むとともに、将来のキャリアモデルと身近に接することによる次世代工学人材の裾野の拡大を図っています。子どもたちにいろいろな方向から刺激を与えることが重要と考えており、この点で貴社の理科実験授業は大変貴重なプログラムです。保護者からも「生活の中での身近な化学を考えるきっかけになった。」、「身近なものに化学が使われていると知れて子どもも理科がもっと好きになれる。」などの感想をいただいています。子どもたちに「化学の力によってくらしをカラフルに、ひいては豊かにできる」ことを体験させ、「将来は自分もやってみたい!」と思わせる取り組みとして、今後も続けていかれることを期待します。

東北大学 工学研究科・工学部 創造工学センター副センター長 准教授 中村 肇 様

DICライフテックが子ども向けの食育イベントを開催

DICライフテック(株)は、2014年7月、板橋区立教育科学館(東京都)において、健康食品やお菓子の色に使用されている食用藻「スピルリナ」を題材に、「食べ物の“色”の秘密を探ろう」と題した食育イベントを開催しました。「食」は子どもたちが最も強い関心を持つ学習テーマの一つです。今回は「食べ物の色」をテーマとして探究活動への意欲を高め、子ども自身の手で食べ物の中に隠れたスピルリナのストーリーを探る体験授業を実施しました。「スピルリナ」はらせん状の藻で、今から約30億年前に誕生したといわれる非常に生命力の強い藍藻(らんそう)です。ビタミンやミネラル等の健康・栄養成分を50種以上も含有しており、現在「スーパーフード」としても注目されています。DICは世界で初めて衛生的な環境で高品質を保つ管理培養に成功したスピルリナのリーディングカンパニーです。

食育イベントでは、管理栄養士である同社社員が教壇に立ち、食べ物を美味しいと感じる場合に視覚が大きく影響していることや、天然系色素と合成着色料を口に入れたときの違いなどの実演のほか、パプリカや紫芋、スピルリナから実際に色素を抽出する実験、スピルリナの歴史の講義などが行われました。

参加した子どもたちは、スピルリナの構造や抽出された天然系青色素(リナブルー)が身近なお菓子に使われていることなどに興味を持って聴き入り、授業後には「いろいろな栄養素が含まれていることを知り、スピルリナが入っているものを意識しながら食べ物を選ぼうと思いました。」、「スピルリナの色々なことを、実験して楽しみながら分かったことが良かった。家でスピルリナや食品の色のことを調べたいと思った。」などの感想が寄せられました。

「食育イベント」の様子

「食育イベント」の様子

参加の皆さん

参加の皆さん

実験の様子

実験の様子

スピルリナの顕微鏡写真

スピルリナの顕微鏡写真

総合研究所での取り組み

総合研究所では教育支援の取り組みとして、千葉大学の高大連携企画である高校生理科研究発表会を後援しており、研究所の研究員5名が参加し、全国から参加している高校生の研究発表を聴取し、質疑応答など、技術系志望の高校生の理科研究活動を応援する活動を行いました(総数290件の発表)。
また、SSH指定校※である茨城県の清真学園高校や千葉県立佐倉高等学校、千葉県立船橋高等学校のSSH講座、千葉県立佐倉東高等学校向けのファッションデザイン講習会など地元の学校向けのDICの強みを活かした講座の提供を行っています。2021年度はコロナ禍の影響を受け、教育支援講座は佐倉東高校のみ開催となりましたが、SSH運営の面では上記の佐倉高校、船橋高校の企業側運営委員として研究所の幹部クラスが学校主催の会議に参加するなど、運営に協力しています。
この他千葉県立現代産業科学館の展示会「これでわかった!未来の技術」にも出展し、夏休み期間の子どもたちに科学技術への関心とモノづくりを志す次世代を育てる取り組みにも協賛しています。

  • スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校:将来有為な科学技術系人材の育成を目的に、学習指導要領によらない教育課程を編成・実施し、理科・数学教育に重点を置いたカリキュラムを行う高校として、文部科学省から指定された学校を指す。

鹿島工場での取り組み

鹿島工場では、茨城県立波崎高校が2008年度から行っている企業へのインターンシップ事業「波高デュアルシステム」に協力し、毎年実習生を受け入れています。2021年も工業化学・情報科の生徒3名が3ヶ月間、製品知識や安全、コンプライアンスに関する講義を受講し、製造現場での実習を行いました。

