労働安全衛生・保安防災

主な取り組みの目標と実績

労働安全衛生の確保

目標の範囲 グローバル
2022年度 目標 総労働災害度数率の削減
 国内グループ:2.40
 中国地域:1.00
 AP地域:1.10
 欧米地域 :8.00
(DICグローバル:4.36)
2022年度 実績 国内グループ:2.23
中国地域:0.79
AP地域:1.21
欧米地域:6.33
(DICグローバル:4.00)
評価 ★★★
2023年度 目標  国内グループ:2.10
 中国地域:1.00
 AP地域:1.00
 欧米地域 :8.00
 (DICグローバル:4.65)

保安防災の確保

目標の範囲 グローバル
2022年度 目標
  • 重大事故の防止
  • プロセス事故の把握継続
2022年度 実績
  • 重大事故ゼロ
  • プロセス事故発生率 0.055
評価 ★★★
2023年度 目標
  • 重大事故ゼロ
  • プロセス事故発生率 0.110
    (直近の平均実績を維持)
  • 「評価」は、進捗度に関する自己評価によるものです。
    [ 評価マークについて ] ★★★…非常に良好 ★★…順調 ★…要努力

方針

基本的な考え方

 DICグループは、安全操業最優先を経営の基本とし、無事故無災害の達成および労働安全衛生水準の向上を追求します。

安全操業は、DICグループの持続可能な成長を支える事業の根幹であり、レスポンシブル・ケア活動における重要な基盤の一つです。その実現に向けて、DICグループ全体・従業員一人ひとりが「安全第一」を共通認識として、労働安全衛生・保安防災に取り組んでいます。DICグループの生産領域は多岐にわたり、化学反応を伴う工程以外にも危険物・有害物を扱う工程や回転体機器を扱う工程があります。
ひとたび重大事故を起こせば、近隣住民の方々をはじめ社会に多大な影響を及ぼし、協力会社を含む従業員に健康被害をもたらす危険性があります。こうした事態を起こさないようDICグループでは、労働安全衛生マネジメントシステムの認証取得を推奨し、リスクアセスメントに基づき「職場のリスク低減、安全基本動作の徹底、安全感度の高い人材育成」を重点課題に位置づけ、安全基盤の強化や安全文化の醸成に向けたグループ全体の保安力向上に努めています。

安全操業の啓発ポスター(3言語)。社長自らモデルとなり国内外の事業所に掲示
安全操業の啓発ポスター(3言語)。社長自らモデルとなり国内外の事業所に掲示

推進体制

サステナビリティ委員長(社長執行役員)を最高責任者とし、事業会社および工場・研究所の安全環境グループと本社レスポンシブルケア部(RC部)が連携を取りながら、安全衛生活動を推進しています。国内DICグループでは、RC部と各事業所の安全環境担当者が定期的に会議を開催し、重点課題および目標の達成状況を確認し進捗を管理しています。
また、海外DICグループにおいては、DIC本社のRC部と地域統括会社が連携して地域ごとに目標を設定し、地域統括会社の指導のもと、各事業所の安全環境担当者がリスクアセスメント、事故災害の分析と改善策の推進に取り組み、労働安全衛生の持続的なレベルアップを図っています。(詳細は、P52方針・目標・体制を参照)

TOPICS

経営層が率先して安全活動を推進

経営層自らが率先して「安全第一」を推進することが重要と考え、毎月1回、生産統括本部長自らが「過去事例から学び、実践しよう運動」を国内関係会社を含めた全事業所長等に配信しています。内容は、直近に起きた事故災害の事例や、時期的に起きやすい事故災害(熱中症、冬の静電気)を話題にするなど、過去の事例をもとに分析し、対策を喚起したものです。月1回、各事業所の朝礼において読み上げるなどして、従業員に対して共通認識化を図っています。

