お客様とDIC ~社会課題のビジネス展開 8 働きがいも経済成長も 9 産業と技術革新の基盤をつくろう 11 住み続けられるまちづくりを

主な取り組みの目標と実績

ソリューション事業の提案

2020年度 目標 テクノロジーの変化を見越した次世代事業の構築により、サステナブルな社会づくりに貢献する
2020年度 実績 循環型かつ脱炭素社会の実現に向けて、プラスチックリサイクルの高度化に向けた国家プロジェクトへの参画を通じて、次世代のパッケージング事業を構想した
評価 ★★★
2021年度 目標 当社のコアコンピタンスを活用し、社会的価値と経済的価値の両面から次世代事業の成功確度を高め、循環型社会に向けた新たな社会のエコシステムづくりに貢献する
2020年度 目標 国内外で関連業界向けの展示会に出展し、DICブランド力向上に取り組むとともに、デジタル化を推進し、その効率化を図る
2020年度 実績 オンライン展示会への出展やオンラインセミナーの主催を通じて、コロナ禍においてもデジタル技術を活用した顧客接点の構築に努めた
評価 ★★★
2021年度 目標 国内外での展示会出展やデジタル技術の活用を通じて、顧客の潜在課題を発掘し、ソリューション事業の提案につなげる
  • 「評価」は、進捗度に関する自己評価によるものです。
    [ 評価マークについて ] ★★★…非常に良好 ★★…順調 ★…要努力

社会的ニーズに応える新事業の推進“New Pillar Creation”

DICグループは、気候変動や、デジタル社会、都市化、長寿社会など数多くの社会課題に対し、当社が果たすべき領域を特定し、課題の解決へと結びつける製品を世の中に提供することで、社会とDICグループ双方の持続的発展を追い求めることが使命であると考えています。
この使命をより明確に具現化すべく、中期経営計画「DIC111」では“Value Transformation”と“New Pillar Creation”という2つの事業開発ベクトルを導入しています。“Value Transformation”では、より差別化された高付加価値事業へのシフトや社会的価値を意識した事業への転換を通じ、基盤事業の質的転換を図るためのベクトルです。
一方“New Pillar Creation”は、社会課題と社会変革を起点に新たな事業を創出するために、これらとDICグループのコンピタンスとが交わる領域にフォーカスし、新事業のターゲットを定めるためのベクトルです。以下、社会課題を解決する新事業(社会課題のビジネス展開)の推進、“New Pillar Creation”の活動について紹介します。

“ New Pillar Creation”を実現する体制

デジタリゼーションを代表とする社会変革が叫ばれる昨今、目まぐるしいマクロ環境の変化を見据えた新事業の柱を早急に構築するには、事業創出プロセスを最大限高速回転させる、さらなる機動力の強化が必要です。一つの事業を創出し、かつ完遂させる部隊として、企画・開発から製造・販売までのすべての事業プロセスを担う体制を構築しました。
DICグループは、この実施部隊として新事業統括本部を新設し、4つの重点領域を特定し、DICの独創性で社会に役立つ製品による次世代事業の柱を築いていきます。
4つの重点領域には、各々の技術や業界に精通した精鋭を集結しました。専門性とコミュニケーションを高度化するとともに、産学連携や有力ベンチャーなどとのオープンイノベーションを積極的に活用し、新事業の早期樹立を推進していきます。

新事業統轄本部の4つの重点領域

社会要請に貢献する“New Pillar Creation”製品

01電子部材の高強度化や高い放熱性を実現し、CASEや5Gの普及に貢献 特殊板状アルミナフィラー“CeramNex(セラネクス)TMAP10を開発”

自動車やエレクトロニクスの分野においては、CASEや次世代通信規格5Gの普及に対応するため部品の小型化や高性能化が進んでいますが、これに伴って機器の内部で発生する熱の除去が重要となっています。アルミナフィラーは熱的安定性が高く、自動車や電子機器の部材の放熱用途などで用いられる充填材です。当社が独自の合成方法で開発したアルミナフィラーは、粒状や不定形な形状を呈する一般的なアルミナフィラーとは異なり、“高い結晶性”を有し、アスペクト比が高い“板状”であることが最大の特長です。そのため、他の形状のアルミナフィラーと比べ、少量の添加で高強度化が望めるため軽量化が実現できます。これにより部品の高性能化だけでなく、製品の省エネルギー化やCO₂排出量の削減にも貢献します。

  • CASEとは、自動車産業の変革を示すキーワードとして、自動車の次世代技術やサービスの新たな潮流を表す英語 の頭文字4つ「C =Connected(つながる)」、「A=Autonomous(自動運転)」、「S=Shared(共有)」、「E=Electric(電動)」を繋げた造語です。
板状アルミナフィラー「CeramNexTMAP10」

