化学対談#03 スピルリナ篇 DIC岡里帆研究室主任研究員 DIC岡 里帆 × DICライフテック マーケティング部マネジャー(管理栄養士)宮里 美保子

栄養たっぷりで色鮮やか。
人々の健康と元気に貢献し、
さらには、地球を救う!?

DIC岡里帆

宮里さん!私、スピルリナのリナぴが大好き。だから今日、スピルリナを担当している宮里さんとお話できて感激です!

宮里さん

DIC岡さん、すごいスピルリナ愛、ありがとうございます。私もDICグループの中で長くスピルリナに取り組んできましたから、愛では負けませんよ!

DIC岡里帆

まず私、この深い緑色に、ぐっと来ちゃうんです。スピルリナって、藻なんですよね?

写真(スピルリナ粉末)
宮里さん

はい、水の中で育つ藻の一種です。顕微鏡で拡大して見ると、らせん状の形をしています。渦巻き状、らせん状のことを「スパイラル」と呼びますよね。それがスピルリナの語源だそうです。誕生したのは、今から約30億年も前。地球に生まれた最初の植物の一種がスピルリナの仲間だったと言われています。動物が生まれるよりも前。もちろん恐竜よりも遥か昔の話です。

写真(顕微鏡で見たスピルリナ)
DIC岡里帆

そんなに昔!? 私たち人類の大先輩じゃないですか! リナぴなんて気軽に呼んでたけど、これからはリナぴ先輩って呼ばなくちゃ。スピルリナって、いろいろすごい話があって迷っちゃいますけど、まずは、「スーパーフード」の話、いかがでしょうか?

宮里さん

はい。スピルリナが “スーパーフードの王様”とも言われている話からでどうでしょう。スピルリナは、人間が必要とするビタミン・ミネラル・アミノ酸をはじめ健康・栄養成分を、バランスよく50種以上も含んでいます。中でも注目はたんぱく質。スピルリナ全体の実に約65%がたんぱく質でできています。いわゆる植物性プロテインです。たんぱく質が豊富だといわれる大豆でも約35%ですから、すごいでしょう?他にも、β-カロテンはにんじんの約20倍、鉄分はほうれん草の約45倍、カルシウムは牛乳の約3倍(※1)。さらにビタミン、食物繊維なども豊富。スピルリナはたったスプーン一杯(4g)で、1日分の緑黄色野菜と同じぐらいの成分を持っているんです(※2)。

※1 スピルリナ100g中に含まれる栄養素を、他の食品の成分と比較(日本食品標準成分表2015年版(七訂)より)
※2 代表的な野菜8種の平均値と比較 (日本食品標準成分表2015年版(七訂)より)

<注釈>※1 スピルリナ100g中に含まれる栄養素を、他の食品の成分と比較(日本食品標準成分表2015年版(七訂)より)※2 代表的な野菜8種の平均値と比較 (日本食品標準成分表2015年版(七訂)より)
DIC岡里帆

有能すぎるぞ、スピルリナ!だからこそ、健康を大切にする人たちに人気なんですね。

宮里さん

欧米でスピルリナは定番の材料なんです。ヘルシー志向のレストランやカフェでは当たり前のように置かれています。ハリウッド女優にも摂取している方が多いそうですよ。意外なところでは、ベトナムでも大人気。菜食主義の仏教徒が多いので、植物由来で栄養を取れるスピルリナが人気なんだそうです。ちなみに、現在、世界30カ国以上の人たちが、DICのスピルリナを摂っています。

欧米でスピルリナは定番の材料なんです。ヘルシー志向のレストランやカフェでは当たり前のように置かれています。ハリウッド女優にも摂取している方が多いそうですよ。意外なところでは、ベトナムでも大人気。菜食主義の仏教徒が多いので、植物由来で栄養を取れるスピルリナが人気なんだそうです。ちなみに、現在、世界30カ国以上の人たちが、DICのスピルリナを摂っています。
スピルリナ 製品情報
DIC岡里帆

へえー、いろいろな国の人たちが、食べたり飲んだりしているんですね。でも考えてみると、化学のDICが、どうしてそんな事業を手掛けることに?