2022年度の主な活動と実績

1. グローバルDICグループの実績

DICグループでは、労働災害について各地域で目標を設定し、ゼロ災害に向けた取り組みを推進しています。具体的には、100万労働時間当たりの労働災害死傷者数(死亡災害+休業災害+不休業災害)を「総労働災害度数率」(TRIR, Total Recordable Injury Rate)と定義し、日本、中国、AP、欧米の各地域で目標を設定しています。
統計の対象となる従業員の範囲は、工場および研究所における直接雇用の社員(正社員、嘱託社員、パート社員)および派遣社員です。場内の請負業者や外部の請負業者や工事業者は除いています。
グローバルにおけるDICグループの実績は、TRIRの目標値が4.36に対し、実績は4.00と、目標を達成しました。グローバルにおける死亡災害者数はゼロ、休業災害者数は89人、不休業災害者数は83人でした。今後も引き続き、事故災害情報の共有化や安全基本動作の徹底、リスクアセスメント、事故災害の分析と対策、安全衛生に関する教育により、災害者数の低減を図っていきます(詳細は後述)。

2019~2021年度のTRIRと労働災害死傷者数

2. 国内DICグループの実績

2022年の実績は、国内DICグループのTRIR目標値2.40に対し、実績は2.23であり、目標を達成しました。前年のTRIRは3.60であり、前年比で大幅に改善しました。死亡災害者数はゼロ、休業災害者数は4人、不休業災害者数は16人でした。災害者数における「傷害」と「疾病・体調不良」の内訳を右記の表に示しました。度数率は0.45であり、国内製造業の平均や日化協の所属企業より低い値でした。また、強度率に関しても0.015と国内製造業平均より低く、日化協の所属企業と同等でした。

2019~2021年度のTRIRと労働災害死傷者数

3. 海外DICグループの実績

2022年度の実績は、TRIRでは、DIC中国が0.79、サンケミカルグループが6.33となり、目標を達成しました。一方、DIC APでは、1.21であり僅かに目標は未達でした。海外グループ合計で、死亡災害者数はゼロ、休業災害者数は81人、不休業災害者数は65人でした。(具体的な数値は、P83データ集を参照)

TOPICS

DIC Fine Chemicals Private Limitedが4,500日間の安全操業を継続

インドDIC Fine Chemicalsのダヘジ工場は、3月24日、4,500日間の休業災害なしで、安全操業を祝いました。同工場の安全環境担当者は「安全はDICグループの礎であり、ダヘジ工場では、重要な安全手順を実施するための基準を設定しています。また、従業員の幸福をもっとも重視しています。安全を守るために日々尽力してくれているチームには感謝してもしきれません」と語りました。同工場は2010年にシートフィードインクの製造所としてオープンしています。

Management’s Commitment

4500日間の安全操業を社員でお祝いしました

労働災害防止に向けた安全基盤の整備

1. 労働安全衛生データ「安全月報」

DICグループは様々な国で事業を展開しており、その国や地域ごとに異なる労働安全法規制を遵守しています。一方で、DICグループ全体の活動をレベルアップするには、DICグループ共通の「基準や指標(モノサシ)」を設定し、グローバルにおける安全活動のベクトルを合わせることが必要です。
そこで、DICグループでは、グローバルで共通の指標を定め(下記)、各地域のデータを毎月集計することにより、DICグループ内で情報共有を図っています。具体的には、中国地域はDIC中国、AP地域はDIC AP、欧米地域はサンケミカル社によりデータを集計し、DIC本社のRC部が集計・分析しています。これにより、各DICグループ会社では、安全操業の度合いを客観的に比較・評価でき、国・地域ごとに精度の高い目標設定や改善プログラムの策定に役立てています。
2019年度からは、各データを統合するITシステム「DIC ESH データ収集システム(DECS)」で運用し、データ集計の効率化を図っています(詳細は、P82を参照)。

労働安全に関する統計データ

2. DIC安全基本動作

DICグループでは、過去の様々な事故や災害をもとに、『安全確保のためのルールや行動規範』を定め、「安全基本動作」として発行しています。2019年に、第5版を改訂しました。国内DICグループはもとより、中国・APのDICグループにも、英語・中国語翻訳し、展開しています。

