WATCH見えないものを、見せる。
挑戦も、葛藤も、すべて見せる。DIC「Vision Watch」リニューアルに込めた社員が主役のメディアづくり


半導体、食品パッケージ、モビリティ……。私たちの暮らしは、数多くの技術や素材に支えられています。しかし、それらを誰が、どんな想いでつくっているのかは、ほとんど知られていません。
印刷インキの会社から新たな領域へと挑戦を続け、社会の持続的繁栄を目指すDICは、このたびオウンドメディア「Vision Watch」をリニューアルします。コンセプトは「見えないものを、見せる」。製品や技術だけでなく、その背景にある挑戦や葛藤、そして社員の熱量を伝えていきます。
メディア刷新に込めた真意と、DICが目指す姿について、経営戦略を牽引する常務執行役員 グループCSO(Chief Strategy Officer)、経営戦略部門長の田中智之と、社内外への発信を担うコーポレートコミュニケーション部長の三宅圭介に聞きました。
見えない挑戦を、社会へ。DICが発信を変える理由
──長期経営計画「DIC Vision 2030」が実行フェーズに入るなか、DICはオウンドメディア「Vision Watch」をリニューアルします。新しい領域へ挑むにあたり、これまで見えにくかった部分や試行錯誤のプロセスをあえて発信していくことには、どのような意味があるのでしょうか。
田中:DICはいま、長期経営計画「DIC Vision 2030」を進めています。この「DIC Vision 2030」では、社会の持続的繁栄に貢献する事業ポートフォリオを構築し、地球環境と社会のサステナビリティ実現を目指しています。2026年からは目指す姿の実現と展開の期間に入りました。これまでの土台である、インキ・パッケージ材料、顔料、ポリマなどの中核事業を進化させつつ、半導体やAIといった新しい成長領域を次の柱としてしっかり育てていく段階です。しかし、これらの領域には私たちにとって未開の領域も含まれます。
ビジネスって結局、信頼だと思うんです。私は技術や営業で現場を長く経験しましたが、製品のスペックの高さだけで信頼関係が築けるわけではありません。営業や技術の担当者が何度も足を運び、ときにダメ出しを受けてはやり直す。そうした血の通った姿を通じて、徐々に関係が築かれていくものです。
新しい領域でゼロから信頼関係を築いていくうえで、「Vision Watch」を通じてDICで働く人たちの姿を知ってもらい、より早く信頼関係を築けるようになることを期待しています。

▲常務執行役員 グループCSO経営戦略部門長の田中智之。趣味は山歩きで、今年のゴールデンウィークは長野県の高峰山や池の平湿原から三方ヶ峰へ
──その期待を背負い、新しい「Vision Watch」では「見えないものを、見せる」というコンセプトを掲げています。どんな想いを込めているのでしょうか。
三宅:私たちは技術には強い自信があります。でもDICがどんな会社なのかは、十分に伝えきれていないと感じていました。
もちろん、これまでも情報発信には力を入れてきましたが、DICは根が真面目な会社なので「正確に伝えよう」とするあまり、技術やスペック中心の発信になりがちでした。加えて、化学メーカーという業態上、業務内容や取り組みの実態がわかりづらい側面もあります。
たとえばフィジカルAIのような新領域に取り組んでいても、「インキの会社がなぜ?」となかなか理解されにくい。でもその背景には、長年培ってきた技術や、社会にもっと貢献したいと本気で向き合う社員たちがいます。
新しい「Vision Watch」では、技術や成果だけでなく、「なぜつくるのか」「どんな未来を見ているのか」にもスポットを当てていきます。社員自身の言葉を通じて、「DICってこういう会社なんだ」と伝わる発信に変えていきたいですね。

