TCFDへの取り組み

DICグループは2019年5月に、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures = 気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への支持を表明しました。DICグループでは気候変動をビジネスに影響を及ぼす重要なファクターと捉え、情報開示を推進します。

TCFD提言に沿った情報開示

TCFDでは投資機関等が気候関連のリスクと機会を的確に把握し財務上の意思決定を行うにあたり、組織運営の中核的要素として「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」に関する情報の開示を推奨しています。
DICグループは、気候変動対応に関する情報開示は時代の要請と捉えてTCFD提言に沿った開示を進め、「気候変動リスクへの適切な対応」と「気候変動に伴う機会の創出に向けた取り組み」を進化させ、自社のレジリエンスの向上と積極的な情報発信による社会とステークホルダーの皆様からの信頼の獲得を目指します。

TCFD提言で求められる情報開示

ガバナンス 気候関連のリスクと機会にかかる当該組織のガバナンスを開示する
戦略 気候関連のリスクと機会がもたらす当該組織の事業、戦略、財務計画への現在および潜在的な影響を開示する
リスク管理 気候関連リスクについて、当該組織がどのように識別、評価、および管理しているかについて開示する
指標と目標 気候関連のリスクと機会を評価および管理する際に用いる指標と目標について開示する

01ガバナンス

DICでは気候変動を重要な経営課題の一つとして認識しています。CO2排出削減の中長期目標などの重要な審議は社長執行役員直轄で運営する「サステナビリティ委員会」(年3回以上開催)において審議・決定するとともに、取締役会規則に基づき取締役会に報告し(原則として、すべてのサステナビリティ委員会議案は取締役会に報告)、取締役会の監督が適切に図られる体制を整えています。
事業活動における気候変動関連のリスクと機会を適切に評価・管理し経営を推進していくために、サステナビリティ委員会には、社長執行役員と生産統括本部長、技術統括本部長、経営戦略部門長、総務法務部門長、財務経理部門長、ESG部門長等の管理部門の長とともに、各事業部門長・製品本部長が構成メンバーとして参加しています。

ガバナンス
最近のサステナビリティ委員会での気候変動に関する主な議案
  • サステナビリティ中期方針はサステナビリティ委員会での審議の後、取締役会で審議・決定されます。
  • 2019年度に新たに設定したマテリアリティ評価において、「気候変動への対応」は最重要項目の一つに認識しここでも議題にあげ審議を行っています。

02戦略

DICでは気候変動に伴うリスクや機会の重要性も意識して、サステナブルな事業戦略を推進しています。気候変動による影響は中長期的に顕在化する可能性が大きいため、中長期的に事業に財務的な影響を及ぼすと考えられる主な気候関連リスク(移行リスク・物理的リスク)と気候関連機会(移行機会・物理的機会)の項目への認識も深めています。
今般2030年度をターゲット年度に置いた気候変動に関する複数のシナリオに基づくシナリオ分析を開始し、中長期的な視点で予測される機会とリスクへの認識を高めながら時間軸を踏まえた戦略の立案と実行に結びづけていきます。

主な気候関連リスク

リスクの内容 説明
移行リスク 新たな規制
Emerging regulation
気候変動に起因する新たな規制(カーボンプライシング等)による直接コスト増や事業環境/収益性への影響リスク(設備コストや原料価格等)が生じる
移行リスク 技術
Technology
気候変動に関連する技術イノベーションの進展に伴って、既存技術のみに依拠した場合には、製品・サービスが陳腐化・需要縮小するリスクが生じる
移行リスク 市場
Market
顧客/消費者の選好変化(例 低炭素化への事業切替、一部既存事業が回避される可能性)の情報把握が不十分な場合商機逸失のリスクが生じる
移行リスク 評判
Reputation
外部より気候変動に対応する企業姿勢や対応能力が化学品素材メーカーとして不十分と評価されると顧客関係維持などに影響する評判のリスクが生じる
物理的リスク(短期的)
Acute Physical
異常気象(台風やハリケーン等の急激な天候異変・自然災害等)が増大すると、湾岸地域などに立地する生産事業所の操業に影響するリスクが生じる
物理的リスク(長期的)
Chronic Physical
慢性的な高温状態が継続すると生産事業所の操業維持/操業コストの増加(設備維持/冷房コスト等)と、健康ダメージのリスクが生じる
移行リスク 原料調達
Upstream
モノポリー原料(独占的供給原料)の場合の供給不安と、BCPリスク(原料サプライヤーが気候変動への適応失敗などの影響リスク)が生じる

主な気候関連機会

リスクの内容 説明
移行機会 新たな規制
Emerging regulation
気候変動に関連して新たに導入される規制を機に、自社ビジネスの優位性を発揮した新たなビジネスモデル確立の機会が生じる
移行機会・物理的機会 技術
Technology
技術イノベーションにより、気候変動に対応した低炭素化/脱炭素化新事業の創出の機会、また技術革新によるプロセス改善による製品のコスト競争力強化の機会が生じる
移行機会・物理的機会 市場
Market
顧客/消費者選好の変化(低炭素化製品への事業切替、既存事業が回避される可能性)を的確に捉え、ライフスタイルの変化を先取りした新製品/新サービスを開発する機会が生じる
移行機会・物理的機会
バリューチェーン
Upstream / downstream
顧客~サプライヤーと有機的に連携して、製品のライフサイクル全体で気候変動に対応(適応・緩和)すると、新たなビジネス・システムを創出する機会が生じる