3. リスクアセスメントの実施

DICグループでは、生産プロセスや設備・装置に加え、化学物質に潜む危険性を特定し、事故や労働災害の未然防止活動を計画的に進めています。国内DICグループでは、新規設備の導入や改造、工程変更の際に、設計から操業の範囲で、従業員および地域社会に及ぼす影響を特定・評価するリスクアセスメントのガイドラインを制定し、リスクの低減活動を継続しています。2015年からは、化学物質に関係するリスク低減に向け、厚生労働省の指針に沿ってリスクアセスメントを計画的に推進しました。具体的には、評価手法も含めたDIC独自のリスクアセスメントガイドラインを2016年に策定し、労働安全衛生法で定める対象物質について危険性・有害性を評価し、リスク低減策の検討(取り扱い方法や設備の改善など)を実施しています。

4. 事故災害分析とタイムリーな情報提供

DICグループでは、社内で発生した様々な事故や災害に対して、発生事業所と本社安全担当部署が速やかに連携を取り、原因を分析し、対策を実施しています。また、定期的に、本社安全担当部署と工場安全環境グループが原因の深堀りや有効な対策について議論し、そこで出た対策等を各事業所や各会社に水平展開することで、DICグループ全体の再発防止に努めています。同時に、これらの情報は、国内外のDICグループ各社に配信し、情報共有を図っています。国内DICグループでは、災害事例を「事故事例集」や「労働災害事例集」としてデータベース化し、安全教育の場で広く活用しています。

5. 工場の安全と環境を守るe-ラーニング講座

DICグループでは、労働安全衛生・保安防災のレベル向上を継続して図っていくには、社員一人ひとりが化学物質や製造プロセス、法規制などに関する幅広い知識を習得していく仕組みを構築することが重要と考えています。その仕組みの一つとして、2016年度にインターネットを活用したe-ラーニング講座を導入しました。工場の操業に関わる重要な法令として「消防法」、「大気汚染防止法」、「高圧ガス保安法」などを受講科目に選定し、その後、法令だけでなく「静電気」も科目に追加しました。RC部員や各事業所の安全環境担当者、製造部門担当者の視点から、教材の有効性も確認しています。最大16講座あり、テストで力量を確認しています。2022年度からは、ラキール社より安全衛生教育サービスを導入し、安全教育用の動画を配信しています。

ラキール社の安全教育動画キャラクター

ラキール社の安全教育動画キャラクター

6. 災害カレンダー

過去に発生したDICグループの事故災害を月次カレンダー形式でまとめ、社員全員が閲覧できる「災害カレンダー」を2022年から社内ポータルのトップ画面に設置しています。事故災害が発生した日に①発生工場名、②事故災害の種別(熱中症・薬傷等)、③被害程度(休業・不休業等)の情報が掲載され、利用者が気になる災害をクリックすると発生状況や対策をまとめた詳細なデータを閲覧することができます。月間の災害がまとめて表示されているため、各月の災害傾向を視覚的に把握することもできます。社員一人ひとりが、過去その日に起きた災害を確認することで、グループ全体の安全・防災の意識を高めています。