▲コーポレートコミュニケーション部長の三宅圭介。趣味は音楽鑑賞とレコード集め。特に好きなアーティストはオアシスとレディオヘッド
見えない変革の最前線。化学メーカーのその先へ向かうDIC
──お二人から「未開の領域」や「新領域」というお話がありましたが、あらためて、DICの現在地とここから求められる変化について、経営の視点からお聞かせください。
田中:これまでのDICは、インキ・パッケージ材料、顔料、ポリマといった素材を通じて、お客さまから求められたものを着実につくりあげることで成長してきました。このスタンスは、今後も変わらないDICの大切な土台です。
現在進めている「DIC Vision 2030」では、中核事業の進化と成長事業の育成を進めています。そういった中で、素材提供にとどまらず、新しい価値を提案できる実行力を示していくことが重要です。
三宅:まさに「これからは“化学を超えろ”」ですね。
田中:そうそう。だからこそ、まずは私たち自身の意識から変えていく必要がありますよね。すでに変化は起きています。たとえば全社で推進している「D2S(Direct to Society)」では、生活者に近い視点から未来を予測し、そこから革新的な製品や事業を生み出そうという取り組みが始まっています。
三宅:お客さまのご要望に応えるだけでなく、社会に何ができるかを自分たちで考えて動く。従来のDICの企業文化からすると、ものすごくハードルの高い挑戦ですよね。
田中:ええ。それでもここ数年で、フィジカルAIやドローンなど新領域のプロジェクトが立ち上がってきています。DICはいま、確実に変わり始めている。その変化を社内外の皆さんに知っていただきたいですね。

見えない信頼は、どう生まれるのか──変化を支える社員の“誠実さ”と“熱量”
──そうした新しい挑戦を支えるのは「人」です。Vision Watchを通して、DICの社員のどんな姿を見せていきたいですか?
三宅:まずは「DICらしさ」をしっかり伝えたいですね。国籍や文化、職種が違っても、DICの社員に共通するのは“誠実さ”だと思います。私が以前、財務部にいたころにそれを痛感した出来事がありました。当時、グループ全体に関わる大きなミッションとして、世界各国の現預金を一時的に日本へ集める必要があったんです。
田中:国ごとに法令や規制が異なるので、国境をまたいだ資金の移動はすごく手間がかかるんですよね。
三宅:ええ。断ることもできたはずですが、中国やマレーシア、インドネシア、タイなど、普段接点のない現地の担当者に必死に説明したところ、DIC全体のためにと皆が最善の策を考えて実行してくれました。その結果、無事に資金を集めることができました。この一件以降、グループ全体で国境を越えた、より強い信頼関係が生まれたんです。
田中:こうした誠実な連携は、財務だけでなく、営業や製造、技術など、ほかの現場でも広く存在していますよね。
三宅:その通りですね。もちろん、人間ですから失敗はあります。ですが、DICの社員はそんなときこそ誤魔化さずに真摯に向き合おうとする。お付き合いのあるお客さまやパートナーには伝わっていても、外からは見えにくい部分ですが、私は、この“誠実さ”こそがDICの一番の価値だと思っています。
田中:そう、DICの社員は誠実で真面目。でも、それだけじゃない。もっと突き抜けたいと熱い想いを秘めた社員が、あちこちにいるんですよ(笑)。何かやりたくてウズウズしている人を積極的に引っ張り出して、熱のあるところも見せていきたいですね。
三宅:そうですね。DICでは年に一度、DICの価値観を体現した社員を表彰する「The DIC Way 行動指針アワード」を開催していて、世界中のDICグループから受賞者が集まるんですが、国籍や文化、職種が違っても、みんなの熱量を感じます。
田中:そういう人たちの熱を、どんどん表舞台に出していきたいですね。

