新技術と価値の創造

主な取り組みの目標と実績

取り組みの視点
・課題など
2017年度 目標 2017年度 実績 評価 2018年度 目標
持続的社会に貢献する新製品・新技術の開発力の向上 ・オールDICの技術部門連携
・グローバル研究体制の拡充
・オープンイノベーションの推進
・IT活用による研究開発効率の向上
・2017年はアジアパシフィック地域市場をカバーするソリッドコンパウンド技術センターをマレーシアに、液晶材料関連の技術センターを韓国に開設した
・印刷インキやポリマでは、環境規制強化の進む中国市場向けにDICグループの技術連携により水性型の製品などの実績が拡大した
・オープンイノベーション(OI)やAIを積極的に活用し、研究開発の迅速化、効率化を図った
★★ ・オールDICの技術部門連携
・グローバルな研究開発力の強化
・OI、AI活用による研究開発のスピードアップ
環境調和型製品・サービスの開発推進 低炭素、環境負荷低減に資する製品の開発促進 ・米ぬか油の廃棄成分を原料とするグラビアインキや、低VOC型の塗装鋼板用塗料樹脂などを開発した
・環境調和型製品の全製品に占める取扱高比率は56%であった
★★ 低炭素、環境負荷低減に資する製品の開発促進
  • 「評価」は、進捗度に関する自己評価によるものです。[ 評価マークについて ] ★★★…非常に良好 ★★…順調 ★…要努力

持続的成長に向けて

DICグループは、ブランドスローガン「Color & Comfort」のもと、サステナブルな社会への貢献を目指し、光学・色彩、有機分子設計、高分子設計、分散等の基盤技術と、合成、配合、表面処理などの各種要素技術を駆使した高付加価値製品の開発に取り組んでいます。グループ全体の技術リソースの融合により、また産官学連携などオープンイノベーションも積極的に活用し、持続的成長につながる次世代製品・新技術の開発を目指しています。

DICグループの基盤技術・要素技術と「狙う市場」

複合化とオープンイノベーションにより次世代製品を開発

具体的な取り組み

DICグループでは、クリーンテクノロジーの開発、利用を推進しています。省エネルギー化や水性化、無溶剤化など環境負荷のより少ない素材や、エレクトロニクス、パッケージ、エネルギーなどのDIC 製品をご使用いただく各種分野において、より環境に配慮した製品を具現化するための様々な部材を環境調和型製品と位置づけ、開発に取り組んでいます。

エレクトロニクス関連

エレクトロニクス分野では、最終製品としての省エネや小型軽量化、製造プロセスにおける工程短縮や廃棄物の削減等に貢献する 各種製品を開発しています。
液晶ディスプレイ関連では、カラーフィルタ用ブルー顔料の性能向上に取り組み、市場での実績が拡大しました。液晶材料では、PSA(Polymer Sustained Alignment)液晶ディスプレイの製造工程短縮に有用な高反応性モノマーのサンプルワークを進めています。また当社独自技術であるナノ相分離液晶ではPSA 液晶と同等の透過率を保持したまま応答速度を大幅に改良しました。配向膜が不要な自発垂直配向型n型液晶では新材料のサンプル提供を開始しました。
一方、次世代ディスプレイ材料では、インクジェット印刷方式による量子ドットカラーフィルタ用インキの開発をNanosys 社(米国)と共同で進めています。
電子材料用途では、半導体パッケージ基板材料としてナフタレン型エポキシ樹脂を開発、市場での採用が進んだ他、プリンテッドエレクトロニクス関連では、金属めっき膜の下地となる銀ナノ粒子および高分子密着層材料を商業化しました。

パッケージ関連

米ぬか油の非食用部(廃棄成分)を原料とする食品の包装材料(包材)に用いる表刷りグラビアインキや植物油インキマーク対応高感度UVインキ、また、詰替え包材用に高隠蔽性と物性を両立させたラミネート用白インキなどを開発、販売を開始しました。包材用接着剤においても植物由来原料を使用した新製品を開発しました。
海外ではサンケミカルグループが、植物由来原料を使用した新しい水性インキシステムや、カルトン、フィルムなどの包材用UV LEDインキなどを市場に投入し、また、シュリンクラベル用の自己脱離型接着剤などの開発を進めています。

エネルギー関連

バッテリー関連材料では、太陽電池バックシート用接着剤を中国、インド市場向けに展開し、またリチウムイオン電池セパレーター用バインダーを市場に投入しました。
建材関連では、太陽熱を有効に活用し室内の温度変化を抑える蓄熱シートが住宅メーカーに採用いただきました。潜熱を利用した蓄熱・冷熱材として医薬品などの低温輸送向けや施設園芸向けなど、さらなる用途展開にも取り組んでいます。

