トップメッセージ

“社会要請を的確にとらえた製品を提供し、長期的な成長を目指していきます DIC株式会社 代表取締役 社長執行役員 中西 義之

強靭な企業体質と成長ドライバーの構築

DICグループは174社を63ヶ国に展開、海外売上高比率を約60%とするグローバル・ケミカル・カンパニーです。印刷インキで約30%、その原料である有機顔料で約20%、さらにエンジニアリング・プラスチックであるPPSコンパウンドで約27%などの世界トップシェア製品を有しています。また、ポリマや液晶などのファインケミカル分野でも特徴のある製品を供給し、お客様と社会の発展に貢献しています。現在さらなる飛躍を目指して「2025年に売上高1兆円、営業利益1,000億円」という長期目標を掲げて、諸施策を着々と遂行中です。
「安定基盤事業」と位置づけられている印刷インキおよびポリマ事業は、より一層のサステナブル化を目指しています。欧米、国内などの成熟市場では、需要減を前提とした生産体制の最適化とコストダウンを進めています。同時に、環境に配慮した水性やUV硬化型樹脂など成長製品へのシフトや、アジアを中心とした成長市場への展開を加速し、なお一層グローバル市場での存在感を高めています。
また、TFT液晶、機能性顔料、PPSコンパウンド、パッケージ関連材料などを「成長牽引事業」として位置づけ、グローバルな視点で重点的にリソースを集中させています。包装需要の高まりに着目したインドネシアやトルコでは食品や飲料のパッケージ用リキッドインキの新工場を、自動車産業の最大の生産拠点である中国ではPPSコンパウンド工場を建設、それぞれ2016年から稼働を開始しました。ジェットインキ事業は、成長が期待できる領域への参入に向けた新製品の開発も進めています。
またエレクトロニクス、パッケージ、ヘルスケアなどの領域で、時代の要請に応える「次世代事業」の創出を加速させています。環境問題、そしてAIやIoTなどへの社会的要請が高まる中、独自の技術力・発想力を駆使して付加価値の高い製品をグローバルに提供していきます。
当社は、多様化していく事業ニーズを見極めバランスの良い事業ポートフォリオと安定的な収益構造を構築しながら、原材料価格や為替の変動といった外部の経営環境に左右されない強靭な体質の企業へと進化を続けています。社会的要請をリードし需要を喚起する独自の成長ドライバーにより、2025年の目標達成に向けて邁進しています。

中期経営計画「DIC108」初年度は、営業利益・経常利益で過去最高益を達成

中期経営計画「DIC108」は初年度を終了しました。売上高は7,514億円、営業利益542億円と経常利益558億円は過去最高益、親会社株主に帰属する当期純利益は348億円、ROEは12.9%でした。また配当金を1株当たり100円と前年度から20円増配し、配当性向は27.3%でした。
計画値に対して、売上高は数量で概ね前年よりも増加したものの、為替と製品価格の低下により未達となりました。その他指標は、「DIC108」で掲げる諸施策が計画シナリオに沿って遂行できたことにより、目標を上回る成果をあげることができました。

  • 2016年7月1日に実施した株式併合による影響を調整

拡大・発展路線でスピードを加速

「DIC108」の2年目となる2017年度は、計画達成に向けて真価が問われる重要な年となります。前中期経営計画「DIC105」でD/Cレシオ※1が2018年度目標としていた50%を超える47%を達成したのを契機に「DIC108」では “攻めの姿勢に舵を切る”ことを明言し、M&Aを主な使途とする1,500億円(3年間)の戦略的投資枠を設定しました。
2017年1月には、特殊インキを製造・販売する太陽ホールディングス(株)との資本業務提携(出資金:249億円)を公表しました。同社はソルダーレジスト※2のリーディングカンパニーであり、当社グループからは原料となるポリマ、顔料などを供給しています。当社グループではこのたびの提携を通して、既存製品の拡販ばかりでなく、両社のシナジーを発揮し次世代の成形回路部品などの効率的な開発につなげていく計画です。M&Aは現在も数件を模索しており、適切な判断と迅速な対応により、成長実現へのドライバーとして結実させていきます。
またR&D活動も体制を進化させています。従来の「自前のみのR&D」から脱却してオープンイノベーションによる外部リソースの活用(コーポレートベンチャーキャピタルなど)を通して、事業創出のスピードアップに取り組んでいます。2017年1月には、総合研究所内に技術棟を新設しました。これにより、最先端領域のプリンテッドエレクトロニクスなどの技術的成長をより確かなものとしていきます。

