お客様とDIC 〜社会課題のビジネス展開

主な取り組みの目標と実績

取り組みの視点
・課題など
2017年度 目標 2017年度 実績 評 価 2018年度 目標
ソリューション事業の提案 次世代事業の構築に向け、外部連携を強化し、グローバル規模で事業の早期拡大を目指す他、有望市場への参入を推進 近赤外色素、QDインク、細胞培養基材などの次世代事業の構築に関して、外部企業および機関との連携を強化することで、新規有望市場への参入が着実に進捗 ★★★ バリューチェーンを常に意識した的確なマーケティング活動の実行と当社の製品軸および顧客・地域軸でのビジネス基盤を拡大し、連結売上高拡大に貢献
国内外で関連業界向けの展示会に出展し、DICのブランド力向上に取り組む ファインテック2017、フードセーフティジャパン、ウッドエコテック、ハイウェイテクノフェア、日本内視鏡外科学会(日本)、interpack(ドイツ)に出展。顧客向けプライベート展示会(韓国・中国)を実施 ★★★ 国内外で関連業界向けの展示会に出展し、DICブランド力向上に取り組むとともに、デジタル化を推進し、その効率化を図る
  • 「評価」は、進捗度に関する自己評価によるものです。[ 評価マークについて ] ★★★…非常に良好 ★★…順調 ★…要努力

社会的ニーズを的確にとらえる

社会課題の解決において、その経済的影響力に加え、意思決定や行動の早さ、問題解決の専門能力や効率性など、優れた能力を持つ企業への期待がますます高まっています。DICグループでは社会構造変化を的確にとらえ、多くのお客様に共通する課題の中から、そのニーズをとらえ、自社の強みを活かせる領域において、お客様の声を起点にする「カスタマー・イン」活動と、未来の社会的ニーズを先取りする「マーケット・イン」の取り組みに力を入れています。事業を通じて、社会の期待に応える取り組みを推進していきます。

未来の社会的ニーズを先取りした事業活動の推進

DICグループでは、中期経営計画「DIC108」の基本戦略の中で「社会要請にマッチした最適ビジネスモデルを構築し、次世代事業の創出」をあげています。
例えば、再生可能エネルギーの大量導入を促進すると、地球温暖化、化石燃料枯渇など地球規模で拡大する問題の解決につながりますが、余剰電力の発生などの課題解決のために新たに蓄電池などの設置が必要となります。DICグループでは、サステナブルな社会への貢献を目指して技術課題を徹底的に深掘りし、蓄電池や各種センサーのための部材やシステムなどの具体的なソリューションを提案すべく技術開発に取り組んでいます。
DICグループでは、様々な分野に向けて、社会的ニーズに根ざした事業活動を推進し、さらにはビジネスモデル変革を意図した事業企画にも挑んでいます。

社会要請にマッチした最適ビジネスモデルの具体例

1.近赤外光を利用して、食の安全への貢献

発光させた量子ドット分散液
赤外線異物検出装置

近赤外光を利用した安全性の高い食品内部の異物検出システムを共同開発しています。「近赤外線発光するプラスチック」と「発光を検出する装置」(三井金属計測機工株式会社)とを組み合わせることで、従来難しいとされてきたプラスチック製の異物を検出できます。近赤外線は、人体や食品に対しても影響が少なく安全性が高いことに加え、物質透過性が高いことから、食品内部に混入した異物の検出にも適用できる可能性が高いと期待しています。

2.量子ドット(Quantum dot:2 QD)でディスプレイの低消費電力化に貢献

発光させた量子ドット分散液
発光させた量子ドット分散液

DICでは現在、QDメーカーNanosys社と世界初となるカラーフィルタ用カドミウムフリーQDインクジェットインキを共同開発しています。QDを使用したカラーフィルタは、ディスプレイの高色域化、低消費電力化に貢献できる技術として近年注目を集めています。DICではQDインクジェットインキを液晶材料、カラーフィルタ用有機顔料に続くディスプレイ材料として、2020年の上市を目指して開発を進めています。

