製品の化学物質管理

主な取り組みの目標と実績

取り組みの視点
・課題など
2016年度 目標 2016年度 実績 評 価 2017年度 目標
化学物質製品情報の開示要求への対応 ・統括会社への専任担当者の配置
・現地における情報収集体制の拡大
・中国およびAP地区の統括会社に専任担当者を配置
・現地における情報収集体制の拡大
★★ ・化学物質情報総合管理システムの再構築
・現地における情報収集体制の強化
★★
国内外法規制への対応(国内:化審法、毒劇法など、海外:EU-REACH、TSCAなどへの対応) ・海外関係会社のWERCS活用推進の継続
・台湾・毒性化学物質管理法および職業安全衛生法への対応を継続
・EU-REACH登録の推進
・WERCSと連動したラベル印刷システムをインドネシアのグループ会社3社に導入
・台湾・毒性化学物質管理法および職業安全衛生法への対応を継続
・EU-REACH登録の推進
・米国TSCA改正への対応開始
★★ ・化審法改正への対応準備
・海外関係会社のWERCS活用推進の継続
・EU-REACH登録の推進
・米国TSCAインベントリーリセットへの対応完了
★★
★★
  • 「評価」は、進捗度に関する自己評価によるものです。[ 評価マークについて ] ★★★…非常に良好 ★★…順調 ★…要努力

化学品・製品安全の推進

基本的な考え方

グローバルな総合化学メーカーとして、DICでは法令遵守をリスク管理における生命線 と位置づけ化学物質管理に取組んでいます。世界各国の法規制とその動向を把握し、各国の化学物質の規制に適合した製品の設計を継続するとともに、化学物質製品情報への開示要求へ速やかに対応し、化学品・製品安全の推進に努めています。2002年の「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(WSSD[ヨハネスブルグサミット])においては、化学物質の管理に関する「2020年目標」が提唱されています。この目標達成に向け、DICはモントリオール議定書、ストックホルム条約、ロッテルダム条約などにおける国際懸念物質の廃絶と、新たに追加が予定されている物質を含有する製品の代替等の取り組みを推進し、また化学物質管理に関する情報提供を積極的に行うことで、社会全体のリスク低減に向けた貢献を続けていきます。

化学物質管理への取り組み

化学品・製品安全の取り組み概念図
化学品・製品安全の取り組み概念図

2003年、国連は化学物質のリスク低減に向けて「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS※1)」を勧告しました。これは世界的に統一されたルールのもとで化学品を危険有害性の種類と程度で分類する世界調和システムで、情報が一目で分かるようラベルで表示するとともに安全データシート(SDS※2)を提供するものです。
DICでは、レスポンシブル・ケアの基盤であるサプライチェーン全体を通して化学品を安全に管理する「プロダクトスチュワードシップ」活動の一環として、この勧告にいち早く対応し、お客様に知り得る限りのハザード情報を提供してリスク低減に活用していただくため、2009年に国内製品向けに「CIRIUS」(シリウス:化学物質情報総合管理システム)の運用を開始しました。製品の原材料や化学物質情報を一元管理し、安全保障貿易管理や化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)、安衛法(労働安全衛生法)、毒劇法(毒物及び劇物取締法)をはじめとする様々な法規制を自動的にチェックして信頼性の高いSDSを迅速に提供しています。
さらに、2013年には輸出製品向けに「WERCS」(ワークス:DICのノウハウを組み込んだグローバルSDS/ラベル作成システム)の運用をスタート。化学物質全製品のSDS/ラベルを各国・地域の法規に準拠させ、かつ現地語で提供可能な体制を整え、2014年4月から輸出する全製品のSDS/ラベルを「WERCS」で作成しています。また、同年より海外の関係会社においても「WERCS」の利用を順次開始しています。
また、化学物質管理には専門知識が不可欠なことから、化学物質を適法に製造・輸入および取り扱うための人材教育に力を注ぎ、独自のライセンス制度を活用して社員のスキルアップに努めています。

  • ※1GHS:Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals の略。
  • ※2SDS:Safety Data Sheet の略。