シナリオ分析

TCFD提言は企業に対して、将来における不確実な条件下で複数のシナリオを用いて可能性のあるリスクや機会を特定し、自社に対する影響と戦略のレジリエンス(強靭性)を示すことを求めています。
様々な国際機関が策定した気候変動シナリオがありますが、今般DICグループでは以下の通り参照シナリオを用いながら2℃シナリオと4℃シナリオの2つのシナリオを設定し、主要事業を対象としてシナリオ分析を実施しました。

設定シナリオ 2ºCシナリオ 4ºCシナリオ
参照シナリオ 国際エネルギー機関(IEA)による
①WEO2018のSDS(持続可能な発展シナリオ)
②ETP2017の2DS(2℃シナリオ)
国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による
①気候変動予測シナリオRCP8.5
イメージされる社会 2℃シナリオでは、今世紀末までの平均気温の上昇を産業革命以来2℃以内に抑制するため、大胆な政策や革新の下持続可能な発展を実現していく社会 4℃シナリオでは、今世紀末までの平均気温の上昇が産業革命以来4℃に達し、温度上昇による物理的な事業環境の変化が想定される社会
分析対象期間 2030年まで 2030年まで
カーボンプライス ¥8,000/ t-CO2

シナリオ分析結果Opportunity Risk

主な事象や社会の変化 リスクと機会の評価 DIC グループの対応
2ºC シナリオ政策・規制の強化 カーボンプライシングの導入(直接製造/原料購入) 今回のシナリオ分析での試算によると、直接製造でみると最大50.3億円の製造コストに影響(2018年CO2排出量は617,964t/年)※

備考:原料購入分の想定調達コストの影響可能性としては118億円(2018年 Scope3 カテゴリー1の実績推定 1,480,561t/年)
Opportunity Risk
Opportunity Risk
  • カーボンプライスは世界共通で導入されると想定し、コスト競争力自体は維持
  • よりコストアップを吸収しやすい高機能化を進め、カーボンプライス影響の軽減化を図る(自動車・エレクトロニクス/ディスプレイ関連・ヘルスケア・化粧品顔料等多分野で推進)
Opportunity Risk
  • 環境・社会的価値を測るサステナビリティ指標を用いて、低炭素貢献製品(サステナブル製品)を推進
  • 自動車販売台数の増加とEV化の進行で、PPSコンパウンド等の主力事業の需要拡大
2ºCシナリオサーキュラーエコノミーによる需要の変化 One Way プラスチックの世界的な排出抑制
ブランド・オーナーの容器包装の削減
プラスチックの一部(ワンウェイプラスチック)の需要は減少
一方、プラスチック代替の需要拡大、プラスチック以外の用途の影響は軽微
Opportunity Risk
  • パッケージ向け材料などの主力製品は、プラス チック/プラスチック代替いずれにも対応可能。バリア機能等様々な機能で差別化を図り事業展開
  • 生分解性、バイオ原料等に代表される新たな要請(需要)に向けた事業開発・推進
再生プラスチックの生産、流通量の増加 将来需要の変化は現時点では不明だが、商流に参入していないと将来市場の機会を失うリスクあり Opportunity Risk
  • 顧客とのタイアップ等を志向し、ケミカル・リサイクルやマテリアル・リサイクルへの検討を加速
Opportunity Risk
  • 技術革新で、製品のリサイクルを容易する素材配合の革新等高付加価値化に注力
2ºCシナリオ直接生産/サプライチェーンにおけるCO2 排出削減要請への対応 省エネ・再生可能エネルギー設備の導入 各年省エネ・再エネ設備投資(計20億円/年)を実施(直接生産)
生産における弛まぬCO2 削減活動は、化学企業として市場の評価・信頼維持のためにも重要
(短期的には投資負担も、各実施案件の投資回収は織り込み済み)
Opportunity Risk
  • 2013年~2030年にCO2排出量30%削減(Scope 1, 2)を掲げている為、達成に向け省エネ・再エネ設備投資は継続
  • 一方、2013年~2030年で抑制するCO2 排出量分のコスト削減効果は23.1億円(排出削減量は289,000t/年)
長期視点では、2050年ネットゼロへの要請スタート 世界は1.5℃目標を目指したCO2 排出削減が始まり、この流れはサプライチェーン(顧客からの商流)を通じても要請されるリスク高まる Opportunity Risk
  • 将来の1.5℃目標も視野の新SBT への対応の検討と、実行力の向上
  • 社内カーボンプライシング適用により省エネ投資の増加とCO2 削減パフォーマンスの向上
4ºC シナリオ気象災害の増加による原料調達の影響 気象災害の頻発化(台風・高潮/洪水・海面上昇他)により、サプライヤーの工場生産停止
植物由来原料の供給が停止
  • 一部海外原料、モノポリー原料依存事業では安定調達リスクに直面
  • 一方、大部分の製品は技術/購買部門で連携し、代替原料等の対応が可能となっている
Opportunity Risk
  • 重要製品原料については、複数地域での2社購買やBCP対策の充実・強化
  • 重要製品については、原料・製品の在庫対策も含め対応
4ºCシナリオ気象災害の増加による工場操業への影響 気象災害の頻発化(台風・高潮/洪水・海面上昇他)により、自社工場の生産停止地下水資源の枯渇
  • 生産拠点が世界各地に分散しているため、多くの製品で生産補完性あり供給停止リスクは小さい( ただし一部の主要製品は一極生産のため、影響あり)
  • 水リスクの高くなる懸念のある地域では対策が必要である
Opportunity Risk
  • 印刷インキをはじめとして、世界各地に生産拠点を配置
  • 高潮・洪水等の際の港湾設備利用については、他社との連携による影響の軽微化を推進
  • BCP 訓練の強化とさらなる沿岸地域立地事業所の対策の強化
  • 水リスク対策の実施
損害保険料金の高額化 支払い保険料が増加する Opportunity Risk
  • サステナブル製品の強化・拡充により収益性を向上
4ºCシナリオ気温上昇によるライフスタイルの変化への対応 気温上昇によるライフスタイルの変化(消費行動の変化→製品需要への変化)
  • 既存製品には、消費行動変化の影響で需要減の可能性あるが、幅広い需要業界に展開しているので、リスクは小さい
  • 一方、高気温下の新たなライフスタイルに対応した新たな需要増の機会は大きい
Opportunity Risk
Opportunity Risk
  • 気温の上昇により、遮熱関連事業の需要拡大
  • 食生活の変化も想定され、飲料業界向け需要の拡大、冷凍食品など需要拡大
  • 健康志向によりヘルスケア・ライフサイエンス分野の需要拡大
  • 数値はシナリオ分析実施時の2018年実績に基づく。2019年度実績では、CO2排出量が577,056t-CO2のため、同条件でのカーボンプライシングの影響額は最大46.2億円となります。

