米国デビュー・バイオテクノロジー社と天然由来色素の新合成法に関する共同研究開発を開始

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2021年7月28日

DIC株式会社(本社:東京都中央区、社長執行役員:猪野薫)は、食品用着色剤、化粧品用途など天然由来色素の事業拡大を目的として、バイオベンチャー企業のデビュー・バイオテクノロジー社(英名:Debut Biotechnology Ltd.、本社:米国カリフォルニア州、以下「Debut社」)との天然由来色素の新合成法に関する共同研究開発を開始しましたので、お知らせします。

近年、食品用着色料や化粧品用途などの分野で、石油由来の合成着色料から安全な天然由来着色料への代替ニーズが急増していますが、花や植物といった天然物から抽出される色素などの成分は含有量が少なく、抽出後に廃棄物が大量に発生するといった問題や、多くの土地、水を必要とするといった環境面での課題があります。また使用に当たり、天候不順による供給安定性や色目などの性能が振れるなどの農業特有の問題があります。

この解決策として、細菌や酵母、藻類などを用いた培養による高効率生産が検討されていますが、細胞内の生体反応を用いるため、全ての反応プロセスを最適な条件で行うのが難しく、多くの副生成物が発生するという課題が残ります。

このたび、当社と共同研究を行うDebut社は、生体内で用いられる酵素を細胞から取り出し、最適な条件で反応させることで様々な物質を効率的且つ連続的に製造する「次世代バイオ合成プラットフォーム」を有しています。同プラットフォームは生物と同じ酵素を用いますが、細胞を用いない(セルフリー)ため、全ての反応を最適化でき、安定した純度の高い目標物の合成が可能となります。また従来は含有量が低いために見逃されてきた有効成分を特異的に生産することも期待されます。

本研究開発においては、Debut社の酵素反応に対する高い知見及びプロセスデザインと、当社の顔料やヘルスケア食品などのカラーマテリアル分野で培ったスケールアップ技術、品質管理、製品開発能力を組み合わせることで、従来にないサステナブルで高付加価値な天然由来色素の開発・製品化とグローバル市場での販売を目指します。

当社は、顔料や色素といった表示材料を通じて、社会やくらしに「彩り」を提供することをビジョンとして掲げており、この分野でのリーディングカンパニーとして常に、よりサステナブルで安全、安心な製品の開発を行っています。このたびのDebut社との共同研究開発により、地球環境にやさしく、より安全な製品を社会に提供することで、ブランドスローガン”Color & Comfort”につながる世界の実現を目指します。

以上

DICは日本で有数のファインケミカルメーカーのひとつであり、DICグループの中核企業です。DICグループは、世界全体でSun Chemical Corporationを含む170以上の子会社によって構成され、60を超える国と地域で事業を展開しています。グループ全体として、人々の生活に欠かせない包装材料 、テレビやPC等のディスプレイに代表される表示材料 、スマートフォンなどのデジタル機器や自動車に使用される高機能材料を提供するグローバルリーディングカンパニーと認知されています。これらの製品を通じて、社会に安全・安心、彩り、快適を提供しています。DICグループは持続可能な社会を実現するため、社会変革に対応した製品や社会課題の解決に貢献する製品の開発にグループ一丸で取り組んでいます。連結売上高7,000億円を超え、世界全体で22,000名以上の従業員を有するなか、DICグループはグローバルで様々なお客様に寄り添っていきます。詳しくは、https://www.dic-global.com/ をご覧下さい。

Debut社は、サステナブルなバイオ合成を通じて、天然素材の可能性を追求することに取り組んでいます。同社のユニークなバイオ合成プラットフォームは、天然のセルフリー酵素を使用することで、細胞を用いた製造の課題を解決し、従来では得られない製品へのアクセスを提供可能とします。Debut社は、バイオ合成こそが将来の物質と素材を創造する方法であると強く信じ、イノベーションを先導する役割を担っていきます。

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