新技術と価値の創造

主な取り組みの目標と実績

取り組みの視点
・課題など
2016年度 目標 2016年度 実績 評価 2017年度 目標
持続的社会に貢献する新製品・新技術の開発力の向上 ・オールDICの技術部門連携
・グローバル研究体制の拡充
・外部技術との融合
・ 海外の印刷インキ、ポリマ各技術センターの運営が軌道化し、 DICグループの技術連携により、中国やアジアパシフィック地域市場での実績が拡大した
・オープンイノベーション推進Gを新設し、外部との連携を積極的に推進した
★★ ・オールDICの技術部門連携
・グローバル研究体制の拡充
・オープンイノベーションの推進
・IT活用による研究開発効率の向上
環境調和型製品・サービスの開発推進 低炭素化など環境調和型製品の開発促進 ・水性フレキソインキやLED-UVインキなど省エネ型製品や次世代バイオ素材であるCNF変性エポキシ樹脂などを開発した
・環境調和型製品の全製品に占める取扱高比率は56%であった
★★ 低炭素、環境負荷低減に資する製品の開発促進
  • 「評価」は、進捗度に関する自己評価によるものです。[ 評価マークについて ] ★★★…非常に良好 ★★…順調 ★…要努力

持続的成長に向けて

DICグループは、経営ビジョン「Color & Comfort by Chemistry」の実現とサステナブルな社会への貢献を目指し、光学・色彩、有機分子設計、高分子設計、分散等の基盤技術と、合成、配合、表面処理などの各種要素技術を駆使した高付加価値製品の開発に取り組んでいます。グループ全体の技術リソースの融合により、また産官学連携などオープンイノベーションも積極的に活用し、持続的成長につながる次世代製品・新技術の開発を目指しています。

DICグループの基盤技術・要素技術と「狙う市場」

複合化とオープンイノベーションにより次世代製品を開発

具体的な取り組み

DICグループでは、クリーンテクノロジーの開発、利用を推進しています。省エネルギー化や水性化、無溶剤化など環境負荷のより少ない素材や、エレクトロニクス、自動車、パッケージなどのDIC製品をご使用いただく各種分野において、より環境に配慮した製品を具現化するための様々な部材を環境調和型製品と位置づけ、開発に取り組んでいます。

エレクトロニクス関連

エレクトロニクス分野では、最終製品としての省エネや小型軽量化、製造プロセスにおける工程短縮や廃棄物の削減等に貢献する各種製品を開発しています。
液晶ディスプレイ関連では、カラーフィルタ用顔料で広色域対応の新規グリーン顔料の実績拡大に注力した他、液晶材料で、PSA (Polymer Sustained Alignment)液晶ディスプレイの製造工程短縮に有用な高反応性のモノマーを開発しサンプル提供を開始しました。またテレビ用TFT液晶の新製品の本格量産を開始しました。電子材料などに用いられる各種ポリマでは、半導体製造の次世代プロセスとして有望なナノインプリント技術に対応したレジスト用樹脂や、鋳造を効率的にする砂型積層3Dプリンター用のフェノール樹脂バインダー (接着剤)などを開発しました。工業用粘着テープでは、貼付時のエア抜け性に優れるドット形状粘着テープを開発、スマートフォンメーカーに採用されました。

自動車関連

自動車電装部品材料では、PPSコンパウンドの高強度・高耐湿熱を特長とする新製品を開発し、市場展開を進めています。また、三次元成形品に電気回路を形成する技術の一つであるレーザー・ダイレクト・ストラクチャリング(LDS)工法に使用可能なPPSコンパウンドを開発し、サンプル出荷を開始しました。PPSの優れた耐熱性、耐薬品性に加え、LDS工法によるデザイン性の高さから、部品の統合や小型化・軽量化が可能となるため、自動車部品の他、医療機器などの部材としても用途拡大が期待されます。

パッケージ関連

印刷インキでは、グラビア印刷並みの高濃度印刷を実現する水性フレキソインキを開発、中国やインドなどアジア地域に向けた戦略製品と位置づけ、拡販を進めています。UVインキでは、低マイグレーションタイプや高感度密着タイプなどの新製品を開発しました。印刷工程でのVOC低減や乾燥、硬化エネルギーの抑制に貢献しています。海外ではサンケミカルグループが、コバルトと鉱油を含まないインモールドラベル用の枚葉インキや、芳香族炭化水素の含有量を1%以下に抑えたヒートセットインキなど、環境に配慮した製品の開発に注力しました。
軟包装材用接着剤では、洗剤や柔軟剤などの内容物に対して優れた耐久性を持つ詰替包材用の無溶剤型接着剤を開発した他、アルミ蒸着フィルムのバリア性能を向上させる蒸着補強型接着剤の実績化を進めました。また、多層フィルムでも、レトルト食品の成形容器のフタ材として130℃での加圧加熱殺菌処理に対応する易開封性のシーラントフィルムや、医薬品や化粧品のような揮発性成分の包装材用として高シール性と低吸着性を有するシーラントフィルムを開発し、内容物の劣化を抑制し廃棄ロスの低減に貢献しています。