  • ※1有利子負債/(有利子負債+純資産)
  • ※2プリント配線板の回路パターンを保護する絶縁膜となる材料

「Color & Comfort」をブランドスローガンに掲げて

DIC株式会社 代表取締役 社長執行役員 中西 義之

先見性とたゆまぬR&D活動から誕生し、「DIC108」の「次世代事業」の一つとして位置づけているのが「ヘルスケア」です。当社では、1977年に食用藍藻スピルリナの大量管理培養に成功して以来、スピルリナ関連製品を健康食品として提供してきました。最近では、スピルリナから抽出し、「リナブルー®」として展開する天然系青色素が、2013年に米国食品医薬品局から食品用天然系青色素として初の認可を獲得して以来、合成着色料から天然色素へのシフトが急速に進む欧米を中心に、食の安全・安心の観点から大変注目されています。
この「リナブルー®」や印刷インキ・顔料など、当社は「色」に関わるビジネスを特色の一つとしています。現在「Color & Comfort」をブランドスローガンに企業価値向上、知名度向上に向けたブランディング活動を展開中であり、昨年10月からはテレビCMも放映しています。またブランディング活動は、世界63の国と地域で事業を展開する当社グループの社員が一体感を持ってステークホルダーの皆様に提供していく価値を意識し、実践していく上でも大切な取り組みと位置づけています。

サステナブルな経営で次期も最高益更新へ

持続可能な社会を実現する上ではESG(環境・社会・ガバナンス)の観点は必須と考え、重要な課題についてはKPI管理をしながら実効をあげていくよう、社内に指示を出しています。DICグループがこれからも、グローバル視点で社会や産業の基盤を支え、持続的に成長していくために、生産活動を通じた環境負荷物質の低減や、化学物質の管理などにたゆまず取り組んでいきます。また、環境負荷低減を実現する水性インキや水性樹脂、省電力を実現する液晶材料、金属代替で自動車の軽量化に貢献するPPSコンパウンドなどの社会的課題解決に貢献する製品を今後も市場に提供し、本業を通して社会に貢献していきます。
事業活動を進める上で、安全の確保は化学企業として最優先の課題と位置づけ、災害や事故を起こさない仕組みづくりと安全教育に注力しています。工場における安全性をさらに高めるために、DICでは現場に潜む危険を疑似体験する安全体感教育を新入社員教育の一環として行っています。こうした労働安全衛生に対する取り組みは、日本国内のみならず、海外DICグループにも展開し、グローバルに推進しています。
また多彩な人材が個性と能力を発揮して活躍することが、会社と個人の双方の成長にもつながります。DICグループではダイバーシティを推進する中で、特に日本においては女性の活躍推進に力を入れています。「働き続ける会社から、活躍し続ける会社へ」、働きがいの向上を目指す様々な諸施策に継続的に取り組みます。
「DIC108」では、株主の皆様への還元も重要な方針として位置づけています。成長投資、財務体質とのバランスを追求しながら、配当性向を3年間で30%程度とする目標を掲げ、安定配当をベースとしつつ、利益連動の姿勢をより明確にしました。
2017年は、世界経済の先行きが見えず、経営環境の不確実性が高まると予想しています。そのような中、DICは成長牽引事業のさらなる拡大や合理化など、「DIC108」に掲げる戦略を計画通りに遂行することで、2017年は各段階利益で過去最高益を達成できるよう、鋭意取り組んでいく所存です。引き続き皆様からのご支援を賜りますようお願いします。

