業績の説明
(1) 当第3四半期連結累計期間の業績全般の概況
(単位:億円)
| 前第3四半期 連結累計期間 |
当第3四半期 連結累計期間 |
前年同期比 | 現地通貨ベース 前年同期比 |
|
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 8,077 | 7,859 | △2.7% | △1.6% |
| 営業利益 | 340 | 405 | +18.9% | +21.7% |
| 経常利益 | 276 | 328 | +19.1% | - |
| 親会社株主に帰属 する四半期純利益 |
106 | 217 | +104.4% | - |
| EBITDA | 651 | 779 | +19.7% | - |
| US$/円(平均) | 150.43 | 148.42 | △1.3% | - |
| EUR/円(平均) | 163.44 | 166.02 | +1.6% | - |
EBITDA:親会社株主に帰属する四半期純利益+法人税等合計+支払利息-受取利息+減価償却費+のれん償却額
当第3四半期連結累計期間(2025年1月~9月)における当社グループの売上高は、前年同期比2.7%減の7,859億円でした。
- 直近の世界経済は、米国と各国・地域間の関税協議について一定の合意が進んだことに加え、各地域で状況に応じた金融政策や財政政策が適宜執られたことにより景気の後退は避けられたものの、依然として物価高や米中貿易摩擦の再燃への懸念が治まらず、企業や消費者にとって先行きが不透明な状況が続いています。
- このような経済環境下において、当社グループが特に成長分野と定める顧客業界の需要動向としては、電気•電子やディスプレイを中心とするデジタル分野のうち、ディスプレイ市場はパネルメーカーの稼働状況が調整局面から戻りつつあり、半導体市場は引き続きAI半導体デバイス等の需要拡大が市場をけん引し、堅調に推移しました。モビリティを中心とするインダストリアル分野※では、自動車市場において、米国の関税政策による影響が懸念されましたが、米国内の自動車販売が堅調さを保つなど、需要への影響は明確には見られませんでした。
- こうしたなか、当社グループの出荷動向に関しては、デジタル印刷に使用されるジェットインキやケミトロニクス事業の中核製品であるエポキシ樹脂や工業用テープといった高付加価値製品は引き続き堅調に推移しました。また、PPSコンパウンドなどモビリティに関連した製品も底堅く推移しました。一方で、パッケージ用インキ、塗料用顔料、プラスチック用顔料など消費財に近いボリュームゾーンの製品は物価高や景気先行きに対する懸念などを背景に減少傾向となりました。
営業利益は、前年同期比18.9%増の405億円でした。減収となるなか、高付加価値製品の堅調な出荷、全般的な価格対応の継続やコスト管理の徹底に加え、カラー&ディスプレイにおいて、収益性改善のための価格改定の実施と以前から進めてきた欧米顔料事業の構造改革によるコスト削減効果の発現により、赤字であった海外地域が黒字に転換したことなどが、増益の主要因となりました。
経常利益は、前年同期比19.1%増の328億円でした。ハイパーインフレーション会計及び新興国通貨に対する円高影響により為替差損が増加した一方で、欧米での利下げに伴い支払利息が減少しました。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、104.4%増の217億円でした。液晶材料事業の撤退に関連した出資金売却益を計上するなど、特別利益が前年同期比で増加したことに加え、特別損失が前年同期比で減少しました。
EBITDAは、前年同期比19.7%増の779億円でした。
- インダストリアル分野とは、自動車、鉄道、船舶などのモビリティ用途と建設機械、産業機械などの一般工業用途に係る製品分野の総称です。
(2)当第3四半期連結累計期間のセグメント別業績
(単位:億円)
| セグメント | 売上高 | 営業利益 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 前第3四半期 連結累計期間 |
当第3四半期 連結累計期間 |
前年 同期比 |
現地通貨 ベース 前年同期比 |
前第3四半期 連結累計期間 |
当第3四半期 連結累計期間 |
前年 同期比 |
現地通貨 ベース 前年同期比 |
|
| パッケージング& グラフィック |
4,206 | 4,061 | △3.4% | △1.6% | 232 | 213 | △8.3% | △3.1% |
| カラー&ディスプレイ | 1,994 | 1,928 | △3.3% | △2.8% | 9 | 69 | 7.7倍 | 5.0倍 |
| ファンクショナル プロダクツ |
2,194 | 2,158 | △1.6% | △1.4% | 163 | 169 | +4.0% | +3.8% |
| その他、全社・消去 | △317 | △289 | - | - | △64 | △46 | - | - |
| 計 | 8,077 | 7,859 | △2.7% | △1.6% | 340 | 405 | +18.9% | +21.7% |
(注)第1四半期連結会計期間より「パッケージング&グラフィック」、「ファンクショナルプロダクツ」及び「その他、全社・消去」のセグメント間で、売上高と営業利益の一部についてセグメント区分を変更しています。 これに伴い、前第3四半期連結累計期間についても、変更後の数値に組み替えて記載しています。
[パッケージング&グラフィック]
| 前第3四半期 連結累計期間 |
当第3四半期 連結累計期間 |
前年 同期比 |
現地通貨 ベース 前年同期比 |
|
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,206 億円 | 4,061 億円 | △3.4% | △1.6% |
| 営業利益 | 232 億円 | 213 億円 | △8.3% | △3.1% |
