取引先とDIC ~持続可能な調達 12 つくる責任 つかう責任

主な取り組みの目標と実績

持続可能な調達の推進

2022年度 目標 中長期的な視点で持続可能な原料への取り組み(原料の力ーボンフットプリントの試算やバイオ原料・リサイクル原料の探索)を推進する
2022年度 実績
  • 主要原料のCO2排出量データ(カーボンフットプリント)把握の仕組みを構築し、順次調査を開始した
  • バイオ原料についての調査を実施し製品設計の見直しにつなげた
評価 ★★
2023年度 目標 中長期的な視点での持続可能な調達への取り組みとして、原料のCO2排出量の調査およびその低減、バイオ原料・リサイクル原料の探索等を推進する
2022年度 目標 DICおよびサンケミカル社ともに取引先のサステナビリティ調査を継続し、取引先のESG活動状況の把握を強化する
2022年度 実績 両社ともにサステナビリティ調査を継続し、DIC(日本)では累計で購買金額の80%以上、サンケミカル社では累計で購買金額の71%の調査を完了した
評価 ★★
2023年度 目標 日本およびサンケミカル社における取引先のサステナビリティ調査を継続するとともに、本取り組みを中国・アジアパシフィック地区へ本格的に展開し、取引先のサステナビリティ活動状況の把握・改善を推進する
  • 「評価」は、進捗度に関する自己評価によるものです。
    [ 評価マークについて ] ★★★…非常に良好 ★★…順調 ★…要努力

持続可能な調達の基本的な考え方

DICグループは、法令・社会規範の遵守、環境への配慮、人権の尊重をはじめとした、「持続可能な調達」を実現するための多様な課題についての取り組みが社会の要請として高まっていることを踏まえ、「DICグループ購買に関する方針」を制定し、グローバルに取り組みを推進しています。また、この方針に基づき「DICグループサステナビリティ調達ガイドライン」を定め、取引先に対しても持続可能な調達のための各活動を要請するとともに活動状況の調査や啓発活動を行い、サプライチェーン全体でのサステナビリティ活動を推進しています。

持続可能な調達の基本的な考え方

DICグループ購買に関する方針

DIC グループの基本理念を実現するための行動方針に則って、購買部門は、取引先との購買活動において以下の購買に関する方針を実践いたします。

  • 公正・透明な取引
    DICグループは、従来の商習慣にとらわれることなく、グローバルな見地から国内外の取引先に対して、公正で開かれた購買を行います。
  • 適正な購買と信頼関係の構築
    DICグループは、国内外の関連法規・社会規範を遵守し、適正な品質・価格を追求して取引先と良きパートナーとしての安定的な相互信頼関係を構築し、共存共栄を図ります。
  • 環境・安全への適合
    DICグループは、模範的な企業市民として、環境・安全・健康・品質に責任を持ち、社会の変化を常に意識し、地球環境に配慮した購買を実践します。
  • 新たな価値創造への挑戦
    DICグループは、社会が求める新たな価値に高いレベルで応えるために、価値の創造を共有できる取引先と積極的に挑戦し、共に持続的な発展を目指します。

DICグループ
サステナビリティ調達ガイドライン

  • 法令・社会規範の遵守と健全な事業経営の推進
  • 人権の尊重及び労働環境の整備
  • 安全衛生の確保
  • 環境への配慮
  • 情報セキュリティ対策
  • 適正な品質・安全性及び技術の向上
  • 安定供給と変化に対する柔軟な対応
  • サステナビリティの推進と持続可能な調達の取り組み
持続可能な調達の基本的な考え方

取引先のサステナビリティ活動状況の把握および推進

DICグループは「DICグループサステナビリティ調達ガイドブック」および「EcoVadis※1」を用い、取引先のサステナビリティ活動の状況を把握するとともに取り組みを推進しています。