DIC川村記念美術館

DICは「色」に関わる企業にふさわしい社会貢献活動として、DIC川村記念美術館を運営しています。1990年に千葉県佐倉市の総合研究所敷地内に開館した同館は、国内では希少なレンブラントの油彩画をはじめ、モネ、ルノワール、ピカソ、シャガールなどのヨーロッパ近代美術、日本の現代美術など幅広いジャンルの作品を所蔵しており、とりわけロスコ、トゥオンブリー、ステラなど20世紀アメリカ美術のコレクションには定評があります。常設展で選りすぐりの作品を紹介するとともに、コレクションへの理解を深めるための企画展を年に数回開催しています。
美術鑑賞の前後に散策を楽しめる庭園の自然環境は、作品・建物と並んで当館が大切にしている要素です。緑豊かな3 万坪の敷地では、10種250本の桜をはじめとした四季折々の草花が目を愉しませ、人々の憩いの場となっています。
開館33年目を迎える2022年は、2つの企画展を開催します。「カラーフィールド 色の海を泳ぐ」展は、良質な作品の収集で世界的に知られるカナダのマーヴィッシュ・コレクションより、約40点の大型作品が初来日します。カラーフィールドの代表作を紹介する国内で初めての展覧会です。
また、「マン・レイのオブジェ 日々是好物|いとしきものたち」展では、絵画や写真、映画など多岐にわたる作品を手がけたマン・レイの立体作品約50点が一堂に会します。
コロナ禍で一時休止していた定時ガイドツアーは感染症対策を講じて再開し、対話型鑑賞「mite!」はオンラインでの開催を継続しています。
今後も企画展開催と地域連携を軸としながら、デジタル環境に対応し、より広域へのコミュニケーション機会を視野に入れた運営を目指してまいります。

DIC川村記念美術館

DIC川村記念美術館

緑豊かな庭園とテラス

緑豊かな庭園とテラス

DIC川村記念美術館 エントランスホール

DIC川村記念美術館エントランスホール

関連リンク

海外グループ会社の社会貢献活動について

DIC アジアパシフィックでインターンシップを受け入れ

DICアジアパシフィックでは、シンガポール国立大学、ナンヤン工科大学などのシンガポール国内の大学やポリテクニックなどの高等教育機関よりインターンシップの受け入れを開始しました。2021年には8人のインターンを採用し、調達、財務、コーポレートコミュニケーションなど、学生の関心に応じて様々な業務経験を提供しました。このプログラムを通じて、DICグループはグローバルに活躍する次世代の人材育成に貢献してまいります。

ウクライナ人道支援

DICではウクライナ避難民全般に対する人道支援を目的として、総額30 万米ドル相当の支援を実施しました。国連UNHCR 協会への拠出に加え、グループ会社であるSun Chemical社と共同で救援ファンドを設立し、DICとSun Chemicalでそれぞれ10万€を拠出いたしました。救援ファンドでは、ウクライナのDICグループ従業員、取引先従業員、難民を支援するため、複数のNGO団体への寄付をはじめ、ポーランドに避難した従業員への宿泊施設の提供や子どもへのギフト購入などを行っています。

マッチングギフト

DICグループでは、毎年末に労働組合が主体となって実施している社会福祉を目的とした募金活動に協力し、集められた募金額と同額を会社が上乗せする「マッチングギフト」を行っています。2021年は、各事業所の近隣にある19の社会福祉施設、障がい者支援施設などに寄付を行いました。

新型コロナ感染予防への取り組み

DICは新型コロナウイルス感染拡大に伴う日本国内の医療機関の深刻なマスク不足の状況に鑑み、備蓄していたN95規格などの高機能マスク1万枚を医療機関向けに寄贈しました。N95規格マスク5,000枚は、一般社団法人日本経済団体連合会を通じて厚生労働省へ寄贈し、同省より都道府県に配布されました。また、医療用およびダチョウ抗体マスク5,000枚は、マスク不足が特に深刻な医療機関に寄贈しました。
また、感染症の予防や治療に奮闘されている医療従事者の皆様の健康をサポートするため、DICグループ製品の健康飲料「リナグリーン®21エキスK1」約7,000 本の無償提供を決定しました。本商品は、食用藍藻(らんそう)スピルリナ株から独自の技術で抽出したスピルリナエキスに、プロポリス、高麗人参・エキナケアエキスなどを配合、さらに水溶性ビタミン類を強化した手軽で飲みやすい健康飲料です。
さらに、DICグループの技術を活かして製造したフェイスシールドを当社の事業所が位置する千葉県、埼玉県、茨城県、大阪府の医療機関に対して約1,000個寄贈しました。
DICグループは、今後も新型コロナウイルス感染拡大防止対応への支援や、その他の社会貢献活動を継続的に推進し、「社会から愛され、尊敬される会社」を目指します。

