業績の説明
(1) 当連結会計年度の業績全般の概況
(単位:億円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前年同期比 | 現地通貨ベース 前年同期比 |
|
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 10,711 | 10,522 | △1.8% | △1.7% |
| 営業利益 | 445 | 522 | +17.2% | +17.8% |
| 経常利益 | 379 | 442 | +16.7% | - |
| 親会社株主に帰属 する当期純利益 |
213 | 324 | +51.8% | - |
| EBITDA | 957 | 1,093 | +14.2% | - |
| US$/円(平均) | 151.04 | 150.08 | △0.6% | - |
| EUR/円(平均) | 163.34 | 169.58 | +3.8% | - |
EBITDA:親会社株主に帰属する当期純利益+法人税等合計+支払利息-受取利息+減価償却費+のれん償却額
当連結会計年度(2025年1月~12月)における当社グループの売上高は、前年同期比1.8%減の1兆522億円でした。
- 世界経済の状況を振り返ると、米国による相互関税措置が発表された直後は、サプライチェーンの混乱や関税コスト負担による出荷への影響が心配されました。しかし、主要国間で通商政策に関する合意が形成されるにつれて落ち着きを取り戻しました。一方で、物価高や米中貿易摩擦の再燃への懸念は収まらず、企業や消費者にとって先行きが不透明な状況が続きました。
- このような経済環境下において、当社グループが特に成長分野と定める顧客業界の市況については、電気•電子やディスプレイを中心とするデジタル分野のうち、ディスプレイ市場はパネルメーカーの稼働状況に伴い市況に波が見られたものの、半導体市場はAI半導体デバイス等の旺盛な需要が市場をけん引し、年間を通して堅調に推移しました。モビリティを中心とするインダストリアル分野※では、自動車市場において、米国の関税政策による一時的な駆け込み需要や中国メーカーの台頭といった動きが見られたなか、比較的安定して推移しました。
- こうしたなか、当社グループの出荷動向に関しては、デジタル印刷に使用されるジェットインキやケミトロニクス事業の中核製品であるエポキシ樹脂や工業用テープといった高付加価値製品は堅調な出荷となりました。また、PPSコンパウンドなどモビリティに関連した製品も前年並みの水準となりました。一方で、パッケージ用インキ、塗料用顔料、プラスチック用顔料など消費財に近いボリュームゾーンの製品は物価高や景気先行きに対する懸念などを背景に減少しました。
営業利益は、前年同期比17.2%増の522億円でした。減収となるなか、高付加価値製品の堅調な出荷、関税対策を含めた価格対応の実施やコスト管理を徹底したことに加え、カラー&ディスプレイにおいて、欧米顔料事業の構造改革によるコスト削減効果の発現により、赤字であった海外地域が黒字に転換したことなどが、増益の主要因となりました。
経常利益は、前年同期比16.7%増の442億円でした。ハイパーインフレーション会計及び新興国通貨に対する為替換算影響により為替差損が増加した一方で、欧米での利下げに伴い支払利息が減少しました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、51.8%増の324億円でした。液晶材料事業の撤退に関連した出資金売却益や美術品売却益を計上するなど、特別利益が前年同期比で増加したことに加え、特別損失が前年同期比で減少しました。
EBITDAは、前年同期比14.2%増の1,093億円でした。
- インダストリアル分野とは、自動車、鉄道、船舶などのモビリティ用途と建設機械、産業機械などの一般工業用途に係る製品分野の総称です。
(2)当連結会計年度のセグメント別業績
(単位:億円)
| セグメント | 売上高 | 営業利益 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 前連結 会計年度 |
当連結 会計年度 |
前年 同期比 |
現地通貨 ベース 前年同期比 |
前連結 会計年度 |
当連結 会計年度 |
前年 同期比 |
現地通貨 ベース 前年同期比 |
|
| パッケージング& グラフィック |
5,601 | 5,497 | △1.9% | △1.3% | 316 | 311 | △1.7% | +1.6% |
| カラー&ディスプレイ | 2,570 | 2,475 | △3.7% | △4.4% | △3 | 50 | 黒字化 | 黒字化 |
| ファンクショナル プロダクツ |
2,960 | 2,909 | △1.7% | △2.1% | 214 | 231 | +7.9% | +6.9% |
