PPSコンパウンドとは

ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂は、ベンゼンと硫黄から成る簡単な化学構造を持った結晶性の耐熱性ポリマーです。この樹脂は、融点が約280℃の高い耐熱性、優れた耐薬品性と共に難燃剤を添加せずに自己消火性を保有します。


ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂は、右図に示す化学構造を持った結晶性の耐熱性ポリマーです。この樹脂は、約280℃の高い融点を持ち優れた耐薬品性と共に難燃剤を添加せずに自己消火性を示す燃え難い性質を持っています。

ガラス繊維などの繊維状強化材や無機質フィラーで強化、充填されたコンパウンドであるDIC.PPSは耐熱性はもちろん高度な機械的性質と同時に優れた寸法安定性を示す典型的なエンジニアリングプラスチックスの特性を備えております。

DIC.PPSには大別して二種類が有ります。一つは架橋型ポリマーをベースとしたコンパウンドで、高温度領域でも高い剛性を保持し、クリープ変形に対して有利なタイプです。他のタイプはリニアーポリマーをベースとし、伸び、靭性に特長が有ります。またリニアーポリマーは純度が高いため架橋型ポリマーに比較して高温多湿下ではさらに吸湿が少ない特長を持っています。
以上のDIC.PPSの特性は、以下に示すような応用面での要求性能に応えることのできる成形材料で、デザイナーや、モールダーにとって使い易い高度なエンジニアリングプラスチックスと言えます。

■ 200℃以上で連続使用が可能な耐熱性
■ 広い温度領域での高い剛性と強度保持
■ 樹脂固有のUL V─0ランクの難燃性
■ 広範な環境条件における優れた寸法安定性
■ フッソ樹脂に次ぐ耐薬品性
■ 高温、多湿、高周波のもとでの高度な電気特性
■ 複雑な高精度成形が可能


PPSは、工業的にはパラジクロルベンゼン(p-DCB)と硫化ソーダ(Na2S)あるいは、水硫化ソーダ(NaSH)とを極性溶媒中、高温加圧下で重縮合反応させて得られます。
PPS生成反応は脱水反応、脱食塩反応、発熱反応、高温加圧反応といった様々な要素の組み合わせであり、その概略は以下のようなものです。

上記の重合反応で得られたポリマーは、精製工程、熱架橋処理(架橋型PPS)をへて成形用のコンパウンドとして加工されます。


最初のPPS(Polyphenylene sulfide)は、1888年、FreidelとCraftに依ってその存在が明らかにされたという長い歴史を持っています。1940年代後半には、商業的に重要な樹脂になりうると考えられだしました。
その後、米国Phillips Petroleum 社でコマーシャルプロセスが開発され、1973年に同社が最初に商業運転に成功しました。PPSは当初、比較的分子量が低いものであり、コーティング用として用途展開されました。一方、酸素存在下での熱架橋反応による分子量アップにより、成形性、機械的性質を向上させ、耐熱性や耐薬品性に優れた射出成形用樹脂として有用であることが見出され、スーパーエンジニアリングプラスチックとして需要が伸びていきました。

日本においては、当社が米国のPhillips Petroleum 社からベース樹脂を輸入し、ガラス繊維補強材や充填剤を混練し成形用コンパウンドとして市場開発を進めてきました。
1984年11月のPhillips Petroleum 社の基本製法特許の失効後、当社を含め数社が相次いでPPSプラントを稼働させました。 国内のベース樹脂の供給能力は国内市場規模に比べ大幅な過剰状態となり、激烈な価格競争とともに品質向上と新規用途開拓が始まりました。
現在では重合反応段階での高分子量化による直鎖型や高分子量の分岐型ポリマー、架橋型高靭性タイプが開発されるとともに、低バリ、低ガス化などの成形性を改善したタイプが合成面あるいはコンパウンド技術の改良により開発されています。 PPSポリマーの殆どは、射出成形用のコンパウンドとして加工され、電気・電子、自動車電装部品を中心にその用途が拡大しています。

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