資源循環
E5-1 資源利用と循環型経済に関する方針
全体方針
DICグループは、サステナビリティ戦略の大きな柱の一つに、「サーキュラーエコノミーへの対応」を掲げています。原材料調達から製品の製造、流通、使用、廃棄に至るバリューチェーン全体において、資源効率の向上、廃棄物の削減および持続可能な調達を進めています。
資源流入
DICグループは、サプライチェーン全体における資源効率の向上および環境負荷の低減を目的として、持続可能な調達の推進に取り組んでいます。具体的には、バイオ原料・再生可能およびリサイクル原料の利用拡大を進めています。また、サプライヤーとの連携を通じて、調達資源に関する透明性の向上および環境フットプリントの低減を図っています。Scope 3 GHG排出量のうち一次データを用いて算定した割合は、2024年の1.2%から2025年には17.2%となりました。
資源流出(製品)
DICグループは、サーキュラーエコノミーへの貢献を目的とした製品開発を推進しています。一例として、バージン資源への依存低減、再生可能資源および再生原材料の使用拡大、ならびに製品設計・開発における資源効率の向上を推進しています。これらの取り組みは、DICグループのサーキュラーエコノミーメッセージおよび独自の5R(リユース、リデュース、リニュー、リサイクル、リデザイン)の概念に基づいています。
加えて、DICグループの一員であるSun Chemicalは、製品の設計、製造および使用後の各段階において循環性の概念を組み込むことを目的とした「製品使用後方針(Product End-of-Life Policy)」(英語のみ)を策定しています。同方針に基づき、製品設計、製造および使用後段階において、再使用およびリサイクルの促進、既存のリサイクルシステムとの適合性確保を考慮した設計を推進しています。また、実現可能な範囲で、バイオ原料、再生可能およびリサイクル原料の使用拡大にも取り組んでいます。これらの取り組みは、持続可能な調達要件、サプライヤー評価プロセスおよび5Rコンセプト等のグループ全体の方針・枠組みによって支えられており、バージン資源への依存低減とともに、主要製品用途における使用後の資源循環性の向上に寄与しています。
資源流出(廃棄物)
DICグループは、製造工程資源の有効利用を推進するとともに、廃棄物処理における環境負荷の低減に努めています。
具体的には、生産効率の向上、廃棄物発生量の最小化に取り組むとともに、産業廃棄物については、発生から最終処分に至るまで、適用される法令に準拠した適正管理を実施しています。
E5-2 資源利用と循環型経済に関連する行動とリソース
持続可能な調達および原材料
上流工程においては、調達方針およびサプライヤーとのエンゲージメントを通じて循環型経済の考え方が組み込まれています。具体的には、バイオ原料・再生可能及びリサイクル原料の利用を推進するとともに、サプライヤーと連携し、サプライチェーン全体における環境負荷の低減に取り組んでいます。
製品設計および循環型ソリューション
DICグループでは、サーキュラーエコノミーの考え方を製品および技術開発に組み込んでいます。
5Rフレームワークに基づく取り組みとして、バージン原材料使用量の削減、リサイクル適性の向上、堆肥化およびリサイクルシステムの支援、ならびに再生可能原材料およびリサイクル原材料の活用など5Rの考え方に基づく製品・包装ソリューションの開発を推進しています。
また、DICグループは、持続可能な調達施策、原材料評価、および調達部門と技術部門の連携による製品設計の改善支援を通じて、バリューチェーン全体における循環性の向上に取り組んでいます。これには、持続可能な包装材料(サステナブルパッケージ)およびポリスチレン(PS)リサイクルに関する取り組みが含まれます。
さらに、製品開発においては、DICグループ製品を用いた最終製品や包装のリサイクル工程との適合性向上および製品使用後の資源回収性改善にも注力しており、高品質な再生材の創出および材料回収の高度化を支援しています。
Sun Chemicalは、バイオエタノールをはじめとする持続可能な調達原料の活用拡大を通じて、DICグループ全体のサーキュラーエコノミー推進施策を支援しています。これには、高いバイオ由来成分比率を有する水性アクリルインキの開発・提供が含まれます。Sun Chemicalの社内ポートフォリオ管理プロセスによると、研究開発に充てるフルタイム換算(FTE)リソースの約25%を、材料循環の促進や製品のリサイクル性向上など、サステナビリティ関連の新製品開発プロジェクトに配分しています。
