お客様とDIC 〜社会課題のビジネス展開

主な取り組みの目標と実績

取り組みの視点
・課題など
2016年度 目標 2016年度 実績 評 価 2017年度 目標
ソリューション事業の提案 次世代事業の構築に向け、新規市場への参入、および複合化製品の開発を推進し、サプライチェーンを意識したソリューション提案を行う 自動車分野でのCO2排出低減に向けた素材の軽量化、食の安全に向けた包装材料の高機能化などによる新規市場への参入が着実に進捗 ★★★ 次世代事業の構築に向け、外部連携を強化し、グローバル規模で事業の早期拡大を目指す他、有望市場への参入を推進
国内外で関連業界向けの展示会に出展し、DICのブランド力向上に取り組む(ファインテック、東京パック展など) 新機能性材料展、東京国際包装展(日本)、Touch Taiwan 2016(台湾)、アジアディスプレイイベント(中国)などに出展。国内外の自動車メーカーへのプライベート展示会(中国)を実施 ★★★ 国内外で関連業界向けの展示会に出展し、DICのブランド力向上に取り組む
  • 「評価」は、進捗度に関する自己評価によるものです。[ 評価マークについて ] ★★★…非常に良好 ★★…順調 ★…要努力

社会的ニーズを的確にとらえる

地球環境問題をはじめとする様々な社会課題が増加・深刻化する傾向にある中、企業に対する社会課題解決への期待がますます高まっています。DICグループでは多くのお客様に共通する課題の中から、的確にそのニーズをとらえ、自社の強みを活かせる領域において、お客様の声を起点にする「カスタマー・イン」活動と、未来の社会的ニーズを先取りする「マーケット・イン」の取り組みに力を入れています。事業を通じて、社会の期待に応える取り組みを推進していきます。

未来の社会的ニーズを先取りした事業活動の推進

DICグループでは、中期経営計画「 DIC108」の基本戦略の中で「社会要請にマッチした最適ビジネスモデルを構築し、次世代事業の創出」をあげています。
例えば、自動車の電動化を促進すると、地球温暖化、化石燃料枯渇など地球規模で拡大する問題の解決につながりますが、自動車の電動化には、蓄電池の高容量化、新たなパワー半導体や充電システムの開発など様々な技術課題があります。DICグループでは、サステナブルな社会への貢献を目指して技術課題を徹底的に深掘りし、その上で、蓄電池、パワー半導体、各種センサーのための部材やシステムなどの具体的なソリューションを提案すべく技術開発に取り組んでいます。
DICグループでは、様々な分野に向けて、社会的ニーズに根ざした事業活動を推進し、さらにはビジネスモデル変革を意図した事業企画にも挑んでいます。

社会要請にマッチした最適ビジネスモデルの具体例

1.天然色素リナブルーで、食の安全への貢献

天然色素リナブルーで、食の安全への貢献

DICのヘルスケア食品スピルリナはビタミン・ミネラルの豊富な藍藻類で、その製造工程を通じてCO2の吸収・削減に寄与しています。スピルリナから抽出される天然色素リナブルー®は、米国、欧州でも安全性と使用が認められた唯一の天然系青色素です。DICでは社会的ニーズに応えた製品の一つとして、天然色素リナブルー®の積極的な市場拡大を図っています。

2.酸素バリア接着剤PASLIMで、食品のロングライフ化に貢献

酸素バリア積層フィルム構造例

DICでは、より機能的な包装で食料の廃棄ロス削減や包装資材の有効活用に貢献するため、酸素の透過を抑制する接着剤を開発しました。
消費期限の長期化による廃棄ロス削減や包装資材の有効活用の観点から、食品パッケージにおけるバリア機能の向上に取り組んでいます。

3.「暮らしを守る」コンセプトのプラスチック製品

「暮らしを守る」コンセプトのプラスチック製品
キャップ再生製品

DICグループのDICプラスチック(株)は、「暮らしを守る」というコンセプトで各種プラスチック製品を製造販売し、環境に配慮した事業活動、特にマテリアルリサイクル活動に取り組んでいます。オリジナル製品を展開していく中で、原料のリサイクル過程における材質や色の選別システムを確立することにより、再生材利用による再製品化の範囲を広げ、再生材のさらなる活用拡大と付加価値向上に寄与しています。