  • EcoVadisサステナビリティ活動推進のためのスコアカード・ベンチマーク等を提供する世界的な評価プラットフォームであり、10万社以上の評価実績を有する。

各地域の取り組み状況

日本では「DICグループサステナビリティ調達ガイドブック」による調査・推進活動を実施しています。本ガイドブックに含まれる「DICグループサステナビリティ調達ガイドライン」により取引先へ要請事項を周知するとともに、セルフチェックシートによるアンケート調査を行い、サステナビリティ活動の状況を確認しています。このアンケートは「DICグループサステナビリティ調達ガイドライン」の8項目をさらに細分化した45の設問から構成されています。
最新版(Ver.3)のアンケートを使用した調査では、2022年12月までに日本の原料購買金額の80%以上を占める取引先から回答を受領しました。アンケートの分析・評価結果を各社にフィードバックするとともに、取り組みが不十分な取引先等については、訪問調査や書面によるフォローを実施しています。2020~2022年度はコロナ禍の影響で訪問調査の実施を見送りましたが、今後はオンラインでの実施も含め、順次個別調査を再開する計画です。
今後は本ガイドブックによる調査を日本のみならず中国・アジアパシフィック地区へも本格展開するなど、調査対象を拡充する計画です 。

フィードバックシート

フィードバックシート

評価分布図(198 社)※

評価分布図

また、日本では本ガイドブックに含まれる「DICグループグリーン調達ガイドライン」により、化学物質管理の徹底・関連法規制の遵守・環境負荷低減の推進を各製造業者に求めています。また適宜調査票による確認を行い、製造業者の対応状況の把握および必要なフォローを実施しています。
一方、欧米地区のサンケミカル社では前記ガイドブックに代えて、EcoVadisを活用したサステナビリティ活動の調査・推進活動を実施しています。これまでに原料購買金額の約60%を占める取引先の評価を完了し、現在も調査を継続しています。
DICグループは、「DICグループサステナビリティ調達ガイドブック」および「EcoVadis」それぞれの特徴を活かし、またグローバルミーティングによる情報共有や議論を行う等、各地域の連携を取りながら、取引先のサステナビリティ活動の把握・改善を今後も強力に推進してまいります。

  • DICレポート2022で、サンケミカル社のEcoVadisの実施状況を「9割近く」と記載していましたが、これは誤りでした。
グローバルミーティングの様子

グローバルミーティングの様子

新規取引原料に関する事前評価

DICグループでは新規取引原料について、各種法規制への適合や安全性、その他持続可能な調達に関する事項に問題がないことを事前に確認しています。例えば日本では原料登録時に「DIC原材料調査票」※3、「SDS(Safety Data Sheet)」、「chemSHERPA」※4、およびCMRTの提出を義務づけ、多角的に導入予定原料の確認をしています。

  • 3 DIC原材料調査票:原料の各成分の基本情報や法規制適合状況を確認するための調査票
  • 4 chemSHERPA:化学物質の情報をサプライチェーン全体で適正に管理し伝達するための情報伝達スキーム

持続可能な原料への取り組み

DICグループは、中長期的な視点で持続可能な原料への取り組みを推進しています。

原料のCO2排出量調査

DICグループは、社会・顧客の要請に対応し製品のカーボンフットプリント(製品のライフサイクルを通したCO2の排出量)を算出するため、2022年より購買原料のCO2排出量調査を開始しました。今後も調査を継続してデータを蓄積し、カーボンフットプリントの算出およびその削減に努めてまいります。

原料のCO2排出量削減の推進(サプライヤーエンゲージメント)

DICグループは気候変動リスクを低減するため、またSBT※に認定されたScope3関連目標を達成するため、取引先と連携し購買原料のCO2排出量削減を推進します。その第一段階として、2023年には取引先のCO2排出量低減についての中長期目標の設定状況を確認するとともに、本取り組みの周知・啓発を実施する計画です。

