マテリアルリサイクルとは

マテリアルリサイクルは、1970年代に登場した廃プラスチックのリサイクル方法で、マテリアルリサイクルによってリサイクルされた廃プラスチックを製品原料として再利用する技術です。

これまでは主に産業系廃プラスチックがリサイクルされていましたが、
原料の品質管理と製造技術の向上により、物性の低下や品質の不安定さを克服し、
広範囲な製品に利用されるようになっています。

創業110年を超えた老舗化学メーカーが「マテリアルリサイクル」について、わかりやすく解説します。

マテリアルリサイクルの重要性と役割

マテリアルリサイクルの重要性は、「環境保全」「資源効率の向上」「経済の持続可能性」の3つの大きな側面において考えることができます。

環境保全

マテリアルリサイクルによって、使用済みのプラスチック材料がペレット化され、新しい製品の原料使用されるため、廃プラスチックが減少します。これにより、埋立地への依存が減り、土地の利用に関連する環境問題が軽減されます。また新しい製品を作る際に原料を石油を採掘、加工する代わりにリサイクルプラスチックペレットを使用することで、エネルギー消費が減り、それに伴って温室効果ガス・CO2の排出も削減されます。

そのため、リサイクルにより天然資源の消費ペースを遅らせることができます。特に非再生可能な資源の場合、これはその資源の可用性を延長することに直接つながります。

資源効率の向上

使用済みのプラスチックを回収し、新しい製品の原料として再び流通させることで、資源の有効利用が促進されます。また石油からプラスチックを製造するためのエネルギー消費は、マテリアルリサイクルプロセスにおけるエネルギー消費よりも多くなります。そのため、マテリアルリサイクルは、全体的なエネルギー効率を改善します。

経済の持続可能性

リサイクル産業は新しい雇用機会を生み出し、新たな市場を開拓します。
プラスチックを作り出すための石油などの原材料の高騰が起きた際、マテリアルリサイクルは新たな石油に頼らないため経済に貢献します。マテリアルリサイクルは新しいリサイクル技術や製品設計のイノベーションを促します。


以上のように、マテリアルリサイクルは環境、経済、社会の各面で重要な役割を果たしています。これは、持続可能な開発という広い枠組みの中で、人類の足跡を環境に配慮しながら軽減するための基本的なアプローチの一つです。

マテリアルリサイクルをイラストで解説

マテリアルリサイクル

一般的なマテリアルリサイクルのプロセスは、大きく分けて以下の4つのステップに分かれています。
(ポリスチレンの例)

  • 収集・選別
    私たちの生活でも身近な使用済みのプラスチックトレー(ポリスチレン)が収集されます。収集後、白色トレーとそれ以外のトレーを選別します。そして、ラベル・シール等の余分なものが除去されます。
  • 粉砕・洗浄
    ラベル・シール等を除去した後、使用済みトレーは粉砕・洗浄されます。再生加工
    洗浄されたトレーは加熱されて溶融されます。溶融したトレーはペレットに加工されます。
  • 最終製品に成形
    白色トレーから溶融された再生ポリスチレンペレットは新しい再生ポリスチレントレーに成形し生まれ変わります。
    そのほかの色がついたトレーから溶融された再生ポリスチレンペレットはハンガーなどの製品に成形されます。

ポリスチレン以外にも廃プラスチックは廃棄されることなく、マテリアルリサイクルを通じて新たな形で消費者に戻ってくる循環型社会の実現に貢献しています。リサイクルプロセスを通じて資源を有効活用し、環境への影響を低減することができます。

まとめ

マテリアルリサイクルは廃プラスチックを新たなプラスチック製品に生まれ変わらせるための手段の1つです。石油などの化学燃料の採掘量、使用することでの二酸化炭素量などが問題となっている現代にとって、非常に有効なプラスチックリサイクル方法です。マテリアルリサイクルなどのプラスチックのリサイクル方法を正しく理解することが、より地球環境の未来をよくすることにつながります。

私たちDICはプラスチックフィルムに印刷されたインキとフィルム材を剥離する技術「DeReSus®(デリーサス)」を開発しています。

「DeReSus®(デリーサス)」は「市場に出る前の製品製造工程で発生した材料」をリサイクルされている事業者の皆様へ向けた技術です。ゆくゆくは、一般消費者からのプラスチックを回収する事業者・自治体と連携し、マテリアルリサイクルできる領域を広げてまいります。