特 集 折りたたみ式防災用ヘルメット IZANO
優れた収納性・携帯性で防災・減災に貢献
DICの価値創造 被災時に自助・共助・公助と幅広く活用できるヘルメットを
地震や台風で避難経験のある人はもちろん、テレビ報道で窓ガラスや外壁が路上に散乱した光景を見て背筋が寒くなったことはありませんか。避難時にもっとも心がけたいのは「まず頭を守る」こと。住宅地では屋根瓦・エアコンの室外機・植木鉢など、繁華街・オフィス街では看板・ネオンサインやガラスの破片などが落下する危険があります。
避難する際にヘルメットをかぶっていれば、両手の自由が利くため転倒リスクが減り、夜間なら懐中電灯を手に安全に移動できます。ただ、ヘルメットの有効性は分かっていても、場所をとる上、使い慣れない人は抵抗感を覚えます。普段は効率良く収納・保管しやすく、いざという時は十分な安全性能を発揮する。そんな防災用ヘルメットが望まれます。
また、防災・減災で重視されるのは、まず自分で命を守る「自助」⇒ 救助・救護に協力する「共助」⇒復旧・復興に向けた「公助」へと円滑につなげることです。そこで必須となる防災用ヘルメットには、避難・備蓄用にとどまらず、被災後の救助・復旧活動まで様々な局面で活用できる性能や使いやすさが求められています。
DICならでは 性能はプロ仕様、収納はハーフサイズで、美しく
身近に置いて邪魔にならず、手軽に携帯でき、プロ仕様の強度を備えたヘルメットがあれば、防災・復興から建築現場や産業用まで用途は大きく広がる。DICグループの一員としてヘルメット製造で60年の歴史を持つDICプラスチック株式会社はこのテーマに挑戦し、画期的な構造とデザインの折りたたみ式ヘルメット「 IZANO(イザノ)」を開発。一体型折りたたみ式として初となる厚生労働省の保護帽の規格「飛来・落下物用」と「墜落時保護用」の両認定を取得し、2014年度のグッドデザイン賞にも選ばれました。
所属団体・部署などの識別性が高く、心理的に好印象を与える「ビタミンカラー」を採用
警視庁・自治体・企業などに採用され累計35万個以上を販売
優れたヘルメットは、デザイン・素材選定・構造設計・試作・試験・解析の繰り返しから生まれます。この工程を一貫してグループ内で完結できるのがDICの強みです。「IZANO」もデザインと構造の考案から、樹脂の選定、3Dプリンターを活用した試作、3D-CADによる精密設計やコンピュータシミュレーションによる構造・樹脂流動解析により製品形状を最適化。さらに衝撃試験にもハイスピードカメラによるメカニズム解析を取り入れ信頼性を確保しています。
こうして生まれた品質や機能性が評価され、「IZANO」は警視庁が災害発生時に非番警察官が出動する「緊急参集時の装備」として採用されるなど、2013年10月に発売以来、累計35万個以上を販売しています。また、防災用だけでなく工事・生産現場間を頻繁に移動するエンジニアや安全管理者の方などからもご好評をいただいています。
KEY PERSON of DIC
震度7の地震を体験することから開発をスタートしました
「IZANO」の開発にあたり、より多面的な状況に対応できる防災用ヘルメットを実用化するには「ユーザー目線の発想が重要」と考え、開発・営業スタッフが防災体験施設で震度7の地震を体験することから始めました。そしてアイデアを持ち寄り、多数のモデルで検討を繰り返し約2年がかりで完成にこぎつけました。複数の素材・部材を組み合わせて、いかに安全品質や機能性を高めるかが私たちの腕の見せどころですが、多様な技術を自社でデザイン・設計に反映させて製造できることがDICグループの強みです。
DIC プラスチック (株) 安全資材技術部 安全資材技術課長
工業デザイナー 中村 俊樹
女性建築家から「こんなヘルメットが欲しかった」と喜ばれました
当社が展示会に出展した際、女性建築家が「IZANO」に目を留めて「こんなヘルメットが欲しかった」とおっしゃいました。お話を伺うと「建築現場で渡される来客用ヘルメットが好きになれず、プロユースに耐える安全性とデザイン性を満たし、バッグに入るような製品を探していた」とのこと。防災だけでなく汎用性の高い製品開発を狙っただけに、私たちも本当に嬉しくなりました。今後も様々な現場に隠れているニーズにジャストフィットする製品をお届けしたいと意欲を燃やしています。
DIC プラスチック (株) 営業本部 安全資材営業部 安全資材営業課
担当課長 池上 佳隆
TOPICS
ほかにも様々な社会の価値創造に取り組んでいます
熱中症リスクを低減する産業用ヘルメット「涼神」
悪化する地球温暖化やヒートアイランド現象の中で、夏場の建設現場での熱中症対策は喫緊の課題です。そこでDICプラスチック(株)は、清涼・遮熱・軽量を同時に追求した産業用ヘルメット「涼神(りょうじん)」を開発。
前面の通気孔から効率良く風を取り入れて効率的に熱気を逃がす「フロントベンチレーション」、塗装ではなく遮熱樹脂を本体に練り込むことで遮熱性能を高めた「ヒートバリア」、本体の薄肉化とヘッドバンドの新フレーム構造による「負担感を和らげる軽量化」の相乗効果で熱中症リスクを低減します。
作業者の首・肩への負担を軽減する産業用ヘルメット「軽神」
多くの保護具や装備品を身につけながら長時間の作業を行う建築・電気工事現場では、作業者の負担を軽減するべく装備の軽量化が求められています。これは産業用ヘルメットも同様ですが、従来の軽量ヘルメットに用いられていたFRP(繊維強化プラスチック)では、軽さ・強度はありつつも、耐電圧性の面で電気用規格に適合しない状況にありました。
そこでDICプラスチック(株)では、一般的な産業用ヘルメット素材で、加工性に優れたABS樹脂を使用し、独自の手法を用いて帽体とライナー(衝撃吸収体)を一体成型するインモールド工法を採用。これにより、軽さ・強さ・電気対応を兼ね備えた産業用ヘルメット「軽神(けいじん)」を開発しました。高齢化や女性増加など多様化する工事現場において、作業者の首や肩への負担を軽減できる商品としてご提案しています。
2017年度の特集
スーパーエンジニアリング・プラスチック
クルマの軽量化による燃費向上でCO2排出を低減
人工・合成皮革向け 環境調和型ウレタン樹脂
安全・安心に作れる・使える素材の提供
折りたたみ式防災用ヘルメット IZANO
優れた収納性・携帯性で防災・減災に貢献
TOPICS
食品包装による消費期限長期化への取り組み
- サンケミカルグループが社会課題の解決に向けて取り組む事業活動 -