COMMENT

シナリオ分析に関して(ESG部門長のメッセージ)

執行役員ESG 部門長 向瀬 泰平

DICグループでは気候変動課題への対応の重要性を認識し、2019年に新たに見直したマテリアリティにおける最重要課題の一つに位置づけています。当社グループが持続可能に発展していく上で慎重かつ十分に対応する必要があるとして、今般初めてTCFD提言で求められる「シナリオ分析」を行いました。
検討を通じてカーボンプライスや物理的リスク等の課題の理解と同時に、当社主力製品(パッケージ材料等)が、「プラスチック」や「紙」などの単一素材に限らず多くの媒体を対象に展開することから事業のレジリエンス(強靭性)も確認しています。今後もライフスタイルの変化に対応する事業の強化とリスクへの対策を適切に進め、情報開示を通じてステークホルダーの皆様のご理解を深めていきたいと考えています。

執行役員ESG 部門長 向瀬 泰平

03リスク管理

リスクを識別および評価するプロセス

DICグループでは2018年まではサステナビリティ委員会の直下に「リスクマネジメント部会」が設けられ、リスクマネジメントシステムに基づき会社全体を包含する重要リスクの抽出と対策に取り組んできました。
気候変動の課題は、2018年以前のリスクマネジメント部会では気候変動によりもたらされる大規模自然災害リスクを中心に把握され、19の重要リスク項目の一つにあげていました。
2018 年6月に、サステナビリティ委員会の直下に新たに「サステナビリティ部会」を設置し、会社の財務に影響を及ぼす重要性の観点から、会社全体を包含する重要リスクと重要な機会の抽出・評価を行っています。(マテリアリティの抽出・評価と連動)
重要リスクと機会の評価(マテリアリティ評価)は、サステナビリティ委員会で審議の上決定し取締役会に報告しています。
2019年に新たに見直したマテリアリティ抽出プロセスの中で、気候変動課題は「気候変動への緩和と適応」両面の観点からその重要性が認識され、4つのマテリアリティ(最重要課題)の一つにあげています。

リスクを管理するプロセス

DICグループでは、気候変動課題は、4つのマテリアリティの最重要課題の一つとして、その取り組みの進捗を定期的にサステナビリティ部会で議論し、さらにサステナビリティ委員会に報告して審議・承認を行っています。進捗を評価する項目として具体的には、1)CO2排出量の削減目標に対する進捗、2)TCFDの要件に照らした活動の進捗、3)Scope3の把握などを進めています。
TCFDの要件に照らした活動において、シナリオ分析の実施も包含され2℃シナリオ、4℃シナリオに基づく検討を行う中で移行リスク・物理的リスクを各々認識するリスク評価を行っています。

04指標と目標

DICグループは、事業所から排出する温室効果ガスの削減を中計経営計画(DIC111)で公約しています。事業所では、製造・補管・技術が一丸となって取り組む省エネルギー活動と、再生可能エネルギー(バイオマス燃料、太陽光・風力発電、低炭素電力など)の導入を推進し、CO2排出量の削減に取り組んでいます。その活動実績を公開し、また第三者機関によるCO2排出量の検証を継続的に実施しています。

中期経営計画(DIC111)で公約した目標(2013年~2030年のCO2排出量削減)

DICグループではこれまでも「事業所での省エネルギー施策のたゆまぬ実行」を推進してきました。
2013年~2030年に30%のCO2排出量を削減する新たな削減目標を公約するにあたり、バイオマスボイラや太陽光発電といった「再生可能エネルギーの積極的導入」や「低炭素な電力の購入」を活動の柱に加えて取り組んでいます。
この新たな目標は、パリ協定で日本が公約した「2030年度までに2013年度比26%削減」を上回る目標で、これを達成することで化学メーカーとしての社会的責任を果たすというDICの強い決意を示すものです。DICグループは、グループをあげて目標の完遂を目指します。

