DIC 金属めっき膜の下地となる銀ナノ粒子および高分子密着層材料のパイロット生産を開始 粗化しない各種基材の平滑面へ密着力に優れた金属めっき膜を実現

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2017年4月4日

DIC株式会社(本社:東京都中央区、社長執行役員:中西義之)は、金属めっき膜の触媒として用いる銀ナノ粒子と、銀ナノ粒子と基材の層間で優れた密着性を示す高分子密着層材料を開発し、2013年からサンプルワークを進めてきました。
このたび、エレクトロニクス関連材料としての採用決定とともに、当社独自の分散・高分子設計技術を活用することで銀ナノ粒子の量産化が可能となったことから、パイロットプラント設備を整え、1月より生産を開始しました。
同開発品を用いためっき工法は、高密着性を有する高分子層を用いることで、基材表面を粗化(傷つけ)しない平滑な接合面において無電解金属めっき膜を形成できる画期的なプロセスです。

一般的な無電解めっき工法では、粗化処理した基材表面にパラジウム触媒を付与し、金属膜を生成させます。高価なパラジウムを使用するためコスト負荷が高いことに加えて、回路基板などでは金属膜のエッチング後にパラジウムが残留し、絶縁信頼性を低下させる懸念があることから、再度パラジウムを除去するためエッチングを行っています。

このたび開発したプロセスでは、高分子密着層を銀ナノ粒子と組み合わせて使用することで、粗化しない平滑な基材表面に密着力が優れためっき膜下地を形成します。同プロセスは、極薄膜な高分子密着層の上に銀ナノ粒子を塗布し、その上に無電解金属めっきを施して金属めっき膜を生成します。

同プロセスにより作製したプリント基板用途では、基材と銅めっき膜の界面が平滑なため、高周波信号の伝送ロスの縮小が可能となります。2020年の実用化が目標とされている第5世代移動体通信システム(5G通信)や現状の無線LANより高速に通信できる超高速近距離無線通信、次世代の大容量無線通信システムなど、適用範囲の拡大が期待されています。
また、同プロセスでは、銀ナノ粒子層が銅めっき膜と同じエッチング液で除去できるため、エッチング工程が1度で済み、工程短縮化や微細回路の形成を実現します。また、より厚いめっき膜が必要な場合には、電解めっきを施すことで任意の膜厚に調整することかできます。

昨今、耐熱性や耐薬品性に優れるため、自動車部品や住設機器で使用されているポリフェニレンサルファイド(PPS)は、めっき工法や接着剤を使用したラミネート法による金属膜形成が難しいとされてきました。同プロセスはPPSに対しても平滑面での高い密着性を実現するため、金属部品の軽量化としてPPSに金属めっき膜を密着させた新たな部品などへの展開が期待できます。

当社は、現在進行している中期経営計画「DIC108」の基本戦略において、次世代事業の創出を掲げ、各種テーマに取り組んでいます。ナノ無機材料もその一つであり、このたびの材料およびプロセスは、長年培ってきた当社独自の分散・高分子設計・合成・塗工技術などを生かし、開発に成功したものです。特に、銀ナノ粒子材料については、このたびの量産化を皮切りに、生産拠点の拡大も視野に入れて拡販を進め、2020年に銀ナノ粒子関連材料で売上高10億円を目指します。

当社は、4月5日(水)から7日(金)に東京ビッグサイトで開催される「ファインテックジャパン2017」に同開発品を出品します。ぜひ、当社ブースにお立ち寄りください。

以上

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