TOPICS

DICグラフィックス群馬工場および東京工場が「転倒予防」のイベントを開催

群馬工場は、関係会社や協力会社も巻き込み、「転倒予防プロジェクト」を立ち上げ、2022年に4つのイベントを開催しました。
第一弾では、転倒予防セミナーで理学療法士の先生が「寝てできる腰痛体操」や「座ってできる腰痛体操」などを紹介しました。第二弾は、転びの予防体力チェックとして、リスク評価セルフチェック(体力チェック)と自身の意識レベルを測定。体力チェックと意識チェックの差が大きい方は転倒リスクが高いため、注意するよう促しました。第三弾では、栄養士の先生より食事でロコモティブシンドローム(移動機能低下)予防のセミナーを開催。第四弾では、ファンクショナルトレーニングとして、株式会社日立物流(現ロジスティード株式会社)陸上部の方々をお招きし、正しい歩き方の姿勢、重心、意識、肩甲骨、ハムストリングなどの使い方や重要性について講義いただき、加えて同社で展開されている「つまづき防止体操」を伝授していただきました。
そして、東京工場も「転倒防止トレーニング」を開催しました。講師には、群馬工場と同じくニューイヤー駅伝をはじめ様々な競技会で活躍されている(株)日立物流(現ロジスティード(株))陸上部の皆さんをお招きしました。別府健至監督より、正しい歩き方について、姿勢、肩甲骨の使い方、脚の上げ方など実際に体を動かしながらご教授いただきました。また、当時現役でご活躍されていた上田健太選手のデモンストレーションでは、その美しい姿勢と軽やかな動きに参加者からは歓声が上がりました。
今後も、DICグループでは従業員の健康に効果的なプログラムを企画していきたいと考えています。

Management’s Commitment

転倒防止トレーニングでの様子

安全体感教育

DICグループでは、2012年に10トントラックで国内を巡回する移動式安全体感機材を導入し、安全体感教育を開始しました。2013年からは、常設設備を国内6ヶ所に加え、中国4ヶ所、APに4ヶ所設置するなど、幅広く展開を進めてきました。こうした取り組みの結果、国内DICグループの度数率が、以前のレベルから半減するなど、大きな効果として現れてきました。DICグループの安全体感教育研修では、通常の生産活動において一般的に発生しやすいとされている動力機器への“はさまれ”や“巻き込まれ”、高所からの墜落・転落、カッターでの切創などの災害事例を、社員が疑似体験します。この体験を通じて、危険敢行性(危険の受け入れやすさ)を低下させ、危険感受性(危険に対する敏感さ)を高めることで、潜在的な危険に対して「自ら考え、行動し、自分と仲間を守る」という意識変革を目指しています。2020~2021年度に関しては、COVID-19感染拡大により、研修自体は中止していましたが、この間に設備や実施方法を見直し、コロナ禍においても実施可能なようにリニューアルしました。2022年度から研修を再開し、通常通り実施しています。

1. 国内DICグループ会社の取り組み

2014年に国内DICグループの教育施設として「埼玉安全体感研修センター」を開設し、新人教育や階層別教育プログラムで活用しています。そしてDICおよびDICグラフィックスでは、新入社員教育カリキュラムに「安全体感教育」と「危険予知トレーニング(KYT)」を必須項目とし、経験の浅い従業員の被災率ゼロを目指しています。また、千葉・堺・北陸・東京・鹿島などの各工場では、独自の安全体感機器やカリキュラムを整え、安全文化の醸成を図っています。2015年には、移動巡回用として小型化した6種類の安全体感機器を、国内DICグループの各事業所に貸し出すようにしました。また、教育指導の担当講師を各事業所の複数の社員が担えるよう、RC部では「講師ライセンス制度」を設け、講師養成にも注力しています。

新入社員研修(埼玉工場)

新入社員研修(埼玉工場)

転倒災害の体感教育(埼玉安全体感研修センター)

転倒災害の体感教育(埼玉安全体感研修センター)

2. 海外DICグループ会社の取り組み

海外のDICグループでも、「安全体感機器」の導入を推進しています。中国地区では、南通迪愛生色料、迪愛生広州油墨、常州華日新材(中国)社、迪愛禧佳龍油墨(台湾)社に設置しています。また、AP(アジアパシフィック)地区ではDIC Compounds Malaysia社(マレーシア)、DIC ASTRA Chemicals社(インドネシア)、Siam Chemical Industry社(タイ)、DIC India, Noida工場(インド)に設置しています。
これらの生産拠点では、周辺の関係会社の従業員向けにも安全体感講習の開催や講師の養成に取り組んでいます。