  • ダチョウ抗体マスクとは、ダチョウの抗原抗体反応によりウイルスを瞬時に結合してカットする“ダチョウ抗体フィルター”を組み込んだ不織布製マスクです。通常のマスクよりも抗ウイルスの機能が高いといわれています。
新型コロナ感染予防への取り組み

リサイクルを通じた事業活動

DICグループのDICプラスチック(株)は、「暮らしを守る」というコンセプトで各種プラスチック製品を製造販売し、環境に配慮した事業 活動、特にマテリアルリサイクル※1活動に取り組んでいます。オリジナル製品を展開していく中で、原料のリサイクル過程における材質や色の選別システムを確立することにより、再生材利用による再製品化の範囲を広げ、再生材のさらなる活用拡大と付加価値向上に寄与しています。
また、さらに再資源事業者から再生原料を購入し、DICプラスチック(株)の主力製品である様々なヘルメット・各種プラスチック製品へ再製品化し、リサイクル推進に取り組んでいます。
なお、DICプラスチック(株)では新型ヘルメットとして防災用「IZANO」(イザノ)を展開していますが、ヘルメットとしての安全性能の確保と、折りたたみ方法の工夫(容積を約60%に削減)、またカラーバリエーションも評価され、「2014年度グッドデザイン賞※2 」(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しています。

  • マテリアルリサイクル:製品の形を変え、他の製品にすること。
  • グッドデザイン賞:公益財団法人日本デザイン振興会の主催で、毎年デザインが優れた物事に贈られる賞。
キャップ再生製品

キャップ再生製品

スポーツクラブの内装・サイン等におけるカラーユニバーサルデザイン

DICグループでは、化学で彩りと快適を提案するという経営ビジョンのもと、色のユニバーサルデザイン(UD)に取り組んでいます。DICカラーデザイン株式会社は、日本全国にスポーツクラブを展開している株式会社ルネサンスの創業店舗「スポーツクラブ&スパルネサンス幕張」の建て替えにおいて、UDの観点から事前に既存店舗において行った色彩調査を活かした色彩監修を行いました。ルネサンス施設の利用者に安心してトレーニングで汗を流していただけるよう、内装やサイン等の色彩に工夫がみられます。階段の段差や手すりに認識しやすい色を用いたり、トイレサインを区別しやすい配色にしたり、看板が目立つ配色にしたりと、随所において色彩への配慮がなされています。

ルネサンス幕張 外観

ルネサンス幕張 外観

館内通路

館内通路

COMMENT

利用者の安心と安全を目指した施設開発へ

(株)ルネサンス 施設開発部 保坂 いつ和 様

創業店舗である幕張店は、私たちにとって思い入れの強い施設です。建て替えにあたり、設備やアイテムの充実だけでなく、社会への貢献性や環境配慮など、あらゆる面でモデルケースになる施設を目指しました。特に、幕張店は歴史が長く地域に根ざしており高齢の方もたくさんいらっしゃいます。今回の取り組みを通して、色使いにも気を配る必要性を認識しました。また、色彩設計では統一したイメージを演出するだけでなく、施設の機能や利用者の安全性を考慮して、必要な情報がきちんと伝わる配色にする大切さを実感しました。この経験を社内にも広め、今後の施設開発に活かしたいと思います。

