水質源の管理
主な取り組みの目標と実績
生産活動に関する水リスクの管理を推進
2020年度 目標 |
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2020年度 実績 |
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評価 | ★★ ★★ |
2021年度 目標 |
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- 「評価」は、進捗度に関する自己評価によるものです。
[ 評価マークについて ] ★★★…非常に良好 ★★…順調 ★…要努力
方針および体制
基本的な考え方
DICグループでは、事業活動に関する水リスクを把握し、水資源の有効活用に取り組んでいます。
DICグループの事業において、水は多様な化学製品の製造過程で必要不可欠な資源の一つです。例えば、製造過程での加熱・冷却、製品の洗浄、化学物質の除外・排水設備等で水を取り扱います。DICグループでは、このような重要な水資源に関するリスクを把握し、水資源の有効活用に取り組んでいます。
2020年度の活動
地球上で利用可能な淡水は水資源全体の0.01%程度といわれ、水資源の節減・管理は世界共通の重要課題です。DICグループは、生産工程・空調・飲用などに上水・工業用水を取水し、国・地域の規制と同等以上の自主基準を設けて浄化処理し、河川等に排出しています。総合研究所(千葉県)では浄化した排水を回収し、研究用の中水として再利用することで、排水においてゼロエミッションを達成し、水資源への負荷低減に努めています。また、使用した水のリユース・リサイクルも推進しています。
DICグループでは2017年より水資源管理に関するデータ集計項目をGRIガイドライン※1に基づいて変更し、取水源および排水先ごとの把握を実施しています。
また、水リスクは、渇水、洪水、水質など地域においてリスクが異なることから、近年は、「地域の実情」と「拠点の操業」を加味した目標設定(Context-Based Water Target)が求められています。そこで、DICグループでは、この考え方に準拠したグローバル共通の水リスク評価方法を構築し、日本・中国・アジアパシフィックの各拠点をスクリーニング評価しました。具体的には、水リスクの種類を「渇水」「洪水」「水質」等に分類しました。そして、それぞれの項目に対して、各拠点の「地域の水リスク」と「操業上の水リスク」を2軸でマッピングし、評価しました。「地域の水リスク」はAqueduct※2で評価し、「操業上の水リスク」は当社の調査票により評価しました。このスクリーニングの結果、4拠点がリスク候補として抽出されましたが、さらに詳細なヒアリングや打ち合わせを行い、すべての拠点において低リスクあるいは対策済みであることを確認しています。このスクリーニング評価は、これからも定期的に実施していきます。今後もこれらの取り組みを拡充しながら、貴重な水資源の保全と水リスク管理を促進していきます。
DICグループでは、水のリスクと管理に関わる取り組みを推進するため、水リスク評価に関するツール(Aqueduct)※2を用いて生産数量の75%を占める世界186ヶ所の事業所で、初期的な水リスクを分析しました。また、管理レベルの向上を目的に、水のリサイクル量に関する実態調査を開始しています。今後もこれらの取り組みを拡充しながら、貴重な水資源の保全と有効利用を促進していきます。
- 国際NGOのGRI(Global Reporting Initiative)が発行する持続可能性報告のための国際的なガイドライン。
- 世界資源研究所(WRI)が提供する水リスクの評価ツール。世界186ヶ所の水ストレス、旱魃リスク、洪水リスクを地図上で表示している。正式名は「Aqueduct Water Risk Atlas」。
【取り組み事例】総合研究所のクローズドシステム
総合研究所では、日量約60m³の事業所用水を地下水で賄い、2/3を生活用水として、1/3を研究(産業)用水として使用しています。使用後の生活廃水は合併浄化槽にて処理後、トイレフラッシングとして再利用する一方、研究廃水は生物処理および物理・化学処理して水質を上水レベルにまで浄化後、冷却用水、器具洗浄水等の研究中水として再利用しています。最終の余剰水は、敷地内に設置された蒸発散装置により大気放散し、敷地内での完結処理とした完全クローズドシステムを確立しています。また今後、取水量の低減を目的として、再利用水の水質向上のため、純水化設備の導入計画を進め、水資源の確保に努めてまいります。
2020年度DICグループの水資源管理に関する実績の詳細
国内に関しては、2020年度の取水量26,902千m³(前年度比96%)、排水量25,220千m³(同96%)となり、それぞれ減少しました。
一方、海外に関しては、取水量9,621千m³(同87%)、排水量7,717千m³(同84%)と、それぞれ減少しました。よって、DICグローバルで総取水量36,524千m³(同94%)、総排水量32,937千m³(同93%)と、ともに前年度より減少しました。

土壌・地下水汚染調査
2012年に日本では水質汚濁防止法が改正され、有害物質による地下水の汚染を未然に防止するよう、施設の構造に関する基準がより厳格になりました。
国内DICグループでは、土壌汚染対策法と水質汚濁防止法等を厳守しています。必要に応じて土壌・地下水の調査や対策を実施して環境・安全面での事前リスク評価を行っています。