化学品製品安全

主な取り組みの目標と実績

化学物質情報総合管理システムの機能向上/化学物質情報マネジメントシステムの整備

目標の範囲
  • 日本
  • 中国
  • AP
2021年度 目標
  • 新グローバル化学物質情報管理システムの日本先行稼働
  • グローバルでの化学物質情報マネジメントシステムの整備を推進
2021年度 実績
  • 2021年11月に新システムCIGNASを日本で先行稼働
  • 中国地区各社でマネジメントシステム整備を実行中
評価 ★★★
★★★
2022年度 目標
  • 新システムの中国地区での稼働
  • グローバルでの化学物質情報マネジメントシステムの整備を推進

国内外法規制対応業務フロー見直し/海外法規制改正への対応

目標の範囲
  • 日本
  • 中国
  • AP
2021年度 目標
  • 新業務フロー素案の検証修正
  • 中国改正新化学物質環境管理弁法への対応
  • 台湾毒化物法標準登録への対応
2021年度 実績
  • 見直し作業完了。日本で新業務フロー運用開始
  • 新規化学物質申告方法の変更、申告物質事後管理プロセスを確立、日本および中国で運用中
  • 1物質を先行して登録。法改正で登録期限が延長されたことを受け、登録計画見直し中
評価 ★★★
★★★
★★★
2022年度 目標
  • 新業務フローの中国地区への展開
  • 韓国化評法既存化学物質再登録への対応
  • 中国ラベル関連法規制・通達への対応
  • 「評価」は、進捗度に関する自己評価によるものです。
    [ 評価マークについて ] ★★★…非常に良好 ★★…順調 ★…要努力

方針と推進体制

基本的な考え方

DICグループは、製品のライフサイクル全体でリスクを評価し、ステークホルダーが適切に製品を取り扱うための情報提供を推進します。

EU・米国・日本などの地域・各国では、2002年開催の「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(WSSD[ヨハネスブルグサミット])で提唱された「2020年目標」の達成に向け、化学物質管理に関する法規制の強化を通じて、人の健康や環境に対する悪影響の最小化を目指しています。さらに、2015年には国際社会共通目標としてSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標) が国連サミットで採択されました。
DICグループにおいても、化学物質を取り扱うグローバルな総合化学メーカーとして、WSSD以前より法規制以上の統一規約を定め、「安全・環境・健康に関する方針」(1992年制定)のもと、プロダクト・スチュワードシップをレスポンシブル・ケア活動の基盤に位置づけ、ステークホルダーに製品のライフサイクルにわたる適切な取り扱いをするための情報提供を推進しています。また、モントリオール議定書、ストックホルム条約、ロッテルダム条約における懸念物質の廃絶はもとより、環境負荷低減製品の開発に資するため、化学物質情報の管理を推進し持続可能な開発に貢献しています。
この目標の推進に向け、近年は中国、アジアパシフィック(AP)地区にも活動拠点を設置し、グループ各社への情報発信の強化を図っています。

  • プロダクト・スチュワードシップ:製品のライフサイクル全体(化学物質の開発から調達、製造、輸送、販売、使用、廃棄・リサイクル)でリスクを評価し、適正な管理と安全性およびリスクに関する情報の開示を通じて、ステークホルダーの安全・環境・健康を守る考え方。

化学物質管理への取り組み

2003年に国連より勧告されたGHS※1は、日本では2006年に労働安全衛生法で対応が義務化され、今では多くの国に導入されています。DICではレスポンシブル・ケアの基盤であるプロダクト・スチュワードシップの一環として、この勧告にいち早く対応、顧客へ知り得る限りのハザード情報を提供しリスク低減に活用していただくため、2006年の法施行と同時にGHSに対応した安全データシート(SDS※2)の提供を開始しました。その後、2009年には原材料から製品まで多くの化学物質情報を一元管理し、化審法をはじめとする多くの法規制を自動でチェックすることや顧客からの情報提供依頼に対応可能な「CIRIUS」(シリウス:国内向け化学物質情報総合管理システム)を自社開発しました。一方、高まる海外向け製品への対応要望に応えるため、2013年には最大46ヶ国の言語に対応可能な「WERCS」を稼働させ、2015年より海外の関係会社でも順次利用を開始しました。現在、11ヶ国23社で利用しています。さらにグローバルで複雑化する化学物質管理業務に対応するため、CIRIUSとWERCSの機能を統合して新たに「CIGNAS」(シグナス: グローバル化学物質情報総合管理システム)を構築、2021年に日本で先行稼働させました。2022年には中国地区での稼働を予定し、さらにアジアパシフィック地区のDICグループ各社へ展開し、2024年までに順次稼働させる計画です。一方、欧米のサンケミカルグループでは2006年からATRIONの運用を開始し、品質の高い情報を顧客に発信しています。
化学物質を適法に製造・輸入および取り扱うための人材教育においては、2000年から取り組み始め、2007年からは独自のライセンス制度を開始するなど、社員の能力向上・維持に努めています。