板状アルミナフィラー「CeramNexTMAP10」

02抗ウイルス・抗菌機能を有した「3Dプリンタ向け熱可塑性プラスチック材料」の開発提供

造形方法の技術革新や材料の多様化・高機能化などに伴い、試作品から最終製品まで用途が拡大する3Dプリンタ技術は近年ますます注目が高まっています。一方、新型コロナウイルス感染症の流行下においては、消費者の衛生面への関心の高まりから医療施設や公共施設だけでなく日常生活のあらゆる場面においても、抗ウイルス・抗菌製品の使用を求める声が多くなっています。DICグループでは、抗ウイルス・抗菌機能を有した3Dプリンタ向け熱可塑性プラスチック材料を開発しました。本製品は国際標準化機構(ISO)が規格する抗ウイルス性および抗菌性の国際標準に準じた試験において効果が確認されており、製品の表面に付着した特定のウイルスや菌の増殖を抑え、減少させることが可能です。熱可塑性プラスチック材料には柔軟性と耐摩耗性を有するポリウレタン樹脂を用いており、フェイスシールドやマスクなどの医療・介護や衛生用途での活用が期待されます。それ以外にもウイルス感染対策が求められ、かつお客様のニーズに応じてカスタマイズが必要な造形品への展開が可能です。今後は、電子・電気、スポーツ、日用品、住宅・建材、自動車など幅広い業界への展開を視野に入れ、安全・安心で快適な社会の実現に貢献していきます。

03循環型社会の実現へ、プラスチックのマテリアルリサイクル高度化に向けたパッケージ素材の研究開発

DICグループは、世界的な社会課題である廃プラスチックや海洋プラスチック問題に対し、サステナビリティ戦略として当社が対応すべき領域を定め、取り組みを強化しています。そのひとつとして、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公募した2020年度「革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発プロジェクト(以下、「本研究プロジェクト」)」における“材料再生プロセス開発”にて実証実験を開始しました。インキや接着剤などのパッケージング素材がプラスチックのマテリアルリサイクル特性に及ぼす影響について基礎的な研究を行い、さらにこの研究で得た知見をもとに、環境負荷の少ないインキや接着剤などの製品開発を目指した研究を行います。本研究プロジェクトへの参画を通じて、プラスチックごみ問題の解決にあたると同時に、プラスチックの高度資源循環の社会実装に貢献していきます。

TOPIC

サステナビリティを軸にスタートアップとともに作る未来

DICグループでは2016年にコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を設立し、破壊的イノベーションを含むユニークな技術力・ビジネスモデルを有し、社会やDICグループに貢献するスタートアップを世界各地から見出し、協業支援や出資を行っています。中でもサステナブルなビジネスの潮流の中で成長するスタートアップに注目しています。例えば、 2018年に出資した米国バイオベンチャー、チェッカースポット社は、微細藻類より材料を作り、これまでの石油由来材料を代替し、より持続可能な高性能製品の材料を生み出す技術を保有する会社です。同社のビジネスモデルは、製品が作られて廃棄されるまでを考慮して製品設計し、ソーシャルメディア活用で消費者のエコロジー、環境、サステナビリティへの共感反応を追跡する革新的なものです。当社はCVCなどのオープンイノベーションを積極的に活用することで、DICとともにサステナブルな社会を目指すパートナーシップを構築し、社会課題を解決する新事業創出 “New Pillar Creation”を推進していきます。

藻類ポリオールを使用したスキー板

藻類ポリオールを使用したスキー板

TOPIC

体外式膜型人工肺(ECMO)に用いられる中空糸膜の提供

DICは、新型コロナウイルス感染者のうち重症者の治療に用いられる体外式膜型人工肺(以下、「ECMO」)において、血液に酸素を供給する役割を担う中空糸膜を生産し供給しています。
人工肺は静脈血を灌流させ酸素を添加することで、血液を酸素化して体に戻すという本来生体内での肺の役割を担っています。中空糸膜は、中空糸を束ねたもので中空糸の外側に血液を流し、内側に酸素を流すことによって血液を酸素化します。当社の中空糸膜は、血栓塞栓症などを引き起こすリスクを効果的に抑制できる特殊なポリオレフィン樹脂を素材としており、1990年に人工肺用のガス分離膜として採用され て以来30年にわたり高い信頼性を得ています。
世界的に新型コロナウイルスによる重症呼吸不全の患者が増大している状況を鑑み、当社は医療現場に欠かせない医療機器の安定供給に貢献していきます。

  • 体外式膜型人工肺(ECMO)とは、ExtraCorporeal Membrane Oxygenationの略で、重症呼吸不全の患者に対して、ポンプと人工肺を組み込んだ体外循環装置を用いて、呼吸や循環の補助を行う方法。
ECMO に用いられる中空糸膜