動物実験に対する考え方

DICグループは、3R(Replacement:動物を使用しない実験方法への代替、Reduction:実験動物数の削減、Refinement:実験方法の改良により実験動物の苦痛の軽減)の原則を基本とし、動物を使用しない代替法及び構造活性相関(QSAR:Quantitative Structure-Activity Relationship)による安全性評価を積極的に進めています。

グローバルな情報提供によるリスク低減

グローバルSDS /ラベル作成システム「WERCS」・化学物質情報総合管理システム「CIRIUS」の運用

国内向けには「CIRIUS」を、海外向けには「WERCS」を活用して情報提供
国内向けには「CIRIUS」を、海外向けには「WERCS」を活用して情報提供

インドネシア語で印刷されたラベル
インドネシア語で印刷されたラベル

DICは、2013年4月から輸出製品の化学物質の組成、各国・地域の化学物質関連法規情報などを一元管理し、輸出先の言語・法規に対応する製品安全データシート(SDS)とラベルを自動作成する新システム「WERCS」を運用しています。このグローバルな情報提供システムにより、お客様のリスク低減をサポートしています。
国内向け製品は「CIRIUS」によって製品の原材料や化学物質情報を一元管理し、外為法(外国為替及び外国貿易法)に基づく安全保障貿易管理や化審法、安衛法、毒劇法をはじめとする様々な法規制を自動的にチェックして信頼性の高いSDSを迅速に提供しています。
また、輸出製品は「CIRIUS」で蓄積した知見を組み入れたグローバルシステム「WERCS」を構築し、情報提供の迅速化・均質化を図っています。このシステムはDICが輸出する国・地域の19言語はもとより最大46ヶ国語まで拡張でき、欧米・アジアをはじめとする世界各国の法規に準拠した現地語でのSDSおよびラベルの自動作成を可能としています。
DICでは輸出製品のSDSの提供やラベルの発行を「WERCS」に切り替え、対象とする国を韓国・欧米・中国・台湾へと順次拡大してきました。2014年4月からは輸出する全製品のSDS/ラベルを「WERCS」で作成しています。また、DICの国内グループ会社へ「WERCS」を展開し、既存の「CIRIUS」と併用して国内外のサプライチェーン全体で適切な化学物質管理を行うための情報を提供しています。
さらに、海外グループ会社へも「WERCS」を展開。法規制の改正時や新たな危険有害性の判明時などに「危険有害性の注意喚起を促す、GHS基準に沿った表示」を即時に改訂してラべル作成するため、「WERCS」と生産ラインのラベル印刷システムを連動させ、現地語で自動的にオンデマンド印刷する体制を構築。2016年10月にインドネシアの関連会社3社にラベル印刷システムを導入して運用を開始しました。
2017年度には、タイ、マレーシア、台湾の現地法人へ水平展開し、ヒューマンエラーの未然防止と業務の効率化を図るとともに、共通システムによるグローバルな運用を順次推進していきます。

オンデマンド印刷システム(フロー図)
オンデマンド印刷システム(フロー図)

法規制への対応

世界の化学品管理の潮流は、2002年の環境開発サミット(WSSD)で合意された「化学品の悪影響を2020年までに最小化」を目標に、各国・地域が独自の基準を設けて法規制の整備を図っています。近年、EUの化学物質規制REACH※1をはじめ、韓国・中国・台湾などで化学物質のリスク管理の法制化が進み、東南アジア諸国でもGHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)が導入されています。
DICでは、コンサルタントや海外グループ会社の専門家、ニュース配信会社や工業会を通じて海外の化学物質に関する最新情報を収集し、法規制の改正等に速やかに対応。2009年には化学物質情報総合管理システム「 CIRIUS」を稼働、2013年度には既存の輸出製品のSDS /ラベルの作成を「WERCS」に切り替え、お客様への情報提供の迅速化を図りました。
2016年度には中国において危険化学品登記のための物理危険性鑑定機関を公表、韓国では化学物質の登録および評価法等に関する法律(K-REACH)の大幅改正が予告され、また、タイにおいては新規化学物質登録制度の準備が進むなど、アジア地域での規制が強化されました。こうした動向に的確かつ迅速に対応するため、現地法人やグループ会社との連携を強化し、2016年度には新たに中国およびAP地区の統括会社に専任担当者を配置して体制の強化を図っています。
さらに米国で製造/輸入される化学品(物質)を対象とする「有害物質規制法(TSCA※2)」が2016年6月22日に改正され、既存化学物質リストが全面的に見直されることから(インベントリーのリセット)取り組みを開始しています。
EUのREACHについては、2018年5月の登録猶予期限を控え、100t未満の輸出物質を登録する他、ECHA(欧州化学品庁)や加盟国による物質評価への対応、高懸念物質や認可・制限物質などの情報収集などを継続的に行っています。

