今後のアートに関わる活動方針
DICは、DIC川村記念美術館の運営を通じて長年携わってきた「美術館運営」を社会への貢献とブランド価値の向上といった観点から見直し、アートを通じた社会との関わりを継続することを目的に、公益財団法人国際文化会館との間でアート・建築分野を起点とする協業に合意しました。DICはこれからもアートに関わる活動を通じて文化資産を社会にひらき、次世代へと継承していくことが長期的な責務であると考えています。
美術館運営の見直しを巡る経緯と背景
| 概要 | |
|---|---|
| 2024年4月 | 長期経営計画「DIC Vision 2030」の見直しにおいて、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応の一環として、「価値共創委員会」を設立し、社会的価値と経済的価値の両面から所有するDIC川村記念美術館の位置づけを再検討すべく、「美術館運営」を1回目の審議テーマとして取り上げる |
| 2024年8月 | 価値共創委員会による「美術館運営」に関する助言に基づき、取締役会で審議した結果、美術館運営を継続する意義に基づき、規模の縮小と都内への移転を前提とした「ダウンサイジング&リロケーション」を具体的なオプションとして検討し、年内に方針を決定することを公表 |
| 2024年12月 | 当社における美術館運営を社会的価値と経済的価値の両面から考えた場合、適切な規模と場所で継続することが、ブランド価値向上による事業の発展に資することのみならず、ステークホルダーひいては社会全体に対する好ましい貢献活動であると考えるに至ったことから、適切な移転候補先を見つけることを前提に「ダウンサイジング&リロケーション」を最終方針として実行することを決定 |
| 2025年3月 | DIC川村記念美術館における「作品」、「建築」、「自然」が融合する体験の継承と、企業・社会へのインパクトを最大化することができる都心の立地を探した結果、公益財団法人国際文化会館(東京都港区六本木)と、アート・建築分野を起点とする協業に合意 |
| 2025年9月 | 売却対象となる美術品のうちの主要な作品80点程度については、短期的な売却手段としての合理性だけでなく、売却における公平性の観点から、世界的なオークションハウスであるクリスティーズを通じて国際オークションに出品することを発表。うち、経済的価値が高い作品20点程度を2025年11月にニューヨークで開催されたオークションに出品し、対外的にコミットした100億円以上のキャッシュインを創出 |
| 2026年2月 | 国際文化会館とのアート・建築分野を起点とする協業が本格始動・深化フェーズに入ったことを公表 |
DICと国際文化会館のアート・建築分野を起点とする協業が本格始動・深化フェーズへ
当社は2026年2月5日、公益財団法人国際文化会館とのアート・建築分野を起点とする協業プロジェクトが本格始動したことを発表しました。既に公表していた、DIC川村記念美術館に展示していたマーク・ロスコの<シーグラム壁画>7点すべてを国際文化会館が建設する新西館に移し、建築ユニットSANAAが設計する常設展示室「ロスコ・ルーム」を開設、共同運営することで、アート・建築の力によって民間外交・国際文化交流を推進する公益プログラムの充実を図ることに加え、戦後アメリカ美術を中心とした20世紀美術品を社会に開き、次世代へ継承していくとともに、美術品修復に関する化学メーカーとしての知見を活かした支援を本格的に進めていきます。
- プレスリリース:https://www.dic-global.com/ja/news/2026/ir/20260202153822.html
- 協業に関するウェブサイト:https://dic-ihj.org/
戦後アメリカ美術を中心とするアートへの明確なコミットメント
当社は、マーク・ロスコ作品をはじめ、卓越した戦後アメリカ美術を中心とする20世紀美術品を社会に開き、次世代へ継承することを企業の長期的責務と位置づけています。マーク・ロスコの<シーグラム壁画>に加え、ジャクソン・ポロック、フランク・ステラ、サイ・トゥオンブリーなどを含む戦後アメリカ美術を中心とした20世紀美術作品群と、それらと深く関連するヨーロッパや日本の美術作品を通じて、研究・保存・公開・国際連携といった観点からアートへコミットしていきます。また、当社が保有する作品群を文化資産として社会に開き、次世代へ継承するため、2030年までの移設期間中も、ロスコ作品を含む当社所蔵作品の国内外での鑑賞機会を広げ、文化資産をより多くの方々に届ける活動を進めます。
「化学×アート」を軸にした社会貢献と企業価値向上の両立
当社は、「化学×アート」を軸に、美術品修復に関する化学メーカーとしての知見を活かした支援を本格的に進めていきます。修復支援活動を継続的に行うための組織「IACC(Institute of Art Conservation Chemistry)」を立ち上げ、こうした取り組みを通じて、文化資産の保護と新たな価値創造に挑戦し、社会貢献と企業価値向上の両立を目指します。
ロスコ・チャペルとの提携協定締結
2024年7月のハリケーンによるロスコ・チャペルの被災は、気候変動リスクの高まりと文化資産への影響を改めて認識させる出来事でした。このような中、当社とロスコ・チャペルは、重要な文化資産を守るため、被災したロスコ・チャペルの美術品修復支援において戦略的なパートナーシップを締結することに合意しました。今後、修復家が求める材料の提供など、化学メーカーならではの知見と技術を活かした支援を展開します。
ロスコ・チャペルとは
1971年にアメリカ・ヒューストンに設立された無宗派の礼拝堂であり、内部にはマーク・ロスコが晩年に制作した14点の絵画が恒久設置されています。宗教・文化・国籍を超え、アートを媒介に内省、対話、和解を促す場として、国際的に高く評価されています。同チャペルはまた、アートを通じた社会変革や人権・平和をテーマとする活動拠点としても世界的に重要な役割を果たしています。