  • Globally Harmonized System of Classifi cation and Labelling of Chemicals の略。2003 年に国連が勧告した化学品の分類および表示に関する世界調和システム。
  • Safety Data Sheet の略。化学品の安全な取り扱いを確保するために、化学品の危険有害性等に関する情報を記載した文書。
世界をカバーするDIC グループの化学物質情報総合管理システム

VOICE

工業会活動に参画し、化審法改正に携わりました

レスポンシブルケア部 法規制グループGM 山口 忍

当部は工業会活動へ積極的に参画し、工業会の中心メンバーとして、化審法改正に携わりました。本議論では、経済産業省をはじめとする関係省庁の視点の違いによる意見の隔たりへの対応には苦労しましたが、工業会内も同様で、所属する企業間でそれぞれ考え方に違いがあり、法改正のための意見がまとまるまで多くの時間と労力を費やしました。しかし、その甲斐もあり、環境に配慮しながら企業の健全な生産活動に資する良い制度になったと思います。
WSSD2020年目標は来年で終了しますが、2030年をターゲットとしたSDGs、さらにはその先の2050年に向けたビジョンが語られはじめています。DICグループが将来にわたり中心企業でいられるよう、化学物質を扱う企業として責任ある行動とは何かを常に考えていきたいと思います。

レスポンシブルケア部 法規制グループGM 山口 忍

新グローバル化学物質情報管理システム「CIGNAS」と化学物質情報管理体制の構築

新グローバル化学物質情報管理システム(CIGNAS)構築のためのプロジェクト(GCIP)では、新システムの設計・開発にとどまらず、システム稼働後の円滑な運用のため、システムを活用して行う化学物質情報管理業務の見直しとグローバル標準化、化学物質情報マネジメントシステムの構築も併せて進めています。2019年末には、3ヶ国・11の海外DICグループを訪問して現行の化学物質管理業務についてヒアリングを行い、各社における業務の理解を深め、プロジェクトの検討内容に反映させました。さらに、2021年には5ヶ国・12の海外DICグループに対してオンラインでのヒアリングを行い、各社が化学物質情報管理システムを望んでいることが明確となりました。

  • GCIP:Global Chemical Information management Project、グローバル化学物質情報管理プロジェクト

新システムの設計・開発について

新システムの設計・開発にあたっては、これまでCIRIUSやWERCSの設計・開発・運用で培ってきた知識・経験・ノウハウを反映し、業務の効率化を推進します。この効率化を実現するため、基幹システムなど社内の各種システムとのデータ連携の仕組みも構築しています。
社内の各部門では、化学物質に関する情報を各自の業務に活用したいとの要望を持っています。新システムでは一部の化学物質管理のエキスパートだけではなく、容易に必要な情報を抽出・活用できるインターフェースの設計に配慮し、全社員に広く活用させていきます。
一方で化学物質情報管理システムには、製品や原材料の組成情報などの機密情報が保存されています。幅広い社員が新システムを活用することから、セキュリティにも細心の注意を払って設計・開発を進めています。

グローバル対応体制

各国・各拠点における化学物質情報管理はその手法・品質にバラつきがあり、今後の法規制強化および取り扱い製品の増加・変移に対応するためには組織的な対応が不可欠です。システム導入にとどまらず、新システムの構築支援と展開後の管理を担う、化学物質情報管理に関する運用体制の整備が必要になります。システム運用開始時までに、中心拠点である日本のほか、中国、アジアパシフィックにそれぞれの拠点を置き、日本で築き上げたノウハウの展開、情報の一元管理による品質の均一化、拠点発信型のコンプライアンスの確保、ガバナンスの強化を目指します。2019年にはDIC 本体において、その業務を担う化学物質情報管理グループを発足させ、2020年4月には中国上海でも活動を開始しました。

