業績の説明

(1) 2025年12月期 第1四半期連結累計期間の業績全般の概況

(単位:億円)

  前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
前年同期比 現地通貨ベース
前 年 同 期 比
売上高 2,558 2,621 +2.5% +2.4%
営業利益 85 131 +54.0% +58.5%
経常利益 66 99 +48.6%
親会社株主に帰属
する四半期純利益
△28 61 黒字化
EBITDA 130 244 +87.3%
US$/円(平均) 147.58 152.46 +3.3%
EUR/円(平均) 160.12 160.52 +0.2%

EBITDA:親会社株主に帰属する四半期純利益+法人税等合計+支払利息-受取利息+減価償却費+のれん償却額

 当第1四半期連結累計期間(2025年1月~3月)における当社グループの売上高は、前年同期比2.5%増の2,621億円でした。直近の世界経済は、米国や欧州では関税引き上げへの懸念を背景に個人消費が弱含むなど、景気の先行きに対する不安が表れており、中国では長引く不動産不況や米中間の貿易摩擦で今後の消費や投資動向が不透明な状況となっています。このような経済環境下、当社グループが注力する主な顧客業界の需要動向としては、電気•電子やディスプレイを中心とするデジタル分野のうち、ディスプレイ市場はパネルメーカーの稼働状況が安定的に推移し、半導体市場も汎用品の本格的な需要回復が途上であるものの、引き続き生成AI向け等の需要が市場をけん引しました。モビリティを中心とするインダストリアル分野では、自動車市場において急激な需要の変化は見られませんでしたが、今後の関税引き上げによる影響が大きく懸念されます。こうしたなか、当社グループの出荷動向に関しては、カラー&ディスプレイでは、高付加価値製品であるカラーフィルタ用顔料が前年同期(2024年1月~3月)を大きく上回ったことに加え、プラスチック用顔料についても堅調に推移しました。また、ファンクショナルプロダクツでは、エレクトロニクス関連の高付加価値製品が堅調に推移し、パッケージング&グラフィックでも、デジタル印刷に使用されるジェットインキが商業印刷用を中心に出荷を伸ばしました。
営業利益は、前年同期比54.0%増の131億円でした。カラー&ディスプレイにおいて、市況の回復に伴い売上が増加したことに加え、以前から進めてきた欧米顔料事業の構造改革によるコスト削減効果の発現により、赤字であった海外が黒字に転換したことが、増益の主要因となりました。
経常利益は、前年同期比48.6%増の99億円でした。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、61億円の黒字となり、28億円の赤字であった前年同期から大幅に改善しました。多額のリストラ関連退職損失や関係会社株式及び出資金売却損などを計上した前年同期と比べて、特別損失が大幅に減少しました。
EBITDAは、前年同期比87.3%増の244億円でした。

※インダストリアル分野とは、自動車、鉄道、船舶などのモビリティ用途と建設機械、産業機械などの一般工業用途に係る製品分野の総称です。

(2)2025年12月期 第1四半期連結累計期間のセグメント別業績

(単位:億円)

セグメント 売上高 営業利益
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
前年
同期比
現地通貨
ベース
前年同期比
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
前年
同期比
現地通貨
ベース
前年同期比
パッケージング&
グラフィック
1,345 1,340 △0.3% +0.3% 68 67 △1.1% +4.3%
カラー&ディスプレイ 635 689 +8.6% +7.8% △5 28 黒字化 黒字化
ファンクショナル
プロダクツ
681 708 +4.0% +3.0% 42 51 +22.0% +20.0%
その他、全社・消去 △102 △116 △20 △16
2,558 2,621 +2.5% +2.4% 85 131 +54.0% +58.5%

(注)当第1四半期連結累計期間より「パッケージング&グラフィック」、「ファンクショナルプロダクツ」及び「その他、全社・消去」のセグメント間で、売上高と営業利益の一部についてセグメント区分を変更しています。これに伴い、前第1四半期連結累計期間についても、変更後の数値に組み替えて記載しています。

[パッケージング&グラフィック]

  前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
前年
同期比
現地通貨
ベース
前年同期比
売上高 1,345億円 1,340億円 △0.3% +0.3%
営業利益 68億円 67億円 △1.1% +4.3%

