画期的な近赤外蛍光樹脂材料の開発及び、近赤外光を応用した手術ナビゲーション技術の開発

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2015年4月21日

DIC株式会社

高知大学

日本コヴィディエン株式会社

DIC株式会社(東京都千代田区)と高知大学医学部(高知県南国市)、日本コヴィディエン株式会社(東京都世田谷区)は、共同研究により、近赤外蛍光を発する樹脂材料の開発、およびその材料から成型した医療用具を用いた手術ナビゲーション技術を開発しました。

高知大学医学部では、これまでに、近赤外蛍光像とカラー像を同時撮像可能な医療システムの開発や近赤外透過光方式の撓骨動脈可視化装置の開発(高知県産学官連携産業創出研究推進事業の成果)を手がけてきました。近赤外蛍光を発する唯一の医薬品としてインドシアニングリーンがありますが、耐熱性が低く、水溶性であることから樹脂に混練できず、成型品に展開するには至りませんでした。

DIC㈱と高知大学は共同して、樹脂に混練することが可能な近赤外蛍光色素を開発しました。耐熱性が高く、樹脂に溶融混練可能であること、および発光の強度がインドシアニングリーンの20倍以上であることを目標として研究を行い、候補となる色素物質を数種類開発しました。
ついで、高知大学と日本コヴィディエン㈱の共同により、最適な色素と樹脂材料の選定を行い、インドシアニングリーンの30倍以上の発光性を有する近赤外蛍光樹脂から尿管カテーテル等の医療用具を試作し、その有用性を、ブタを用いた模擬手術実験(国際医療福祉大学病院外科 吉田昌教授らのグループとの共同研究)で確認しました。

手術や検査で体内の消化管や尿管、血管などを可視化する場合、造影剤を入れエックス線を照射する方法がありますが、被ばくするため、長時間の実施は難しいとされています。しかし,今回のカテーテルはこうした問題が全くなく、挿入して尿管などの位置を正確に把握しながら手術できるため、精度や安全性の向上につながる可能性があります。例えば、子宮がんなどの摘出手術では、脂肪に隠れた尿管の位置を把握するのは難しく、がんが尿管周囲の組織と癒着している場合などには、誤って傷つける危険性があります。光るカテーテルを術前に尿管に挿入することで、モニターで尿管の位置を正確に把握しながら手術でき、リスクが大幅に下げられると考えています。

また、開発した樹脂は、消化管粘膜側(管腔側)にあるがんの患部にクリップのように付けることで、漿膜側(手術の際に見える側)から患部を光らせてナビゲーションするための目印にもなり得ます。他にも、手術器具やガーゼの繊維の一部に使うことで、体内への置き忘れを防いだりするなど、さまざまな応用が可能になると考えています。

以上

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