気候変動

主な取り組みの目標と実績

事業所におけるCO2排出量の削減(Scope1・2)

2019年度 目標 DICグループは事業所で排出するCO2排出量(Scope1&2)を、2013年度を基準年として2030年度までに30%削減する(年平均2.1%削減)
2019年度 実績 CO2排出量の削減
  • 前年度比 6.6%削減(617,964 ⇒ 577,056 t-CO2
  • 2013年度比 20.2%削減(722,955 ⇒ 577,056 t-CO2
評価 ★★★
★★★
2020年度 目標 DICグループは事業所で排出するCO2排出量(Scope1&2)を、2013年度を基準年として2030年度までに30%削減する(年平均2.1%削減)
2019年度 目標 グローバル目標に準拠し、国内事業所で排出するCO2排出量(Scope1&2)を、2013年度を基準年として2030年度までに30%削減する(年平均2.1%削減)
2019年度 実績 ①CO2排出量の削減
  • 前年度比 4.8%削減(231,820 ⇒ 220,776 t-CO2
  • 2013年度比 9.7%削減(244,377 ⇒ 220,776 t-CO2

②エネルギー消費原単位の削減

  • 前年度比 5.1%削減(3.904 ⇒ 3.706 GJ/t)
  • 2013年度比 11.1%削減(4.170 ⇒ 3.706 GJ/t)
評価 ★★★
2020年度 目標 ①CO2排出量の削減グローバル目標に準拠し、国内事業所で排出するCO2排出量(Scope1&2)を、2013年度を基準年として2030年度までに30%削減する(年平均2.1%削減)
②エネルギー消費原単位の削減(国内省エネ法遵守)2013年度を基準年として2030年度時点にエネルギー消費原単位を17.0%削減する(年平均1.0%削減)

【参考】DICグループ:CO2排出原単位の削減は

  • 前年度比 7.4%削減(291.5⇒270.0 kg-CO2/t)
  • 2013年度比 17.4%削減(327.0⇒270.0 kg-CO2/t)

国内DICグループ:CO2排出原単位の削減は

  • 前年度比 8.1%削減(212.7⇒195.6 kg-CO2/t)
  • 2013年度比 15.6%削減(231.7⇒195.6 kg-CO2/t)
  • 「評価」は、進捗度に関する自己評価によるものです。
    [ 評価マークについて ] ★★★…非常に良好 ★★…順調 ★…要努力

基本的な考え方

DICグループは、製品のライフサイクル全般を通じたCO2排出量の削減に取り組むとともに、事業活動を通じて気候変動リスクの低減に努めます。

地球温暖化防止への取り組み

DICグループは気候変動問題を社会が直面しビジネスに影響を及ぼす最重要課題の一つと捉え、グループをあげて「省エネルギーと低炭素化の推進」に取り組み、事業所から排出する温室効果ガスの削減を中期経営計画DIC111(2019年発表)で公約しています。またグローバルに事業を展開する化学企業として、技術開発力を駆使して低炭素社会に貢献する製品開発に取り組んでいます。
パリ協定の採択(2015 年)以降、金融市場では気候変動との関連で金融不安/リスクが拡大し、これを低減するために2017 年にTCFD提言書が公表されました。DICグループは2019年5月にTCFD提言の趣旨に賛同を表明し、同提言に沿った情報開示を推進します。

  • TCFD提言書:TCFDはTask Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォース)のことで、同組織は金融安定理事会(FSB)の要請により、中長期的に企業の財務に影響を与える気候関連のリスクと機会の適切な開示を企業に求める提言を2017年6月に公表している。

地球温暖化防止への取り組み

気候変動の要因とされる地球温暖化は深刻さを増す中、DICグループは温暖化対策は化学企業として経営の根幹を成すものと考え、以下の通り活動に取り組んでいます。

  • グループ一丸となった活発でたゆまぬ省エネ活動の推進
  • 全社省エネワーキンググループ活動を通した効果的な施策の水平展開
  • 省エネ性の高いコージェネレーション(熱と電力の併給設備)の稼働
  • 条件の適した事業所への再生可能エネルギーの積極的導入(バイオマスボイラ、風力発電、太陽光発電)
  • 海外を含むDICグループ各社への省エネ診断実施と省エネ施策の展開支援
  • 設備新増設時における省エネ性の高い設備の導入とルール化(環境価値投資)
  • 国内DICグループ32事業所(+オフィス・研究所20拠点)のうち16事業所が国のエネルギー管理指定工場となっています。

推進体制

DICおよび国内DICグループ各社では、各事業所に省エネルギー推進委員会を設置し、活動の進捗確認・討議・省エネパトロールなどを実施しています。また、各事業所の選抜メンバーで構成する省エネルギーワーキンググループを設けて、情報交換・新規省エネアイテムの調査と効果検証、さらには他事業所への水平展開などに取り組んでいます。この事業所単位の活動と全社横断的な活動の連携によってCO2排出量の削減を進めています。
海外DICグループでは、各社が各地域でグループ方針に基づく取り組みを行い、DIC本社生産企画部がマネジメントシステムの運営や人材教育など多様な側面からサポートしています。
また、重要な取り組みについては、社長執行役員直轄で運営するサステナビリティ委員会において審議および進捗報告を行っています。

