特 集 肌のバリア機能(保湿力)を体の中から高める機能性表示食品「フィコナ スキン モイストリフティング タブレット」
DICの価値創造 “飲むスキンケア”で肌の保湿力を高める新たなアプローチ
塗るだけのスキンケアに限界を感じる女性に安全・安心な肌改善を
いつまでも若々しく健やかな素肌でありたいと願うのは、多くの女性の切実な思いです。しかし、40代を境に肌の潤いが急激に失われていくのが現実です。これは肌の内部の水分が蒸散するのを防ぐ「バリア機能」が年齢とともに衰えて乾燥しやすくなることが要因で、不規則な生活習慣や栄養不足でもバリア機能が弱まります。そのため塗るだけのスキンケアに限界を感じたり、季節を問わず肌の乾燥が一番の悩みという女性も少なくありません。
より多くの人々に健やかで快適な暮らしを提供したいと願うDICグループは、サプリメントや食品として広く利用されている食用藍藻(らんそう)「スピルリナ」研究で培った知見を「肌の保湿力の改善」に活かせると考えました。
肌のバリア機能を体の中から高めるサプリメント「フィコナ」を開発
DICは、スピルリナに含まれる色素タンパク質「フィコシアニン」の持つ体の内側からの肌への作用に着目し、これが肌の水分蒸散を抑えて潤いを逃がさないバリア機能(保湿効果)を高めることを突き止めました。
そして、C-フィコシアニン、アロフィコシアニンの2種類を高品質・高収率で抽出する独自の特許製法により、飲むスキンケア「フィコナ」を製品化。さらに、フィコシアニンを関与成分とする食品として世界初の「有用性検証の臨床試験」を行い、科学的に保湿効果を実証しました。これによりスピルリナ由来で初めて「機能性表示食品」として申請受理され、2020年10月、「フィコナスキン モイストリフティング タブレット」の販売を開始しました。
「フィコナ」の原料は DICが50年前から手がけている「スピルリナ」
1960年代、世界人口の急増による食糧危機が懸念される中で、石油の副産物を酵母(タンパク質)に食べさせて増殖させる研究が盛んに行われました。こうした中で新たなタンパク源の開発を目指して生物化学事業に参入した当社は、熱帯地域で自生する食用藍藻「スピルリナ」が、アミノ酸・ビタミン・ミネラルなどの栄養素や健康成分を50種以上も含んでいることに注目。1970年から本格的に研究を開始し、1977年に世界で初めて大量培養に成功しました。
そして、米国と中国で世界最大級の自社ファームを整備するとともに、厳しい国際基準を満たした品質管理体制のもとで良質なスピルリナから抽出した天然色素や栄養・健康成分を製品化。1999年には100%子会社の「DICライフテック株式会社」を設立してスピルリナ製品の製造・販売を強化しました。
現在、スピルリナは理想的な栄養バランス食として「スーパーフードの王様」と呼ばれ、栄養補助食品や食品の素材、食用色素、飼料、化粧品など幅広い分野で使われ、世界でもっとも多く生産される藻類となっています。
DICならでは スピルリナ由来で初めて「機能性表示食品」として上市
科学的な根拠に基づいた機能と価値を正しく伝えるために
DICが「フィコナ」を製品化するにあたって重視したのは、科学的な機能性の実証と、一般的な健康食品とは一線を画す商品価値をお客様に正しく伝えるための手段でした。そこで目標としたのが「機能性表示食品」の申請受理(所管:消費者庁)です。
食品の機能性表示は、従来は国が個別に許可した特定保健用食品(トクホ)と国の規格基準に適合した栄養機能食品に限られていました。それが2015年に商品の選択肢を増やすことを目的に「機能性表示食品制度」が設けられました。機能性表示食品として受理されるには、国が定めるルールに従い、科学的な根拠に基づく安全性と機能性の評価、生産・製造や品質の管理体制、健康被害の情報収集体制の整備等の書類申請が求められます。
「最終製品でのヒト臨床試験」で機能性を検証
申請受理される際の重要なポイントは、機能性の検証方法です。これには既存の研究報告書などから機能性を推定する「システマティックレビュー」と、実商品を用いて「ヒト臨床試験」を行い、データを学術論文化した後に提出する方法があります。