(株)ルネサンス 施設開発部 保坂 いつ和 様

スピルリナを通じた社会との共生

DICグループは、ビタミン・ミネラル・アミノ酸をはじめ、50種以上の健康・栄養成分を含む藍藻類スピルリナの世界最大の供給者です。2009年よりアライアンス・フォーラム財団と支援契約を締結し、同財団がアフリカのザンビア共和国で進める飢餓撲滅・栄養不良改善活動「スピルリナ・プロジェクト」を支援しています。
2012年度に同国において、スピルリナの効果測定プロジェクトを実施し、幼児の栄養不良状態の緩和にスピルリナが有効であることを確認しました。これを受 けて2013年からザンビア共和国では、同国でのスピルリナの地産池消を目指して、2014年に現地でのパイロット生産に着手しました。2015年度は同国での効果測定を数百名規模に拡大し、支援に取り組んでいきます。DICグループでは、従来から行っているスピルリナ原末の無償供与、さらには生産・技術面の支援として、生産地の選定また原料に関する情報提供を行うなど、支援内容を拡充して、ザンビア共和国におけるスピルリナのさらなる開発と浸透に協力しています。
DICグループではこの他にも、2014年度に東京都の板橋区立教育科学館でスピルリナを用いた「食育」の授業を行うなど、スピルリナの栄養価値に着目した社会活動を進めています。

ザンビアの子どもたち

ザンビアの子どもたち

景観に調和する色彩への取り組み ~新しい点字誘導ブロックの試作と検証~

DICグループでは、できるだけ多くの人が等しく認識できる色、色の組み合わせの開発に取り組んでいます。
安全な歩行経路を示す点字誘導ブロックは、視認性が高い黄色で路面と明確なコントラストをつけることが望ましいと考えられています。しかし、周辺環境に馴染まない強い色は避けたいという要望から市街地等ではその存在を目立たないようにする傾向があり、安全確保と景観上の要請の両立は誘導ブロックの課題となっています。
東京大学分子細胞学研究所の伊藤啓准教授は、この課題に対する方策として、誘導ブロックを2色で塗り分ける試みを行っています。ベース部は景観を侵害しにくい低彩度色、突起部は彩度を下げた黄色系にすることで、視認性と記号性が確保できます。DICカラーデザインでは、機能と周辺環境との調和を両立する配色を提案し、試作サンプルの色選定に協力しました。被験者による検証実験を重ね、実用化に向けて取り組みを進めています。

点字誘導ブロック

点字誘導ブロック

キャリア教育活動について

近年、教育現場では企業のキャリア教育活動への参加が強く求められています。DICでは、全国の工場における工業高等専門学校のインターンシップ受入れ、千葉工場・北陸工場・鹿島工場・小牧工場・埼玉工場などによる近隣学校からの職場体験や実習、見学の受入れ、東京工場・本社による板橋区立、松戸市立の小学校への実験授業の提供、総合研究所の近隣にある千葉県立佐倉高等学校、佐倉東高等学校への教育支援講座の提供、経済同友会の活動における杉江会長の全国への出張授業など、広範囲にキャリア教育に力を注いでいます。子どもは、様々な大人と触れ合い、多様な生き方や価値観を知ることにより、働くことの意義や、勉強が社会生活に結びついていることを学びます。DICは今後も未来を担う子どもたちにキャリア教育の機会を提供していきます。

COMMENT

知的好奇心・探究心をくすぐるキャリア教育を推進しています

千葉県立佐倉高等学校 教頭 小芝 一臣 様

DIC総合研究所では、CSR方針において教育支援を打ち出しており、本校で2011年度からスタートした教養講座「佐倉アカデミア」にも協賛いただいています。この講座では生徒の知的好奇心・探究心を喚起するとともに、自己実現を図り、キャリア意識を根付かせるため、研究所に生徒が訪問し、第一線の研究者からご講義をいただいています。また、2013年度には、本校が科学技術系人材の育成を狙いとしたスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に文部科学省から指定されるにあたり、地元企業を代表して運営指導委員を派遣していただくことになりました。地域の教育界に科学技術の分野で積極的に貢献をされようとするその姿勢にいつも深く感謝しています。

千葉県立佐倉高等学校 教頭 小芝 一臣 様

中学生の就業体験から教師の研修協力まで積極的に次世代の育成を支援

DICグループの各事業所では、次代を担う若い世代が早い段階から職業観・勤労観を身に付けるための就業体験の場を設けたり、インターンシップ実習生を積極的に受け入れるなどしています。UV塗料・液晶材料・粘着フィルムなどを製造する「埼玉工場」(埼玉県伊奈町)では、教育委員会の企画による「社会体験チャレンジ」に協力し、中学1~2年生の就業体験を継続的に受け入れています。2011年度は年4回(6月~11月)実施し、地元の公・私立中学生12名が参加しました。1回2~3名の中学生が、埼玉工場に3日間通い、製品検査・梱包・資材の検品などの軽作業を体験。仕事や社員との交流で学んだことを学校で発表しました。
こうした取り組みは、千葉・小牧(愛知県)工場などでも実施し、地域の方々から好評をいただいています。