| その他、全社・消去 | △419 | △358 | - | - | △82 | △70 | - | - |
| 計 | 10,711 | 10,522 | △1.8% | △1.7% | 445 | 522 | +17.2% | +17.8% |
(注)当連結会計年度より「パッケージング&グラフィック」、「ファンクショナルプロダクツ」及び「その他、全社・消去」のセグメント間で、売上高と営業利益の一部についてセグメント区分を変更しています。 これに伴い、前連結会計年度についても、変更後の数値に組み替えて記載しています。
[パッケージング&グラフィック]
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前年同期比 | 現地通貨ベース 前年同期比 |
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|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,601 億円 | 5,497 億円 | △1.9% | △1.3% |
| 営業利益 | 316 億円 | 311 億円 | △1.7% | +1.6% |
売上高は、前年同期比1.9%減の5,497億円でした。食品包装を主用途とするパッケージ用インキは、日本では物価高に伴う消費の落ち込みによって、米州・欧州では特に欧州で景気の減速感や競合環境によってそれぞれ出荷が減少しましたが、一貫して価格対応に努めた結果、両地域とも増収となりました。一方、アジア他では市況の落ち込みと価格競争により出荷と価格の両面で厳しい環境にあるなか、顧客開拓による拡販が進んだ中国では増収となったものの、それ以外の地域では減収となりました。商業印刷や新聞を主用途とする出版用インキは、各地域で構造的な出版需要の減少が続くなか、特に米州・欧州で価格競争が強まり、出荷が大きく減少した結果、減収となりました。デジタル印刷に使用されるジェットインキは、デジタル化の進展により出荷が増え、増収となりました。食品トレーなどで使用されるポリスチレンは、日本における物価高を背景とした食料品の買い控えの影響などにより、出荷が前年同期を下回りました。
営業利益は、前年同期比1.7%減の311億円でした。日本ではパッケージ用インキと出版用インキにおいて価格対応を進めましたが、コスト増加分を吸収できず、減益となりました。米州・欧州では、安定した供給やサービスを通じて販売価格の維持に努めた結果、現地通貨ベースでは増益となったものの、新興国通貨安による為替換算影響を受けたことから、減益となりました。アジア他では、売上の減少により減益となりました。
[カラー&ディスプレイ]
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前年同期比 | 現地通貨ベース 前年同期比 |
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|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,570 億円 | 2,475 億円 | △3.7% | △4.4% |
| 営業利益 | △3 億円 | 50 億円 | 黒字化 | 黒字化 |
売上高は、前年同期比3.7%減の2,475億円でした。売上の割合が大きい塗料用顔料、プラスチック用顔料は、欧州や米国を中心に景気の先行き不透明感から顧客需要が伸び悩み、出荷が落ち込みましたが、関税対策や採算是正を目的とした価格改定に一貫して努めた結果、増収となりました。高付加価値製品については、ディスプレイ用途であるカラーフィルタ用顔料は、パネルメーカーの稼働状況が安定せず、前年を下回る出荷となりましたが、品目構成の影響により増収となりました。化粧品用顔料は、主な顧客である欧米の化粧品メーカーにおける需要停滞などにより出荷が減少し、減収となりました。スペシャリティ用顔料は、在庫調整が一巡した農業向けの出荷が回復したことに加え、建築向けも出荷を伸ばした結果、増収となりました。顔料製品以外では、液晶材料事業からの撤退により、液晶材料製品の売上高が減少したことが減収要因となりました。
営業利益は、50億円の黒字となりました。カラーフィルタ用顔料やスペシャリティ用顔料といった高付加価値製品の増収に加え、以前から進めてきた欧米顔料事業の構造改革によるコスト削減効果の発現により、赤字であった海外地域が黒字に転換しました。
[ファンクショナルプロダクツ]
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 前年同期比 | 現地通貨ベース 前年同期比 |
|
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,960 億円 | 2,909 億円 | △1.7% | △2.1% |