2019年度の主な活動

01DICグループのエネルギー使用量とCO2排出量の実績(グローバル)

DICグループ(グローバル)における2019年度の実績は、エネルギー使用量は前年比1.7%減少(2013年度比14.2%減少)しました。CO2排出量は同6.6%減少(同20.2%減少)して577,056トンでした。生産数量1トン当たりのCO2 排出量を指標化したCO2排出原単位も同7.4%減少(同17.4%減少)して270.0kg-CO2/tでした。
DICグループの生産品は、インキ・ポリマ・顔料・液晶・エンジニアリングプラスチック・コンパウンドなど多種多様です。最近の傾向として、生産工程でエネルギーを多く必要とするファインケミカル製品が増加傾向にあり、比較的エネルギーを必要としない汎用製品のウエイトが減少傾向にあります。
このような状況の中でCO2排出量を年度目標以上に削減できたのは、新たなCO2削減目標(2013年度比2030年度までに30%削減するために、現中期経営計画(2019-2021年度)では2018年度比で年平均2.1%削減)を国内外の事業所で活動方針にブレークダウンし、今まで(過去は年平均1%削減目標)以上に積極的な省エネ・低炭素化施策に取り組んだ成果の現れと言えます。
取り組みの概要については次項以降で後述します。
今後も引き続き高効率設備の導入や工程改善、設備稼働率の向上といった省エネ施策を実施するとともに、バイオマスなどのクリーンな燃料への転換や太陽光発電の導入といった再生可能エネルギーの採用を増やしていく計画です。

CO<sub>2</sub> 排出量の増減要因について
DICグループの再生可能エネルギーによるCO<sub>2</sub>排出量削減推移(グローバル)

02国内におけるエネルギー使用量とCO2排出量

国内DICグループ(DIC+グループ会社の52事業所)における2019年度の実績は、エネルギー使用量は前年比1.7%減少(2013年度比4.9%減少)しました。生産数量1トン当たりのエネルギー使用量を指標化したエネルギー消費原単位は同5.1%減少(同11.1%減少)して3.706GJ /tでした。
一方、CO2排出量は前年比4.8%減少(同9.7%減少)して220,776トンでした。生産数量1トン当たりのCO2排出量を指標化したCO2排出原単位も同8.1%減少(同15.6%減少)して195.6kg-CO2/tでした。
CO2 排出量を大幅に削減できた要因は、事業所における省エネ施策を551件実施したことに加えて、館林工場など5 事業所に新たに設置した太陽光発電設備(1,440kW)が稼働したことが大きな要因と言えます。なお、2019年度時点の太陽光発電能力は計3,040kW(全量自家消費)に増加しました。
その他の増減要因として、①国内DICグループの生産数量は前年比3.4%減少しましたが、前年よりも比較的エネルギーを多く使用する製品群が増加(高原単位化)したため、生産数量要因でのCO2増減はほぼ前年並みでした。
②千葉工場において、ロータリーキルンによる産廃焼却量(廃油・廃プラ)が前年より減少したため、産廃焼却に伴うCO2排出量が減少しました。そのインパクトは前年度国内DICグループCO2総排出量の2.0%に相当します。産廃焼却量が減少した要因は、汚泥の乾燥率を改善したことが寄与しました。
③国内DICグループが電力会社から購入する電力量は年間201百万kWh(契約電力量は約5万kW/時)ですが、毎年更新する電気需給契約はコストだけでなくCO2排出係数の低いサプライヤーを選定評価基準としています。2019年度は前年より低炭素な電力の購入ができて、前年度国内DICグループCO2総排出量の1.4%に相当する効果がありました。購入電力の低炭素化は引き続き取り組んでまいります。

CO<sub>2</sub>排出量の増減要因について(国内DICグループ)
Key Energy-Saving Initiatives in Japan in Fiscal Year 2019

03国内における再生可能エネルギーの導入推進状況について

【国内消費エネルギーの11.0%を再生可能エネルギーで】

国内DICグループにおける再生可能エネルギーの大半は、鹿島工場の再生可能エネルギー設備(バイオマスボイラ、風力発電、太陽光発電)によるものです。国内DICグループで消費するエネルギー(熱・電気)のうち、11.0%は再生可能エネルギーで賄っています。
2019年度は519千GJ(原油換算量13,391㎘)と残念ながら前年度比で11.5%減少しました。
前年度比で減少した要因は、鹿島工場における ①風力発電設備(2,300kW×2基)の修理に2~3ヶ月要したため発電量が大幅減少したこと、②バイオマスボイラのパフォーマンス効果が前年より減少したこと、があげられます。
2019年度は新たに国内5事業所(館林、千葉、埼玉、総研、四日市)に計1,440kWの太陽光発電設備を導入(全量自家消費)しました。
国内事業所に設置した太陽光発電の発電能力は2019年度時点で3,040kWとなり、発電量も前年比で71%増加(1,968⇒3,364千kWh/年)しました。
これら国内DICグループで導入している再生可能エネルギーのCO2削減効果は、2019年度で32,146t-CO2となり、国内DICグループのCO2総排出量の12.7%を再生可能エネルギーで削減した計算になります。
2020年度も新たに国内6事業所(堺、小牧、総研に加えて関係会社のDIC九州ポリマ、DIC北日本ポリマ北海道工場および東北工場)に計1,277kWの太陽光発電設備を導入(全量自家消費)し、今年1月から発電を開始しています。
今後も「2030年度のCO2排出量を2013年度比30%削減」という中長期目標の達成に向けて、再生可能エネルギーを積極的に導入していきます。

