【記事タイトル画像】サステナブルな未来を共創するDIC岡里帆式 クロストーク 気鋭のプロダクトデザイナーと、DICの「熱くなりにくい黒色」。共に描く、これからのモノづくり、未来の社会とは!? 色を駆使してプロダクトをデザインする人 根津 孝太さん × 色のもとになる素材を化学の力でつくる人 大野 恭弘さん

気鋭のプロダクトデザイナーと、
DICの「熱くなりにくい黒色」。
共に描く、これからのモノづくり、未来の社会とは!?

DICが新たに送り出す色の材料は、遮熱やセンシングの機能でサステナブルな社会に貢献する、画期的な新製品。そんな色づくりを通して未来へアプローチしてきたDICの担当者と、新しい乗りものやロボットをデザインするプロダクトデザイナー根津 孝太さん。
二人のまなざしがクロスしたとき、描き出される未来とは!?
私DIC岡里帆も参加し、熱いトークを繰り広げました。“色”から見える未来の話。必読です!

根津 孝太さん

  • プロダクトデザイナー
  • クリエイティブコミュニケーター
  • (有)znug design(ツナグデザイン) 代表

大野 恭弘さん

  • DIC カラーマテリアル製品本部
  • 顔料営業グループ

DIC岡里帆

  • DIC岡里帆研究室 主任研究員
DIC岡さん

今回は、色を使ってプロダクトをデザインする根津さんと、色のもとになる素材を化学の力でつくっている大野さんのクロストークです。初対面のお二人から、どんなクロスが生まれるのか、ワクワクです。

根津さん

私もワクワクしています。最初に自己紹介をさせていただくと、私は、大学で工業デザインを学び、自動車メーカーでデザイナーをしていました。モーターショーに出品する“未来のクルマ”などもデザインした後、独立してznug design(ツナグデザイン)という会社をつくり、新しい乗りもののデザインや、ロボット、水筒やマグカップなど、幅広くデザインをしています。

大野さん

では私も自己紹介を。私は大学院で化学を専攻し、外資系の顔料メーカーに入社。最近になって、その事業ごとDICグループに移りました。今は、顔料のリーディングカンパニーであるDICの一員として、技術営業という職種で、顔料を使ってくださるメーカーさんへ製品を紹介しています。今日は根津さんに新製品を見てもらえるのでドキドキしています。

DIC岡さん

ありがとうございます。さあ、はじめましょう!

色が人にあたえるチカラ、とは?

DIC岡さん

まずは根津さんから、これまでプロダクトのデザイン、特に“色”のデザインに、どのような思いで取り組んでおられるか、伺いたいです。プロダクトデザイナーさんは、“カタチ”だけではなく、“色”もデザインされるのですね。

根津さん

もちろん! プロダクトデザインでは、色は、カタチと同じくらい大きな要素です。DIC岡さんは、色によって、製品への興味が変わることはありませんか?

DIC岡さん

そう言われれば、たとえば家電を買うときに、「このステキな色が選べるから、こっちの製品にしようかな」なんてことがあります。

大野さん

最近はいろいろな色の家電が増えていますね。色によって、見慣れた家電の印象が変わり、部屋の雰囲気、さらには気分まで変わったりします。

根津さん

色が人に与える影響力ってスゴイですよね。デザインの中でも、色を決めるのは本当にたいへんで、いつもすごく悩むんですよ。

DIC岡さん

根津さんのデザインされた最近話題のプロダクトといえば、『LOVOT(らぼっと)』ですよね。すごくかわいらしい!

写真(根津さんのデザインされたプロダクト『LOVOT(らぼっと)』)
根津さん

『LOVOT』は、家族型ロボット。人と長い時間を一緒に過ごすパートナーとして、“いかに自然な存在になれるか”にこだわって、カタチや色の検討を重ねました。これは肌の色を検討していた時のものですが、違いがわかりますか?

写真(『LOVOT(らぼっと)』の肌の色を検討していた時の資料)
DIC岡さん

違いがあるような、ないような……。眼の検査みたい(笑)

根津さん

ほんの少しずつ色相を変えてあるんです。右側は少し緑っぽくて、左側は少し赤っぽいでしょう?
ほんの少し緑に寄っただけで、“不健康そうに見える”という人が増えたりします。

DIC岡さん

うわー、こちらにもたくさん! いろいろな色の服を着ていますね?

