人工・合成皮革向け 環境配慮型ウレタン樹脂

人工・合成皮革向け 環境配慮型ウレタン樹脂

安全・安心に作れる・使える素材の提供

DICの価値創造 パフォーマンスマテリアル事業での環境配慮型製品へのグローバルな取り組み

欧州、中国をはじめとする世界各地において環境規制が急速に厳格化する中で、溶剤系から水系・無溶剤型製品へのシフトが重要となってきます。パフォーマンスマテリアル事業部門では、いち早く法規制に対応した環境配慮型製品の開発を心がけ、グローバル展開を推進しています。中国では、現地生産拠点だけでなく、日本からの輸出、台湾で生産された製品の投入、欧州ではオーストリア、イタリア生産拠点だけでなく、日本からの輸出を通じた事業の新規開拓等を複合的に取り入れながら、多面的に事業を展開しています。現在、中国以外のアジア地域や北米への展開を進めています。環境ニーズで先行する欧米に対しては、グループ会社のSun Chemical社のネットワークや経営資源を活用した展開を推進しています。今後も、積極的な投資や、各拠点におけるパートナーズとの協業などを通して事業基盤の強化を進め、変化する市場ニーズとタイミングを確実にとらえ、環境配慮型事業の拡大に取り組んでいきます。

DICの価値創造 環境負荷物質の少ないものづくりに貢献

分子の設計によって様々な特性を出せるウレタン樹脂は、衣料・生活資材から建材、自動車、エレクトロニクス、工業・産業資材など、きわめて用途の広い化合物で、人々の日常生活に深く浸透しています。中でも人工・合成皮革の素材・接着剤として消費されるウレタン樹脂は、年間24万tとウレタンフォーム材(シート材、断熱材)に次ぐ市場を形成。その高い機能性と、天然皮革からの素材転換のため、需要が増え続けています。一方、人工・合成皮革の製造工程では、溶剤にDMF(ジメチルホルムアミド)が使われることから、VOC(揮発性有機化合物)の発生や製品へのDMF残留、製造現場におけるDMFへの曝露による健康への影響が懸念されています。近年、DMFはREACH(欧州化学物質法規制)における製造現場における使用規制や、DMF自体の使用を禁止する可能性が高まっており、これを受けて世界的なアパレルメーカーはDMF使用削減を進めています。スポーツシューズの世界的な供給基地である中国・台湾でも溶剤排出規制が強化されており、DMF使用からの脱却が業界の大きな課題となっております。また、昨今の地球温暖化によるCO₂排出量削減や、バイオマス由来原料への注目が高まる等、市場における環境配慮のニーズが高まっています。こうした中、溶剤系・水系ウレタン樹脂の多彩な技術を有するDICは、DMFを使用することなく、また製造工程中に発生するCO₂の排出量を削減し、更には従来と同等の特性を持つ環境配慮型ウレタン樹脂を開発。スポーツシューズ用だけでなく、自動車内装材等に素材だけでなく、人工・合成皮革の加工プロセスまでをトータルソリューションとして提供する体制を整えています。

人工・合成皮革

溶剤DMFを取り巻く動き

溶剤DMFを取り巻く動き

DICならでは 要素技術を複合化して環境配慮型(無溶剤)ウレタン樹脂製品を開発

環境負荷物質削減 安全・安心 省エネルギー CO₂削減

スポーツシューズ用の人工・合成皮革には、風合い(ソフトな感触と十分な弾性)・耐屈曲性(常温/低温)・耐久性・軽量化とともに競争力のある生産コストが求められます。従来の溶剤系ウレタン樹脂は、溶剤の揮発によって強い皮膜を形成して要求性能を満たしましたが、水系ウレタン樹脂は高分子量化や粒子の均一化が難しく、強度・耐久性・耐摩耗性を実現する事が困難でした。そこでDICは、溶剤系ウレタン樹脂「クリスボン」と水系ウレタン樹脂「ハイドラン」の樹脂設計技術、無溶剤型接着剤「タイフォース」、熱硬化ウレタン樹脂「パンデックス」の発泡・反応性技術の4つの要素技術を組み合わせる事で、無溶剤(DMFフリー)ながら従来の溶剤系と遜色のない品質を有する製品の開発に成功しました。さらに、この製品を用いることで加工プロセスが短縮されるため、エネルギー消費とコストを抑えた効率的なシステムの構築を実現しました。

人工・合成皮革用 環境調和型ウレタンシステム

材料供給だけでなく加工プロセスまでトータルに提供

環境に配慮した生産体制を実現するには、製品だけでなく加工プロセスの設計も不可欠となります。DICは、設備メーカーや副資材メーカーと連携して製品特性に最適化された加工・配合プロセスを開発し、樹脂とセットで顧客に提案する環境配慮型(無溶剤)ウレタンシステムを構築しています。現在、このシステムを日本ではなく各国のグループ会社を通じて、様々な顧客・用途へ供給しています。樹脂と加工プロセスをセットで提案する仕組みによって市場に着実に根付かせ、世界標準の環境配慮型システムとして幅広い産業分野に展開しています。特にDICのシステムは、自動車の内装材に求められる環境特性にも対応できることから、風合いや高耐久性(摩耗、皮脂、薬品、熱、光、湿熱など)をさらに高め、積極的に市場に訴求していきます。

環境配慮型(無溶剤)ウレタンシステム(地産地消)