国内DICグループの再生可能エネルギーによるCO<sub>2</sub>排出量削減推移
国内DICグループの再生可能エネルギーによるCO<sub>2</sub>排出量削減推移
太陽光発電の導入実績について

04国内DICグループの自家発電力量について

国内DICグループで2019年度に消費した年間電力量は27,097万kWh(前年比2.9%減少)でした。その内の約25.1%(再エネ8.3%、コージェネ16.8%)は自家発電で賄っています。自家発電量は太陽光発電が増加しましたが、風力発電の稼働減少が影響し、前年度比で0.9%減少しました。

平成30年度新エネ大賞「新エネルギー財団会長賞・導入活動部門」受賞

2018年12月、DICは「平成30年度新エネ大賞」(主催:一般財団法人新エネルギー財団)において、鹿島工場の再生可能エネルギー利用率の高さが評価され、「新エネルギー財団会長賞・導入活動部門」を受賞しました。この表彰制度は、新エネルギーの導入促進・普及啓発を図るため、優れた事例を表彰するものです。
鹿島工場は、バイオマス発電・メタンガスボイラ・風力発電・太陽光発電など様々な再生可能エネルギー設備を導入し、消費電力(電気)の50%と消費熱量(熱)の80%を再生可能エネルギーで賄い、年間3万6,000t以上のCO2排出量を削減しています。
工場のエネルギー供給部署では、バイオマスおよびメタンガスボイラなどの燃焼効率の向上を目指し、保守管理技術のレベルアップとノウハウの蓄積に継続的に取り組んでいます。
今回の受賞は、こうした地道な努力が成果に結びついたもので、今後も鹿島工場で培ったノウハウを国内外の事業所へ展開し、再生可能エネルギー導入と利用率向上により温室効果ガスの排出量を削減していきます。

鹿島工場での再生可能エネルギーによるCO<sub>2</sub> 排出削減量

05オゾン層対策

代替フロンの「HFC(ハイドロフルオロカーボン)」は、機器・設備の冷媒として広く普及しています。しかし、HFCはオゾン層破壊物質ではないとはいえ、CO2の100倍~10,000倍以上の温室効果があり、HFCによる影響で今世紀末までの平均気温上昇は、摂氏約0.5℃分と推計されています。
このような中で、2016年10月、ルワンダのキガリで開催された「モントリオール議定書」の第28回締約国会議においてHFCの生産および消費量の段階的削減義務を定める改正(キガリ改正)が行われました。これに伴い、日本でもオゾン層保護法が改正されました。キガリ改正は日本を含む65ヶ国が締結(2019年1月10日現在)。20ヶ国以上の締結という発効条件を満たしているため、2019年1月1日に発効されました。
日本国内においては、2015年4月にフロン回収・破壊法が改正され、フロン排出抑制法が施行され、漏えい量把握と報告が義務化されています。
国内DICグループの2019年度の漏えいフロン量はCO2排出量換算値で886トン(1事業所または1企業の漏えい量が1,000トン以上で国に報告義務あり)でした。漏えいフロン量はフロン排出抑制法が施行された2015年度から管理を行っていますが、これまでは国への報告義務が必要な水準以内を維持しています。
なお、2019年度は古いチラー(冷凍水製造装置)の更新台数が多かったため、例年より漏えいフロン量が増加しました(新品時フロン充填量 - 撤去時のフロン回収量 = 漏えいフロン量として計上)。
DICグループは、空調機器選定時においてノンフロンなど環境負荷の低い冷媒を選定することに努め、漏えいフロン量の削減に取り組んでまいります。

06海外におけるエネルギー使用量とCO2排出量

海外DICグループにおける2019年度の実績は、生産数量が前年比2.1%減少する中でCO2排出量は前年比7.7%減少(2013年度比25.6%減少)し、CO2排出原単位も同5.7%減少(2013年度比14.7%減少)しました。一方、エネルギー使用量は同1.7%減少(2013年度比19.2%減少)でした。
CO2排出量が減少した要因は、①各社がDICグループのCO2排出量削減目標をブレークダウンして省エネ低炭素化活動を推進②米国(Sun Chemical社)において約800kWの太陽光発電設備を導入 ③海外事業所に適用する電力CO2排出係数をIEA公表値に則り変更 などの施策が大きく寄与しました。