写真(『LOVOT(らぼっと)』をさまざまな色の服に着せ替えたとき、肌の色がどう見えるのか検討していた時の資料)
根津さん

『LOVOT』を、さまざまな色の服に着せ替えたとき、肌の色がどう見えるのか、検討したものです。
どうすれば、世界中の人たちが違和感なく、長く愛してくださるのか。ずいぶん悩みながら決めていきました。
しかも、デザインで色を決めても、モノとして実現できるか、その時どういう色に見えるかは、別問題なんです。大野さんはよくご存じだと思いますが。

大野さん

塗装をするモノが違えば、色の材料も、塗り方も変わってきますからね。

根津さん

私がデザインしている水筒では、本体が金属で、フタはプラスチック、そのほか、シリコンでできている部品もあります。塗装をするところと、材料に混ぜて色付けするところなど、素材や色の付け方が違うと、なかなか色が揃いません。同じ黒に見えるよう、何度も色を検討して、試作品を作ってもらって、またやり直して。いつも試行錯誤をしています。

大野さん

試作品で色が合っても、量産できることが求められますよね。

根津さん

その通りです。量産の工程で、泣く泣くその色をあきらめることも……。
でも、製品を手にするお客様には、私たちの苦労なんて関係なく、いい色の製品をご覧になって、さらっと「あ、ステキな色だね」と気に入って使ってもらえたら、うれしいですね。

DIC岡さん

一つの色をつくり出すだけでも、いろいろな工程があり、多くの人が力を合わせている。私たちが目にするプロダクトは、デザイナーさんや技術者のみなさんの努力の結晶なのですね。

新しい「色の材料」。そのヒミツは「近赤外線」。

DIC岡さん

さて、次はDICの大野さんにお話いただきましょう。ぜひ根津さんに見てもらいたい新製品があるとのことで、お持ちいただきました。

大野さん

はい。『近赤外線コントロール黒顔料』という黒色の新しい顔料です。

DIC岡さん

顔料とは、色の材料のこと。ちなみにDICは顔料のリーディングカンパニーで、さまざまな色の顔料をつくっているのですよね 。

写真(さまざまな色の顔料)
大野さん

その通りです。現在、黒の顔料では、一般的に「カーボンブラック」という顔料が広く使われています。黒いクルマの塗装、タイヤやゴムベルト、スマートフォンの枠の黒い部分、コピー機のトナーなど、皆さんが黒と聞いて思い浮かべる色の多くは、カーボンブラックです。

根津さん

私が携わってきたクルマのデザインでも、黒やグレーはもちろん、深みのある赤やブルーなどのボディカラーは、カーボンブラックを使うことでしか実現しにくいと聞いています。

大野さん

カーボンブラックは、カーボンという名の通り、炭素からできた微粒子です。それに対して私たちは、「ペリレンブラック」という製品をつくってきたんです。こちらも炭素を骨格とした有機化合物ですが、「ペリレン」と呼ばれる化学構造をもった黒の顔料です。

写真(根津さんと大野さんが色について語っている様子)
根津さん

黒はカーボンブラックが優れているのなら、任せてしまう、というわけにはいかないのですか?

大野さん

そうもいかないんです。カーボンブラックの“近赤外線を吸収して熱に変換する”という性質から、2つの大きな問題が引き起こされているんです。ペリレンブラックなら、それらの問題を抑えられるんですよ。

根津さん

問題の1つは「熱」ですよね。

大野さん

はい。黒やダークカラーのクルマのボディは、特に暑い季節には、さわれないほど熱くなりますよね。太陽光に含まれる近赤外線を吸収して熱くなるのですが、人にも機械にも支障がでますし、冷やすための別のエネルギーが必要になります。黒を使えないというデザイン的な制約も出てきます。

図(太陽光に含まれる近赤外線を吸収して熱くなる様子)
根津さん

確かに、黒はデザインの基本ともいえる色ですから、もし自由に使えないとなると大きな制約になります。
もう1つの問題は「安全技術、自律走行技術」ですか?