見えない世界の現場をつなぐ。「One DIC」で挑む社会との共創
──そうした熱を持った社員の姿を発信していくことで、社内にはどんな変化を期待していますか?
田中:私は長く事業部門にいたので、自分たちの製品が社会で役立っている実感を得る機会が多かったんです。液晶ディスプレイ向けのカラーフィルタ用顔料を担当していたときも、技術・営業・生産がワンチームで何年もかけて開発した製品が、省電力化というかたちで社会に貢献でき、やりがいを感じました。
ただ、社内の誰もがそうした社会貢献の実感などを経験できるわけではありません。だからこそ、現場の挑戦を広く共有することが大事です。ひとりの社員の経験が、他の社員の刺激や勇気につながることもありますから。
三宅:私も管理部門として事業を横断して見てきたので、DICが幅広く社会に入り込んでいる会社だと知る機会が多かったんです。おかげで息子に「パパの会社は何の会社?」と聞かれたときに、「お菓子の袋にも、テレビにも、半導体にも関わっているよ」と話すと、「そんなにいろんなことをやってるんだ」と喜んでくれたりして。
でも、事業ごとにキャリアを積んでいると、DICの全体像は見えにくい。いろんな事業や地域で働く人たちを紹介することで、「自分の仕事はこんなふうに社会とつながっているんだ」「DICはこんなこともできるんだ」と、会社の見え方が変わると思います。
田中:世界に目を向けることも大事です。DICグループは世界中に2万人以上の社員がいて、売上の7割以上が海外。2026年からはグローバル経営体制も強化し、世界中の知見や人材、挑戦をつないで、「One DIC」として機動力を高めようとしています。すごく多様な文化や価値観のなかで事業をやっているので、自国だけ見ていても会社は動かせないんですね。

▲2026年2月、創業118周年記念式典当日の様子。功労賞とThe DIC Way 行動指針アワードの受賞者が世界各国から一堂に会しました
最近、国内外の社員の視座が高くなったのを感じます。会議やレポートを見ていても、「5年前だったらこんな発言なかったよな」と感心する場面が格段に増えました。自分たちの地域・事業だけでなく、「DIC全体でどう価値を出すか」という視点で話す社員が増えていると感じます。
いま、国や組織を超えて挑戦する社員が世界中にたくさんいると思います。「One DIC」の動きを加速させていきたいですね。
三宅:いいですね。日本から見て地球の裏側にあたるブラジルやアルゼンチンで活躍する社員が「Vision Watch」に登場したら、日本の社員も「おっ」と興味を持つのでは。今後は世界中の社員たちのつながりももっと見せていきたいです。
見た目より、熱い会社。DICの“体温”を感じてほしい

――現場の熱量やプロセスを発信していくことで、「Vision Watch」をどのような場に育てていきたいですか?
三宅:「Vision Watch」はオウンドメディアですが、単なる「外向けの広報ツール」にはしたくないんです。成功体験だけでなく、試行錯誤や葛藤も含めて、私たちの等身大の姿を率直に見せていく。そうやって社内外の境界線を溶かしていくような場にしたいですね。私たちのリアルな姿を発信することが、結果として社内の連帯感を高めることにもなりますし、同時に、未来のパートナーに「DICとなら面白いことができそうだ」と興味を持ってもらうことにもつながるはずです。
田中:まさにその通りで、私たちがフィジカルAIに取り組んでいることがあまり知られていないように、世の中には水面下でアッと驚くような挑戦をしている企業がたくさんあります。DICの姿勢や価値観に共感して、「一緒にやってみたい」と思ってくださるお客さまやパートナーとメディアを通じて出会い、新しいビジネスを共に育てていけたら最高ですね。
三宅:「Vision Watch」も、そこにしっかり伴走していきます。そのためにも、まずは私たち自身がアンテナを張り、躊躇せずに現場へ飛び込んで、社内に埋もれている熱やユニークな取り組みをどんどん掘り起こしていきたいですね。
田中:頼もしいですね。新しい領域に挑戦していくには、同じ未来を見ながら一緒に走れるパートナーの存在が欠かせません。まずは、DICの社員がどんな人間なのかを知っていただき、私たちの“体温”を感じてほしいです。そして、ぜひ未来のパートナーとしての可能性を感じていただければうれしいですね。
――ちなみに、その体温は何度くらいでしょう?
田中:やや低めに見えるかもしれませんが、実際に測ってみたら、意外と熱い会社です(笑)。
三宅:読者の皆さんの体温も2度くらい上げてしまうかもしれません(笑)。未知の領域への挑戦や多様な人材の協働など、社員のワクワクするストーリーを続々と発信していく予定です。ぜひご期待ください!

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