宮里さん

DICがスピルリナの研究を始めたのは、今から約50年も前の1970年代初頭なんです。将来、地球の人口が爆発的に増えて食糧危機が来るのではないかという予測から「何か将来の世の中に役立つ研究をしよう」と取り組みはじめたと聞いています。その後の研究の成果によって、DICは世界ではじめて管理培養下でスピルリナを量産することに成功!でも、連続して安定した培養ができるようになるまで、苦労の連続だったと聞いています。たった一晩でスピルリナが全滅し、一面緑色だった培養池が黄色になってしまったこともあるとか…。

写真(1970年初頭のスピルリナ研究施設)> >
DIC岡里帆

世界初(※3)のことを成し遂げるまでには、多くの失敗と、それを乗り越える努力
があったのですね。50年もの間、関わってこられた多くのみなさんにお礼を言わなくちゃ。みなさん、ありがとうーー!

※ 3 1970年からスピルリナの研究を手がけてきたDIC株式会社(旧大日本インキ化学工業)は、世界初の商業規模での管理培養による量産化に成功。
https://www.dlt-spl.co.jp/spirulina/pioneer.html

宮里さん

スピルリナを育てるのに適した、気候が温暖で、太陽光が強く、年間降水量が比較的少ない場所を探し、研究開発を重ねた結果、安定して量産することができるようになりました。現在、DICのスピルリナは、アメリカ・カリフォルニアと、中国・海南島の大規模なファームで、厳格に品質管理をしながら生産されているんですよ。

写真(アースライズのファームの写真)>アメリカ・カリフォルニアのスピルリナファーム。サッカーのフィールド約25面分の広大な敷地で、すべての生産工程を一貫して管理し、安全性の検査なども徹底して行っています。

アメリカ・カリフォルニアのスピルリナファーム。サッカーのフィールド約25面分の広大な敷地で、すべての生産工程を一貫して管理し、安全性の検査なども徹底して行っています。

DIC岡里帆

うわー、どこまでも青くて広い空の下で、スピルリナがしっかり管理されながら、どんどん育っているんですね! 見に行ってみたいなあ!

宮里さん

スピルリナを育てるのに適した、気候が温暖で、太陽光が強く、年間降水量が比較的少ない場所を探し、研究開発を重ねた結果、安定して量産することができるようになりました。現在、DICのスピルリナは、アメリカ・カリフォルニアと、中国・海南島の大規模なファームで、厳格に品質管理をしながら生産されているんですよ。ちなみに、スピルリナの人気は、人間だけではないんです。最近では、スピルリナを取り入れたペットフードもますます増えてきているんですよ。ワンちゃんやネコちゃんがスピルリナの成分を摂ることで、元気で毛づやもよい気がすると評判です(※4)。

※4 例としてピンクフラミンゴがピンク色をしているのは、スピルリナに含まれるカロテノイドという色素が関連している。実際、ピンクフラミンゴ同様に、スピルリナを飼料に使うと金魚や錦鯉のうろこの深紅色がよりきれいになり、さらに、稚魚の死亡率を下げるとも言われている。
https://www.dlt-spl.co.jp/spirulina/about.html

DIC岡里帆

動物まで元気にしちゃうなんて、どこまで有能なんだ、スピルリナ!でも、それだけじゃないんですよね。スピルリナのもう一つの顔が「青色の色素」。 青いアイスキャンデーや、チョコレート、マカロンなど、すごくたくさんの食品にスピルリナの青色の色素が使われているとか。名づけて「リナブルー®」。ああ、なんてステキな名前なんでしょう!でも、どうして青色? スピルリナは深い緑色に見えますけど……。

宮里さん

スピルリナは、第7の栄養素でファイトケミカルと呼ばれるいくつもの色素を豊富に含んでいます。緑色のクロロフィル、青色のフィコシアニン、黄色のβ-カロテンなどが重なって濃い緑色に見えているんです。その中から、フィコシアニンだけを取り出すと、鮮やかな青色をしているというわけです。

DIC岡里帆

なるほど、青色のフィコシアニンだけを取り出せばいいのか。……って、そんなのカンタンにできるんですか?。

宮里さん

これも、アイデアは以前から存在していましたが、実現までにはたいへんな苦労があったと聞いています。実験室で少量を取り出すことはできても、安定的に大量生産するのはむずかしい。長年かけて、生産するための技術を研究し、専用の機器・設備を導入して、ようやく実現したそうです。