 売上高は、前年同期比0.3%減の1,340億円でした。現地通貨ベースでは、0.3%の増収でした。食品包装を主用途とするパッケージ用インキは、アジアでは市況の落ち込みや価格競争などにより出荷と価格の両面で苦戦し、減収となりましたが、国内と米州や欧州で価格対応に努め、それぞれ売上を伸ばした結果、全体として増収となりました。商業印刷や新聞を主用途とする出版用インキは、各地域で出版需要の減少が見られるなか、特に米州や欧州で出荷が大きく減少した結果、減収となりました。デジタル印刷に使用されるジェットインキは、デジタル化の進展による市場成長に伴い、商業印刷用を中心に出荷を伸ばした結果、大幅な増収となりました。
営業利益は、前年同期比1.1%減の67億円でした。現地通貨ベースでは、4.3%の増益でした。国内ではパッケージ用インキと出版用インキにおいて価格対応を進めましたが、コスト増加分を吸収できず、減益となりました。一方、海外では、売上が落ち込んだアジアは減益となりましたが、米州や欧州は、引き続き安定した供給やサービスを通じて販売価格の維持に努めた結果、新興国通貨安による為替換算影響を受けながらも、増益となりました。

[カラー&ディスプレイ]

  前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
前年
同期比
現地通貨
ベース
前年同期比
売上高 635億円 689億円 +8.6% +7.8%
営業利益 △5億円 28億円 黒字化 黒字化

 売上高は、前年同期比8.6%増の689億円でした。塗料用顔料は出荷数量が減少したものの、品目構成の改善や価格改定に努めた結果、増収となりました。プラスチック用顔料は総じて需要が堅調に推移し、出荷が増加したことに加え、価格改定に努めた結果、増収となりました。高付加価値製品については、ディスプレイ用途であるカラーフィルタ用顔料は、パネルメーカーの安定的な稼働状況に伴い、前年同期の出荷数量を大幅に上回りました。化粧品用顔料は、主な顧客である欧米の化粧品メーカーにおける需要停滞などにより、出荷が減少しました。スペシャリティ用顔料は、建築向けの出荷が堅調に推移したことに加え、農業向けも市況が回復基調となり、前年同期を上回る出荷となりました。
営業利益は28億円の黒字となりました。市況の回復に伴い、売上が堅調に推移したことに加え、以前から進めてきた欧米顔料事業の構造改革によるコスト削減効果の発現により、赤字であった海外が黒字に転換しました。

[ファンクショナルプロダクツ]

  前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
前年
同期比
現地通貨
ベース
前年同期比
売上高 681億円 708億円 +4.0% +3.0%
営業利益 42億円 51億円 +22.0% +20.0%

 売上高は、前年同期比4.0%増の708億円でした。デジタル分野については、半導体などのエレクトロニクス材料を主用途とするエポキシ樹脂は一部の製品で在庫調整の動きが見られたものの、全般的に出荷が堅調に推移した結果、増収となりました。スマートフォンなどのモバイル機器を主用途とする工業用テープは、採用の拡大など着実に需要を取り込んだことで、増収となりました。インダストリアル分野については、自動車市場において急激な需要の変化は見られず、PPSコンパウンドの出荷数量が国内では前年並みを維持するなど、モビリティに関連した製品が底堅く推移しました。
営業利益は、前年同期比22.0%増の51億円でした。エレクトロニクスやモビリティに関連した高付加価値製品の拡販を進めたことに加え、各製品において価格維持に努めたことにより、大幅な増益となりました。

(3)2025年12月期 第2四半期連結累計期間及び通期の業績見通し

(単位:億円)

  前第2四半期
連結累計期間
実績
当第2四半期
連結累計期間
見通し
前年同期比 前期実績 通期見通し 前年同期比
売上高 5,388 5,500 +2.1% 10,711 11,100 +3.6%
営業利益 219 230 +4.8% 445 480 +7.8%
経常利益 200 220 +9.8% 379 440 +16.1%
親会社株主に帰属
する当期純利益
64 100 +55.9% 213 240 +12.6%
EBITDA 438 957 1,020 +6.6%

※前回見通し(2025年2月12日開示)から変更ありません。

業績の見通しは、現時点で入手可能な情報に基づき、当社が判断したものであり、潜在的なリスクや不確定要素が含まれています。業績に影響を与え得る重要な要素としては、国内外の経済情勢、市場の動向、原材料価格や金利、為替レートの変動などのほか、紛争・訴訟、災害・事故などのリスクがあり、また、事業再構築に伴う一時損失が発生する可能性があります。ただし、業績に影響を与え得る要素はこれらに限定されるものではありません。