生産および廃棄物管理
DICグループは、自社の事業活動において、生産効率の向上および廃棄物発生量の最小化に取り組んでいます。産業廃棄物については、発生から最終処分まで適切に管理する包括的な管理体制を構築し、事業所が立地する国・地域の法律に基づき、危険性の度合いに応じて適切に管理・処理しています。
DICグループは、国内外の生産拠点において、廃棄物の発生から、工場排出、中間処理、最終埋立に至るプロセスを効果的に管理するよう努めています。これにより、廃棄物処理の各段階における可視性を確保し、パフォーマンスの監視および改善機会の特定を可能としています。
廃棄物削減と資源効率向上に向けた主な取り組みには、製造ロスの最小化、埋立処分量の削減、再資源化(マテリアルおよびケミカルリサイクル)と焼却時の熱回収処理の推進などが含まれます。
こうした取り組みの一例として、PT. DIC Graphics Pulogadung(インドネシア)では、工場で使用した原材料容器および顧客から回収した製品容器を洗浄し、新たな製品容器や工場の生産工程に活用しています。さらに、生産活動に伴い発生する汚染溶剤は溶剤回収システムにより回収し、容器洗浄等の工程に再利用しています。容器の洗浄には、AP地域における先進的な取り組みとなる専用の装置を導入し、従業員の安全の確保及び洗浄効率の向上を実現しています。
DICグループのサーキュラーエコノミーへの考え⽅
※ Reuse, Reduce, Renew, Recycle, Redesign
E5-3 資源利用と循環型経済に関連する目標
DICグループは、廃棄物に関する環境負荷を軽減することを目標に、特に日本国内の事業活動において重点的に推進しています。
国内DICグループでは、「廃棄物の外部最終埋立処分量を2000年比で95%削減」の目標を設定し(DICゼロエミッション活動)、2010年に達成しました。現在は、この2000年比5%(95%削減)である200トンの維持を目標としています。
主な目標は以下のとおりです。
- 外部埋立量:年間200トン以下
- 廃棄物発生量:45,000トン以下
- 有効利用率:80%以上
2025年は、国内DICグループの廃棄物発生量は37,347トンとなり、1拠点における社内リサイクル設備の故障により、前年比で増加しました。また、埋立量は、複数事業所での組織改正等に係る室内改良工事や、一部生産品目の変更等の影響を受け前年を上回る226トンとなり、設定した目標値を上回りました。
Sun Chemicalは、2019年を基準年として、2030年までに廃棄物原単位を10%削減することを目標としています。
E5-4 資源流入(資源利用を含む)
資源流出
DICグループは、資源効率の向上および循環型資源フローへの移行を推進しています。これには、バイオ原料・再生可能およびリサイクル原料の利用拡大に加え、サプライヤーとの連携およびデータ収集を通じて調達資源の環境影響の可視化を強化する取り組みも含まれます。
このような環境負荷のより低い代替品の活用の推進を、調達方針およびサプライヤーとの連携を通じて進めています。
これらの取り組みは、バージン資源を抑制し、より持続可能な製品設計・開発を促進することで、DICグループの広範なサーキュラーエコノミーへの取り組みを支えています。
DICグループは「5R(リユース、リデュース、リニュー、リサイクル、リデザイン)」フレームワークも活用し、バリューチェーン全体にわたる循環型社会を実現するための取り組みを推進しています。
E5-5 製品およびサービスに関連する資源流出
資源流出
DICグループは、廃棄物削減、リサイクル、および適正処理を柱とする包括的な管理体制により、グローバルな事業活動における資源流出を管理しています。これにより、環境負荷の最小化と資源効率の向上を図り、サーキュラーエコノミーの実現に貢献しています。
製品の耐久性および保存期間
廃棄物管理に加え、DICグループの資源流出に関する取り組みでは、市場投入後の製品についても考慮しており、E5-2およびE5-4に記載のとおり、DIC製品が使用される最終製品や包装のリサイクル可能性の向上および資源循環の促進に重点を置いています。