  • ※1REACH:Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals の略。化学物質の安全性評価を既存・新規物質を問わず事業者に義務づけた制度。特定の有害性物質は原則として使用禁止。
  • ※2TSCA:Toxic Substances Control Actの略。米国で製造/輸入される化学品(物質)を対象に環境保護庁(EPA)が定めている有害物質規制法。

化学物質管理に関する教育

輸出ライセンス/輸入ライセンス

中国グループ会社向け化学品法規制セミナー(杭州)
中国グループ会社向け化学品法規制セミナー(杭州)

WWERCS講習会の様子(立大・台湾)
WERCS講習会の様子(立大・台湾)

グローバルな総合化学メーカーとして、DICでは法令遵守をリスク管理における生命線と位置づけ、講習会や独自の社内ライセンス制度を通じて、国内外の化学物質規制に対する社員の意識・知識レベルの向上を図っています。
特に化学品の輸出担当者には外為法、輸入担当者には化審法、安衛法、毒劇法などに関する専門的な教育を実施しています。所定の教育を経て試験に合格した者だけがライセンス(有効期間2年~3年)を与えられ、輸出入に関する業務に従事でき、ライセンス更新には再度教育を受けて試験に合格する必要があります。
2016年度現在、輸出に関して高度な専門知識を要する「クラスA」のライセンス保有者は1,407名に達し、補助的な業務を担う「クラスB」は242名がライセンスを保有しています。また、2015年度に新設したよりハイレベルな能力を要求される「上級コース」では98名がライセンスを取得しました。また、輸入ライセンス取得者は287名に達しました。
一方、海外現地法人においても高度な知識や情報収集能力を備えた専門家の育成が急務であることから、2016年度より中国地区においてコンサルタントによる集合教育を実施し、グループ会社16社の担当者42名が受講しました。
グローバル「WERCS」の本格導入に伴い、2014年から中国地区、アジアパシフィック地区(台湾・タイ・マレーシア・インドネシア)の主要現地法人を対象に、本社レスポンシブルケア部の担当者が講習会を開催しています。
その際、「WERCS」のメリットや操作の説明以上に注力しているのが、法改正の背景や意図を理解し、種々の基礎データを地道に収集・蓄積しながら情報をブラッシュアップしていく大切さです。これらを間断なくシステムに注入することで「WERCS」のポテンシャルを最大限に引き出し、お客様に価値ある情報をタイムリーに提供し、社会全体のリスク低減を図れます。
DICでは、受講者の意見・感想を参考に、システムの操作性やデータ送信速度などを継続的に改良しながら、より使いやすい「WERCS」へとブラッシュアップしていきます。

VOICE

WERCS システム導入でコストを抑制することができました

これまで私たちは容器にスプレーマーキングすることで製品名を表示していましたが、政府の職業安全衛生管理システ ムにより、スプレーマーキングは大気汚染と作業員に対して有害であることが分かりました。また、私たちは有害性表示や 取り扱い方法、注意事項等を記載したプレプリントラベルを発注していました。その解決策として導入したWERCSを用いたラベ ルシステムは、スプレーマーキングで表示していた製品名と、有害性表示の両方に対応できます。これにより、私たちに柔軟性がもたらされ、さらに過剰な在庫となっていたプレプリントラベルを大量に発注する必要がなくなりました。WERCSシステムで必要なだけラベルを印刷するため、コストを抑制することができました。

