業績の説明

(1) 当中間連結会計期間の業績全般の概況

(単位:億円)

  前中間連結
会計期間
当中間連結
会計期間
前年同期比 現地通貨ベース
前年同期比
売上高 5,388 5,232 △2.9% △0.5%
営業利益 219 270 +22.9% +27.9%
経常利益 200 203 +1.3%
親会社株主に帰属
する中間純利益
64 131 +104.0%
EBITDA 438 491 +12.0%
US$/円(平均) 152.13 148.58 △2.3%
EUR/円(平均) 164.43 162.72 △1.0%

EBITDA:親会社株主に帰属する中間純利益+法人税等合計+支払利息-受取利息+減価償却費+のれん償却額

 当中間連結会計期間(2025年1月~6月)における当社グループの売上高は、前年同期比2.9%減の5,232億円でした。

  • 直近の世界経済は、米国による相互関税政策の発表以降、各国・地域間の交渉の進捗が注視されるなか、企業や消費者の購買行動において、一部で駆け込み需要が見られる一方で買い控えも見られるなど、景気先行きに対する警戒感が強まりました。
  • このような経済環境下において、当社グループが注力する主な顧客業界の需要動向としては、電気•電子やディスプレイを中心とするデジタル分野のうち、ディスプレイ市場はパネルメーカーの稼働状況にやや落ち込みが見られたものの、半導体市場は引き続きAI半導体デバイス等の需要拡大が市場をけん引し、堅調に推移しました。モビリティを中心とするインダストリアル分野※では、自動車市場において、米国の関税政策による影響が懸念されましたが、それを見越した一時的な駆け込み需要もあり、結果的に急激な変化は見られませんでした。
  • こうしたなか、当社グループの出荷動向に関しては、パッケージング&グラフィックでは、当第2四半期(2025年4月~6月)に入ってから、インキ製品が全般的に前年同期比で落ち込み、カラー&ディスプレイでも、塗料用顔料とプラスチック用顔料を中心に減少傾向となりましたが、ファンクショナルプロダクツでは、エポキシ樹脂や工業用テープなどエレクトロニクス関連の高付加価値製品が堅調に推移したことに加え、PPSコンパウンドなどモビリティに関連した製品も底堅く推移しました。

 営業利益は、前年同期比22.9%増の270億円でした。カラー&ディスプレイにおいて、収益性改善のための価格改定の実施と以前から進めてきた欧米顔料事業の構造改革によるコスト削減効果の発現により、赤字であった海外事業が黒字に転換したことが、増益の主要因となりました。

 経常利益は、前年同期比1.3%増の203億円でした。ハイパーインフレーション会計の影響を含め、急激な円高の影響を受け為替差損が増加しました。

 親会社株主に帰属する中間純利益は、104.0%増の131億円でした。多額のリストラ関連退職損失や関係会社株式及び出資金売却損などを計上した前年同期と比べて、特別損失が大幅に減少しました。

 EBITDAは、前年同期比12.0%増の491億円でした。

  • インダストリアル分野とは、自動車、鉄道、船舶などのモビリティ用途と建設機械、産業機械などの一般工業用途に係る製品分野の総称です。

(2)当中間連結会計期間のセグメント別業績

(単位:億円)

セグメント 売上高 営業利益
前中間連結
会計期間
当中間連結
会計期間
前年
同期比
現地通貨
ベース
前年同期比
前中間連結
会計期間
当中間連結
会計期間
前年
同期比
現地通貨
ベース
前年同期比
パッケージング&
グラフィック
2,808 2,688 △4.3% △1.1% 152 134 △11.9% △5.2%
カラー&ディスプレイ 1,343 1,320 △1.7% +0.5% 4 57 13.1倍 8.0倍
ファンクショナル
プロダクツ
1,447 1,430 △1.2% △0.4% 108 109 +0.8% +1.3%
その他、全社・消去 △209 △205 △45 △30
5,388 5,232 △2.9% △0.5% 219 270 +22.9% +27.9%

(注)当中間連結会計期間より「パッケージング&グラフィック」、「ファンクショナルプロダクツ」及び「その他、全社・消去」のセグメント間で、売上高と営業利益の一部についてセグメント区分を変更しています。これに伴い、前中間連結会計期間についても、変更後の数値に組み替えて記載しています。

[パッケージング&グラフィック]

  前中間連結
会計期間
当中間連結
会計期間
前年
同期比
現地通貨
ベース
前年同期比
売上高 2,808億円 2,688億円 △4.3% △1.1%
営業利益 152億円 134億円 △11.9% △5.2%

 売上高は、前年同期比4.3%減の2,688億円でした。食品包装を主用途とするパッケージ用インキは、日本では物価高に伴う消費の落ち込みによって、米州・欧州では米国の関税政策に伴うインフレ懸念等によって、それぞれ出荷が減少しましたが、引き続き価格対応に努めた結果、いずれも増収となりました。一方、アジア他では市況の落ち込みと価格競争により出荷と価格の両面で厳しい環境にあるなか、顧客開拓による拡販が進んだ中国では増収となったものの、それ以外の地域では減収となりました。商業印刷や新聞を主用途とする出版用インキは、各地域で出版需要の減少が見られるなか、特に米州・欧州で出荷が大きく減少した結果、減収となりました。デジタル印刷に使用されるジェットインキは、引き続き堅調に推移し増収となりました。食品トレーなどで使用されるポリスチレンは、顧客の買い控えにより出荷が伸び悩み、減収となりました。
 営業利益は、前年同期比11.9%減の134億円でした。日本ではパッケージ用インキと出版用インキにおいて価格対応を進めましたが、コスト増加分を吸収できず、減益となりました。また、海外では、売上が落ち込んだアジア他で減益となり、米州・欧州でも、引き続き安定した供給やサービスを通じて販売価格の維持に努めましたが、出荷減に加え、新興国通貨安による為替換算影響を受けたことなどから、減益となりました。なお、米州・欧州は現地通貨ベースでは1.6%の増益でした。