TOPICS 将来に向け着実に進む戦略投資

2016年度から始動した中期経営計画「DIC108」では、近年、重要な経営課題として取り組んできた財務体質の改善に一定の目処がついたことを受け、攻めの経営に舵を切ることを明確に示しています。M&Aなどを目的とした戦略的投資枠1,500億円(2016年度からの3年間)を設定し、基盤事業の安定化、成長牽引事業の拡充、次世代事業の創出といった観点から、投資先の探索を進めています。

1.太陽ホールディングス株式会社との資本業務提携(持分法適用会社化)

成形回路部品(イメージ)
成形回路部品(イメージ):従来のプリント配線板とは異なり、基板やハーネスが不要となることから、より小型化、軽量化、薄型化が可能となり、今後の市場拡大が期待される。

DICは2017年1月25日に、太陽ホールディングス株式会社を当社の持分法適用会社とすることを含む資本業務提携(出資額249億円)を行うことを発表しました。
太陽ホールディングス(株)は、プリント配線板用部材をはじめとする電子部品・半導体用化学品の製造販売に関する事業を行っています。特に、プリント配線板の製造に欠かせないソルダーレジストに関しては、世界トップクラスのシェアを誇っています。
当社グループでは、エレクトロニクス市場を『将来にわたり安定的に成長し、かつ保有する基盤技術を存分に活かせる有望な市場』と位置づけており、合成樹脂、顔料、液晶材料などの高付加価値材料を供給しています。さらに次世代製品に関しても、プリンテッドエレクトロニクス、放熱材料など、当社の基盤技術を活かした分野での製品開発を積極的に進めています。
このたびの資本業務提携は、既存製品の拡販に加え、当社グループの基盤技術をベースとした素材開発力と、太陽ホールディングス(株)が有するプリント配線板およびソルダーレジストのサプライチェーンを活用した市場ニーズの把握、およびマーケティング力を結集することで、成形回路部品などの次世代材料を早期かつ効率的に開発することが期待できます。
両社のシナジーを最大限活用することで、全世界規模で両社事業のさらなる発展を図り、収益の拡大を推し進めていきます。

  • ソルダーレジスト:プリント配線板の回路パターンを保護する絶縁膜となる材料

2.サンケミカル社とアライアンスホールディング社がアラビア半島において最大となる印刷インキの合弁会社を設立

サンケミカル社(米国)
サンケミカル社(米国)

サンケミカル社では、アラビア半島の印刷インキ市場でトップシェアを有するインクプロダクツ社(サウジアラビア・リヤド)と同地域におけるサンケミカル社の事業を統合し、出資比率を51%とする合弁会社を設立することに合意し、同社親会社のアライアンスホールディング社と2017年3月17日に契約を締結しました。
プリンティングインキ事業では、デジタル化の進展により需要が減少する出版用インキから、先進国においても成長が期待できるパッケージ用インキへのシフトをグローバルで加速しています。アラビア半島における印刷インキ市場は、パッケージ用インキが全体の70%以上を占め、パッケージ市場は今後年率5-10%程度の成長が見込まれているため、グループ戦略上の重要地域と位置づ サンケミカル社(米国) けています。
このたびの合弁会社設立により、同地域に精通するインクプロダクツ社のマーケティング力、およびサンケミカル社の製品・技術の導入などシナジーを最大限活かし、最高品質の製品と最高レベルのサービスを提供することで、スピード感を持ってさらなる成長を達成できると考えます。現在、同地域における印刷インキ全体のシェアは両社で3割程度ですが、両社の強みを活かして2021年には4割程度まで高めていく計画です。

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