サプライチェーンの構築

S2-1 バリューチェーン労働者に関する方針

「DIC グループの人権に関する方針」は、事業活動およびバリューチェーン全体に関わるすべてのステークホルダーの人権を尊重するという、当社グループのコミットメントを示すものです。

S1-1に記載のとおり、本方針は国際的に認められた人権フレームワークと整合しており、バリューチェーン上の労働者を含む、グループの事業活動および取引関係全体に適用されます。

サプライヤー基準および契約上の要件

サプライヤーに期待する労働・人権に関する事項については、「DICグループサステナビリティ調達ガイドライン」およびG1-2に記載のサプライヤー管理に関する枠組みに定めています。

「DICグループの人権に関する方針」に関するサプライヤーによる確認および実施に係る追加的な地域別対応については、G1-2およびS2-4に記載しています。

サプライヤー評価およびモニタリング

DICグループは、以下の外部ツールおよび自社ツールを活用し、サプライヤーのサステナビリティおよび人権評価を実施しています。

取引先評価活動におけるPDCAサイクル

グループ全体のカバー率および進捗

  • 2025年末時点で、EcoVadis、EcoVadis IQ PlusまたはDICグループサステナビリティ調達ガイドブックによる評価は、総原料購買金額の80%以上を占めるサプライヤーに適用しました。
  • 評価結果はサプライヤーと共有し、是正措置および改善提案を提示しています。
  • 改善の実施状況を追跡しサプライチェーンのパフォーマンス向上を図るため、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを適用しています。
  • 各地域におけるサプライヤーのEcoVadis平均スコアは、EcoVadis世界全体の平均を上回る水準を維持しています。
  • 高リスクサプライヤーの優先的な特定をするため、EcoVadis IQ Plusを導入しています。

地域別の実施状況

  • 国内DICグループ:2025年において、EcoVadisおよびサステナビリティ調達ガイドブックを活用し、国内原料購買金額の90%以上を占めるサプライヤーから評価を回収しています。取引先が商社の場合は、必要に応じ製造事業者を対象とした追加調査を実施しています。すべての回答企業に対して評価結果を提供するとともに、2024年度以降、最低基準を満たさなかった8社に対しては面談を通じて働きかけました。また、2011年度以降、累計102社に対して訪問調査を実施しています。
  • DICグループ中国地域、DICグループアジアパシフィック地域:2024年から、主要サプライヤーに対してEcoVadisおよびガイドブックを併用した調査を実施しております。また、収集した評価結果をもとに取引先への個別の改善活動も進めており、2024年以降3社に対して実施しました。
  • Sun Chemical:2020年以降、EcoVadisを活用してサステナビリティ評価およびサプライヤーの取り組み促進を実施しており、原料購買金額の80%以上を占めるサプライヤーの評価を完了しています。今後は、評価対象のカバー率をさらに拡大するとともに、リスクスクリーニングを目的としてEcoVadis IQ Plusの活用を一層推進していきます。

サプライチェーンにおける人権デューデリジェンス

DICグループは、地域ごとの取り組みとデータに基づくモニタリングを実施し、政策上の公約を具体的かつ測定可能な行動へと転換しています。

  • グローバル評価:サプライヤー評価データを活用し、コンプライアンス上の課題を特定するとともに、人権に関する改善を積極的に推進しています。
  • 事業への統合(国内DICグループ):購買部門および技術部門に対し専門的な研修を実施するとともに、製品開発段階において使用原料に関する人権リスクを特定する体制を構築しています。これにより、製品ライフサイクルの初期段階から倫理基準への遵守を確保しています。
  • コンプライアンスの確保(アジア):アジア地域のサプライヤーに対しては、DICグループの人権に関する方針の理解および実施を求めるとともに、人権確認書への署名・提出をレターにて要請しています。

児童労働および強制労働

DICグループは、事業活動およびサプライチェーン全体において、児童労働および強制労働を厳格に禁止しています。当社グループは、就業最低年齢および公正な報酬に関する適用されるすべての法令を遵守し、債務労働や強制労働を含むあらゆる形態の現代の奴隷制を断固として拒否しています。

