化学物質等の環境排出量の削減

主な取り組みの目標と実績

取り組みの視点
・課題など
2016年度 目標 2016年度 実績 評 価 2017年度 目標
VOC大気排出量削減 ・VOC大気排出量の削減
・国内DICグループの各事業所で削減目標を掲げ活動 (各工場の目標積み上げ値国内DICグループ:379t前年度比1.6%減)
国内DICグループ:385t前年度比1.0%増 ・VOC大気排出量の削減
・国内DICグループの各事業所で削減目標を掲げ活動(各工場の目標積み上げ値国内DICグループ:376t前年度比2.3%減)
化学物質の排出抑制PRTR対象(462)物質※1

日化協※2自主調査対象(89物質+1物質)の環境排出量の削減
PRTR:国内DICグループの各事業所で削減目標を掲げ活動(各工場の目標積み上げ値国内DICグループ:388t前年度比1.6%減) 国内DICグループ:397t前年度比1.0%増 PRTR:国内DICグループの各事業所で削減目標を掲げ活動(各工場の目標積み上げ値国内DICグループ:399t前年度比0.5%増)
  • 「評価」は、進捗度に関する自己評価によるものです。[ 評価マークについて ] ★★★…非常に良好 ★★…順調 ★…要努力
  • ※1PRTR 対象物質とは、化学物質把握管理促進法(化管法)で指定された462物質でPRTR 制度とは日本国内の届出制度。
  • ※2日化協:一般社団法人日本化学工業協会。日本有数の業界団体としてICCAに加盟し、世界各国の化学工業団体とともに化学工業の健全な発展に努めている。

基本的な考え方

化学企業は他の産業に比べて多種多様な化学物質を大量に取り扱っています。そのため、事業活動を進める上で化学物質の環境中への排出抑制の配慮が求められます。
DICは2000年度から、国内DICグループ各社は2005年度から化学物質把握管理促進法(化管法)で指定された物質、および一般社団法人日本化学工業協会(日化協)が自主調査対象として定めた物質を国内DICグループの調査対象として、大気・水域・土壌など環境への排出削減を進めています。

2016年度の主な活動

1.VOC大気排気量の削減

調査対象物質(PRTR対象物質を含む551物質+1物質群)の大気排出量の推移
調査対象物質(PRTR対象物質を含む551物質+1物質群)の大気排出量の推移

国内DICグループでは、2007年度に自主目標として「VOC大気排出量を2000年度を基準に2010年度までに30%削減」を掲げて目標を達成しました。その後も設備の改善・管理の徹底により排出量の削減に取り組んでいます。
2016年度のVOC大気排出量は、DICで189t(前年度比9%減)、国内DICグループは385t(前年度比1%増)と増加し、年度目標を達成できませんでした。これは1事業所で溶剤回収装置に不具合が発生し、稼働時間が減少したことが主な要因です。
また、海外DICグループ各社(中国、アジアパシフィック地区)においてもVOCの継続的な削減に取り組んでいます。特に中国では、VOCの大気排出規制が一段と強化され、中国のグループ会社では設備更新や排出管理に注力しています。

VOC 大気排出量

2016年度の1t以上使用または生産した物質数
2016年度の1t以上使用または生産した物質数

なお、2016年度の調査対象物質は、PRTR第一種指定化学物質(462物質)+日化協調査対象物質89物質(第一種指定化学物質以外のもの89物質)+1物質群(炭素数が4~ 8までの鎖状炭化水素類)となりました。
2016年度の1t以上使用または生産した物質数は、DICでは111物質、国内DICグループは124物質でした。国内DICグループでは、洗浄工程や局所排気装置の更新が奏功しましたが、1事業所で溶剤回収装置の不具合が発生し、また1事業所の生産増加などで排出量は1%の微増(DIC9%減、DICを除く国内DICグループ会社計12%増)となりました。

  • 日化協によるPRTR調査対象物質の見直しが行われ、2014年に105物質から89物質に変更されました。

調査対象物質(PRTR対象物質を含む551物質+1物質群)の環境排出量

DIC単体 大気への排出量 189t
水域排出量 12t
土壌排出量 0t
国内DICグループ 大気への排出量 385t
水域排出量 12t
土壌排出量 0t
  • PRTR:Pollutant Release and Transfer Registerの略。