DICとDICライフテック株式会社が選択したのは後者でした。フィコシアニンはまだ研究自体が少なく、根拠となりうる研究報告書が十分ではありません。そのため、ヒト臨床試験はレビュー方式に比べて手間もコストもかかりますが、より正確に機能性と品質を確認し、自信を持って販売するには、これが最良と考えたのです。
こうして2019年に、実際の生産ラインで試作製造した「フィコナ」による臨床試験を実施。肌の乾燥を感じている96名の女性(20歳~60歳)を対象に、フィコシアニンを含む被験食群(本製品を摂取するグループ)と、プラセボ群(フィコシアニンを含まない食品を摂取するグループ)に分け、8週間の摂取による肌の水分蒸散量(バリア機能の指標)の変化を測定しました。
その結果、フィコナを摂取したグループでは、肌の水分蒸散量が有意に減少することが確認できたのです。そして、データを学術論文にまとめ、各申請書類を提出し、2020年7月にスピルリナ由来のフィコシアニン成分食品として初めて「機能性表示食品」の申請が受理されました。
また、2021年2月、DICは「フィコシアニンを有効成分とする肌の保湿向上等の肌改善を目的とする食品に関する用途特許」を取得しました。用途特許とは、既存の物質に未知の効用を発見し、それが新しい用途に用いることが可能と分かった際に、その用途に対して与えられる特許です。
この特許が認められたことで、今後、フィコシアニン由来のスキンケアに関連する食品の開発・販売において、DICグループは市場で高い優位性を発揮できます。
KEY PERSON of DIC
世の中になかったものを広めていくワクワク感を胸に
当社が半世紀以上にわたり研究を重ねてきたスピルリナの抽出物を応用したスキンケア分野での世界初の製品を世に問えるのはとてもエキサイティングです。しかしその素晴らしさを伝えるためには商品名はもとより「フィコシアニン」という有用成分を広く知っていただく必要があります。今、様々なメディアを通じ知名度向上に努めていますが、本製品は60代以上の女性や男性の購入者も想定以上に多く、幅広い層で肌の健康に高い関心があることが分かり驚いています。こうしたニーズを深掘りしつつ、今後はアジア・欧米への展開も視野に、中期経営計画の重要施策であるヘルスケア領域の拡大に力を尽くします。
DIC 株式会社 カラーマテリアル製品本部 ヘルスケア食品製品グループ 製品マネジャー 櫟本 太郎
肌老化の研究プロセスで発見されたフィコシアニンの機能性
「フィコナ」開発のきっかけは、肌老化に関するスピルリナの研究過程で、フィコシアニンの優れた抗炎症・抗酸化作用が確認されたからです。その後、製品化に至るまで様々な課題を克服する必要がありました。特に熱やアルコールに弱いフィコシアニンを粒状にし、崩壊性・吸収性を考慮しつつ、コーティングして飲みやすくするための製剤技術の確立には苦心しました。また、天然素材を安定品質で量産化する技術も容易ではありませんでした。「機能性表示食品」の申請受理は、スピルリナ研究で蓄積した豊富な知見と、化学メーカーとして培った抽出技術や製造技術による成果だと実感しています。
DIC 株式会社 カラーマテリアル製品本部 ヘルスケア企画・開発グループ マネジャー / ヘルスケア技術グループ マネジャー 今井 康行
2021年度の特集
ケミカルリサイクルで食品容器を 持続可能な完全循環型再生へ
化学メーカーの「DIC」と食品容器メーカーの「エフピコ」が協働してケミカルリサイクルによる「ポリスチレンの完全循環」に取り組みます。
バイオマスプラスチックを使った梨地フィルム DIFAREN® A7440Bio
高級感漂う意匠性を維持しながら、二酸化炭素の排出を削減した新たな食品包装フィルムを開発しました。
肌のバリア機能(保湿力)を体の中から高める機能性表示食品「フィコナ スキン モイストリフティング タブレット」
様々な肌課題を抱える女性のために、食用藍藻スピルリナから抽出した「フィコシアニン」による“飲むスキンケア”を開発しました。