VOICE

法規制対応活動を通じて顧客信頼度向上に努めます

DIC チャイナ EHS 部 陈媚菁

私はDICチャイナでGCIPプロジェクトを担当しています。
中国地域では、2022年の新化学物質情報管理システム(CIGNAS)と化学物質情報マネジメントシステム導入に向け、2020年は現地法人(製造拠点16社)に対し、個別にGCIP展開計画を説明しました。現在は化学物質運用マニュアル体系の構築に向け、現地法人の文書類を分析しています。
私は海外法規制担当として、日本以外の国の化学品法規制の情報を収集し、DICグループとしての対応方針の立案、展開を行っています。これらの業務にあたっては、複雑な法規制やその対応方法をできるだけ平易に説明し、社員の理解が深まるように意識しています。そうすることでDICグループが社会、お客様からの信頼を得られるものと信じております。
今後もこれらの取り組みを通じ、DICグループの信頼に貢献してまいります。

DICチャイナ EHS部 陈媚菁

法規制への対応

01国内法規制への対応

DIC グループでは、法令遵守をリスク管理における生命線と位置づけています。国内法規制の対応に向けては、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)、労働安全衛生法における新規化学物質届出や、毒物および劇物取締法における製造・輸入・販売業登録管理や記録保管義務など、多岐にわたる法令を遵守し、漏れなく対応しています。より確実な対応を目指し、情報収集・分析からガイドライン等の制定、グループ会社および顧客への周知徹底、「CIGNAS 」による一元管理を推進しています。
2018年に公布された改正食品衛生法では、食品用器具・容器包装について、安全性を評価した物質のみ使用可能とするポジティブリスト制度の導入等を行うこととされました。当社においても、ポリスチレン等のポリマや、インキ等の食品包装容器用原材料を多数取り扱っておりますので、各種業界団体等と連係しながら情報収集とリスト収載に向けた対応を進めております。
なお、2021年度の化学物質の登録、届出に関する法令違反の発生はありませんでした。

2022年の主な取り組み

2022年は改正労働安全衛生法が公布されます。自律的な管理を基軸とした化学物質規制体系への移行に重点が置かれ、化学物質の自律的な管理のための実施体制確立と、化学物質の危険性・有害性に関する情報の伝達強化を目的とした取り組みに重点が置かれています。また、労働安全衛生法施行令別表第9に化学物質が大幅に追加されます。また、事前に相手の了承を得なくても、「容器に印字した二次元コード」や「商品販売ホームページ等」でのSDS の確認・閲覧による交付が可能となります。DICグループは改正された労働安全衛生法に準じた化学物質管理に取り組むとともに、改正労働安全衛生法に準拠したSDSの作成・配布を進めていきます。COVID-19の影響で延期されたICCM(国際化学物質管理会議: International Conference onChemicals Management)において議論されるであろうWSSDの「2020年目標」に代わる次の目標に対しても、どのように政策や法規制に反映されるかを注視しながら取り組んでいきます。

VOICE

連携を密にし、新たな体制の構築へ

Director Global Regulatory, Sun Chemical Corporation Robert Kendrick

DICとサンケミカルは、グローバル化学コミュニケーション管理システムをサポートするグローバル事業に必要な基準と枠組みを特定するプロジェクトに取り組んでいます。これは、世界中の規制を遵守するために利用するべき特定の化学基準を定義するプロジェクトです。そのためには、以下のようなグローバルな受益者がシームレスにアクセスできるSAP統合ITプラットフォームの開発が必要となります。①購入した材料および製造された製品の化学的組成および安全性のリスクを均一に特徴づけるように設計されたIT投資プラットフォーム、②安全データシートやラベルなどの化学物質データとシステム成果物の両方を使用して、物質特性の整合性を継続的に特定し、維持するためのシステム、プロセス、ツール、および規律、③新しくて面倒な化学物質化学物質規制(例:米国EPA TSCA再設定、K-REACHおよびグローバルGHS)に必要な支援をすべく、堅牢、国際的な言語要求。これらを強力に推進し、グローバルな顧客やブランドオーナーとの重要なフィットネスガイダンスを確立して行きます。そして、最終的には技術革新をサポートし、グローバルな調達活動を支援するプラットフォームを目指します。