グローバルな研究開発体制で新製品開発を推進

DICグループでは、グローバルに展開する技術拠点が一体となって、新製品・新技術の開発に取り組んでいます。日本のDIC(技術統括本部、R&D統括本部)とDICグラフィックス(株)、米国、英国およびドイツのサンケミカルグループの研究所、さらに、中国市場を視野に総合的な研究開発を行う中国開発センターや、印刷インキ技術センター(中国、アジアパシフィック(AP)地域)、ポリマ技術センター(中国、AP地域)、ファインケミカル技術センター(韓国)、ソリッドコンパウンド技術センター(中国、ドイツ、AP地域)などの研究開発拠点が有機的に連携しています。また米国の藻類研究センターでは、健康食品などに展開しているスピルリナの知見を活かし、藻類を培養から応用利用まで総合的に研究しています。

DICグループの研究開発体制

環境調和型製品の促進 >

DICグループは、プロダクトスチュワードシップに配慮した事業活動を推進しています。環境調和への意識を高め、有害物質の使用削減、有害性のより低い製品、リサイクル可能な製品、安全性が高く廃棄物の少ない省エネルギーに配慮した生産プロセスなど、社会に役立つ新製品、新技術の開発に取り組んでいます。

コンパウンディング力による革新

DICは、インキ製造で培われた顔料と樹脂を分散、配合する技術を基盤として、様々な異なる特性や機能を持つ素材を組み合わせるコンパウンディング力により、今までにない新しい製品や付加価値を創り出してきました。
PPSコンパウンドでは、米国FDAの規格に適合し食品接触部分に使用可能な新製品を開発し、欧州でサンプルワークを開始しました。また高強度・高耐湿熱タイプの新製品を水まわり部品向けに販売開始するとともに、本命の自動車冷却部品用途への展開も進めています。
これからも、DICグループが持つ幅広い技術領域を独自のコンパウンディング力によりさらなる強みに変え、イノベーションを加速させていきます。

コンパウンディング力による革新

VOICE

次世代技術の課題をケミストリーの視点で解決

近年、半導体集積回路の微細化が進み、半導体製造にかかる工程数並びにコストの肥大化が問題となっています。今回、当社R&D本部で開発した光硬化性樹脂は、次世代技術として期待されるナノインプリントリソグラフィ(NIL)に対応したレジスト用材料です。特徴とする有機無機複合構造の制御により、迅速な光硬化性並びに優れたエッチング耐性を両立するだけでなく、半導体製造の工程数の大幅な削減が期待されています。今後も、化学メーカーの立場で次世代技術の課題解決と持続可能なものづくりに貢献します。

ポリマ技術 第一本部 ポリマ技術5グループ 研究主任 伊部 武史

ポリマ技術 第一本部
ポリマ技術5グループ 研究主任
伊部 武史

知的財産への取り組み

競争力の基盤の強化にあたり、DICグループでは他社の知的財産を尊重するとともに、オープン&クローズ戦略のもと、自社の技術の権利化とブラックボックス化を推進しています。
DICの知的財産活動は社外的にも注目を集めており、その一例として外部機関が行った「2017年度特許資産規模ランキング」において、化学業界で6位と上位に位置づけられております。その一方、DICの特許登録件数は年間400件程度で、化学業界大手他社よりやや少なく、特許資産規模で高ポイント獲得の理由は、当社が保有する特許の質が高く、注目度が高いことが社外的にも認められた成果と考えます。今後も持続的発展のために、知的財産活動の取り組みを推進していきます。

  • 外部機関: 株式会社パテント・リザルト。

TOPICS 杉江会長と当社社員が合成樹脂工業協会賞を受賞

合成樹脂工業協会賞を受賞
向かって左より2番目に有田主任研究員、
4番目に杉江会長

2014年10月、日本国内の熱硬化性樹脂の業界団体である合成樹脂工業協会の、第38回合成樹脂工業協会賞「特別賞」を杉江会長が、「学術奨励賞」を当社千葉工場 ポリマ第一技術本部の有田和郎主任研究員がそれぞれ受賞しました。

合成樹脂工業協会では、あらゆる架橋性高分子を『ネットワークポリマー』と称し、原料、応用加工、分析・物性、環境対応技術など、周辺分野を含めた研究や議論が行われていますが、年に一度、ネットワークポリマー講演討論会を開催し、同時に学術誌・ネットワークポリマーで発表された優れた研究成果に対して顕彰する合成樹脂工業協会賞を発表しています。

今回、杉江会長は合成樹脂工業協会の前会長として、また企業のトップとして協会の学術活動に直接の指導、支援の功績により特別賞を受賞、有田主任研究員は、従来技術では合成が困難だったナフチレンエーテルの分子量制御に成功し、両立が困難であった、高いガラス転移温度(物理的耐熱性)と優れた耐熱分解性(化学的耐熱性)を兼ね備える新規ナフチレンエーテルオリゴマー型エポキシ樹脂を実用化したことが評価され、学術奨励賞を受賞しました。

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