ECMO に用いられる中空糸膜

DICグループの材料を身近に

DICグループの製品および開発品を、ステークホルダーに間近にご覧いただくため、毎年、主要な展示会に出展しております。
2018年は、ファインテックジャパン(幕張)、JPCAショー(東京ビッグサイト)、ケミカルマテリアル(横浜)で快適なデジタル社会をテーマにした新素材の提案、TOKYO PACK 2018(東京ビッグサイト)では海洋プラスチック問題をテーマにした新材料、外食FOOD TABLE(幕張)では健康・安全をテーマにした製品を出展しました。また海外では、自動車軽量化に訴求したプラスチック材料をPLASTINDIA 2018(ガンディーナガル)、China Plus 2018(上海)にて出展、その他にPaint India 2018(ムンバイ)、Security Printers 2018(ダブリン)、In-Cosmetic 2018(アムステルダム)等、特定セグメントに絞った数々の展示会にも出展し、マルチステークホルダーとの対話を促進いたしました。
今年も同様に、展示会を通じ、DICグループの製品、開発品、要素技術を紹介し、マルチステークホルダーの意見を吸収し、“DICならでは(DIC独自)”で解決し、社会に役立つ材料を提案していきます。

ファインテックジャパン

ファインテックジャパン

VOICE

あらゆる人々の持続可能な将来に向けた、次世代事業構築を推進

新事業統括本部 マネジャー 小林 伸生

新中期経営計画「DIC111」策定において、SDGsに代表されるサステナビリティを、如何に次世代事業の構築に組み込むか、多くの議論を重ねました。その結論の一つが、事業を評価する一つの軸、サステナビリティ指標の新たな導入です。サステナビリティと表現される持続可能性とは、誰にとってのものなのか。それは顧客のためだけでなく、CSRと呼ばれる社会に対する責任だけでもなく、それは製品を生み出す従業員を含む我々DIC グループと、製品をお使いになる顧客の皆様と、そして製品が最終的に貢献するこの社会、いずれもが、持続可能な将来に向かうものでなければなりません。DIC グループは、この考えに則った次世代事業の構築を推進します。

新事業統括本部 マネジャー 小林 伸生

TOPICS

DICの製品、知見をタイの交通安全に

WHO(世界保健機関)の統計(2015年)によると、タイの10万人当たりの交通事故死者数は36.2人で世界第2位、日本の約8倍にもおよびます。日本では、道路の安全対策の一つとして、ドライバーの視認性を高めるカラー舗装が多く用いられ、交通事故低減に効果を発揮しています。タイでも空港周辺や観光地周辺はカラー舗装が見られるようになりましたが、特に雨天時には対スリップ性が十分でないとの報告があります。そこでサイアムケミカル社(タイ)は、日系フォーミュレーターと共同で、カラー舗装の中でも日本で実績のある2つの機能を両立した「遮熱滑り止め舗装」を検証し、タイ政府機関への紹介を開始しました。2つの機能とは、1.スリップ抑制効果がある滑り止め機能、2.ヒートアイランド対策や道路の耐久性向上が期待できる遮熱機能です。
サイアムケミカル社(タイ)は、日本で培った技術をタイに展開する事により、タイにおける交通事故低減、さらにはヒートアイランド対策に貢献していきます。

遮熱滑り止め舗装

遮熱滑り止め舗装

サイアムケミカル社(タイ) 橋上施工部(空撮)

サイアムケミカル社(タイ) 橋上施工部(空撮)

遮熱滑り止め舗装の構成図

お客様とのつながり

DICグループは、社会から信頼されるグローバル企業を目指し、お客様とのコミュニケーションを重視・強化しています。主なコミュニケーションの場として、展示会やイベント、取引先向けの講演やワークショップなどを開催しています。
2020年度は新型コロナウイルス感染症の流行拡大を受け、展示会、説明会などのオンライン化を進め、国際的なプラスチック関連製品のバーチャル展示会として開催されたCAD REATEC 2020(9月)や、国内ではIPF Japan 2020(11月)などにオンライン出展しました。また、当社の欧州・米州地域の統括会社である米国サンケミカル社は、Flexo Tech Talk(10月)などのオンラインイベントに積極的に参加し、ウェブセミナーによるお客様向けの講演映像をオンラインで配信しました。日本、中国、アジアパシフィック地域においても、ウェブサイトを活用したお客様 向けの情報提供の充実、動画による製品紹介のご提供などを進めています。
さらに顧客満足度を示す指標の一つとして、2013年より運用している基幹システムを用いて、顧客が継続的にDICの製品を使用している割合を直近3ヶ年の販売データをもとに測定しています。顧客満足度の把握とその改善については継続的に取り組んでいます。

サンケミカル・ウェブセミナー

サンケミカル・ウェブセミナー

デジタルマーケティング

DICグループではデジタルマーケティング活動拡大に注力しています。コロナ禍で顧客と直接面談する機会が急激に減少したため、従来から実施している電子メールやSNSを活用したコミュニケーションを大幅に拡充したほか、潜在顧客からの要望・問い合わせに対応するため、ウェブサイト上にランディングサイトを開設するなど、ウェブサイトの充実も図りました。また、ウェブセミナーの実施やオンライン展示会への参加など、デジタル手段での新たな顧客アプローチを拡大しています。
2021年も国内外で様々なデジタル手段での顧客アプローチをさらに拡充し、デジタル時代への適応を進めてまいります。

関連リンク