Director Global Regulatory, Sun Chemical Corporation
Robert Kendrick

02海外法規制への対応

ここ数年の主な動きとして、東アジアにおいては主要な化学物質関連規制の制定や改正が相次いでおり、2019年韓国の化学物質登録及び評価等に関する法律(化評法)の大幅改正、2020年中国の新化学物質環境管理弁法の大幅改正、などがあげられます。
また、これまで新規化学物質登録制度のなかったタイ、ベトナム、トルコ、ロシア、ユーラシア共同体などで当該制度導入の動きがありますが、予定どおりに進行していない国も多く見受けられます。
GHS制度はほとんどの国で導入、義務化されましたが、未導入であるインドにおいてもついに義務化の動きが出てきました。
DICグループでは現地コンサルタントやサンケミカル社をはじめとするグループ会社の専門家といったグローバルネットワークと連携して、最新情報の収集と必要な対応を進めるとともに、グループ会社や顧客への情報提供に努めています。また、DICグループは日本化学工業協会のワーキンググループのリーダー企業として、制定・改正に対する日本企業の意見・提言の取りまとめ、規制当局との意見交換を行っており、日本企業の法規制対応の重要な役割も担っています。
なお、2021年度の化学物質の登録、届出に関する法令違反の発生はありませんでした。

2022年の主な取り組み

韓国化評法による既存化学物質再登録については、登録期限が近い数量域の大きい物質を中心に登録期限に向け、滞りなく準備を進めていきます。
新規化学物質登録制度導入の動きがある各国に対して、必要情報の収集と、登録が必要な物質の対応を進めていきます。
インドのGHS 制度義務化の動向を注視するとともに、工業会を通じて意見・提言の提出、必要な措置を講じて行きます。

VOICE

化学品法規制の動向をグローバルで収集し、DICグループの信頼に貢献します

レスポンシブルケア部 法規制 グループマネジャー 井上 雅人

昨今、各国で化学品に関する法規制の新設、強化が進められており、企業が求められる対応は増大、複雑化しています。グローバルにビジネスを展開しているDICグループは対応すべき国、法規制が多くありますが、社会的責任を果たすためにもこれらの対応を間違いなく行わなければなりません。
私は海外法規制担当として、日本以外の国の化学品法規制の情報を収集し、DICグループとしての対応方針の立案、展開を行っています。これらの業務にあたっては、複雑な法規制やその対応方法をできるだけ平易に説明し、社員の理解が深まるように意識しています。そうすることでDICグループが社会、お客様からの信頼を得られるものと信じております。今後もこれらの取り組みを通じ、DICグループの信頼に貢献してまいります。

レスポンシブルケア部 法規制 グループマネジャー 井上 雅人

多種多様な法令を正しく理解し、正しく履行するように取り組んでまいります

DIC KOREA 化学品輸入管理チーム 具教玉

DIC KOREAは、DICグループから輸入した製品を販売している会社です。KREACHなど輸入者が履行しなければならない化学物質法令がますます多様化し専門化しているので、これを専担する“化学品輸入管理チーム”を2019年度に新設しました。私は当部署で当社が輸入する化学品に対して法令対応を行う一方、DICグループから韓国の他のお客様が輸入する化学品に対して、法令対応ができるよう手伝う役割を担っています。多種多様な法令を正しく理解し正しく履行することは、当部署の基本でありながらもっとも重要な業務であり、関係者との緊密な協力を通じて適時適正に対応することは、会社の利益に直結することでもあります。さらに、DICの化学品安全管理方針を韓国のお客様にお知らせすることで、DIC製品を安心して購入できるようにすることも非常に重要だと考えています。今後も法律対応において、きめ細かな対応に取り組んでまいります。

DIC KOREA 化学品輸入管理チーム 具教玉

教育・制度

プロダクト・スチュワードシップに則った化学品・製品安全を継続的に支えていくためには、社員一人ひとりの意識づけと知識の向上が不可決です。DIC グループでは、化学物質を適法に製造・輸入し取り扱うための教育を重要視し、「エキスパート養成」と「ライセンス制」の仕組みを講じています。これにより国内外の化学物質規制に対する社員の意識・知識レベルの維持・向上を図っています。