責任ある鉱物調達

DICグループは、重要資源の倫理的な調達を確保するため、「責任ある鉱物調達に対する基本的な考え方」を策定しています。本方針に基づき、またOECD「紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデューデリジェンス・ガイダンス」も参考に、スズ、タンタル、タングステンおよび金(3TG)に加え、該当する場合には、責任ある鉱物イニシアチブ(RMI)の報告テンプレートで規定されるその他の関連鉱物を対象とした包括的なサプライチェーン調査を実施しています。紛争または人権侵害に関連する鉱物が特定された場合、当該基本方針に従い、是正措置を速やかに実施し、透明性が高く紛争や人権侵害と無縁なサプライチェーンの維持の確保に努めています。

グループ全体への適用

  • DICグループ:方針、ガイドライン、評価枠組みの策定および実績管理を担当します。
  • 国内DICグループ、DICグループ中国地域、DICグループアジアパシフィック地域:グループの方針を実施し、契約にサステナビリティに関する条項を盛り込み、EcoVadis、DICガイドブックおよび現地調査を通じて評価を実施します。
  • Sun Chemical:グループの人権に関する方針に基づき運営を行い、EcoVadisおよびEcoVadis IQ Plusを活用して、サプライヤーリスクの高度なスクリーニングと評価範囲の拡大を推進します。

S2-2 バリューチェーンの労働者と影響について話し合うプロセス

業務上の責任体制

サプライヤーエンゲージメントおよび人権デューデリジェンスに関する実務上の責任は購買部が担っており、サステナビリティ活動専門のチームがこれを支援・助言しています。グローバルでの活動については各拠点との定期的なミーティング等を通じて情報共有および連携を取り、サステナビリティに関するKPIおよび評価結果が持続可能な調達に向けた取り組みに反映されるように確保しています。

エンゲージメント手法および労働者の声の把握

DICグループは、主に体系的なサプライヤー評価および内部通報制度を通じて、バリューチェーンとの対話を行なっています。サプライヤーエンゲージメントおよびモニタリングは、G1-2に記載の評価・リスクスクリーニングフレームワークに基づき実施しており、EcoVadis、EcoVadis IQ Plus、および「DICグループ サステナビリティ調達ガイドブック」を活用しています。

DICグループは、これらの対話・対応を既存の調達およびコンプライアンスフレームワークを通じて管理していますが、すべての地域において直接的な対面での対話を網羅する統一的なプロセスは、現時点では確立していません。今後は、労働者の視点を中長期的なサステナビリティに関する意思決定へより深く統合していくことを目的として、対話の手法の高度化・成熟化に継続的に取り組んでいきます。

脆弱な立場にある労働者に対するリスク低減

  • リスク特定:EcoVadis IQ Plusを活用し、高リスクサプライヤーの優先的な特定を実施し、労働者が人権上の影響を受けやすい分野に監視の重点を置いています。
  • 訪問調査:日本およびその他の地域において、特に当社グループの基準を満たしていないサプライヤーに対しては、現地での訪問調査および面談を実施し、実態を確認するとともに重点的な是正措置を促しています。
  • 継続的モニタリング:初期リスク評価に基づき定められた頻度でサプライヤーの再評価を実施し、労働慣行に対する継続的な監督体制を確保しています。

S2-3 バリューチェーンの労働者が懸念を表明し、是正措置を求めるための仕組み

直接的な通報チャネル

DICグループは、業務上の情報伝達経路とは独立した複数のルートからなるコンプライアンスに関する内部通報窓口「倫理ホットライン(EthicsPoint)」(160以上の言語に対応できる外部の通報窓口を含む)を設け、コンプライアンス上の問題やその疑義が生じた場合の通報に、速やかに対応できる体制を整備しています。

信頼性およびアクセス性の確保

  • 報復防止:DICグループ行動規範に基づき、倫理ホットラインおよびその他の通報窓口の運用にあたり、通報者に不利益が生じないよう報復の禁止を厳格に規定、運用しています。
  • 認知度と有効性:DICグループの人権に関する方針を通じて、これらの通報窓口を取引先に周知しています。