TOPICS

DIC APのグループ各社で初のSafety Dayを開催

国連・国際労働機関(ILO)が主導する世界労働安全衛生デー(4 月28日)は、建設的な安全衛生文化を創造するために毎年世界中で広く啓蒙キャンペーンが行われています。この全世界的な取り組みへの参画として、DIC Asia Pacific(AP)では、2022 年5月26日に初のSafety Dayを開催しAP地域の各社が一同に参加しました。2022年のテーマ「CARE for Safety」

  • Communication between our colleagues and learning from each other(同僚間のコミュニケーションと相互による学習)
  • Awareness of the environment and safety issues( 環境と安全の課題の認識)
  • Responsibility of our actions and or in actions(私たちの行動および行動における責任)

APでは、「DIC環境、安全、健康―ゴールゼロ」の目標を設定し、全社員が協力して取り組みます。Safety Day 2022では、APのDICグループ各社各拠点で次のような行事を開催しました。

  • Safety Day-タウンホールミーティング(対話集会)生産統括本部長、DIC AP社長によるSafety Dayメッセージビデオの上映など
  • Safety Day-イベント・アクティビティゲーム、クイズ、コンペティション、表彰式、パフォーマンスなど、各社各拠点が企画
Management’s Commitment

Salefy Day 2022を開催

VOICE

安全体感教育講師養成研修への参加者の声

DIC 鹿島工場 安全環境グループ 石川 哲也

過去に、鹿島工場で開催された体感教育には、受講者の立場で参加の経験はありました。今回は、安全体感教育第2種講師養成研修への参加となり、研修においては、担当に割り振られた体感教育項目の指導要領の作成から受講者への講習の実践を行いました。
体感教育講師の経験は初めてです。体感教育のポイントである「気づき」の感性向上を目指し、講師はその場での危険のポイントを明確にせずに、受講者が感じたことを現場へ持ち帰って議論するために、ヒントを講習時に与える講義の手法とその難しさを知り、貴重な体験をさせていただきました。
今後の安全活動において、自分自身が受講者に「今回の講義のポイントが何だったのか?」の気づきを促せるような講義ができるよう、日々考え、努力していきたいと思います。

DIC 鹿島工場 安全環境グループ 石川 哲也

安全文化の醸成に向けた取り組み

1. 安全風土醸成分科会

「安全第一」をDICグループの共通認識とするために、安全文化の醸成に取り組んできました。2011年度からは、DICとDICグラフィックス(株)の工場安全担当者が参加する分科会を発足させ、方針・施策を議論し、当社のレスポンシブル・ケア活動に反映させています。

取り組み内容2012-2021
「安全基本動作」輪読している様子(小牧工場)

「安全基本動作」輪読している様子(小牧工場)

2. DIC安全誓いの日

DICでは、過去の重大災害や事故を繰り返さず、将来に向けDIC全社で各人が安全を誓う日として、毎年9月6日を「DIC安全誓いの日」として設定しています。当日は、各社員が自身の安全に対する決意をカードに記し、宣言します。

2021年安全宣言カード

2022年安全宣言カード

TOPICS

全国安全衛生大会において講演

2022年11月福岡で開催された全国産業労働安全衛生大会に当社レスポンスケア部長がパネリストとして登壇しました。2022年改正された労働安全衛生規則等について、産官学の関係者(厚生労働省、産業医科大学、中央労働災害防止協会、DIC)がパネリストとして登壇し、法改正に対応するための企業の課題等について、ディスカッションを行いました。広範囲な法改正への取り組み紹介ということもあり大勢の方が会場を訪れ、また外部サテライトでの視聴も行われました。
このうち、当社は多品種の化学物質を取り扱う化学メーカーとして、化学物質管理に対するこれまでの取り組みや、法改正への対応方針等を紹介しました。