図(車が周囲をセンシング(検知)している様子)
大野さん

さすが根津さん、よくご存じです。現在、自動車には、安全運転支援の技術が搭載されてきています。クルマにカメラやレーダーを付けて、周りのクルマや道路の白線、障害物との距離を測っているのですが、さらに将来、本格的に自動運転を実現させるためには、もっと正確かつ詳細に周囲をセンシング(検知)することが必要で、それには「LiDAR(ライダー)」という技術が不可欠だといわれています。既存のレーダーが電波を使うのに対して、LiDARでは赤外線レーザーを使ってセンシングをしますが、カーボンブラックは、その赤外線レーザーも吸収して熱に変えてしまいます。
つまり、カーボンブラックで塗装されたクルマや物体は、LiDARではセンシングされにくいんです。

図(カーボンブラックを含むコーティングシステムと波長制御型黒色顔料による新コーティングシステム(カーボンブラックなし)の違い)
根津さん

LiDARで自動運転を実現しようとすると、黒やグレーのクルマはつくれなくなる!? なんとか早くペリレンブラックで代替したいところですね。

大野さん

ところが、これまでのペリレンブラックの顔料は、カーボンブラックに比べて、どうしても黒の黒さが足りなかったんです。これが、従来品の塗装の見本です。

根津さん

(従来品の塗装の見本をみて)確かに、黒は黒なのだけれど、黒みが足りない……。緑みが出ていますね。これはこれでおもしろい色ですが、「黒らしい黒がほしい」と言われたら、応えられていないですね。

写真(根津さんが従来品の塗装の見本をみている様子)
大野さん

そして、こちらが、このたび開発した新製品『近赤外線コントロール黒顔料』による塗装の見本です。ペリレンブラックでありながら、カーボンブラックに負けない深みのあるカラーを発色できる顔料を開発しました。

写真(開発した新製品『近赤外線コントロール黒顔料』による塗装の見本)
左:カーボンブラック、中央:新製品ペリレンブラック、右:従来品ペリレンブラック。それぞれをアルミ顔料と混ぜた塗色
根津さん

(新製品の塗装の見本をみて)おお、これは黒ですね! ニュートラルな色相の、"これぞ黒"という黒です。この新しいペリレンブラックに比べると、むしろカーボンブラックのほうが、黄色みがあり、黒さが振れているように見えるほどです。
『近赤外線コントロール黒顔料』は、機能だけではなく、色そのものとして魅力的ですね!

大野さん

ありがとうございます。『近赤外線コントロール黒顔料』なら、カーボンブラックに頼らずに漆黒性の高い黒の塗料ができます。サステナブルな社会に貢献できる、“これからの黒”になると考えています。

根津さん

なるほど。“遮熱性”を持ち、“自動運転のセンシングに対応”し、“黒らしい黒”という色としての魅力も持っている。デザイナーはもちろん、プロダクトづくりに関わる多くの人にとって、「待ってました!」という製品ですね。
しかし大野さん、これまで黒らしい黒にならなかったペリレンブラックの弱点を、どうやって解決したのですか?

大野さん

化学結合の力をコントロールしたんです。

根津さん

えっ!? ちょっと待ってください。物質は同じで、化学構造も変わらないけど、化学結合の具合を変えているということですか!?

大野さん

黒に限らず、私たちはいろいろな色を見ているわけですが、その色の差は、物質の化学結合の結合力の違いによって、できているんです。化学結合はその結合エネルギーと同じエネルギーを持つ光を吸収するという性質があります。そのため、結合の強さをコントロールすると、どのエネルギーを吸収するかが変わるので、色が変わって見えるんですね。

写真(物質の化学結合の結合力の違いによる色の差について説明する大野さん)
根津さん

なんと! 知りませんでした!

大野さん

はい。私たちは、化学結合の強さの違いを、色の違いとして見ています。私たちが見ている色はすべて化学現象だともいえるんです。デザインの話から離れてしまいますが。

根津さん

いえいえ、僕はそれこそデザインだと思います! そうした素材のことをわかったうえで、色やカタチをデザインすることが、きっと、新しいモノを生み出すことにつながるはずです。

ところで、他社の顔料の研究者のみなさんも、「化学結合の強さを変えれば、ペリレンでも黒らしい黒がつくれそうだ」と、わかっていたのですか?

