DIC 熱分解型フッ素系界面活性剤を開発 フッ素の特性である平滑性を生かしながら、リコート性を両立する画期的な新製

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2016年2月22日

DIC株式会社(本社:東京都中央区、社長執行役員:中西義之)は、熱処理によりフッ素含有基が離脱することを特徴とする、熱分解型のフッ素系界面活性剤「メガファックDSシリーズ」を開発し、昨年秋より本格的に販売を開始しました。本新製品は、長年にわたって培ってきた、当社の基盤技術の一つである有機分子設計・高分子設計技術を駆使して開発した、これまでにない当社オリジナルのユニークな製品です。

フッ素系界面活性剤は、フッ素含有基の持つ特性から表面張力を下げる力が強いため、精密な平滑表面が求められるエレクトロニクス分野向けのレジストやコーティング材の添加剤(レベリング剤)として多用されています。一方で、表面に配向したフッ素含有基の影響により塗膜表面は極めて低い表面張力となり撥水・撥油性を示すため、上塗りのなじみが悪く、はじきが発生するなど、塗工作業性の悪さが課題となっていました。

このたび開発した新製品は、レベリング剤として当社の従来製品と同等の性能を有しますが、200℃で加熱処理を行うことで表面に配向したフッ素含有基が離脱するため、塗膜表面は添加剤未使用の塗膜と同等レベルの表面張力となります。これにより、塗膜表面と上塗りとのなじみ(リコート性)が大幅に改善するため、ユーザーにおける塗工作業性の向上が期待できます。

進めているユーザーへのサンプルワークでは、本新製品の特徴を生かす市場として、液晶パネルのカラーフィルタ上に塗工する透明保護膜向けで好評を得ています。カラーフィルタ層に塗工する透明保護膜には、平滑性を確保するためにフッ素系界面活性剤が使用されていますが、上塗りする液晶配向膜などのなじみが悪くなるため、プラズマ処理によるフッ素含有基の除去工程が必要でした。本新製品を使用することで、プラズマ処理時間の短縮など、塗工作業の大幅な改善が期待されています。

~接触角が低いほど、なじみが良いことをあらわす~

当社では、同シリーズの耐熱温度の低い材料を基板としたフレキシブルディスプレイ用途などへの展開も視野に入れ、フッ素含有基の分解温度を低下させるなどの研究開発を進めており、現在では、150℃で分解する試作品開発のめどが立ちつつあります。

当社では、フラットパネルディスプレイ市場などを中心とした高付加価値市場への拡販を加速し、熱分解型をはじめとした次世代型フッ素系界面活性剤で、2020年までに売上高10億円を目指します。
当社グループは、ポリマをプリンティングインキに次ぐ第二の基幹事業と位置づけ展開しており、今後もグローバルでお客様の要望に応える製品開発を進め、事業基盤の強化を図っていきます。

以上

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