埼玉工場で就業体験する地元中学生

埼玉工場で就業体験する地元中学生

VOICE

安全第一に各部署が連携してバックアップ

埼玉工場 総務グループ 中西 千春

埼玉工場では10年ほど前から就業体験を受け入れています。まずお子さんに安全について注意事項を伝え、各部署が連携して作業内容を決めています。体験後に「社会の厳しさを知りました」とか「人の心遣いや整理・整頓の大切さを感じました」など率直な感想文を見せていただいたり、各部署から「おかげで仕事がはかどった」という声を聞くと嬉しくなります。2011年度は、先生方が地元の産業を学ぶ研修にも協力して工場見学を受け入れてくださいました。こういう機会にDICの技術やモノづくりを知っていただくのは、とても有意義だと感じています。

埼玉工場 総務グループ 中西 千春

知的障がい者への支援

慧霊(フイリン)は、1990年に中国人により設立された知的障がい児を支援するNGOで、中国国内の8ヶ所で活動しています。迪愛生(広州)油墨有限公司は広州慧霊の様々な活動を見学して理解を深め、その信念に賛同し、社員の募金と会社からの寄付を行いました。
また2011年の5月22日には、広州市白雲区の「鳴泉居休暇村」で開催されたチャリティージョギングに、社員とその家族も含め86名が参加し、障がい者との親睦とともに社員の健康増進を図りました。

広州で開催されたチャリティージョギング

広州で開催されたチャリティージョギング

被災地への支援

経済同友会が主催する熊本地震支援活動「IPPO IPPO NIPPON」に参加し、寄付を行いました。

マングローブの植林プロジェクト

DIC (Malaysia) Sdn. Bhd.は、2011年5月8日、マレーシアのセランゴール州Pelabuhan Klang, Telok Gong地区においてRED CRESCENT SELANGORが主催したマングローブの植林プロジェクトに賛同し、活動資金を寄付するとともにプロジェクトに参加しました。このプロジェクトの目的は、マングローブの植林活動を通じ、参加者のみならず、地域に対し、どの様に環境問題を解決することが出来るかを示しながら、環境破壊の緩和を図ることです。当日は、10人の社員が、ボランティアとして、専門家の指導の下、マングローブの植林を行いました。

マングローブの植林プロジェクト

マングローブの植林プロジェクト

事業所近隣に向けた取り組み

DIC小牧工場は、2011年2月、小牧勤労センターにて「第5回レスポンシブル・ケア愛知地区地域対話会」を開催し、RC活動の取り組みを地域の皆様に発表しました。主な取り組み項目と活動事例として、安全確保(K-SHOWによる技術継承)※1、環境にやさしい製品紹介、省エネ、産業廃棄物の削減、地域貢献活動(大山川清掃)などについて報告しました。その中で特に、DIC小牧工場は自動車の軽量化PPS、VOC低減の印刷インキ、脱メッキ製品の加飾シート※1など地球環境に配慮した製品を開発・生産しており、環境に関わる諸問題に対応していることをお伝えし、対話会終了後に地域住民の方からの意見、質問にお答えする意見交換会の時間を設け、双方向で理解を深めました。

  • K-SHOWによる技術継承:技術伝承が必要な作業のノウハウ、コツを動画で編集、教育に活用して技術伝承を図るもの。
第5回レスポンシブル・ケア愛知地区地域対話会

第5回レスポンシブル・ケア愛知地区地域対話会

地域清掃活動など

DICグループは、地域の環境・美化に貢献するため、各地で周辺道路などの清掃活動を実施しています。滋賀県湖南市の工場では、例年、滋賀県主催の「びわ湖の日」や「環境美化の日」の清掃に従業員が参加しています。また愛知県小牧市の工場でも大山川清掃活動などのボランティア活動に積極的に取り組んでいます。
また、工場などでスポーツ施設を地域住民の方々へ一部開放したり、お祭りを企画し地域住民の方々を招待したり、地域社会のより良い環境の実現に向けて協力しています。

滋賀工場の社員による清掃活動風景

滋賀工場の社員による清掃活動風景

小牧工場の社員による清掃活動風景

小牧工場の社員による清掃活動風景