バイオ原料およびリサイクル原料の導入推進

DICグループはバイオ原料およびリサイクル原料の導入を推進しています。グローバルなサプライチェーンを活かした原料調査を行い、その結果を技術部門のメンバーと共有し、製品設計の見直しにつなげています。 

COMMENT

協働して持続可能な発展に取り組みます

双日は、従前よりDIC様向け樹脂原料の供給をしております。弊社は2050年までの長期ビジョンとして「サステナビリティ チャレンジ」を掲げ、脱炭素社会の実現に向けた取り組みと、サプライチェーンを含む人権尊重の段階的取り組み拡大にコミットしております。
サプライチェーン人権の向上に関しては、取引先各位の理解と協力が不可欠ですが、2008年より継続的に取り組まれているDIC様は大変心強い存在です。サステナビリティ調達ガイドブックを制定し、継続的なサプライチェーン調査を実施する企業は増えましたが、取引先にフィードバックを行う企業は多くはありません。
今後、社会の要請として、サプライチェーン全体に対する実効性のある調査が望まれると予想される中、価値の創造を共有できるDIC様との一層のCo-workにより、ともに持続的な発展を目指すことを期待しております。

双日株式会社 化学本部 機能化学品部 第三課 劉 迪 様

双日株式会社 化学本部 機能化学品部 第三課 劉 迪 様

VOICE

サスティナビリティ調達で取引先とパートナーシップを構築

DIC グラフィックス株式会社 SCM 本部 サプライチェーン管理グループ 原材料管理 マネジャー 柄沢和則

DICグラフィックス株式会社はインキ製品の製造販売のほか仕入商品をお客さまに提案販売するソリューションビジネスを進めており、私達の部署はこうした商品に関する調達業務を行っています。具体的な商品としてはインキ製品等に投入する溶剤、印刷現場で用いるプレート版材や洗浄用薬品、更にはお客さまの省力化に貢献する機器の販売など多岐に渡り、その取引先は300社を超えます。サスティナビリティ調達活動は、取引先とパートナーシップを構築する上で欠かせません。従来の取引先調査では私達の視点が品質、価格、安定供給を重視してしまう傾向にありました。今後もソリューションビジネスを継続していく中、ESG(環境・社会性・ガバナンス)の観点も含むサスティナビリティ調達は有望なビジネスパートナーを見つけていくためにも重要な活動であると認識しています。

DIC グラフィックス株式会社 SCM 本部 サプライチェーン管理グループ 原材料管理 マネジャー 柄沢和則

継続的な改善に取り組み「持続可能な調達」を推進します

迪爱生合成树脂(中山)有限公司 購買部担当  周玉芳

私は迪愛生合成樹脂(中山)でタイヤ用金属石鹸の原料調達を担当しています。この製品は、主にグローバルなブランドオーナーと限られた原料サプライヤーからの原料供給に支えられたサプライチェーンのため各サプライヤーは当社にとって不可欠なビジネスパートナーとして認識し信頼関係を構築しながら持続可能な調達を目指しています。
我々はサプライチェーン全体の品質向上とサステナビリティ推進のため、サプライヤーに対し定期的な書面による調査と購買、品質保証、製造担当者が監査を行い、法令遵守や安全衛生・環境保全など各社の取り組み状況について互いに認識を深め、監査結果をサプライヤーにフィードバックし、基準に満たない事項に対し、是正策の実施を求めると同時に関連情報の提供を通じて改善も支援しています。また責任ある鉱物調達の取り組みの一環としてコバルト加工品についてはCRT書式による調査は本社と共同で実施し情報を共有しています。
2019年8月、当社は環境・社会・ガバナンスの取り組みに対しEcoVadis 社から銀メダルの評価を獲得しました。今後も現状に満足することなくサプライヤーと協働しサステナビリティの改善に積極的に取り組んでいきたいと思います。

迪爱生合成树脂(中山)有限公司 購買部担当  周玉芳

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