DICグラフィックス株式会社九州製造課が日本化学工業協会安全表彰「安全優秀賞」を受賞

DICグラフィックス株式会社・東京工場製造グループ九州製造課は、日本化学工業協会が実施する「第44回日化協安全表彰」において「安全優秀賞」 を受賞しました。この受賞は、同製造課が安全活動に真摯に取り組み安全文化を醸成した結果、無災害年数を50年9ヶ月継続していることが高く評価され、今後も無災害を継続することが期待されたものです。

〈無災害期間〉
操業年月: 1958年12月操業開始
安全成績: 無災害記録時間 336.2万時間
無災害年数 50年9ヶ月

〈安全優秀賞受賞 喜びの声〉
このたび、日本化学工業協会による安全表彰会議の審査において、安全優秀賞を受賞することになりました。この受賞は、これまで九州製造課に携わってくださった皆様が、安全に対し真摯に向き合い活動してきた証であり、身の引き締まる思いです。50年を超える長期間、無災害継続のためご尽力いただいた諸先輩に感謝申し上げるとともに、この受賞を機に改めて安全の重要性を全員で理解し、「安全最優先」を合言葉に無災害を継続してまいります。

Management’s Commitment

安全優秀賞を受賞した九州製造課のメンバー

Management’s Commitment

四日市工場が「優良安全事業場賞」を受賞

2019年10月、DIC四日市工場は一般社団法人三重労働基準協会連合会から「優良安全事業場賞」を受賞しました。受賞の理由には、四日市工場において15年以上(2019年9月現在で5,562日)にも及ぶ無事故無災害の実現と、これまでの「安全衛生パトロールの実施」や「年間教育計画に基づく安全教育および設備・化学物質のリスクアセスメント実施」などの労働安全衛生活動が高く評価されたことがあげられます。
今後も、DICグループおよび化学業界の模範となれるよう、積極的な労働安全衛生活動を継続していきます。

保安防災

方針

基本的な考え方

DICグループは、重大事故を未然に防ぐために、保安管理体制を構築するとともに、万一の事態に備えた対策を実施します。

化学プラントが火災・爆発・有害物質の漏えいなどの事故を起こせば、近隣住民の方々をはじめ地域社会に多大な影響を及ぼし、協力会社を含む従業員には健康被害をもたらす可能性があります。DICグループでは、こうした事態を未然に防止するために、設備や作業に関する安全法令を遵守するとともに、さらなる保安管理のレベルアップや、万一の事態に備えた防災訓練や地震対策などを計画的に実施しています。

推進体制

サステナビリティ委員長(社長執行役員)を最高責任者とし、事業会社および工場・研究所の安全環境グループとレスポンシブルケア(RC)部が連携し、保安防災活動を推進しています。定期的に各事業所等における安全環境グループとの会合や情報交換を実施し、重点課題および目標の達成状況を確認するなど、進捗を管理しています。(詳細は、P52方針・目標・体制を参照)

2022年度の主な活動と実績

1. プロセス事故の件数

2017年に、ICCA(International Council of Chemical Associations: 国際化学工業協会協議会)において、報告すべき化学プロセス事故の基準が策定されました。それに伴い、DICグループでは、まず国内DICグループを対象に、2018年度からプロセス事故の発生件数を報告しています。
2022年度は3件発生し、20万労働時間当たりの発生件数は0.055件でした。2023年度からは、直近3年間の実績を基に目標を設定し、達成を目指していきます。

※報告すべきプロセス事故の基準は、以下の①~④のすべてが該当した場合。主に製造プロセスが関わる火災・爆発・漏えいが該当する。①化学物質か化学プロセスが直接関係している、 ②製造、 物流、貯蔵、ユーティリティー、パイロットプラントで起きた事故、③プロセスユニットからの物質またはエネルギー(火災、爆発、爆縮)の放出、④以下のいずれかの事象が発生した場合:労働災害、設備損傷、避難、GHS 該当物質の放出。