DICグループは、製品および包装のリサイクル性向上を通じてサーキュラーエコノミーの推進に取り組むとともに、製品の有効期限を適切に管理することで廃棄物の削減にも努めています。これらの取り組みは、確立された品質マネジメントシステムのもとで実施されており、バリューチェーン全体における廃棄物の削減と資源効率の向上に貢献しています。保存期限は、製品特性や推奨保管条件を踏まえて製品ごとに設定し、技術資料や品質関連情報を通じて顧客に提供しています。例えば、技術資料や分析証明書(Certificate of Analysis)に保存期限を明記することで、顧客における製品の適切な使用管理を可能にし、不要な廃棄の抑制につなげています。これらの取り組みを通じて、DICグループは製品性能の維持と、製品ライフサイクル全体にわたる資源の効率的な利用に努めています。
こうした取り組みの一環として、Sun Chemicalでは、自社の管理下の倉庫で保管されている製品について、保管された参照サンプルおよび社内試験にもとづいて、評価・必要に応じて延長する手順を整備しています。また、返品されたり保存期限が切れた製品については、社内文書によって定められた品質管理およびリスク管理手順に従い、分別・管理しています。
廃棄物管理方針
DICグループは、自社の事業活動において、生産効率の向上および廃棄物発生量の最小化に取り組んでいます。産業廃棄物については、発生から最終処分まで適切に管理する包括的な管理体制を構築しています。
DICグループは、埋立処分よりもリサイクルおよび資源化を優先しています。これには、再資源化(マテリアルおよびケミカルリサイクル)と焼却時の熱回収が含まれます。
廃棄物の区分および処理
産業廃棄物は、各国の法令要求事項に基づき、廃油、紙くず、汚泥、包装廃棄物などの区分に基づき分類・管理しています。
DICグループは、リサイクル、資源回収および管理された適正処分方法を組み合わせて活用しており、その結果、廃棄物の大部分を埋立処分から回避しています。
廃棄物データ
下表は、Sun Chemicalを含むDICグループ全体の廃棄物発生量および処理状況を集約して示しています。
廃棄物発生量 [t]
| 2025 | 2024 | 2023 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 有害廃棄物 | 非有害廃棄物 | 有害廃棄物 | 非有害廃棄物 | 有害廃棄物 | 非有害廃棄物 | |
回収された廃棄物 |
||||||
| リサイクル | 21,026 | 21,755 | 17,267 | 23,888 | 17,553 | 23,993 |
| エネルギー回収を伴う焼却 | 31,521 | 13,583 | 31,100 | 13,291 | 25,691 | 18,923 |
| 再利用に向けた準備 | 2,664 | 131 | 52 | 81 | 0 | 0 |
| その他の回収処理 | 0 | 12 | 0 | 25 | 0 | 0 |
処分された廃棄物 |
||||||
| 埋立 | 1,883 | 6,260 | 2,390 | 10,495 | 1,913 | 9,625 |
| エネルギー回収を伴わない焼却 | 4,581 | 10,739 | 4,499 | 10,430 | 4,334 | 7,366 |
| その他の処分処理 | 661 | 2,093 | 407 | 69 | 0 | 0 |
| 廃棄物総発生量 | 61,500 | 56,658 | 56,172 | 58,837 | 49,491 | 59,907 |
| 廃棄物発生量全体 | 118,158 | 115,009 | 109,398 | |||
| 非リサイクル廃棄物 | 26,216 | 28,290 | 23,238 | |||
| 非リサイクル廃棄物の割合 | 22% | 25% | 21% | |||
注:有害廃棄物および非有害廃棄物の総発生量と、回収・処分に関するデータは別々に集計しています。このため、総発生量は回収・処分の内訳の合計と一致しない場合があります。
当該データには、廃棄物発生量、廃棄物の品目別内訳、およびリサイクル、再資源化と焼却時の熱回収、ならびに最終処分といった処理方法が含まれています。
また、有害廃棄物と非有害廃棄物を区分して開示することで、各処理経路における管理状況の可視化を図っています。これにより、グローバルにおける廃棄物管理の実態をより詳細に把握することが可能となっています。
全体として、DICグループはリサイクルおよび資源化を通じて多くの廃棄物を埋立処分から回避しており、資源効率の向上およびサーキュラーエコノミーの推進に寄与しています。