海外DICグループでは、各国・地域のインフラ事情や法規制が異なる中で、化学工業界の先進的な事例となるようエネルギーの削減・効率的な運用に取り組んでいます。
海外DICグループの事業所では着実に省エネ活動が定着してきており、①生産効率化 ②ベースロードの削減 ③設備更新時における高効率機種の選定 ④照明のLED化推進など、省エネ活動が活発化しています。加えて、再生可能エネルギーの導入事例も増加し、2019年度は米国(Sun Chemical社)において約800kWの太陽光発電設備を導入しました。
一方、DIC本社では、省エネ診断や個別プロジェクトの支援を通じて、海外DICグループ会社との連携をさらに強化しています。2019年度はAP地区2事業所(マレーシア:DICコンパウンドマレーシア、DICエポキシマレーシア)と中国地区1事業所(中国:DIC合成樹脂(中山))を訪問し、省エネ診断を実施しました。省エネ診断に際しては、全社で培った省エネ技術の水平展開と、訪問事業所における良い事例(グッドジョブ)の収集と全社への紹介を心がけており、良い事例を自らの工場に導入するプロセスを若手人材育成(人づくり)の場としても活用しています。

アジアパシフィック(AP)

AP地区の22事業所が排出するCO2排出量は、DICグループ全体の18%を占め、2019年度は、生産数量が前年比3.2%減少(2013年度比1.9%増加)する中で、エネルギー使用量は同6.6%減少(2013年度比4.5%増加)し、CO2排出量は同10.9%減少(2013年度比7.8%減少)しました。AP地区ではエネルギー原単位が比較的高い顔料製品のマザープラントがインドネシアにあります。この事業所のエネルギー使用量とCO2排出量はAP地区全体の50%を超えるウエイトゆえに、当事業所のAP全体の影響度は非常に大きいといえます。そのため当事業所では、①燃料として使用する石炭の一部を2016年からバイオマス燃料であるヤシ殻にして置換してCO2排出量を削減、②ISO50001(Energy Management System)の認証を取得して積極的に省エネマネジメントを実行しており、AP地区全体のCO2排出量削減に貢献しています。
DICのエネルギーマネジメントとして、2014年度以降、毎年、省エネ診断を日本国内事業所だけでなく海外関係会社にも実施してきています。2019年度はAP地区ではマレーシアの2事業所(DICエポキシマレーシアとDICコンパウンドマレーシア)において省エネ診断を実施しました。
DIC本社はCO2排出量削減目標達成に向けて①各事業所の省エネ計画の立案と実行 ②省エネ診断の継続実施(省エネテーマの発掘と実行支援) ③エネルギー管理の実用マニュアルと省エネ事例集の展開(管理定着と水平展開) ④条件の適した事業所を対象にした省エネ・低炭素化プロジェクトの立ち上げを促し、その支援を行っています。

省エネ診断(DICエポキシマレーシア)

省エネ診断(DICエポキシマレーシア)

省エネ診断(DICコンパウンドマレーシア)

省エネ診断(DICコンパウンドマレーシア)

中国

中国地区の18事業所が排出するCO2排出量は、DICグループ全体の9%を占め、2019年度は、生産数量が前年並み(2013年度比7.5%増加)の中で、エネルギー使用量は同5.5%減少(2013年度比6.0%増加)し、CO2排出量は同10.8%減少(2013年度比3.8%減少)しました。生産数量が前年並みの中でエネルギー使用量が同5.5%も減少した要因は、中国地区で大規模事業所に類する南通DIC 色料(顔料およびインキ製造)、常州華日新材(合成樹脂製造)の省エネ実行によるエネルギー原単位改善が大きく寄与した成果と言えます。
また、2017年に400kWの太陽光発電を導入した青島DIC 液晶(液晶材料製造)も、それ以降に実施した省エネ対策(空調・照明機器の計画的更新)の結果、エネルギー原単位を大きく改善しました。それらの結果がCO2排出量前年比10.8%減につながったものと言えます。
DIC本社の横串としてAP地区と同様に省エネ診断を2014年度以降、毎年実施しています。2019年度は華南地区にあるDIC合成樹脂(中山)を対象に省エネ診断を実施しました。

省エネ診断(DIC合成樹脂(中山))

省エネ診断(DIC合成樹脂(中山))

欧米

欧米(アフリカ含む)地区の122事業所が排出するCO2排出量は、DICグループ全体の34%を占め、2019年度は、生産数量が前年比2.4%減少(2013 年度比1.7%減少)する中で、エネルギー使用量は同1.3%増加(2013年度比21.0%減少)し、CO2排出量は同5.4%減少(2013年度比27.3%減少)しました。
欧米では、これまで①バイオマス燃料(ランドフィルのバイオガス)の活用 ②太陽光発電・小水力発電の活用 ③省エネコンサルティングなどアウトソーシング手法を用いた省エネ推進、といった施策を実施してきているばかりではなく、④世界各地に点在する生産拠点の集約化や生産効率化に取り組んでおり、その成果が顕著に出た2014年度以降も引き続き取り組みを継続しています。

