水資源

E3-1 水資源に関する方針

DICグループは、「安全・環境・健康に関する方針」に基づき、水資源への影響を管理するとともに、事業活動に伴う水関連リスクの特定を行い、水資源の有効利用を推進しています。

DICグループは、水資源管理を世界共通の重要課題と認識しています。水は複数の水源から取水し、主に生産における設備の冷却、洗浄工程および製造工程において使用しています。その後、排水する際は、国・地域の規制と同等以上の自主基準を設けて浄化処理し、河川等に排出しています。

当社グループの水資源管理の主な内容は以下のとおりです。

  • グローバルの生産拠点における水リスクの評価
  • 操業管理および再利用施策による水使用効率の向上
  • 高度排水処理による受水域への影響の防止
  • 各国法規制および自主基準の遵守

これらの取り組みは、ISO 14001に基づく環境マネジメントシステムに統合して運用しており、多くの生産拠点で認証を取得しています。

Sun Chemicalにおいては、「SunCare® 安全・環境・健康マネジメントシステム」を通じて水資源管理を実施しています。本枠組みでは、経営層が目標の設定およびレビューに責任を負い、リスク低減を優先するとともに、大気・水域・土壌への排出削減および天然資源の保全に関するベストプラクティスの推進を行っています。

これらの方針は、水資源および海洋資源に関する重要な影響・リスク・機会を管理する基盤を構成しています。

E3-2 水資源に関する取り組みおよび資源

水リスク評価

DICグループは、グローバルの事業所を対象に体系的な水リスク評価を実施しています。水リスクは以下の区分で分類しています。

  • 渇水リスク
  • 洪水リスク
  • 水質リスク

各事業所について、以下の2軸に基づき評価しています。

  1. 地域の水リスク(アキダクトで評価)
  2. 操業上の水リスク(社内調査票により評価)

両軸で高スコアとなる事業所を高リスク事業所として判定しました。

アキダクトによる評価例

出典︓WRI Aqueduct(閲覧⽇ 2026年7⽉1⽇) https://www.wri.org/aqueduct/faq

「地域の⽔リスク」、「操業上の⽔リスク」のマッピングによる評価例

本評価の結果、⽔リスクが⾼い可能性のある事業所として16拠点が抽出されました。これらの拠点に対しては、⽔関連リスクの低減を⽬的とした対策を2021年から2024年にかけて段階的に実施し、計画していたすべての施策を当該期間中に完了しています。これらの取り組みにより、対象拠点における⽔リスク評価は改善しました。また、対策の実施状況は重要な社内パフォーマンス指標として管理しており、現⾏の評価期間においては、グループ全体で⾼リスクと判定された施設は確認されていません。

DICグループ全体の評価結果では、既存の評価⼿法に基づき、⾼リスクに該当するSun Chemicalの事業拠点はありませんでした。

⽔リスクアセスメントのロードマップ (2021~2026年度)

2026年以降は、ESRS要件に対応するため、新たな枠組みでの⽔リスクアセスメントを開始する予定です。

⽔管理に関するオペレーション施策

DICグループは、⽔使⽤量および排⽔リスクの管理を⽬的として、以下の施策を実施しています。

  • 冷却塔および再利⽤システムの活⽤による取⽔量削減
  • 排⽔の連続監視および浄化処理
  • ⼯程改善による⽔使⽤効率の向上
  • 安全・環境・健康マネジメントシステムに基づく定期的な環境監査

DICグループにおける⽔使⽤の⼤部分は、⽣産における設備の冷却、洗浄⼯程および製造⼯程において使⽤しています。再利⽤が可能な場合には循環利⽤を⾏い、新規取⽔量の抑制を図っています。

また、排⽔する際は、国・地域の規制と同等以上の⾃主基準を設けて浄化処理した上で放流しており、地域⽔環境への影響低減に努めています。

⼯場内から排出される⽣活排⽔は、油⽔分離等の1次処理を実施し、⼯場外に排出しています。製造系排⽔は、活性汚泥等の2次処理を実施し、常温に冷却してから、油⽔分離等を⾏い、排⽔しています。排⽔によっては有害物質を除去するため、活性炭処理等の3次処理を実施するケースもあります。