2025年 廃棄物の発⽣・処理状況 DICグループ [t]
注︓有害廃棄物および⾮有害廃棄物の総発⽣量と、回収・処分に関するデータは別々に集計しています。
このため、総発⽣量は回収・処分の内訳の合計と⼀致しない場合があります。
産業廃棄物 外部埋⽴処分量の推移
2025年の国内DICグループ廃棄物発⽣量の品⽬別内訳
| 廃棄物の種類 | 廃棄物発生量[t] |
|---|---|
| 燃え殻 | 876 |
| 汚泥 | 7,372 |
| 廃油 | 6,617 |
| 廃酸 | 321 |
| 廃アルカリ | 2,363 |
| 廃プラスチック類 | 1,701 |
| 廃プラスチック(「プラスチック資源循環法」の適用対象外のもの) | 2,873 |
| ゴムくず | 0 |
| 金属くず | 1,754 |
| ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず | 49 |
| 鉱さい | 0 |
| がれき類 | 0 |
| ばいじん | 30 |
| 紙くず | 601 |
| 木くず | 556 |
| 繊維くず | 0 |
| 動植物性残さ | 17 |
| 動物系固形不要物 | 0 |
| 動物のふん尿 | 0 |
| 動物の死体 | 0 |
| 水銀を含む産業廃棄物 | 1 |
| 特別管理対象産業廃棄物 | 12,216 |
| 産廃合計 | 37,347 |
具体的な取り組み
DICグループは、ポリ塩化ビフェニル(PCBs)を含有する機器の適切な処理を継続しており、廃棄処理を2023年内に完了しました。
国内におけるプラスチック廃棄物に関する取り組み
2022年4月に施行されたプラスチック資源循環促進法に対応し、国内DICグループは、製品の設計から廃棄処理に至るまで、ライフサイクル全体におけるプラスチック廃棄物の削減およびリサイクルの拡大に取り組んでいます。
国内DICグループは、2023年から法令に基づきプラスチック廃棄物の発生量とリサイクル率および再資源化率を開示しており、これらの取組みを継続的に強化しています。
プラスチックのリサイクル率と有効利用率(廃棄物、有価物+廃棄物) 国内DICグループ
| 廃棄物 | 有価物+廃棄物 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 国内DICグループ | 発生量 [t] |
リサイクル率 [%] |
有効利用率 [%] |
発生量 [t] |
リサイクル率 | 有効利用率 |
| DIC | 1,414 | 67.2 | 91.1 | 2,459 | 81.1 | 94.9 |
| DICG | 234 | 54.5 | 73.4 | 244 | 56.3 | 74.5 |
| DIC-EP | 30 | 32.6 | 93.7 | 30 | 32.6 | 93.7 |
| 北日本ポリマ | 34 | 22.2 | 47.4 | 34 | 22.2 | 47.4 |
| 九州ポリマ | 13 | 57.6 | 100 | 13 | 58.3 | 100 |
| DICプラスチック | 22 | 48.1 | 92.8 | 89 | 87.1 | 98.2 |
海外DICグループ会社の取り組み
海外DICグループ会社の⽣産拠点では、各国・地域の法規制に則した産業廃棄物の適正な処理を⾏うことに加え、⾃主的な再資源化(再⽣利⽤)による産業廃棄物の発⽣抑制にも取り組んでいます。
2025年における海外⽣産拠点の廃棄物発⽣量は 80,811 トン、埋⽴量は 10,670 トンとなりました。
産業廃棄物排出量は昨年から⼤きな変化はありませんでしたが、Sun Chemicalでのデータ精査により、埋⽴量が⼤幅に減少しました。
今後も地域統括会社は各国の法令を遵守し、産業廃棄物の発⽣抑制および有効利⽤率の向上に注⼒します。
指標および補⾜情報
当報告年においては、資源利⽤およびサーキュラーエコノミーに関する開⽰は、主として廃棄物発⽣量、リサイクル実績、および外部埋⽴量に焦点を当てています。
データ整備と報告プロセスの⾼度化の進展に合わせて、DICグループは開⽰内容のさらなる充実に取り組んでいきます。
指標および補足情報
当報告年においては、資源利用およびサーキュラーエコノミーに関する開示は、主として廃棄物発生量、リサイクル実績、および外部埋立量に焦点を当てています。
データ整備と報告プロセスの高度化の進展に合わせて、DICグループは開示内容のさらなる充実に取り組んでいきます。
