DIC 高耐熱性と柔軟性を兼ね備えた半導体実装向け厚膜レジスト用樹脂を開発 AI設計を活用し、フェノール樹脂での厚膜化を実現

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2018年12月26日

DIC株式会社(本社:東京都中央区、社長執行役員:猪野薫)は、半導体実装向け厚膜レジスト用樹脂として、これまで両 立が難しかった高耐熱性と柔軟性を兼ね備えたフェノール樹脂「RZ-230シリーズ」を開発し、7月よりサンプルワークを開始しています。人工知能(AI)を同開発に活用することで同用途に適合した厚膜形成を可能にし、0.5μm~1μmレベルの回路微細化を実現します。

世界的なスマートフォンやタブレットPCの需要拡大などにより、半導体の世界市場は2017、18年と2桁成長しており、今後も市場拡大が見込まれています。また昨今、IoTの活発化などによる通信速度の高速化を背景に、半導体集積回路のさらなる大容量化、高速化、低消費電力化とともに半導体実装の小型化や薄型化を目的として、半導体回路の微細化への要求はますます高まっています。

これまで、半導体実装用向け厚膜レジスト材料には耐熱性を有するネガ型(※)ポリイミドやエポキシ系材料が用いられてきましたが、分子構造や現像性から回路の微細化には限界がありました。一方、高速現像性を有するポジ型(※)ポリイミドに既存フェノール樹脂を添加することで微細化できるものの、耐熱性と柔軟性が劣ることから同用途への使用は限定的でした。

このたび、当社は、独自の高分子設計技術とAI技術を化学分野に生かすケモインフォマティクス(Chemoinfomatics、化学情報学)を駆使してフェノール樹脂の新たな分子骨格を見出しました。同分子骨格を採用することにより、Si基板などへポジ型ポリイミドでの厚膜形成が可能でありながら、ガラス転移温度をこれまでより50℃以上引き上げ150℃以上とし、現像性は2~3倍(当社製品比)の高速化を実現します。また、ポリイミドの性質を阻害しない柔軟性を有することから、これまで5%程度だった添加量を約5倍増できます。これらにより、課題であった耐熱性と柔軟性が高まり、ポジ型での回路微細化を実現します。

半導体実装用材料は、膨大な情報を高速で処理するサーバー用のCPU(Center Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、APU(Accelerated Processing Unit)や、スマートフォン用アプリケーションプロセッサーなどの統合化用途への採用が今後増加することが期待されています。
当社は、今年で最終年を迎える中期経営計画「DIC108」のポリマ事業において、国内ではニッチで高機能なテーマに取り組んでいます。今後も研究開発と用途拡大を鋭意実行し、高機能フェノール樹脂において5年後に売上高10億円を目指します。

以上

(※)ネガ型:露光されると現像液に対して溶解性が低下し、現像後に露光部分が残る。
    ポジ型:露光されると現像液に対して溶解性が増大し、露光部が除去される。

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