環境排出量10t以上の物質

物質名称 DIC 国内DICグループ
環境排出量合計 環境排出量合計
酢酸エチル 63t 124t
トルエン 48t 57t
メチルエチルケトン 30t 58t
スチレン 6t 39t
アセトン 7t 20t
プロピルアルコール 1t 22t
酢酸ブチル 0t 12t

2.水資源の管理

地球上で利用可能な淡水は水資源全体の0.01%程度といわれ、水資源の節減・管理は世界共通の重要課題です。DICグループは、生産工程・空調・飲用などに上水・工業用水を取水し、国・地域の規制と同等以上の自主基準を設けて浄化処理し、河川等に排出しています。総合研究所(千葉県)では浄化した排水を回収し、研究中水として再利用することで排水においてゼロエミッションを達成し、水資源への負荷低減に努めています。また、使用した水のリユース・リサイクルを推進し、水資源への負荷低減に努めています。
2016年度も引き続き工程改善や情報共有、取水・使用・排水に関するデータの一元化などを推進しました。2016年度の、国内DICグループ(DICを含む)の取水量は30,513千m³(前年度比1.5%増)、海外グループの取水量は11,015千m³(前年度比1.4%増)、DICグループ全体の総取水量は41,528千m³(前年度比1.5%増)となりました。また、DICグループ全体の総排水量は37,593千m³(前年度比28%増)となりました。また、DICグループの水リスクを把握するため、水リスク評価に関するツールを用いて、2017年度に生産数量の75%を占める世界38ヶ所の事業所で初期的な水リスクを分析しました。現状では取水等の水リスクが限定的であることを確認しました。

[ 取水量と排水量の報告範囲について ] 

DICグループ全体の総取水/総排水量

今年から、排水量について、欧米・中近東・アフリカなどを管轄するサンケミカルグループのデータを含むこととしたためデータ収集範囲が拡大し、排水量が大幅に増加しました。取水量については、以前よりサンケミカルグループのデータを含んでいます。

3.土壌・地下水汚染調査

2012年に日本では水質汚濁防止法が改正され、有害物質による地下水の汚染を未然に防止するよう施設の構造に関する基準がより厳格になりました。
国内DICグループでは、土壌汚染対策法や水質汚濁防止法等を厳守しています。必要に応じて土壌・地下水の調査や対策を実施して環境・安全面での事前リスク評価を行っています。

4.SOx、NOx、COD の削減

SOx、NOx 排出量の推移
SOx、NOx 排出量の推移

COD 排出量の推移
COD 排出量の推移

国内DICグループでは、1990年度を基準年として、ボイラー設備では酸性雨や健康への影響が懸念されるSOx(硫黄酸化物)やNOx(窒素酸化物)の低減、排水設備では水質の指標となるCOD(化学的酸素要求量)の低減に努めています。
また、海外DICグループにおいても、インフラの整備状況に応じて燃料を軽油から天然ガスに転換、軽油・重油ボイラーから廃木材を燃料とするバイオマスボイラーに切り替えるなどの取り組みを行っています。
CODの削減においても、水を再利用して敷地外へ排出しないクローズドループ方式や排水処理施設で法規制以上の浄化に努めるなど環境保護に取り組んでいます。

5.ダイオキシン類排出規制の遵守

国内DICグループは、ダイオキシン類発生施設である焼却施設からダイオキシン類の発生量をモニタリングしています。ダイオキシンには多種類の異性体があり、それぞれで毒性が大きく異なります。
現在、国内DICグループでは6施設を所有し、各施設ともダイオキシン類対策特別措置法の排出基準値を大幅に下回っています。

国内DICグループ焼却施設の排ガス・排水中のダイオキシン類濃度

事業所名 施設規模
焼却能力
排ガス 排水
基準値
(ng-TEQ/Nm³)
2016年度
測定値
(ng-TEQ/Nm³)
基準値
(pg-TEQ/ℓ)
2016年度
測定値
(pg-TEQ/ℓ)
DIC千葉工場 約3t/h 5 0.2 10 0.037
DIC北陸工場 0.28t/h 5 0.0040 10 0.00011
DICインテリア 約0.1t/h 10 0.019 非該当 -
DIC北日本ポリマ
北海道工場
約0.2t/h 10 <0.04 非該当 -
DIC北日本ポリマ
東北工場
約0.2t/h 10 0.0027 非該当 -
星光PMC
播磨工場
約0.2t/h 10 <0.07 非該当 -