  • マテリアルリサイクル:製品の形を変え、他の製品にすること。

未来とトレンドを予測し、将来の有望市場を探索・開拓

中長期的な持続可能性の実現のため、DICグループでは「資源/素材/エネルギー」、「輸送・産業機器」、「電子・電気機器」、「医薬/医療機器」、「一般消費財」、「建設」の各産業分野において、社会課題に紐づく将来の有望市場を俯瞰的に抽出し、市場開拓の可能性を見極める取り組みをしています。また、市場におけるキーテクノロジーと、解決すべき技術課題を明確化し、「市場の将来性」と「DICの技術開発ポテンシャル」に基づき有望市場・参入すべき市場の特定を図ります。
こうした活動から開発・上市した蓄熱建材は、住宅の「省エネ」や「快適・健康」に寄与する次世代技術を用いた、社会的に期待されている製品です。材料自体が吸放熱を行うことで、快適な室温を維持する働きをし、冷暖房のエネルギーも削減します。通常の蓄熱材は液状変化を伴うため、建築組み込みに課題がありましたが、当社は独自技術でシート化に成功し自由に施工できるようにしました。昨年度NEDO実証事業で効果の確認を終え、現在は普及に向けたJIS規格化などを進めています。

未来とトレンドを予測し、将来の有望市場を探索・開拓

グローバルな視点で取り組む事業領域の拡大と次世代事業の企画・創出

DICは、本社のある日本の他、中国、アジアパシフィック、欧米の4つの拠点を中心に、世界63の国と地域に、174のグループ会社を通じて事業を展開しています(2016年12月31日現在) 。
DICグループでは、グローバルな視点で有望市場に対する参入機会の仮説を立て、必要とされる技術、システム、サービスから開発テーマを明確化します。技術・営業部門の協力のもと仮説価値の検証を進め参入機会を特定した上で、サプライチェーン上の立ち位置を意識して、新たなソリューションの提供を実現する最適なビジネスモデルの策定と骨太事業の実現を目指します。
また、これからも高い成長が見込まれるアジアにおいて主力事業を中心に強化・拡大策を積極的に展開すると同時に、新興市場である東欧・南米・中東にも活躍のフィールドを広げ、さらなる発展を目指しています。

ブランド力の向上に向けた取り組み

ファインテックジャパン
ファインテックジャパン

DICグループは印刷インキの製造販売で創業し、その基礎素材である有機顔料と合成樹脂をベースとして事業範囲を拡大し、多様な製品を生み出す源泉となる多彩な要素技術を活用し、現在では印刷のみならず自動車、エレクトロニクスなど、多様な市場に社会とお客様のニーズに対応した製品を提供しています。2016年に定めたブランディングに関する方針のもと、東京国際包装展、ファインテックジャパンなど、国内外を問わず様々な業界向けの展示会に積極的に出展し、訴求すべき価値や求められる役割を明確に示す展示活動やお客様とのコミュニケーションを通じてDICグループのブランド力向上に取り組んでいます。

Topics DICの製品、知見をタイの交通安全に

WHO(世界保健機関)の統計(2015年)によると、タイの10万人当たりの交通事故死者数は36.2人で世界第2位、日本の約8倍にもおよびます。日本では、道路の安全対策の一つとして、ドライバーの視認性を高めるカラー舗装が多く用いられ、交通事故低減に効果を発揮しています。タイでも空港周辺や観光地周辺はカラー舗装が見られるようになりましたが、特に雨天時には対スリップ性が十分でないとの報告があります。そこでサイアムケミカル社(タイ)は、日系フォーミュレーターと共同で、カラー舗装の中でも日本で実績のある2つの機能を両立した「遮熱滑り止め舗装」を検証し、タイ政府機関への紹介を開始しました。2つの機能とは、1.スリップ抑制効果がある滑り止め機能、2.ヒートアイランド対策や道路の耐久性向上が期待できる遮熱機能です。
サイアムケミカル社(タイ)は、日本で培った技術をタイに展開する事により、タイにおける交通事故低減、さらにはヒートアイランド対策に貢献していきます。

  • 遮熱滑り止め舗装遮熱滑り止め舗装

  • サイアムケミカル社(タイ)  橋上施工部(空撮)サイアムケミカル社(タイ) 橋上施工部(空撮)

遮熱滑り止め舗装の構成図/遮熱のメカニズム

新組織での事業展開

お客様の便宜を踏まえ、DIC製品・技術の総合力をアピールすることを目的に、DICの事業構造を改革しています。DICグループは2016年度より「マトリックス型組織」での長所は残し、各事業における責任の明確化とスピードを重視した組織体制により、グループ各社や地域統括会社とのシナジー効果向上・連携力強化を目指しています。
この実現のため、市場視点等の製品横断的あるいは事業貢献に中長期を要する製品のマーケティング業務、並びに製品本部に属さない新規技術(製品)等に関するマーケティング業務については、全社組織として新設するマーケティング本部が、また新規事業に関してビジネスモデル変革を意図する業務を、新事業企画部が担当する新たな組織に改革しました。