[カラー&ディスプレイ]

  前中間連結
会計期間
当中間連結
会計期間
前年
同期比
現地通貨
ベース
前年同期比
売上高 1,343億円 1,320億円 △1.7% +0.5%
営業利益 4億円 57億円 13.1倍 8.0倍

 売上高は、前年同期比1.7%減の1,320億円でした。現地通貨ベースでは、0.5%の増収でした。塗料用顔料とプラスチック用顔料は、欧州や米国を中心に米国の関税政策に伴うインフレ懸念等を背景とした一時的な買い控えもあり、出荷が減少したものの、価格改定に努めた結果、増収となりました。高付加価値製品については、ディスプレイ用途であるカラーフィルタ用顔料は、パネルメーカーの稼働状況にやや落ち込みが見られ、出荷が前年並みにとどまりましたが、価格対応により増収となりました。化粧品用顔料は、主な顧客である欧米の化粧品メーカーにおける需要停滞などにより、出荷が減少したことで減収となりました。スペシャリティ用顔料は、建築向けの出荷が減速したものの、在庫調整が一巡した農業向けが引き続き回復基調となった結果、増収となりました。顔料製品以外では、液晶材料事業からの撤退により、液晶材料製品の売上高が減少したことが減収要因となりました。
 営業利益は、前年同期比13.1倍の57億円でした。収益性改善のための価格改定の実施と以前から進めてきた欧米顔料事業の構造改革によるコスト削減効果の発現により、赤字であった海外事業が黒字に転換しました。

[ファンクショナルプロダクツ]

  前中間連結
会計期間
当中間連結
会計期間
前年
同期比
現地通貨
ベース
前年同期比
売上高 1,447億円 1,430億円 △1.2% △0.4%
営業利益 108億円 109億円 +0.8% +1.3%

 売上高は、前年同期比1.2%減の1,430億円でした。デジタル分野については、半導体などのエレクトロニクス材料を主用途とするエポキシ樹脂は、半導体需要にけん引される形で全般的に出荷が堅調に推移した結果、増収となりました。スマートフォンなどのモバイル機器を主用途とする工業用テープは、採用の拡大など着実に需要を取り込んだことで、増収となりました。インダストリアル分野については、自動車市場において米国関税影響を見越した駆け込み需要もあり、PPSコンパウンドなどモビリティに関連した製品が底堅く推移しました。
 営業利益は、前年同期比0.8%増の109億円でした。ケミトロニクス事業に関連した先行投資などによりコスト増となるなか、エレクトロニクスやモビリティに関連した高付加価値製品の拡販が進んだことに加え、各製品において価格維持に努めたことにより、増益となりました。

(3)通期の業績見通し

2025年5月15日に公表した業績見通しを以下のとおり修正します。

(単位:億円)

  前連結会計年度 通期見通し 前年同期比
売上高 10,711 10,600
(11,100)
△1.0%
営業利益 445 500
(480)
+12.3%
経常利益 379 400
(440)
+5.5%
親会社株主に帰属
する当期純利益
213 240 +12.6%
EBITDA 957 990
(1,020)
+3.5%
US$/円(平均) 151.04 145.00 △4.0%
EUR/円(平均) 163.34 158.00 △3.3%

( )内の数値は2025年5月15日公表値。

(業績見通しの修正理由)
 今後の世界経済は、現時点での米国関税交渉の進捗と結果を踏まえると、当面不透明な環境が続く見通しです。この環境下において、当社が注力する顧客業界においても、自動車市場をはじめ、当初見込んでいた需要には届かず、出荷の減少が予想されることから、売上高は当初計画を下回る見通しです。利益面では、営業利益は、高付加価値製品の拡販、適切な価格対応、コストの削減などに鋭意取り組むことで当初計画を上回る見通しですが、経常利益については、ハイパーインフレーション会計の影響を含め、急激な円高の影響を受け為替差損が増加することが予想されることから、当初計画を下回る見通しです。
 こうした状況を踏まえ、通期連結業績予想について、売上高、営業利益、経常利益を修正します。親会社株主に帰属する当期純利益は前回予想を据え置きます。

 なお、2025年12月期の期末配当予想について、本日開催の取締役会で前回予想の50円(全額普通配当)から150円(普通配当70円、特別配当80円)に修正することを決議しました。詳細については、本日付適時開示「2025年12月期 期末配当予想の修正(増配・特別配当)に関するお知らせ」をご覧ください。

 業績の見通しは、現時点で入手可能な情報に基づき、当社が判断したものであり、潜在的なリスクや不確定要素が含まれています。業績に影響を与え得る重要な要素としては、国内外の経済情勢、市場の動向、原材料価格や金利、為替レートの変動などのほか、紛争・訴訟、災害・事故などのリスクがあり、また、事業再構築に伴う一時損失が発生する可能性があります。ただし、業績に影響を与え得る要素はこれらに限定されるものではありません。