DIC プレコートメタル(PCM)用塗料向けポリエステル樹脂において環境対応型グローバルスタンダードシリーズを開発

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2017年4月3日

DIC株式会社(本社:東京都中央区、社長執行役員:中西義之)は、塗装後に成型加工を行う塗装鋼板(プレコートメタル:PCM)用塗料向けにポリエステル樹脂の新シリーズ「BECKOLITE(ベッコライト)GSシリーズ」を開発し、2月より販売を開始しました。同シリーズは、溶剤型ハイソリッドタイプのためVOC(揮発性有機化合物)低減効果に優れるとともに、世界の化学物質規制にも適合した環境対応型グローバルスタンダード製品です。

PCM鋼板は、コイル状の鋼板にロールコートなど効率の良い塗装方法で連続生産され、それを後工程で成型加工することにより意匠成型物を生産することができるため、大量生産に適した生産性の高い材料といわれています。そのため、効率的に大量生産が求められる住宅・工場の屋根・壁材、冷蔵庫・洗濯機のような家電製品の筺体材などで、新興国を中心に世界的に需要が高まっています。一方で、PCM鋼板の塗膜には、“加工性”と“成型物として使用する際の耐キズ付性”のように反する性能が求められるため、原料となる樹脂に対しても高い技術が求められます。

当社は、国内においては長きにわたり樹脂設計技術、重合ノウハウを生かしたPCM塗料用樹脂を展開し、実績を積み上げることにより高い評価を得てきました。しかしながら、海外需要の取り込みが遅れていたため、世界市場に展開可能なグローバルスタンダード製品の開発を進めてきました。

世界の塗料市場では、先進国ばかりでなく新興国においても環境汚染などを背景に化学品規制が進んでおり、近年は特に厳しいといわれる欧州の基準に適合した塗料が、各地域で求められるようになっています。焼付工程がクローズド環境で行われるためVOCの外部放出が少なく環境対応塗料といわれるPCM塗料においてもグローバルスタンダードと言われている製品では、REACH規制に対応するスズ触媒や、キシレン、シクロヘキサノンなどの使用を禁止する欧州のVOC指令に適合した製品設計になっている他、VOC削減の観点からハイソリッド化が進んでいます。

このたび当社では、海外における市場調査を行い、グローバルでユーザーニーズに応える樹脂開発を行うとともに、プライマー(下塗)やトップコート(上塗)で使用可能な15種類のポリエステル樹脂を取り揃え、販売を開始しました。同シリーズは、不揮発分が65%以上のハイソリッド型であること、重合にスズ触媒を使用していないこと、そして溶剤にはキシレン、シクロヘキサノンをしないという、欧州の規制にも対応する世界各地で展開可能な設計としています。
屋内外などの使用場所、加工の厳しさなど、PCM鋼板の多様な使用条件に適合するよう、加工性、耐キズ付性、耐候性、密着性、耐食性、耐汚染性、などで様々な特徴を有する各種グレードの樹脂を用意しました。それぞれ用途に応じてユーザー各社独自の配合で使用できますが、より手軽に使用できるよう、塗料化するための標準配合、およびそれを使用した塗装鋼板の各種物性値を記載した資料をまとめた冊子も用意しました。

当社グループのポリマ事業は、昨年発表した中期経営計画で『アジアの塗料・粘接着用途に集中して事業拡大』との戦略を掲げています。このたび開発した「BECKOLITE GSシリーズ」も、まずは世界最大のPCM塗料市場であり、当社グループのリソースを利用できる中国・東南アジアに加えて、中東地域へも展開しています。中国、タイ、インドネシアの生産拠点の活用、またポリマ技術センターを最大限活用しユーザーへの技術フォローを充実させることで、当社ポリマ事業のアジアおよび周辺地域におけるポジションを更に確かなものとし、拡販を進めていきます。

同シリーズのアジアでの展開と既に採用の決まった中東地域を足がかりに、欧米も含めた世界市場を視野に入れ、更なるラインアップの拡充を進めるなどしながら、ポリマ事業全体の海外売上高を2015年比+24%とする中期経営計画目標に貢献していく所存です。

以上

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