3.温感ポリマコート剤で創薬および再生医療分野に貢献

Cepallet
Cepallet

iPS/ES細胞などの幹細胞を回収する際の細胞へのダメージ低減を目的に高剥離性を有する細胞培養容器「CepalletTM」を開発しました(京都大学ウイルス・再生医科学研究所 末盛博文准教授、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)中川誠人講師と実施した共同研究成果を活用)。同開発品は、当社独自の合成技術および塗工技術を活かし、培養後の細胞を容易にダメージ少なく剥離できるようにしたことで、高細胞生存率と高回収率を実現します。

未来とトレンドを予測し、将来の有望市場を探索・開拓

中長期的な持続可能性の実現のため、DICグループでは「資源/素材/エネルギー」、「輸送・産業機器」、「電子・電気機器」、「医薬/医療機器」、「一般消費財」、「建設」の各産業分野において、社会課題に紐づく将来の有望市場を俯瞰的に抽出し、市場開拓の可能性を見極める取り組みをしています。また、市場におけるキーテクノロジーと、解決すべき技術課題を明確化し、「市場の将来性」と「DICの技術開発ポテンシャル」に基づき有望市場・参入すべき市場の特定を図ります。

■AQUACEPTER®

充填作業の様子
充填作業の様子

AQUACEPTER
AQUACEPTER®

トンネル、道路、橋梁など、これまでに建設されたインフラ構造物の長寿命化対策は社会的な急務となっております。
DICは独自開発した新素材「AQUACEPTER®」を用いた画期的な止水材を、阪神高速グループと協力して開発しており、同社地下トンネルにおいて試験施工を実施しています。
水で濡れている箇所に対して良好な接着性を有し、温度変化によるコンクリート構造物の変位にも追随可能なことから、従来工法では対応できなかった漏水を効果的に防止できます。
また、本材料は低臭気、かつ環境にやさしい水性材料でもあり、作業環境の改善にも寄与します。本材料によって、インフラの長寿命化に貢献できるように鋭意開発を進めています。

グローバルな視点で取り組む事業領域の拡大と次世代事業の企画・創出

DICは、本社のある日本の他、中国、アジアパシフィック、欧米の4つの拠点を中心に、世界64の国と地域に、171のグループ会社を通じて事業を展開しています。
DICグループでは、バリューチェーンを意識したグローバルな視点で有望市場に対する参入機会の仮説を立て、必要とされる技術、システム、サービスから開発テーマを明確化します。技術・営業部門の協力のもと仮説価値の検証を進め参入機会を特定した上で、サプライチェーン上の立ち位置を意識して、新たなソリューションの提供を実現する最適なビジネスモデルの策定と骨太事業の実現を目指します。
また、これからも高い成長が見込まれるアジアにおいて主力事業を中心に強化・拡大策を積極的に展開すると同時に、新興市場である東欧・南米・中東にも活躍のフィールドを広げ、国内の各事業所を中心に、中国、アジアパシフィック、欧米(サンケミカルグループ)の各研究開発拠点がグローバルに連携しながら研究開発活動に取り組み、さらなる発展を目指しています。

ブランド力の向上に向けた取り組み

ファインテックジャパン
ファインテックジャパン

DICグループは印刷インキの製造販売で創業し、その基礎素材である有機顔料と合成樹脂をベースとして事業範囲を拡大し、多様な製品を生み出す源泉となる多彩な要素技術を活用し、現在では印刷のみならず自動車、エレクトロニクスなど、多様な市場に社会とお客様のニーズに対応した製品を提供しています。2016年に定めたブランディングに関する方針のもと、2017年度は、interpack(ドイツ)をはじめ、ファインテックジャパンやフードセーフティジャパンなど、国内外を問わず様々な業界向けの展示会に積極的に出展し、訴求すべき価値や求められる役割を明確に示す展示活動やお客様とのコミュニケーションを通じてDICグループのブランド力向上に取り組んでいます。

