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“110年の歴史を受け継ぎ、未来に向けた成長と発展を目指す~「ユニークで、社会から信頼されるグローバル企業」へ~ DIC株式会社 代表取締役 社長執行役員 猪野 薫

110年の歴史を受け継ぎ、未来に向けた成長と発展を目指す
~「ユニークで、社会から信頼されるグローバル企業」へ~

このたび、代表取締役社長の大役を拝命しました。引き受けた以上は天命、全力でやり切るという意思を持って、先人たちが築いた礎から新たな成長と発展に向けて努めていきます。
2018年、当社は創業110周年を迎えました。創立時からの事業である印刷インキは現在でも売上げの半分を支えています。110年も長続きする事業を授かったことへの思いと同時に、私はこれまでとはまるで質の違う様々 な環境変化に直面していることを実感しています。一例をあげると、電話が社会に普及するまでには50年以上がかかりましたが、フェイスブックはわずか1年で世界に普及しました。またデジタル化の波、少子高齢化、社会 保障の財源の問題を基軸にして、社会構造の変化はさらに進んでいきます。こうした凄まじいスピードの環境変化について、私自身は一種の「ニューノーマルの出現」ととらえています。急激な変化の中で、素材産業として 当社は社会にどのように貢献していくのか。創業家から授かった息の長い事業を、新たなニューノーマルの出現とのギャップを埋めながら、どうハンドリングしていくのか。私はこの課題への的確な実行を大きな使命と感じて取り組んでいきます。
2017年度はDICグループにとって、中期経営計画「DIC108」の2年目の年にあたりましたが、お蔭様で創業以来の最高益(売上高7,894億円、営業利益565億円、経常利益570億円、当期純利益386億円)を達成いたしました。「成長牽引事業」に位置づけ、グローバルな視点で重点的にリソースを集中させている機能性顔料、PPSコンパウンド、パッケージ関連材料などの事業においては堅調に事業拡大を果たし、将来に向けた先行投資も含めて着実な布石を打つことができました。また、原材料価格の上昇などの外部環境要因も一部の事業において影響はあったものの、マーケットニーズに即した製品の投入や環境に配慮した高付加価値製品の拡販などに注力することで対応を進めてきました。原材料価格や為替変動などの外部要因に左右されないように、中西前社長が陣頭指揮を執り取り組んできた「強靭な企業体質づくり」が着実に実を結んだ年であったと考えています。
一方で次年度(2019年度)から始まる新たな中期経営計画やそれより先の当社のあるべき姿を考え、より強力かつ広範に社会課題の解決と持続可能な社会の実現に貢献していくためには、印刷インキや顔料、コンパウンド事業の他に、新たなナンバーワンの事業の構築に取り組まなければならないと考えています。

新中期経営計画の策定に向けて

2019年より次期中期経営計画のスタートを切るべく、この2018年度は「DICグループのありたい姿」に向けた変革のための議論を究め、中長期の視点に立った戦略の策定を進めていきます。急速な社会環境の変化をとらえ、ニューノーマルにしっかり対応するという姿勢は前述のとおりですが、私はDICグループの企業像を考える上でブランドスローガンに掲げている「Color & Comfort」が一番の鍵を握っていると感じています。この言葉はとてもユニークで、DICのDNAをしっかり表現していると考えています。
「Color & Comfort」を基軸として、当社の持つ要素技術を結集させた化学の力で社会に彩りと快適を提案していく。それをもって私たちの社会をより豊かなものにしていきたいとして、私たちはこれを経営ビジョンにも掲げています。
私はこれを実現していく分野として印刷インキや顔料、ポリマといったコアビジネスのベーステクノロジーが相乗効果を生み出せる領域に視点を据えて、価値の向上と新たな事業の創出の両面に取り組むべきと考えています。当社ならではのアプローチとしては、インキ・ポリマなどの「環境対応」に関する領域、パッケージ・ヘルスケアなどの「食の安全」、液晶・ジェットインキ・顔料などの表示材料を通じて「豊かな色材の提供」があげられます。ここで社会課題の解決や社会への価値の提供に向け当社の役割をしっかりと果たし、並行して当社の高付加価値事業の骨太化にも取り組みます。例えば同じ印刷インキでもパッケージ用途は市場の伸長が期待されていますし、導電性、絶縁性インキなどはテクノロジーからすると、従来型のインキとは全く違うものにはいってきます。私たちにとっては、新たな市場領域へのチャレンジともいえます。ベーステクノロジーを持っている事業の周辺からの発展を第一義的には考えていきますが、同時に戦略投資資金なども使って、事業領域のさらなる拡大とその効率性・確実性をも追求していきます。
こうした私の考え方を話して社内でも議論を重ねながら、10年後のありたい姿を描き、そこからのバックキャスティングをして2019年始動の新中期経営計画に反映していきます。新中期経営計画「DIC111」(仮称)については策定次第、皆様に発表させていただきます。