新組織での事業展開

VOICE

バリューチェーンを意識した多角的なマーケティングを目指して

マーケティング本部は、2016年度よりコーポレートマーケティング部、3つの営業統括本部にあったマーケティング部を統合し、新たにスタートしました。当部では「インダストリアルマテリアルズ」「ライフ&インフラストラクチャー」「パッケージングビジネス」の領域において、当社の製品軸および顧客・地域軸でのビジネス基盤を拡大し連結売上拡大に貢献するべく(1) 「短中期での顧客および市場の潮目変化」(2)「中長期での社会構造の変化」を的確にとらえ、バリューチェーンを意識した多角的なマーケティングを行います。具体的には私が担当するパッケージングビジネス領域においては、グローバル市場において「酸素・水蒸気バリア接着剤」、「ラミネート用接着剤」等に代表される高機能材の事業拡大を推進し、また、市場開拓・次世代テーマの開発促進を図るため、サンケミカルグループとの連携によりグローバルマーケティングを強化します。特に、「安心・安全」、「環境」等のニーズに対応した「バリア機能材」、「マイグレーションソリューション」等の市場開拓を強化し、サプライチェーン全体を俯瞰し、競争力のあるソリューションに組み上げ、新市場の開拓を推進します。

マーケティング本部 パッケージングビジネス担当 浦上 紗季

マーケティング本部
パッケージングビジネス担当
浦上 紗季

お客様とのつながり

DICグラフィックス(株) 関西プライベートショー「DICG365」
DICグラフィックス(株) 関西プライベートショー「DICG365」

Touch Taiwan 2016
Touch Taiwan 2016

DICグループでは、将来を見据えた事業ドメインに経営資源を集中させるとした中期経営計画の基本方針のもと、2016年も国内外の展示会を通じてお客様とのコミュニケーションの強化を図りました。
国内では、健康博覧会(3月)で、スーパーフードとして注目される食用藍藻スピルリナを、ファインテックジャパン(4月)では、TFT液晶、高熱伝導絶縁接着シートなどのDIC最先端技術を駆使した製品を、TOKYO PACK 2016では3つのコーポレートバリュー「 Making it Colorful」「 Innovation through Compounding」「 Specialty Solutions」を具現化した特徴ある製品群とともに、未来に向けた新たなソリューション提案をコンセプトとした展示をし、お客様とのコミュニケーションを図りました。海外においてもChinaplas、PAINTIndia 2016、Touch Taiwan 2016、Inter Pack、European Coatings Show2017他グローバルに開催される様々な業界向けの展示会に積極的に出展し、包装分野、ゴム・プラスチック分野、自動車・エレクトロニクス分野等に向けてDICグループのコア技術による「未来に向けたソリューション提案」などを行い、顧客とのコミュニケーションの深化と関係構築の強化に取り組んでいます。
また、個別の取引先においてDICグループの取り組みを紹介・提案するプライベートショー開催も推進し、DICグラフィックス(株)では、昨年の東京(本社)に引き続き、関西プライベートショー「 DICG365」を開催し、得意先、商社、ブランドオーナーとの対話を図りました。
グループの技術開発拠点である総合研究所(千葉県佐倉市)ではショールームを設置しており、顧客に対しDIC製品が生活者の身近にあることを分かりやすく展示することで、当社の理解促進を図っています。なお、営業部門やお客様からのご依頼に応じてDICグループのサステナビリティの取り組みについての勉強会も適宜開催しています。2016年度は、本社営業部門のお客様が本社に来訪し、サステナビリティに関するディスカッションの時間を設け、DICのサプライチェーン・環境・人権についてのグローバルな活動の紹介を行い、情報交換により理解を深めていただいています。
ウェブサイトにおける取り組みとして、製品情報を強化しタイムリーな情報提供に取り組み、当社の理解促進を図っています。
また、顧客からの要請に応じ、当社のCSR調達(環境・安全・社会・人権など)に対する多様なアンケートに対応し、パートナーとしての信頼を築いています。
その他、ブランディング活動の一環として、「日本の伝統色」「フランスの伝統色」「中国の伝統色」から選んだ自然界をモチーフにしたテーマの「 Color & Comfort名刺」で、色を糸口とした会話によりお客様をはじめとするステークホルダーとのコミュニケーションにも努めています。

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