大野さん

ええ、それはみなさん知っていたと思います。でも、化学結合の強さを変えた物質は、なかなか思い通りにつくれません。研究者からは、長年の試行錯誤を経てつくりあげたと聞いています。

根津さん

本当にスゴイです。しかもそれを製品として安定してつくり、実用化できるところが、さすが顔料のリーディングカンパニーですね。

『近赤外線コントロール黒顔料』から何が生まれる?

DIC岡さん

新しい『近赤外線コントロール黒顔料』の話を聞いて、根津さんの目が輝いていますよ。

根津さん

本当に興奮しています(笑)。いろいろな可能性が出てきますよね。まずは、自動車業界ですか?

大野さん

そうですね、自動車業界では、2つの分野で注目されています。まずは遮熱の分野。これまでのガソリンエンジンのクルマでは、基本的には走行に電気は消費しません。そのため、強力なエアコンを搭載できたので、遮熱をそれほど気にしなくてもよかったんです。しかし、世界のクルマが急速にEV(電気自動車)へとシフトをしている中で、限られたバッテリーの電力で、いかに走行距離を延ばすかが課題になっています。車内の温度が上がるほどエアコンがたくさん電力を消費するため、EVの走行距離は大幅に減ってしまいます。

カーボンブラックによる塗装とペリレンブラックによる塗装に日光を当てると、クルマのボディの見本の温度は、約15℃の違いが出た。(DIC調べ)

根津さん

私はEVのデザインにも関わりますが、都市内交通を担う小型モビリティではバッテリーに余裕がありません。『近赤外線コントロール黒顔料』なら、黒や深みのあるボディの色でも熱くなりにくいから、小さなエアコンでも大丈夫かもしれない。そうすると、EVの可能性が広がるし、デザインの幅も広がります。

大野さん

そうですね。そしてもう一つの分野は、センシング技術です。『近赤外線コントロール黒顔料』がLiDARに対応できることで、今後の安全運転支援、自動運転・自律走行の実現へ貢献できると考えています。

根津さん

自動車の塗装を、『近赤外線コントロール黒顔料』に変えて、他のクルマからセンシングされやすくする。さらには、自動車に関連する他のプロダクトの塗装でも、有効ですよね。たとえば私は今、新しいEV充電スタンドのプロジェクトに参加してデザインの検討を進めているのですが、熱くなりにくく、またセンシングされやすいとなれば、黒色でデザインすることも可能になります。

大野さん

黒色のEV充電スタンドですか。実現したらカッコいいですね。

根津さん

近赤外線をコントロールすることで、遮熱とセンシング、両方を解決できる。その効果は自動車業界だけの話にとどまらないですよ。私は最初にお話ししたロボット『LOVOT』が、部屋の中にあるモノにぶつからずに動きまわり、知っている人を見つけて近寄っていくのは、近赤外線を発してまわりの様子をセンシングしているからです。また、警備会社の警備ロボットもデザインしていますが、そちらはまさにLiDARの技術をつかって周囲を見張っています。まわりのモノが『近赤外線コントロール黒顔料』で塗られていれば、よりセンシングする能力がアップし、ロボットの動きやデザインを進化させることができそうです。

『LOVOT』が、周囲へ赤外線を発してセンシングしているところ
大野さん

さらに言えば、人の目とロボットの目が違うものを見られることから何かが生まれるかもしれません。先ほど、根津さんのデザインされたロボットは、近赤外線を使って周囲を認識しているというお話がありました。ロボットは人には見えない近赤外線も見ることができるので、街のあちこちにロボットだけに向けたサインを描いておいてもいいわけです。人の目には見えないから生活のジャマにはならない。可視光と近赤外線とを使い分けることで世界の幅が広がると思うんです。

DIC岡さん

すごい! なんだかパラレルワールドのお話みたい。

根津さん

人間とロボットが、一つの世界に一緒に住みながら、別々のサインを見て、それぞれが安全・快適に行動できる。未来の社会が見えてきた気がしますね。そうなれば、ロボットのデザインはもちろん、乗りもののデザインや、建物や街のデザインも変わっていくかもしれません。

“つくる人”と“使う人”がクロスすると、未来が生まれる!?