具体的な取組みとして、DIC総合研究所(千葉県)やDIC Siam Chemical Industry社(タイ)では、排⽔のリサイクルおよび再利⽤を実施しています。

DIC Siam Chemical Industry社では、排⽔処理および再利⽤の取組みにより、事業活動における排⽔ゼロを達成しています。また、DIC総合研究所では、地下⽔を⽔源とする⼯業⽤⽔を1⽇当たり約60m³、敷地内での完結処理(クローズドシステム)処理設備で処理・再利⽤することにより、淡⽔取⽔量の削減と⽔資源の有効利⽤を推進しています。さらに、回収⽔の⽔質向上と将来的な取⽔量のさらなる削減を⽬的として、純⽔化設備の導⼊を進めています。

外部評価および継続的改善

DICグループは、CDP⽔セキュリティプログラムをはじめとする外部環境情報開⽰イニシアチブに参画しており、当報告年においてはBスコアの評価を取得しました。これらの評価は、グローバル企業とのベンチマークを通じた⾃社の位置付けの把握に活⽤するとともに、⽔リスク管理およびウォータースチュワードシップに関する取り組みの継続的な改善につなげています。

E3-3 水資源に関する目標

DICグループは、各国の水関連規制を遵守するとともに、自主的な水管理目標を設定しています。

主な目標は以下のとおりです。

  • 水使用効率の継続的向上
  • 技術的に可能な範囲での水使用量削減
  • 水リスク評価に基づき特定した事業所における対策の実施

これらの目標は安全・環境・健康マネジメントシステムの枠組みの中で定期的に見直し、拠点レベルの施策により実行しています。

Sun Chemicalは、SunCare® フレームワークに基づき、水資源に関する自主目標を設定しています。当該目標には、2019年を基準年として2030年までに水使用原単位を10%削減することが含まれており、グループ全体の環境目標と整合しています。

E3-4 水使用量

DICグループは、国際的な報告基準(GRI等)に整合した方法で水資源管理に関するデータを収集・管理しています。取水量および排水量は主に以下により把握しています。

取水量

  • 計測機器による直接測定
  • 請求書および検証済み運用記録

排水量

  • 計測機器による直接測定
  • 請求書および検証済み運用記録
  • 算定式による推定

DICグループは、ESRS要求事項に基づくデータの比較可能性および報告精度の向上を目的として、グローバルベースでのデータ収集システムの高度化を継続的に進めています。

2025年における総取水量の減少は、各事業所における工程最適化および効率改善の成果を反映したものです。また、2025年において水リスク地域に分類される地域での取水量の報告がない点については、過去に実施したリスク低減施策を踏まえた事業範囲および拠点分類の見直しによるものです。取水量および排水量については、主として計量機器による測定値または供給事業者からの請求データに基づき把握しています。一方、貯水量については、各拠点の設備構成に応じて測定または推計により算定しています。なお、推計手法を用いる場合には、データの整合性および信頼性を確保するため、各拠点において文書化された前提条件が維持されています。

取⽔量 [1,000m³]

地域 地表水 地下水 雨水 他の組織によって発生した廃水 水道水/工業用水 その他 合計

2025

国内DICグループ 21 1,590 0 0 11,059 14 12,684
DICグループ中国地域 3 90 101 0 416 0 610
DICグループアジアパシフィック地域 1,467 77 4 0 595 43 2,186
その他 1,098 0 0 0 43 0 1,141
Sun Chemical NA 0 863 0 0 2,377 0 3,240
Sun Chemical EMEA 11,930 1,034 0 0 289 1,072 14,325
Sun Chemical Asia 1,035 5 0 0 9 0 1,049
Sun Chemical SCLA 0 7 0 0 27 0 34

2024

国内DICグループ 26 1,512 0 0 11,526 20 13,084
DICグループ中国地域 6 99 135 0 702 0 942
DICグループアジアパシフィック地域 1,726 88 4 0 666 50 2,534
その他 161 0 0 0 46 0 207
Sun Chemical NA 0 813 0 0 2,492 0 3,305
Sun Chemical EMEA 13,375 1,500 0 0 415 0 15,290
Sun Chemical Asia 1,099 7 0 0 14 0 1,120
Sun Chemical SCLA 0 1 0 0 39 0 40
DICグループ合計 16,393 4,019 139 0 15,900 70 36,521