01エキスパート養成に向けた取り組み

グローバルな総合化学メーカーである当社は、法令遵守をリスク管理における生命線と位置づけ、教育によるエキスパート養成を進めています。化学物質法規制に関しては、2014年から「化学物質法規制入門コース」を開始しました。2021年度は対象範囲(主に技術部門のある事業所全体)が受講しやすいよう、オンライン教育へと切り替えて実施し、209 名が受講しました。
2022 年度は、受講対象範囲をDIC グループ社員に拡充し、化学物質を適法に取り扱うための教育を継続します。
また化学物質法規実務に即した実務者教育や、化審法・毒劇法などの重要法令に関するより高度な知識の習得を行う上級コースの新設に向けて、現在コース設計とテキスト作成に取り組んでいます。

02国内DICグループにおける教育(ライセンス)

国内DICグループのライセンス制度は、化学品の輸出入に関する業務に従事する社員に対し、必要な法規制教育の受講と試験を義務化し、合格者のみにライセンスを与える制度です。ライセンスの有効期間は輸出の場合2年、輸入の場合3年です。輸出・輸入担当者には外為法、輸入担当者には化審法、安衛法、毒劇法などに関する専門的な教育を実施しています。ライセンス更新に際しては、再度の教育および試験の合格が必要です。
2021年度は教育・試験をすべてオンラインで実施いたしました。ライセンス保有者は、輸入ライセンスが332名、輸出ライセンスでは基礎的な内容となるクラスBが173名、より実践的な内容であるクラスAが1,553名います。また輸出においてさらに高度な上級コースも107名が保有しています。
2022年度からはこれらをさらに発展させていきます。またRCEPの発効をはじめとする、経済連携協定に基づく特定原産地証明制度の重要性も飛躍的に高まりました。これを受けて特定原産地証明制度に関するライセンス制度を新たに発足させ、今年から実施を始めています。

  • 労働安全衛生法
2021年度現在の輸出入ライセンス保有者

03海外現地法人における教育

中国では、2021年1月1日より「新化学物質環境管理登記弁法」が正式に施行され、より一層の環境保護と汚染防止に対する要求が厳しくなりました。
DCN/ESH部では、各現地法人が改正された弁法内容を理解し、適切な対応が行えるように、本社RC部門と緊密に情報交換を行い、DICグループ対応措置について説明会を実施しました。
また、関係者に化学品コンプライアンス管理についての理解を深めてもらうため、「安全ラベル、SDS、新規化学物質について」オンライン説明会を開催し、録画をe -ラーニング形式で共有しました。
今後も説明会、セミナーでの情報と最新の法規制を共有し、化学品コンプライアンス管理向上に努めてまいります。

安全ラベル、SDS、新規化学物質について説明するDCN / ESH 部 赵担当

安全ラベル、SDS、新規化学物質について説明するDCN / ESH 部 赵担当

VOICE

法令遵守教育を遂行してまいります

DIC 投資有限公司ESH 部化学品法規制担当 赵云旦

私はDIC投資有限公司ESH部化学品法規制担当の赵云旦です。
世界各国ではサステナビリティの関心がますます高まり、関連する法規制システムの完備を絶え間なく推進しています。
経済のグローバル化に伴い、一国の化学物質関連法の改正は、国内の化学物質コンプライアンス管理だけでなく、輸出入にも大きな影響を与える可能性があります。これらの変化に対応するためには、法規制情報を直ちに入手・共有し、関係者の関連法規制に対する理解度を高めることが重要です。このようにして、対応策をできるだけ早く策定し、要求と措置を確実に実施することができます。
私は化学品法規制担当として、国内外の化学物質管理要求法令を積極的に理解・把握し、教育とトレーニングを行い、各社の問題解決を支援し、DICグループのコンプライアンス管理の向上に努力します。
DICグループの皆さん、どうぞよろしくお願いします。