根津さん

私はデザイナーとして、素材が変わればデザインが変わるしプロダクトが変わる、と信じて、これまで積極的に新しい素材を使ってデザインしてきたつもりです。
今日、『近赤外線コントロール黒顔料』という新しい顔料を知って、すごく刺激を受けました。私だけではなく、「こんな新しい魅力を持った素材があるのなら、こういうことがやりたい」という人が、おおぜい出てくると思います。

大野さん

私たちも、ふだんの限られた関係の中だけではなく、今回のようにふだんはお会いできないクリエイターの方とお話することによって、「こういう使い方も考えられるよ」と教えていただくことができます。
先日は、社内の別の部署の社員からも興味深い話を聞きました。 『近赤外線コントロール黒顔料』がプラスチックのリサイクルに有効なのではないか、と。ひとくちにプラスチックといっても、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの種類があって、リサイクルするには選別が必要。これまでは人の眼と手で選別をしていたのを、最近、近赤外線を使って自動で選別する技術が実用化されてきたそうです。ところが……

DIC岡さん

あ、これも、近赤外線が吸収されちゃう問題ですか?

大野さん

そうなんです。カーボンブラックで着色されたプラスチックは近赤外線を吸収するので選別されにくいという問題が生まれているそうです。そうした分野で新しく近赤外線が使われているなんて、まさに目から鱗でした。

DIC岡さん

『近赤外線コントロール黒顔料』で着色されたプラスチックなら、リサイクルもしやすいなんて! 社内でも、別の部署の方は、また違った視点で製品を見ることができるのですね。

根津さん

違った視点といえば、なんといってもユーザーさんです。ユーザーさんが、つくり手の私たちが思ってもみなかった使い方をしていることがあります。大野さん、そんなご経験は?

大野さん

私もあります。「そこに使うんですか!?」なんて、よく驚かされます。

根津さん

そうなると、こちらだけがモノをつくっているのではなく、使う側のユーザーさんも一緒にものづくりに参加してくれているような、ワンチームの感じになりますよね。

大野さん

自分で「この分野にこういうニーズがあるのではないか」と考えて、ねらい通りになるのも面白いのですが、自分の想像を越えた使い方をしてくださるのは、本当にワクワクしますね。素材を提供するDICのようなメーカーで仕事をする醍醐味です。

DIC岡さん

素材を化学の力でつくる人と、それを使ってモノをつくる人が、クロスして、新しいモノを生み出していくのですね。
あらためて、お互いへの期待や、ご自身の目標をお聞かせいただけますか。

大野さん

では私から。根津さんは、私たちの知らないようなモノづくりやデザインに携わっておられるので、これからも「こんなことをしたいんだ。こんなことに使いたいんだ」というご要望をお聞かせいただいて、一緒に考えて、実現させていきたいですね。
もう一つは夢の話になりますが、根津さんはロボットや乗りものをデザインしておられるので、ぜひ、人とロボットが共存する社会をつくっていただきたい。そこに、素材をつくる私たちも参加させていただければうれしいです。

根津さん

ありがとうございます。私は、ロボットと乗りもののクロスする領域でデザインをしていますが、その二つは今後、どんどん近づいていくと思っています。ロボットは、一種の自動運転車だと言えますし、乗りものも、自動運転などが進めばロボットに近づくでしょう。そうしたクロスする領域では、必ず新しい素材が必要になるんです。素材は創造の源ですから、これからも大野さん、DICさんには、ぜひ仲よくしていただきたいですね(笑)。

大野さん

こちらこそよろしくお願いします(笑)

DIC岡さん

根津さん、大野さん、今日は本当にありがとうございました。お二人が未来に向かって、どんなモノを生み出されるのか、楽しみにしています。

最後のひと言

大野さん

「化学って見えないから苦手」と思われるかもしれませんが、私たちが色を見ているのは、化学結合を見ていること。ぜひ化学を身近に感じて、私たちDICのつくる素材、化学製品に興味を持ってください。

根津さん

私も、DIC岡さんと同じように、素材が大好き。人知れず裏方で頑張って社会を支えている素材のすごさを、使う人たちにも感じてもらえるようなデザインをしてみたいな、と思っています。期待していてください。

近赤外線コントロール黒顔料
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