イノベーションを重視し、さらなる発展を

2017年1月に当社は、太陽ホールディングス株式会社との資本業務提携を公表し、ソルダーレジスト事業のリーディングカンパニーとの提携によりプリント配線基板を核とするエレクトロニクス分野への製品開発に向け大きな一歩を踏み出しました。エレクトロニクス分野は、「低炭素化」「パッケージ」「ライフサイエンス」とともに、DIC グループでは「次世代事業」と位置づけている分野です。
事業開発にあたっては、中西前社長の時代より「自前主義からの脱却」を明確に示し、積極的なオープンイノベーションによる外部リソースの活用を推進しています。グローバルなベンチャー・ネットワークの推進にも取り組んでおり、これらを通して次世代新規テーマの探索・推進や、最先端領域の技術のいち早い獲得などを進め、事業創出のスピードアップに取り組んでいきます。戦略的投資枠(1,500億円/「DIC108」より)を機動的に用いて、新たな成長曲線を内外に示していくこと。2019年度からスタートする次期中期経営計画が終了する頃までには、こうした新たなイノベーションによる創出価値も含めて10%以上の安定したROEと、「DIC108」で掲げた業績目標である売上高1兆円、営業利益1,000億円に近づいている姿を目指しています。

「グローバル企業ならではの価値創造が、DICグループの真髄

DIC株式会社 代表取締役 社長執行役員 猪野 薫

DICグループの企業像を語る時に避けて通れないのが、グローバルという切り口です。DICグループは64の国と地域に171社のグループ会社を通じて事業を展開しています。印刷インキで約30%、その原料である有機顔料で約20%、またエンジニアリングプラスチックであるPPSコンパウンドで約27%等の世界トップシェアの製品を有し、DICグループの売上げ自体が既に日本を除く世界各地で約60%を占めており事業内容や活動範囲ともにグローバルな視点が不可欠です。一例をあげますと、事業活動に伴う為替管理一つを見ても米ドルと1対1でなく、欧州ユーロのみならずトルコリラ、インドルピー等複雑ですが、当社ではいくつもの為替の変動要因を的確に マネジメントする仕組みを作り上げています。
一方で私は、グローバルの切り口は当社グループにとっては成長のドライバーとしてとらえています。DICグループは印刷インキ、ポリマ事業、PPSそれぞれにアジアや欧米などの各地に技術拠点を構築し、各市場要求を的確に把握した新製品・新技術の開発にスピーディーに取り組んでいます。人的資源の進化という視点では、製品本部や地域統括拠点のトップにグローバルな人材を登用し、ダイナミックな市場の変動を意識し急速にグローバルな経営体制の強化を進めています。研究開発拠点や多彩な人材を世界各地に擁するDICグループならではの特性を最大限に活かしていきたいと考えています。一方で、2016年度よりグループとして統一的な考え方のもとにブランディング活動を進め、ステークホルダーの皆様に提供していく価値(コーポレート・バリュー)を意識しその実践に取り組むことで、私たち社員のグローバルな一体感の醸成にも努めています。

ESGを経営の重要な要素に

DICグループでは2007年度よりサステナビリティ(当時はCSR)を経営に取り入れ、以来持続可能な成長を目指して、「コンプライアンス」から「社会課題のビジネス展開」まで11のテーマを掲げ、着実に取り組みを進めてきました。当社は昨今のESG(環境・社会・ガバナンス)への社会の要請を認識し、取り組みをより組織的に進化させることを目的として、2018年度よりESG部門を設置いたしました。化学企業であるDICグループでは、安全の確保と環境負荷の低減、また化学物質の厳正で的確な管理は事業活動の根幹であり不可欠と認識して真摯に取り組んでいます。世界共通の課題でもある気候変動への取り組みについては、中長期にグローバルなCO2削減目標を掲げて取り組み、低炭素社会に貢献する製品開発にも注力しています。さらに循環型社会の形成、水資源リスクへの対応など、新たな課題にも認識を高めて取り組んでいきます。
一方、先にグローバル人材について触れたとおり、ダイバーシティは多様な考え方や価値観をグループに取り入れる重要な経営の要素です。「個の多様性を結集して社会変革に対応する、企業そのものを変革する」こと、つまりダイバーシティ・マネジメントを進めていくことが必要だと考えています。KPIを設定して進めている女性活躍推進もその一つですが、一方では64ヶ国に20,000人の社員がいることを常に意識しその潜在力を最大限に発揮していくマネジメントに取り組んでいきます。社員には個の結集のためにも強い参加意識を持って携わっていくよう指示していきます。
最後にガバナンスについてですが、当社はコーポレートガバナンス・コードに基づき体制を整備しており、2017年度は独立社外取締役を増員し、なお一層のガバナンス機能の強化を図っています。グローバル企業として子会社ガバナンス体制の強化にも取り組み、経営を支える仕組みづくりから品質管理体制、新たな法規制への対応まで、基盤整備を進めています。
企業は社会の公器といわれますが、これからの企業は「社会の変革に対応する」だけではなく、「変革する社会にどのように貢献するのか」が求められます。当社は「Color & Comfort」を掲げるユニークな化学企業として、その観点から積極的に社会的価値の創出にチャレンジしていきます。

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