| 営業利益 | 214 億円 | 231 億円 | +7.9% | +6.9% |
売上高は、前年同期比1.7%減の2,909億円でした。デジタル分野については、半導体などのエレクトロニクス材料を主用途とするエポキシ樹脂は、半導体需要にけん引される形で全般的に出荷が堅調であった結果、増収となりました。スマートフォンなどのモバイル機器を主用途とする工業用テープは、新機種への採用拡大など着実に需要を取り込んだことで、増収となりました。インダストリアル分野については、自動車市場において米国関税措置による出荷への影響が懸念されましたが、PPSコンパウンドなどモビリティ関連用途の製品出荷が底堅い結果となりました。上記以外では、連結子会社であったDICデコール株式会社の株式を2025年4月に譲渡したことにより、住宅材料関連製品の売上高が減少したことが減収要因となりました。
営業利益は、前年同期比7.9%増の231億円でした。ケミトロニクス事業に関連した先行投資などによりコスト増となるなか、エレクトロニクスやモビリティ関連用途の高付加価値製品の拡販が進んだことに加え、各製品において価格維持に努めたことにより、増益となりました。
(3)次期の業績全般の概況
(単位:億円)
| 当連結会計年度 | 次期見通し | 前年同期比 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 10,522 | 11,000 | +4.5% |
| 営業利益 | 522 | 560 | +7.3% |
| 経常利益 | 442 | 480 | +8.5% |
| 親会社株主に帰属 する当期純利益 |
324 | 330 | +2.0% |
| EBITDA | 1,093 | 1,110 | +1.6% |
| US$/円(平均) | 150.08 | 150.00 | △0.1% |
| EUR/円(平均) | 169.58 | 168.00 | △0.9% |
次期の世界経済については、通商政策を巡る不確実性が残るなか、依然として関税による企業収益や消費者物価への影響、米中貿易摩擦再燃の懸念などにより、不透明な状況が続く見通しです。
このような状況において、当社グループは長期経営計画「DIC Vision 2030」Phase2(2026年度~2030年度)を「目指す姿の実現と展開」の期間と位置付け、2030年におけるコミットメントとして、以下の方針を掲げています。
- 持続成長と稼ぐ力を備えた事業ポートフォリオの構築
- 資本効率の改善と株主還元の充実による企業価値の向上
- 2030年度目標値として、営業利益800億円以上、ROE10%以上、総還元性向40%以上の設定
以上を踏まえて、当社グループの2026年通期の売上高は前年同期比4.5%増の1兆1,000億円、営業利益は7.3%増の560億円、経常利益は8.5%増の480億円、親会社株主に帰属する当期純利益は2.0%増の330億円を予想しています。また、配当金につきましては、期末と中間を合わせて1株当たり140円をお支払いする計画です。
「DIC Vision 2030」Phase2計画の詳細につきましては、本日付で公表した「長期経営計画『DIC Vision 2030』Phase2計画の策定について」を合わせてご覧ください。
(4)次期のセグメント別業績見通し
(単位:億円)
| セグメント | 売上高 | 営業利益 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 当連結 会計年度 |
次期見通し | 前年 同期比 |
当連結 会計年度 |
次期見通し | 前年 同期比 |
|
| パッケージング& グラフィック |
5,497 | 5,770 | +5.0% | 311 | 300 | △3.5% |
| カラー&ディスプレイ | 2,475 | 2,550 | +3.0% | 50 | 85 | +70.3% |
| ファンクショナル プロダクツ |
2,909 | 2,980 | +2.5% | 231 | 245 | +6.0% |
| その他、全社・消去 | △358 | △300 | - | △70 | △70 | - |
| 計 | 10,522 | 11,000 | +4.5% | 522 | 560 | +7.3% |
業績の見通しは、現時点で入手可能な情報に基づき、当社が判断したものであり、潜在的なリスクや不確定要素が含まれています。業績に影響を与え得る重要な要素としては、国内外の経済情勢、市場の動向、原材料価格や金利、為替レートの変動などのほか、紛争・訴訟、災害・事故などのリスクがあり、また、事業再構築に伴う一時損失が発生する可能性があります。ただし、業績に影響を与え得る要素はこれらに限定されるものではありません。
