Topic 安全・安心な食品用色素のニーズが高まる中で天然系青色素「リナブルー®」の供給力を拡充
世界的な健康・安全志向の高まりから、食品業界では合成色素から天然系色素に切り替える動きが加速しています。数少ない天然系青色素の最大メーカーであるDICグループは、この需要に応えるため米国の生産拠点に新たなプラントを建設して供給力の強化を図ります。
「リナブルー®」は食用藻を原料に抽出する天然の青色素
日本は天然系色素の先進国、その潮流は欧米各国へ
合成色素の食品添加については、世界各国・地域で個別にガイドラインが設けられています。 日本では早くから合成色素の安全性に対する消費者の関心が高まり、大手流通が消費者心理を敏感に捉えた天然系色素への移行戦略を打ち出したこともあり、世界的に見ても先進的な状況にあります。
一方、欧米ではコストや使い勝手の観点から盛んに人工色素が使われてきましたが、2008年に英国食品基準庁が食品と子どもの健康調査をもとに、食品メーカーに対して人工着色料の自主規制を勧告。これを契機に着色料への社会的な関心が高まり、大手食品メーカーが相次いで天然系色素への切り替えを宣言しました。
こうした中で、2013年9月、スピルリナ抽出物が米国食品医薬品局(FDA)から食品用天然系青色素として世界で初めて認可されました。また、欧州委員会が2013年11月に食品の「ナチュラルカラーガイドライン」を示したことで、欧州でも実質的にスピルリナ青色素が販売可能になりました。これによって「リナブルー®」の高い安全性があらためて認められ、日本・韓国・中国に続いて、欧米や東南アジアにも需要が拡大することが見込まれています。
原料から製品までの一貫生産を通じて安全品質を確保
DICグループでは、現在中国の生産拠点でスピルリナの培養から最終製品「リナブルー®」を一貫生産しています。世界的な需要増を受け、1年後をめどに米国生産拠点においても同様に「リナブルー®」生産を始めます。高品質の青色素を得るには、厳密に管理した培地で優良な藻を育て、原料粉末に加工するまでの品質管理が重要です。さらに、フィコシアニンを抽出して精製濃縮・色価調整・殺菌などを施し、品質検査によって安全性を確認します。この一連の製造プロセスを通じた「安全品質」こそ、「リナブルー®」が圧倒的なシェアを確保している要因です。
また、藻は培養過程でCO₂を吸収し、光合成によって酸素を排出するため、スピルリナ800トンの生産で1,200トンのCO₂が吸収され、地球温暖化防止に貢献できます。一方で、藻の培養には大量の水を使用しますが、米国工場では再利用によって敷地外へいっさい水を排出せず、中国工場では排水処理施設で厳格な水質管理を実施することで、環境維持に努めています。
VOICE
将来はスピルリナから青色素以外の色素や有効成分の製品化も
スピルリナには、青色素(フィコシアニン)のほかに緑(クロロフィル)やオレンジ(カロチノイド)の色素、また利用価値の高い有効成分が他にも含まれています。現在は「リナブルー®」だけを製品化していますが、これらを製品化できれば、より多くの方々に安全・安心を提供できます。欧米でもスピルリナ色素の高い安全性が認められたことを追い風に、DICグループの技術力を発揮し、スピルリナ由来の青色素以外の製品開発にも力を注いでいます。
DICライフテック(株) 素材営業部長 岡田 清隆
「リナブルー®」やスピルリナの製品価値を多くの方々にお届けしたい
「リナブルー®」の安全品質と鮮やかな色調は食品業界では知られていますが消費者の方々には知られていません。また、スピルリナはアフリカのザンビア共和国の子どもたちの栄養不良改善プロジェクトに活用されて顕著な効果を挙げています。さらに、ニシキゴイの免疫増強や体色改善にも活用され、コンテストで優秀な成績を収めています。こうした実績を拡大しながらスピルリナの価値を少しでも多くの方々に知っていただきたいと念願しています。
DICライフテック(株) 素材営業部 担当課長 大野 隆明
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