DIC 半導体製造の次世代プロセス『ナノインプリント技術』に対応したレジスト用樹脂を開発

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2016年12月20日

DIC株式会社(本社:東京都中央区、社長執行役員:中西義之)は、半導体製造の次世代プロセスとして有望なナノインプリント技術(NIL)に対応したレジスト用樹脂を開発しました。同開発品は、長年培った当社独自の合成技術を駆使した有機無機ハイブリッド樹脂をベースとしており、数年前より大手デバイスメーカー向けにサンプルワークを実施し、実用化に向け高い評価を得ています。

スマートフォンなど様々な電子機器の小型化、高機能化を実現するため、内蔵する半導体集積回路は微細化による高集積化が進められてきました。これまではフォトリソグラフィ技術を発展させることで回路パターンの微細化が進んできましたが、同技術における微細化は既に理論限界を迎えているといわれており※、そのためいくつかの次世代プロセスが企業や研究機関で検討されています。

NILはその中で、非常に有望な次世代プロセスと言われています。同プロセスは、ナノスケールの微細な凹凸を施したパターンを有するテンプレートと呼ばれる型(原版)を、事前に基板上に塗布したUV硬化型レジストに押し当て、型取りし、UV照射により硬化させることで微細パターンのエッチングマスクを形成させる次世代微細加工技術です。NILはフォトリソグラフィのような複雑な工程を必要とせず、テンプレートの凹凸パターンから直接エッチングマスクを転写するため、大幅な工程短縮およびコストダウンにつながる技術として大きく期待されています。

NILの課題として、UV硬化後のレジストからテンプレートを引き剥がす際に生じる離型不良(パターン欠陥の発生)が挙げられています。NILを次世代プロセスとして確立し、精度の高い微細なパターンを形成させるため、生産装置、材料など様々な面から検討が進められています。

このたび開発したレジスト用樹脂は、当社が得意とするUV硬化型有機無機複合樹脂をベースとしています。樹脂を構造から設計し直すことで、レジストマスクとして必要なドライエッチング耐性(プラズマ中の反応性ガスへの耐性)を高めるとともに、下地への濡れ性および密着性、優れた光硬化性、そして離型性など、NILプロセスに最適化した樹脂を開発しました。

このたび、NIL用材料として新規のレジスト用樹脂を開発しましたが、当社では従来から半導体関連市場向けに低金属化技術を開発・実用化し、多様な特長ある製品を供給してきました。優れたレベリング性および離型性を有するフッ素系界面活性剤は各種塗布材料に、また高い耐熱性ならびにエッチング耐性を有するエポキシ樹脂やフェノール樹脂はレジスト・封止材などの材料に既に適用されており、それぞれの市場で高い評価を得ています。

当社では、引き続き他社に先駆け最先端プロセスに適応した機能性材料を供給していくことで、技術革新が継続する同市場を材料の面から支えていきたいと考えています。

以上

※フォトリソグラフィは、フォトマスクと呼ばれる石英などの透明原版に描画された回路パターンを、露光装置を通して半導体基板上のレジスト(感光性の樹脂)に転写し、エッチングマスクを形成する技術。露光する光源の波長を短くすることで微細化が進んできたが、その短波長化はArFエキシマレーザーで限界を迎え、加工可能なパターン線幅は40nm程度までとされている。更なる微細化要求に応じるため、複数回に分けて露光するマルチパターニングという技術が実用化に至っているが、従来に比べ複雑かつ多数のプロセスを経る必要があり、半導体製造のコスト増加の大きな要因となっている。

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