PT. Pardic Jaya Chemicals (Indonesia) Supply Chain Division PPIC Department Manager SRI YUNIATI

PT. Pardic Jaya Chemicals (Indonesia)
Supply Chain Division
PPIC Department Manager
SRI YUNIATI

VOICE

2020年に向けて各国・地域で強化される法規制に的確に対応します

環境開発サミット(WSSD)で合意された「化学品の悪影響を2020 年までに最小化」という目標に向け、先進国はもとより新興国においても新たな法規制の整備・強化が加速しています。DICグループではこうした動向に的確に対応するため、情報収集力の強化、「CIRIUS」の構築・運用で培ったノウハウの最大活用、多言語への対応強化、さらに現地グループ社員の専門教育や運用システムの習熟度向上に注力しています。今後も化学品・製品安全に資する取り組みの継続的なレベルアップに努めていきます。

レスポンシブルケア部 法規制担当部長 山口 忍

レスポンシブルケア部
法規制担当部長
山口 忍

VOICE

WERCSによるSDSの自動化や作成手法の柔軟化の推進

国際的な安全意識の高まりや法令遵守の観点から、総合的なSDS作成ソフトウエアであるWERCSはSDSやGHSラベルを簡便に作成する方法を提供しています。近年海外への製品輸出が多い当社では、WERCSの導入によりSDSやGHSラベルを様々な国の言語で容易に作成することが可能となりました。
WERCSはSDSの自動化や柔軟な作成手法を提供してくれました。さらに、グローバルなコンプライアンス管理のための長期的な手法ともなります。
WERCSを使用することで、我々の時間、エネルギーそして労力を当社の将来的な発展のために確保することができます。

DCM(マレーシア) Chuah

DCM(マレーシア)
Chuah

TOPICS 特定非営利活動法人 化学生物総合管理学会より「奨励賞」を受賞

受賞した「奨励賞」の賞状
受賞した「奨励賞」の賞状

原材料や製品における化学物質の総合的な管理が評価され、DICは特定非営利活動法人化学生物総合管理学会※1より「奨励賞」を受賞

DICグループでは、1995年にレスポンシブル・ケア活動を本格的に経営に組み入れ、安全・環境・衛生・化学物質管理の徹底と活動レベルの向上に取り組んできました。特に、独自に構築した「化学物質情報総合管理システム(CIRIUS)」の活用においては、原材料や製品に含まれる化学物質を微量なレベルにおいても把握・一元管理するばかりではなく、国内法規制の対象物質を自動的にチェックすることにより、安全な製品の生産・供給並びに製品納入先に対する的確な化学物質関連情報の提供へとつなげています。また、グループ各工場では、化学物質の大気・水域・土壌への排出量を常時監視するとともに、環境負荷物質の継続的な削減に取り組んでいます。

今回の受賞は、上記のような取り組みにより、膨大な数に上る製品、原材料に対するきめ細やかな管理を実現していることに加え、欧米やアジア諸国の動向への対応も進めていることが評価されたものです。特に、評価基準である「化学物質総合管理調査票※2」においては、化学物質の「有害性評価」、「曝露評価」、「リスク評価」、「リスク管理」など、全ての要素において総合到達度80以上でバランスが取れた優れた管理状態にある上、到達度は近年向上傾向にあること が認識され、DICの活動が「業界を牽引しているのみならず、国内外の化学物質総合管理の在り方に示唆を与えている」と評されました。

今後も事業活動における環境負荷の低減に取り組むとともに、的確な化学物質関連情報の提供、リスク評価の精度向上への取り組みを通して、社会全体の化学物質におけるリスク低減に努めていきます。

  • ※1化学生物総合管理学会:2004年1月に設立された特s定非営利活動法人。化学物質(ナノテクノロジー関連を含む)や生物のリスクの評価や管理に関心を持ち、活動している。
  • ※2化学物質総合管理調査票:生活の安全・安心、環境に関する教育体系の開発、研究、調査などを目的に設置されたお茶の水女子大学ライフワールド・ウオッチセンターが2003年以降、毎年実施している化学物質に関する調査。

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