サンケミカルのサステナビリティのアプローチ

サンケミカルでは環境への影響を考慮して、より持続可能な生産プロセスや製品の開発に向けた事業革新に取り組んでいます。生産プロセスについては、廃棄物の削減やエネルギーと水の使用量の削減、および安全性能の向上等が図れるように、温室効果ガス排出量、エネルギーと水の消費量、カーボン・フットプリントの測定、安全実績の把握などに積極的に取り組んでいます。各国の規制要件を満たし、持続可能性をより明確に定義と評価を行い促進するために、サンケミカルは自分たちの持つバリューチェーンにおいて、政府、業界、および取引先パートナーと、能動的かつ積極的に協業を進めます。
サンケミカルにとって、プロダクト・スチュワードシップとリスクマネジメントはサステナビリティ方針の重要な要素です。責任ある分析に基づくアプローチを継続的に行っていくことで、サンケミカルはこの分野のリーダーとしての責務を果たします。
またこうした努力を弛まなく継続することで、私たちはお客様の生産プロセスや製品をより持続可能なものとし、環境に対する効率を高めていくことができます。「品質」、「サービス」、「イノベーション」および「持続可能性の実現」に向けた当社の長年の努力は、私たちの日々の業務と、世界での私たちの戦略的方向性の両面において良い影響を及ぼすと考えています。
サンケミカルグループは親会社であるDICとともに、CO2排出量レベルを2030年までに少なくとも30%低下させるという長期の戦略目標を掲げています(京都議定書(1990-2012)以降の国際的な枠組み(パリ協定)に基づきベースラインを2013年としています)。このレベルの削減が、すべての産業にわたって実施されるとすれば、気候変動の影響を産業革命以来2.0℃の増加に制限することが可能です。目標を達成するために、サンケミカルは、製造工程における効率化に日夜努力するとともに、再生可能なエネルギーへの投資を重点的に行います。

サンケミカルにおける再生可能なエネルギーへの投資として太陽光パネルの導入

サンケミカルは、Onyx Renewable Partners 社と電力購入契約(PPA)を締結して、ニュージャージーにあるR&Dセンターの駐車場の建物の屋根と車庫の天蓋に太陽光パネルを設置しました。このクリーンエネルギーの利用は、同施設のカーボン・フットプリントの削減をもたらすと予測されます。この設備は2017年秋より計画を開始し、2018年1月に竣工、2018年3月に稼働を開始しました。
サンケミカルは、現在カールスタットの事業所で年間を通じた太陽光パネルの操業体制を完成し、晴天の日には、そこで電力需要の90%を生み出すことができます。この太陽光発電で、2018年5 月14日から2019 年5月13日の1年間に871MWhの電力を発電しました。これは、CO2排出量を、1,358,092ポンド(616トン)削減したと推定することができます。

カールスタットのR&Dセンターに設置した太陽光パネル

カールスタットのR&Dセンターに設置した太陽光パネル

海外DICグループでも導入が進む再生可能エネルギー

世界的な脱炭素社会への潮流を背景に各国とも再生可能エネルギーの普及に力を注ぎ、欧米・アジアパシフィック・中国に展開するDICグループ各社は、各国の助成・支援制度も活用してバイオマスボイラや太陽光発電などの導入に取り組んでいます。
2019 年度は新たに2,320kWの太陽光発電設備(日本1,440kW、米国800kW)が稼働しました。2020 年度も1 月から新たに約1,277kWの太陽光発電設備が稼働しました。DICグループが国内外で保有する太陽光発電設備の発電能力(自家消費分)は2020 年1月時点で6,445kW(日本4,341kW、海外2,104kW)となりました。今後も引き続きグローバルで太陽光発電設備の増設を進めていきます。
一方、既存の風力発電設備(鹿島工場、2,300kW×2基)は、2019年度において点検整備期間が長引き約3ヶ月間稼働停止したため、発電量は前年比で34%減少(5,379⇒3,530千kWh/年)しました。
加えてバイオマスボイラ(鹿島工場、最大蒸発量30t/h+発電量4,000kW)で得る再生可能エネルギーも前年比で12%減少(514,466⇒451,751GJ/年)しました。
インドネシアの顔料工場で活用するバイオマス燃料(PKS=ヤシ殻)の使用も前年比で16%減少(58,308⇒48,738GJ/年)しました。これは主燃料である石炭の使用量が減少したことに伴うもの(石炭との混焼比率が一定のため)ものです。
これらの結果から、2019 年度のグローバルでの再生可能エネルギーは、650,996GJ(前年度728,183GJ)となり、前年度比10.6%減少しました(再生可能エネルギーによるCO2削減量はグローバルで40,611トンです)。 

生産活動以外(オフィス・研究所)の取り組み

国内DICグループのオフィス・研究所は21事業所(総合研究所除く)ありますが、2019年度のエネルギー使用量は前年比で6%減少しました。特に21地点の中でもっともエネルギー使用規模が大きいDIC本社で同3%削減。関係会社の星光PMC株式会社のオフィス・研究所8地点のエネルギー使用量は同13%減少(主に千葉研究所の空調照明システムの高効率機種へのリプレイスが寄与)しました。全般的に取り組んだ省エネ施策は、①古くなった照明器具や空調機器をトップランナー基準に準拠した高効率タイプにリプレイス、②照明の不要時消灯やエアコンの温度設定を夏28℃・冬22℃に徹底、③ビル管理会社と協働で「こまめな」省エネ活動に取り組みました。また、④2019年度もクールビズ・ウォームビズを実行しました。

サプライチェーンにおけるCO2排出量の把握

サプライチェーンを通じたCO2間接排出量(Scope3)については2017年度、環境省SBT設定支援事業を介して算定のレクチャーを受けました。その結果、DIC グループ(グローバル)のCO2間接排出量に該当する全カテゴリーを把握しました。その中の「事業から出る廃棄物」については第三者検証を得ています。

  • Scope3:製造・輸送・配送・出張・通勤等の際に、企業が間接的に排出するサプライチェーンでのCO2排出量。