DIC 投資有限公司ESH 部化学品法規制担当 赵云旦

法令遵守教育を遂行してまいります

レスポンシブルケア部 法規制グループ マネジャー 栗山 ちさと

昨今、人の健康や環境への意識の高まりに伴い、化学物質への法規制強化が世界的に加速しています。そのため、多くの国で法改正が行われており、グローバルに事業を展開する当社は常に最新の法規制情報を入手し、迅速かつ確実に対応することが求められています。これを実現するためには、社員一人ひとりの法令に対する理解と、関係部署における情報共有が不可欠です。
私は法規制担当として、当社製品と法令との関わりを正しく理解して貰うための教育活動を遂行し、DICグループの法令遵守に貢献してまいります。

レスポンシブルケア部 法規制グループ マネジャー 栗山 ちさと

法令遵守教育の拡充へ向けて

レスポンシブルケア部 法規制グループ マネジャー 東野 寛文

現代社会では製品の製造・輸入から販売、取り扱い、輸出に至るまで、あらゆる場面で法令遵守が求められます。応えられなければ企業として立ち行かなくなってしまうのが現状です。
法令を守るためには様々な仕組み・システムも重要ですが、何よりも、社員一人ひとりの理解がなければ法令遵守は達成できません。当社の製品は幅広く、多くの法令に対する対応を行わなければなりません。
当社は既に様々な形の化学物質法令教育を行っています。私は法令教育を担当する者として、これを一段と推し進め、社員と製品のニーズに合った多層的な法令教育制度を拡充し、法令遵守に貢献していきます。

レスポンシブルケア部 法規制グループ マネジャー 東野 寛文

化学物質製品のリスク評価・管理

DICグループでは、当社が取り扱う化学製品に関して全ライフサイクル(化学物質の開発から調達、製造、輸送、販売、使用、廃棄、リサイクル)のステークホルダーを対象に、環境・安全・健康に関するリスク管理を推進しています。
リスク管理でもっとも重要な作業は、刻々と変わる化学物質法規制やライフサイクルの変化など時流を洞察したリスク評価です。リスク評価を行うには、危険性・有害性情報(Safety Data Sheet /chemSHERPA)と併せて、製品を取り扱う場面における人や環境がどの程度暴露されているかの情報が必要になります。これらリスク評価に必要な情報をより効率的に集約・発信していくには、前述の新グローバル化学物質情報管理システムとサステナビリティ指標を早期に立ち上げ、技術・生産・営業との協力体制を整え、より精度の高いリスク評価を可能とする体制の構築が必須です。これらリスク評価に必要な情報を適切に開示することで、ステークホルダーにより安全な環境を提供できると考えています。

  • chemSHERPA:サプライチェーン全体で利用可能な製品含有化学物質の情報伝達のためのスキームで、サプライチェーンにおける製品含有化学物質情報の確実かつ効率的な伝達のためにデザインされています。chemSHERPAは、2017年下期より運用が開始されています。

責任ある調達(グリーン調達)

DICグループでは製品の原料調達について「DICグループ購買に関する方針」のもと、「DICグループグリーン調達ガイドライン」(下記7つの有害性の高いカテゴリーの有害物質を含有した原料は調達しない)を制定し、①「DIC原材料調査票」(成分の詳細情報把握)、②「Safety Data Sheet」、および③「chemSHERPA」さらに④「DICグループグリーン調達ガイドライン調査票」の提出を原料購買時に義務づけ、体系立てた懸念物質の排除を実行しています。また、別途「紛争鉱物調査票」の提出も要請しています。

  • 労働安全衛生法55条「製造等が禁止される有害物質」
  • 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)「第一種特定化学物質」
  • 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)「監視化学物質」
  • 特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律「既に製造が禁止された特定化学物質」(「モントリオール議定書におけるオゾン層破壊物質」と同じ)
  • 大気汚染防止法「特定粉じん」
  • 毒物及び劇物取締法「特定毒物」
  • ストックホルム条約「附属書A」で定める物質

動物実験に対する考え方

DICグループは、3R(Replacement:動物を使用しない実験方法への代替、Reduction:実験動物数の削減、Refinement:実験方法の改良による実験動物の苦痛の軽減)の原則を基本とし、動物を使用しない代替法および構造活性相関(QSAR:Quantitative Structure-Activity Relationship)による安全性評価を進めています。

製品の安全輸送

物流活動においては、万が一事故が起きた場合にも、環境面、安全面で適切に対処できるよう、SDSを簡略化したイエローカードを作成し、物流関係者に必要な情報を提供しています。