サステナビリティ指標

ポートフォリオ転換を着実に進めるために

サステナビリティ指標は、DICグループの製品構成をより強靭(レジリエント)なものにするためのツールです。インキや顔料、その他多岐にわたる製品すべてについて、持続可能な社会の構築という観点の中で、社会への貢献(横軸)と環境負荷(縦軸)という切り口により、立ち位置を明確にします。全製品の立ち位置をマッピングすることで、ポートフォリオ転換に向けた適切な施策の計画を可能にし、ある段階での結果の良否が明確になります。このツールでDIC Vision 2030の目標、サステナブル製品の比率60%を確実にし、それにより様々な外部環境の変化に対する強靭性を高めることで、DICグループはサステナブルな社会の実現に一層貢献していきます。

気候変動という大きな課題に網羅的に取り組む

様々なモノが私たちの生活を便利に豊かにしてきました。一方それらを生み出すモノ作りの場面では、地球環境に様々な負荷をかけていることも事実です。中でも気候変動は、現状では非常に達成が困難な目標(Scope1&2を2030年度50%削減、2050年度カーボンネットゼロ)に向け、多大な努力を講じて取り組まない限り、この地球の将来が維持できなくなることは明白になっています。
このサステナビリティ指標では、そのモノ作りの過程で生じる温室効果ガスを、各製品の単位排出量(kg-CO₂e/kg製品)で表現します。これらをマッピングすることで見えてくることの一つは、顔料などの製造に多くのエネルギーを必要とするものは、インキなどの比較的エネルギーを必要としないものに比べ、この単位排出量が大きい傾向にあるという事実です。また、例えばある種の顔料を取り上げた場合、異なる工場ではかなり大きく異なる場合(大きい場合1.5倍前後)があるといったようなことも、定量的に把握できるようになりました。同じ製造プロセス、すなわち同程度量のエネルギーを使用する製品であっても、再生可能エネルギー等のGHG排出量の低いエネルギーをより多く用いている工場では、単位排出量をこれだけ削減することが可能になっている。この事実を踏まえ、同時にGHG排出量の低いエネルギーをどれほど使用できるのか、例えば地域ごとの使用可能性など様々な現状を加味し、製造拠点の移転や集約なども視野に入れ、達成困難な削減目標に網羅的に取り組みます。

自社の強みを発揮している製品か

製品が、どれほど社会に貢献しているか。サステナビリティ指標ではその横軸で、DICグループだからこそ成し得る貢献か、自社の強みを発揮している製品か、でそれを判断します。世の中に提供している当社製品は、いずれもなんらかの社会への貢献を果たしていると考えています。そんな中、ある当社製品の提供場面において、同様の他の製品が提供されている場合、その当社製品の提供価値、すなわち社会貢献の度合いや、供給の安定性や持続性といったようなものには一定の制約が必然的に生じてしまいます。メーカーとして、より持続可能な社会に貢献するには、自社の強みを発揮している製品にフォーカスし、その強みを高めていくことにより成し得るものと考えます。DIC Vision 2030でその目標を設定しました。
社会には様々なジレンマがあります。気候変動を食い止めるために健康や文化的な営みに必要な活動を止めることはできません。DICグループは、当社の強みを発揮できる分野がグリーン社会、デジタル社会、およびQOL社会であると考えました。気候変動を食い止めグリーンな社会を作り出し、技術の進歩をより多くの人が享受できるデジタル社会を目指し、またより多くの人が健康で安心して暮らせるQOL社会を広げたい。それらが、当社がその強みを発揮してより貢献できる分野ととらえました。
サステナブル製品が貢献する社会は、いくつか重なるものや、QOL 社会を大きくとらえるものもあります。遮熱や断熱性能の向上に貢献する製品は、温室効果ガスの排出量を低減しながら健康な生活にアクセスしやすくします。PPSによる給水配管、不飽和ポリエステルによる埋設配管の補修維持、中空糸膜を通したクリーンな水で洗浄することによる産業機器等の長寿命化等、様々な場面で用いられる水にまつわる製品のように、当社だからこそ成し得るサステナブル製品で、持続可能な社会の構築に貢献していきます。

自社の強みを発揮している製品か

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