VOICE

バリューチェーンを意識した多角的なマーケティングを目指して

マーケティング統括本部は、2016年度よりコーポレートマーケティング部、3つの営業統括本部にあったマーケティング部を統合し、新たにスタートしました。当部では「インダストリアルマテリアルズ」「ライフ&インフラストラクチャー」「パッケージングビジネス」の領域において、当社の製品軸および顧客・地域軸でのビジネス基盤を拡大し連結売上拡大に貢献するべく(1) 「短中期での顧客および市場の潮目変化」(2)「中長期での社会構造の変化」を的確にとらえ、バリューチェーンを意識した多角的なマーケティングを行います。具体的には私が担当するパッケージングビジネス領域においては、グローバル市場において「酸素・水蒸気バリア接着剤」、「ラミネート用接着剤」等に代表される高機能材の事業拡大を推進し、また、市場開拓・次世代テーマの開発促進を図るため、サンケミカルグループとの連携によりグローバルマーケティングを強化します。特に、「安心・安全」、「環境」等のニーズに対応した「バリア機能材」、「マイグレーションソリューション」等の市場開拓を強化し、サプライチェーン全体を俯瞰し、競争力のあるソリューションに組み上げ、新市場の開拓を推進します。

マーケティング統括本部 パッケージングビジネス担当 浦上 紗季

マーケティング統括本部
パッケージングビジネス担当
浦上 紗季

Topics DICの製品、知見をタイの交通安全に

WHO(世界保健機関)の統計(2015年)によると、タイの10万人当たりの交通事故死者数は36.2人で世界第2位、日本の約8倍にもおよびます。日本では、道路の安全対策の一つとして、ドライバーの視認性を高めるカラー舗装が多く用いられ、交通事故低減に効果を発揮しています。タイでも空港周辺や観光地周辺はカラー舗装が見られるようになりましたが、特に雨天時には対スリップ性が十分でないとの報告があります。そこでサイアムケミカル社(タイ)は、日系フォーミュレーターと共同で、カラー舗装の中でも日本で実績のある2つの機能を両立した「遮熱滑り止め舗装」を検証し、タイ政府機関への紹介を開始しました。2つの機能とは、1.スリップ抑制効果がある滑り止め機能、2.ヒートアイランド対策や道路の耐久性向上が期待できる遮熱機能です。
サイアムケミカル社(タイ)は、日本で培った技術をタイに展開する事により、タイにおける交通事故低減、さらにはヒートアイランド対策に貢献していきます。

  • 遮熱滑り止め舗装遮熱滑り止め舗装

  • サイアムケミカル社(タイ)  橋上施工部(空撮)サイアムケミカル社(タイ) 橋上施工部(空撮)

遮熱滑り止め舗装の構成図/遮熱のメカニズム

お客様とのつながり

サンケミカル社出展展示会(抜粋)

Chinaplas 2017(中国)
Chinaplas 2017(中国)

interpack 2017 (ドイツ)
interpack 2017 (ドイツ)

DICグループでは、将来を見据えた事業ドメインに経営資源を集中させるとした中期経営計画の基本方針のもと、2017年も国内外の展示会を通じてお客様とのコミュニケーションの強化を図りました。
国内では、健康博覧会(3月)で、スピルリナ由来の天然系青色素として注目が高まっている「リナブルー」を、ファインテックジャパン(4月)では、TFT液晶、高熱伝導絶縁接着シートなどを、JPCA Show(6月)では、銀ナノ粒子および超薄膜高分子密着層材料などのDIC最先端技術を駆使した製品を出展し、お客様とのコミュニケーションを図りました。海外においてもゴム・プラスチック分野、自動車・エレクトロニクス分野等に向けてChinaplasに出展しました。SEOUL DESIGN WEEK 2017では、アジアの一視点の色や素材のトレンドをテーマに講演しました。その他、グローバルに開催される様々な業界向けの展示会に積極的に参加し、DIC グループのコア技術による「未来に向けたソリューション提案」などを行い、顧客とのコミュニケーションの深化と関係構築の強化に取り組んでいます。
また、個別の取引先においてDICグループの取り組みを紹介・提案するプライベートショー開催も推進し、得意先、商社、ブランドオーナーとの対話を図りました。
2017年11月、本社にオープンしたDIC Color & Comfort Loungeでは、『アジアカラートレンドブック』全巻や美術館関連品が展示される空間で顧客との新たなコミュニケーションの場として当社への理解促進を図っています。
さらに、ウェブサイトにおける取り組みとして、マルチデバイス対応で見やすくするとともに、各製品情報のコンテンツを強化し、新製品情報等のタイムリーな情報提供に取り組んでいます。

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