プロセス事故の件数

2. 化学設備のリスクアセスメント

DICグループの工場では、化学反応を行うプラントからプレス機などの加工系設備まで、用途に応じた様々な装置が稼働しています。そこで、DICグループでは2013年に「DICプロセスリスクマネジメントガイドライン(PRM)」を制定し、各事業所で計画的にリスクアセスメントを進めています。PRMは、生産および研究開発業務におけるリスクの包括的把握と継続的な低減を目的に、取り扱う化学物質や生産工程・生産フォーミュラ、機械設備、作業行動に関わるリスクアセスメントの実施時期や実施体制を示したものです。
さらに、2020年度からは、化学プラントの事故(漏えい、火災、爆発)に特化したリスクアセスメントであるHAZOP(Hazard and Operability Studies)を開始しました。DICでは、これまでに四日市工場や千葉工場、鹿島工場、北陸工場など、化学反応系プラントが存在する工場で評価を行っています。

3. 保安力向上センターによる外部評価

DICでは、自らの保安力を客観的に評価し改善・強化へと結びつけるツールとして、2013年度から「保安力評価システム※」の運用を開始しています。この評価システムは安全工学会と化学産業に携わる技術者が、業界共通のモノサシとして活用するために開発したもので、「保安力向上センター」の会員会社で運用しています。DICでは、2014年~2020年ですべての工場が審査を受けました。各工場では評価結果を受け、改善の取り組みへとつなげています。例えば、四日市工場ではHAZOPによるリスクアセスメントを開始しました。また、2019年12月には、それまで実施した6工場分の総括が「保安力向上センター」から社長へ報告され、経営陣と保安防災に対する課題を共有化しています。

  • 保安力評価システムは、「安全基盤」(技術的項目)、「安全文化」(組織文化運営管理)に関する質問で構成されているもの。

TOPICS

DIC北日本ポリマ株式会社北海道工場が苫小牧防火管理者連絡協議会にて表彰

DIC北日本ポリマ株式会社 北海道工場が、2021年11月に令和3年度苫小牧防火管理者連絡協議会 定期総会において、優良事業所として表彰を受けました。
優良事業所とは、苫小牧防火管理者連絡協議会会則 第27条(表彰)において、防火管理において他の事業所の模範となり、防火管理者として同一防火対象物に満5年以上勤務し、成績優秀と認められることが、理事会の審査で承認された時に表彰を受けるものです。
今回、上記会則基準を満たしたため推薦を受け、表彰されました。

  • 代表者: 北海道工場長 幸重 敬三
    防火管理者: 土田 聰(2016年2月22日より前任者から引き継ぎ)

DIC北日本ポリマ株式会社 北海道工場表彰を励みに今後も工場一丸となって安全管理に努めていきます。

「優良危険物関係事業所」を受賞

DICグラフィックス株式会社群馬工場が「優良危険物関係事業所」を受賞

2020年6月、DICグラフィックス株式会社群馬工場は、全国危険物安全協会より「優良危険物関係事業所」として表彰されました。全国で49事業所が受賞し、群馬県では同社群馬工場のみとなっています。同賞は、毎年6月に東京で開催される危険物安全大会における危険物保安功労者等表彰式で全国表彰されるもののひとつですが、2020年はコロナウイルス感染拡大防止のため、同大会が中止となり、群馬県館林消防署にて福地消防長より代行授与されました。この受賞は、DICグラフィックス株式会社群馬工場が危険物を多量に扱う事業所として、日頃よりその取り扱いおよび保管に細心の注意を払っており、そのことが高く評価されたものです。
群馬工場は、今表彰を励みに今後も工場一丸となって危険物の安全管理に努めていきます。