モニタリングおよび監督

すべての通報事案は、各地域のコンプライアンス担当部門が正式に記録し、調査およびモニタリングを行なっています。通報内容および対応結果の概要は取締役会に報告し、制度の透明性および説明責任を確保しています。

報告対象期間中において、バリューチェーン上の労働者の重大な人権に関する苦情は、これらのルートを通じて報告されませんでした。

S2-4 バリューチェーン労働者に対する重要な影響への対応、関連する重要リスクおよび重要機会の管理アプローチ、ならびに当該対応の有効性

DICグループは、持続可能な調達フレームワーク、サプライヤーエンゲージメント活動、およびデューデリジェンスプロセスを通じて、バリューチェーン全体における人権尊重の推進に取り組んでいます。

サプライヤー基準

サプライヤーに求める労働・人権に関する基準は、「DICグループ サステナビリティ調達ガイドライン」およびS2-1、G1-2に記載の関連フレームワークにおいて定めています。

デューデリジェンスおよびサプライヤー評価

DICグループは、EcoVadis評価およびガイドブックを活用して、人権デューデリジェンスを実施し、サプライヤーの実績管理を可視化しています。

Sun Chemicalは、EcoVadisおよびEcoVadis IQ Plusを活用して、労働および人権リスクスコアを含む直接サプライヤー評価を実施しています。

サプライヤーのパフォーマンスが当社グループの要求事項を満たしていない場合には、G1-2に記載のサプライヤーエンゲージメントおよびモニタリングプロセスを通じて、是正措置および改善対応を実施しています。

モニタリングおよび責任ある調達

サプライヤー評価および原材料のデューデリジェンスを通じて、サプライチェーンにおけるリスクを継続的に監視しています。

DICグループは「責任ある鉱物調達に対する基本的な考え方」を示し、適切な鉱物調達のための各種調査等を実施しています。

責任ある鉱物調達に対する基本的な考え方

DIC グループは、コンゴ民主共和国およびその周辺国の紛争地域並びに高リスク地域※において武装グループへの資金提供や児童労働などの人権侵害に加担しないよう、錫(Tin)、タンタル(Tantalum)、タングステン(Tungsten)、金(Gold)などについて調査を行い、サプライチェーン全体で責任ある鉱物調達を推進します。さらに、このような紛争や人権侵害に関わる鉱物資源の使用が判明した場合は迅速に是正策を講じます。

DICグループは、鉱物調達に関するリスクを評価し、責任ある調達の取り組みを支援するため、責任ある鉱物イニシアチブ(RMI)の報告テンプレートを活用しています。

Sun Chemicalは、「Responsible Mica Initiative(責任ある雲母イニシアチブ)」の創設メンバーとしての取り組みを通じて、マイカのサプライチェーンにおける児童労働および労働環境の問題に取り組み、責任ある調達を支援しています。

※ 高リスク地域:EU 紛争鉱物規則の定義に基づく、武力紛争の状態にある、または紛争終結後の脆弱な状態にある地域の他、破綻国家のように統治および治安が弱体化し、または皆無で、人権侵害を含めた国際法の違反が広範囲にわたって組織的に横行している地域

是正措置

負の影響またはサプライヤーのパフォーマンス上の課題が確認された場合には、G1-2に記載のとおり、サプライヤーエンゲージメント、是正措置要求、およびフォローアップによるモニタリングを通じて、是正・改善対応を実施しています。

苦情処理メカニズム

DICグループは、倫理ホットラインを運用し、従業員およびステークホルダーが法令やDICのポリシーに関する懸念事項や違反の可能性がある事項を、匿名性及び機密性を保ちながら報告することができます。

内部体制

専任の購買チームがサステナブル調達および関連するKPIを管理しています。

購買担当者および技術担当者を対象とした研修プログラムを実施しており、国内DICグループの購買担当者は全課程を終了し、全社的なeラーニングを通じて人権に関する認識の向上を図っています。

Sun Chemicalは、EcoVadis IQ Plusを活用した方針策定やサプライヤー評価など、内部プロセスの強化を進めています。

現状評価

現時点において、バリューチェーンにおける重大な人権問題は確認されていません。DICグループは、リスクの低減および継続的改善を推進するため、デューデリジェンスおよびサプライヤーとの対話を引き続き強化していきます。