DIC岡里帆

植物性で、天然の素材だから、食べても安心。私たちが今、食品やスイーツなどで鮮やかな青色を楽しめるのも、みなさんの長年の努力のおかげってわけですね。くー、ありがたい。ん? でも、それ以前にも青色の食べ物はありましたよね?なるほど、青色のフィコシアニンだけを取り出せばいいのか。……って、そんなのカンタンにできるんですか?。

宮里さん

食品の青色は、長い間、合成着色料によるものが主流でした。 DICでは30年以上前から天然の青色色素「リナブルー®」の事業に取り組んできたのですが、すでに安価な合成着色料が普及していたので、事業が軌道に乗るには時間がかかったんです。近年、食の安全志向が高まってくるなかで、天然色素が注目されるようになり、クチナシ青やアントシアニン青が使われることが増えましたが、それらは発色の鮮やかさが、どうしても人工の色素に劣ります。でも、リナブルー®なら、鮮やかな色を出すことができます。アメリカやヨーロッパでも認可を取得できて、ようやくリナブルー®の良さに気づいていただけることが増えてきたんです(※5)。

※5 DICスピルリナの安全性・認定取得状況
https://www.dlt-spl.co.jp/spirulina/commitment.html

DIC岡里帆

リナブルー®は“映える”うえに安全性が広く認められている。有能なんですね! このすばらしさを、もっと多くの人に知ってほしいなあ。

宮里さん

そうですね。世界的に、人工から天然へという大きな流れが起こっていて、たとえば欧米では、合成着色料は子どもの注意欠陥・多動性障がいへの影響の可能性があるという報告や規制勧告が行われています。私たちは、もっともっと色素のこと、リナブルー®のことをお知らせしていかねばなりません。その一環として、子どもたちに向けて食育の講座をひらき、食品の色素を体験したり考えたりする機会を設けています。合成着色料のお菓子や飲み物では舌が青色に染まりますが、天然の色素であるリナブルー®では舌は青色に染まりません。そんな違いを体験してもらったり、実際に緑色のスピルリナから青色を取り出す実験をしてもらったりすることで、子どもたちも食品の色素に興味を持ってくれるんですよ。

DIC岡里帆

さて、そんなスピルリナが、いずれ地球を救うかも、なんて話を聞いたのですが。いったい何が起こるのですか?

宮里さん

私たちの食料をつくり出すためには、大きなエネルギーを使い、二酸化炭素も排出しています。 スピルリナは、太陽と水と高い温度があれば、どんどん育ってくれるので、小さなエネルギーでつくり出すことができます。また光合成でCO2を吸収して酸素を出すので、地球温暖化の原因と言われるCO2を減らすことにも貢献します。

DIC岡里帆

少ないエネルギーで、栄養と酸素を生み出して、CO2を減らしてくれるスピルリナ、けなげ……。さて、そんなスピルリナが、いずれ地球を救うかも、なんて話を聞いたのですが。いったい何が起こるのですか?

宮里さん

そもそも、太古の地球にまだ酸素がなかったころ、光合成をして最初に酸素をつくり出したのがスピルリナとその仲間たち藻類だったと言われています。 栄養と酸素を生み出すということは、スピルリナは将来的に、宇宙空間での食料としても有望なのではないか。そんな研究が行われています。

DIC岡里帆

地球上に最初に生まれた植物であるスピルリナが、今後、地球を救い、さらには宇宙へ飛び出していくかもしれないなんて。さすがリナぴー先輩! 宮里さん、いつかスピルリナと一緒に宇宙へ行きましょう! でも、その前に、まずは近くのヘルシーなカフェへ、スピルリナのスムージーを飲みに行きましょうか。 今日はありがとうございました!

宮里さん

DIC岡さん、こちらこそ、ありがとうございました。 長くスピルリナに関わっている私ですが、スピルリナの有能さには今も驚かされ続けています。 知れば知るほど、すごい。そんなスピルリナをより多くの人に知っていただくという仕事に、日々、やりがいと責任を感じながら取り組んでいます。

宮里さんにとって、スピルリナとは?

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