静電気災害防止の取り組み

静電気は、化学企業においては、火災事故の発生原因になるため、国内DICグループでは、2017年より専門家による指導会を各事業所で開 催してきました。2019年度は、この取り組みを海外にも展開し、インドネシアにおいて、静電気安全指導会を開催しております。講師はDIC国内工場で実績のある外部講師に依頼し、下記関係会社にて3月に開催しました。
静電気安全指導会では、①場内静電気対策状況視察、②静電気座学講演会、③視察時における改善箇所の確認の三部構成で実施されました。
また、座学会が同日に開催され、実演による静電気スパークの体感によって、人が感じるスパークの強さと着火に必要な最小エネルギーの関係などを学びました。現場視察では「アース(接地)」について、どのように接地すると有効であるのか具体的な説明を受け、静電気火災の対策を学習しました。
参加者は、実演を交えた座学と、静電気スパーク対策を中心に行われた現場視察を通じて、ビデオ教育では得られない静電気に関する知識を学び得ることができました。

4. 緊急対応の訓練

DICグループの生産拠点では、日常の保安パトロールや設備の定期点検、BCP(事業継続計画)の観点から、万一の事態を想定した様々な緊急対応訓練を計画的に実施しています。

堺工場 特別防災区域協議会防災訓練

堺工場 特別防災区域協議会防災訓練

東京工場 防災訓練

東京工場 防災訓練

TOPICS

DIC堺工場南海トラフ巨大地震を想定した総合防災訓練を開催

2019年9月、堺工場で堺・泉北臨海特別防災地区総合防災訓練が開催されました。DICを含めた特防協加盟企業のほか、大阪府など官民一体となって約220名が参加しました。
訓練では、震度5弱の南海トラフ巨大地震と大津波の発生によって、工場内タンクが破損し、タンク内部の溶剤が防油堤へ漏えいすることで火災が発生、という想定のもと訓練が行われました。日頃積み重ねてきた「大津波警報発生直後の設備の安全確認と停止措置」、「従業員の安全誘導」、「消防への災害状況の報告」、「負傷者救出訓練」、「消火活動」などの措置が、堅実に発揮されていました。

  • 石油化学コンビナート等災害防止法に基づき組織されている堺・泉北臨海特別防災地区協議会(特防協)が主催。

環境保全

方針

基本的な考え方

DICグループは、環境関連の法令遵守を基本としつつ、環境パフォーマンスの向上により、地球環境の保全に貢献します。

環境保全は、企業のサステナビリティ活動の中でも、特に重要な活動の一つです。具体的には、「気候変動への対応」、「環境汚染の防止」、「廃棄物管理(サーキュラーエコノミーへの対応)」、「水資源の管理」、「生物多様性」があげられます。DICグループはグローバルに事業活動を行う化学企業として、環境保全に取り組んでいます。

DICグループの環境パフォーマンスの全体像

DICグループは、グローバルでの事業活動に伴う資源の投入量(インプット)およびエネルギー使用量、環境への負荷(アウトプット)を定量的に把握し、総合的・効率的な環境負荷削減の取り組みに活用しています。
下に2022年度のDICグループの環境パフォーマンスの全体像を示します。インプットとしては、「エネルギー使用量」、「取水量」の2項目を記載しています。アウトプットとしては、排出先を「大気」、「水域」、「土壌」の3つに分類し、具体的な調査項目としては、「CO₂排出量」、「排水量」、「産業廃棄物外部最終埋立処分量」(国内の場合、さらに「PRTR対象物質を含む551物質(+1物質群)の環境排出量(大気・水域・土壌)」、「NOx排出量」、「SOx排出量」、「排水中のCOD排出量」)を記載しています。
また、2021年7月にColors & Effects(C&E)グループを買収してDICグループに加わっているため、C&Eの実績は、2022年度より、海外DICグループの年間集計値に合算しています。

DICグループの環境パフォーマンスの全体像
  • PRTR:Pollutant Release and Transfer Register の略。環境汚染物質排出・移動登録。化学物質が、どのような発生源から、どれほど環境中に排出されたか、または廃棄物として事業所外に運び出されたかを把握・集計・公表する仕組み。DICグループでは、PRTR 第一種指定化学物質462物質+日化協の調査対象物質89物質(第一種指定化学物質以外のもの)+ 1 物質群(炭素数が4~ 8までの鎖状炭化水素類)を調査対象としている。