TOPICS 千葉工場が「環境の保全に関する協定」を締結

写真:千葉県提供
写真:千葉県提供

京葉臨海地域の大規模工場(50社59工場)は、千葉県及び関係6市(千葉市、市原市他)と、3者で「環境の保全に関する協定」を締結し、大気汚染や水質汚濁の防止等のための排出基準などを定めた「細目協定」を締結しています。

中災防は、企業が行う安全衛生活動を支援し、毎年、長年にわたり産業安全や労働衛生の推進向上に尽力し、顕著な功績が認められた個人およびグループなどに緑十字賞を贈り、表彰しています。

2015年は細目協定の5年ごとの見直し年であり、3月に新たな「細目協定」の締結式が開催されました。当日は藤野千葉工場長が市原市八幡地区の協定締結企業を代表して、各市・地区企業代表者と共に出席し、森田千葉県知事、佐久間市原市長と細目協定書を手交しました。

今回締結した「細目協定」は、近年における環境問題の動向等を踏まえ、微小粒子状物質(PM2.5)に関する規定を盛り込むなど、全国でも先進的な取組となっており、2015年4月から2020年3月の5年間がその締結期間です。

TOPICS タンク洗浄工程で有機溶剤の使用をとりやめた小牧工場

小牧工場(愛知県)では、タンク洗浄工程で有機溶剤を使用していました。有機溶剤は、長期間の使用によって将来に健康被害を生ずる可能性が否定できないため、囲い込み装置の設置や労働衛生保護具の着用などの衛生工学的対策を徹底して、ばく露防止措置を講じてきました。

しかし、従業員の健康障害予防および化学物質使用量の低減を図る観点から、2014年度はタンク洗浄工程での有機溶剤使用をとりやめ、水洗浄に切り替えました。DICは、今後もこうした作業環境の見直し・改善を継続的に推進し、従業員の健康障害の予防に努めます。

鹿島工場に超高効率排水処理装置を導入

鹿島工場の超高効率嫌気性排水処理装置「バイオインパクト」
鹿島工場の超高効率嫌気性排水処理装置「バイオインパクト」

鹿島工場では、排水処理設備の増強を目的に、同工場内に嫌気性排水処理装置(住友重機械エンバイロメント株式会社製の「バイオインパクト(BIOIMPACT®)」)一基を導入し排水処理能力の向上や省エネルギー化を進めています。

化学系排水の処理については、酸素を必要とする活性汚泥(注1)を用いて、排水中の有機物を炭酸ガスと水に分解する好気性処理法(活性汚泥法)が一般的ですが、このたび導入した排水処理装置「バイオインパクト(BIOIMPACT®)」では、新たに実用化された嫌気性処理法(グラニュール法)が採用されています。嫌気性処理法(グラニュール法)は、グラニュールと呼ばれる嫌気性(酸素を必要としない)の菌を高濃度に充填したタンク内で、排水中の有機物を短時間でメタンガスと二酸化炭素(CO2)に高速分解する処理方法です。

同装置は発生するメタンガスの工場稼働への再利用も含めて高効率、省スペース、省エネルギーなどを実現する画期的な排水処理設備として注目されています。

これにより鹿島工場では、CO2の発生を年間720トン削減し、また運転コストについても大幅に低減していく見込みです。

TOPICS 先進的な取り組みに対してグリーンカンパニー認定(中国)

グリーンカンパニーの認定証看板
グリーンカンパニーの認定証看板

中国では経済成長と環境保全の両立に向けて、化学物質に関する規制の強化を図っています。こうした中で、中国で事業を展開するDICグループ20法人は、環境マネジメントシステムに基づく改善活動に取り組み、化学物質の排出量、取水・排水量、廃棄物処分量、エネルギー使用量の削減に努め、毎年、データを当局に報告しています。

このような透明性の高い取り組みが評価され、有機顔料や印刷インキなどを製造する「南通迪愛生色料有限公司」(江蘇省南通市)は、環境に配慮した事業活動を実践している「グリーンカンパニー」に認定され、化学工場のモデル的存在となっています。

サステナビリティ>

Global | HOME > サステナビリティ > 安全・環境・健康 > 化学物質等の環境排出量の削減