売上高は、前年同期比3.4%減の4,061億円でした。食品包装を主用途とするパッケージ用インキは、日本では物価高に伴う消費の落ち込みによって、米州・欧州では特に欧州で景気の減速感を背景としてそれぞれ出荷が減少しましたが、引き続き価格対応に努めた結果、両地域とも増収となりました。一方、アジア他では市況の落ち込みと価格競争により出荷と価格の両面で厳しい環境にあるなか、顧客開拓による拡販が進んだ中国では増収となったものの、それ以外の地域では減収となりました。商業印刷や新聞を主用途とする出版用インキは、各地域で構造的な出版需要の減少が続くなか、特に米州・欧州で価格競争が強まり、出荷が大きく減少した結果、減収となりました。デジタル印刷に使用されるジェットインキは、デジタル化の進展により引き続き出荷が堅調に推移し、増収となりました。食品トレーなどで使用されるポリスチレンは、物価高による食料品の買い控えが解消されず、出荷が前年同期を下回りました。
営業利益は、前年同期比8.3%減の213億円でした。日本ではパッケージ用インキと出版用インキにおいて価格対応を進めましたが、コスト増加分を吸収できず、減益となりました。また、海外では、売上が落ち込んだアジア他で減益となり、米州・欧州でも、引き続き安定した供給やサービスを通じて販売価格の維持に努めましたが、出荷減に加え、新興国通貨安による為替換算影響を受けたことなどから、減益となりました。
[カラー&ディスプレイ]
| 前第3四半期 連結累計期間 |
当第3四半期 連結累計期間 |
前年 同期比 |
現地通貨 ベース 前年同期比 |
|
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,994 億円 | 1,928 億円 | △3.3% | △2.8% |
| 営業利益 | 9 億円 | 69 億円 | 7.7倍 | 5.0倍 |
売上高は、前年同期比3.3%減の1,928億円でした。売上の割合が大きい塗料用顔料、プラスチック用顔料は、欧州や米国を中心に景気の先行き不透明感から顧客による在庫調整の動きが見られ、出荷の落ち込みが続きましたが、価格改定に努めた結果、増収となりました。高付加価値製品については、ディスプレイ用途であるカラーフィルタ用顔料は、パネルメーカーの稼働状況が回復途上にあり、出荷が前年を下回りましたが、品目構成の影響により増収となりました。化粧品用顔料は、主な顧客である欧米の化粧品メーカーにおける需要停滞などにより、出荷が減少したことで減収となりました。スペシャリティ用顔料は、在庫調整が一巡した農業向けの出荷が回復したことに加え、建築向けも出荷を伸ばした結果、増収となりました。顔料製品以外では、液晶材料事業からの撤退により、液晶材料製品の売上高が減少したことが減収要因となりました。
営業利益は、前年同期比7.7倍の69億円でした。カラーフィルタ用顔料やスペシャリティ顔料といった高付加価値製品の増収に加え、収益性改善のための価格改定の実施と以前から進めてきた欧米顔料事業の構造改革によるコスト削減効果の発現により、赤字であった海外地域が黒字に転換したことなどが増益の主要因となりました。
[ファンクショナルプロダクツ]
| 前第3四半期 連結累計期間 |
当第3四半期 連結累計期間 |
前年 同期比 |
現地通貨 ベース 前年同期比 |
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|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,194 億円 | 2,158 億円 | △1.6% | △1.4% |
| 営業利益 | 163 億円 | 169 億円 | +4.0% | +3.8% |
売上高は、前年同期比1.6%減の2,158億円でした。デジタル分野については、半導体などのエレクトロニクス材料を主用途とするエポキシ樹脂は、半導体需要にけん引される形で全般的に出荷が堅調に推移した結果、増収となりました。スマートフォンなどのモバイル機器を主用途とする工業用テープは、採用の拡大など着実に需要を取り込んだことで、増収となりました。インダストリアル分野については、自動車市場において米国関税影響を見越した駆け込み需要の反動が懸念されましたが、PPSコンパウンドなどモビリティ関連用途の製品が引き続き底堅く推移しました。上記以外では、連結子会社であったDICデコール株式会社の株式を2025年4月に譲渡したことにより、住宅材料関連製品の売上高が減少したことが減収要因となりました。
営業利益は、前年同期比4.0%増の169億円でした。ケミトロニクス事業に関連した先行投資などによりコスト増となるなか、エレクトロニクスやモビリティ関連用途の高付加価値製品の拡販が進んだことに加え、各製品において価格維持に努めたことにより、増益となりました。
(3)通期の業績見通し
(単位:億円)
| 前連結会計年度 | 通期見通し | 前年同期比 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 10,711 | 10,600 | △1.0% |
| 営業利益 | 445 | 500 | +12.3% |
| 経常利益 | 379 | 400 | +5.5% |
| 親会社株主に帰属 する当期純利益 |
213 | 240 | +12.6% |
| EBITDA | 957 | 990 | +3.5% |
| US$/円(平均) | 151.04 | 145.00 | △4.0% |
| EUR/円(平均) | 163.34 | 158.00 | △3.3% |
※通期見通しは前回予想(2025年8月8日)から変更ありません。
業績の見通しは、現時点で入手可能な情報に基づき、当社が判断したものであり、潜在的なリスクや不確定要素が含まれています。業績に影響を与え得る重要な要素としては、国内外の経済情勢、市場の動向、原材料価格や金利、為替レートの変動などのほか、紛争・訴訟、災害・事故などのリスクがあり、また、事業再構築に伴う一時損失が発生する可能性があります。ただし、業績に影響を与え得る要素はこれらに限定されるものではありません。