グローバルな研究開発体制で新製品開発を推進

DICグループでは、グローバルに展開する技術拠点が一体となって、新製品・新技術の開発に取り組んでいます。日本のDIC(技術統括本部、R&D本部)とDICグラフィックス(株)、米国、英国およびドイツのサンケミカルグループの研究所、さらに、中国市場を視野に総合的な研究開発を行う中国開発センターや、印刷インキ技術センター(中国、アジアパシフィック(AP)地域)、ポリマ技術センター(中国、AP地域)、PPS技術サービスセンター(中国、ドイツ)などの研究開発拠点が有機的に連携しています。また米国の藻類研究センターでは、健康食品などに展開しているスピルリナの知見を活かし、藻類を培養から応用利用まで総合的に研究しています。

DICグループの研究開発体制

環境調和型製品の促進

DICでは2003 年より環境調和型製品についての社内制度を導入し、独自の評価シートを用いて認定を行っています。
DICでは2003 年より環境調和型製品についての社内制度を導入し、独自の評価シートを用いて認定を行っています。

DICグループは、プロダクトスチュワードシップに配慮した事業活動を推進しています。環境調和への意識を高め、有害物質の使用削減、有害性のより低い製品、リサイクル可能な製品、安全性が高く廃棄物の少ない省エネルギーに配慮した生産プロセスなど、社会に役立つ新製品、新技術の開発に取り組んでいます。環境調和型製品の社内認定制度のもと、環境調和型製品比率の向上に努めており、2016年度は日本国内の環境調和型製品の取扱高比率は56%でした。また、世界各国の法規制や環境対策の動向を把握して各国の化学物質の規制に適合する製品の設計と、環境アセスメントの実施を継続していきます。
印刷インキや接着剤などグローバルに展開する食品包材向け製品については、プロダクトスチュワードシップの活動チームを編成しています。各地域の規制に関する情報やトピックの共有・周知、教育を実施し、自社製品の製品設計への活用、グローバル顧客の求めるサプライチェーンでの証明書の発行に反映しています。

環境に貢献するオフ輪インキ製品

低温乾燥を実現した「W/W SYNERGY ECORE 」
低温乾燥を実現した「W/W SYNERGY ECORE 」

チラシや雑誌などの印刷に使用される商業オフ輪インキ「 W/W SYNERGY」は植物油インキ認定基準を満たしており、さらなる環境調和に向けて植物油増量のバージョンアップを図っています。
また、再生可能原材料の取り組みをさらに進めて、石油系溶剤を植物油由来成分に置き換えたインキもラインナップとして取り揃えています。新たな環境調和型インキ製品として2016年2月に上市した「 W/W SYNERGY ECORE」では低温乾燥を実現し、顧客でのCO2削減による環境調和に貢献しています。

コンパウンディング力による革新

DICは、インキ製造で培われた顔料と樹脂を分散、配合する技術を基盤として、様々な異なる特性や機能を持つ素材を組み合わせるコンパウンディング力により、今までにない新しい製品や付加価値を創り出してきました。
酸素バリア接着剤「 PASLIM」は、酸素を透過させにくいポリマとフィラーとのコンパウンディングによって、食品包装フィルムの酸素透過を阻害することで食品の劣化を抑制し、包装フィルムの薄膜・軽量化を可能にしました。また、シリカハイブリッドUV硬化樹脂は、無機と有機のコンパウンディングによる優れたハードコート材として、光学フィルムの表面処理などに利用されています。
これからも、DICグループが持つ幅広い技術領域を独自のコンパウンディング力によりさらなる強みに変え、イノベーションを加速させていきます。

コンパウンディング力による革新

知的財産への取り組み

競争力の基盤の強化にあたり、DICグループでは他社の知的財産を尊重するとともに、オープン&クローズ戦略のもと、自社の技術の権利化とブラックボックス化を推進しています。
外部機関が行った「特許資産規模ランキング」において、DICは2016年度、化学業界で4位に位置づけられました。DICの特許登録件数は年間400件程度で化学業界大手に比べると比較的少ないにも関わらず、特許資産規模では高ポイントを獲得しています。これは当社の保有する特許の質が高く、注目度が高いことが理由と考えられます。今後も持続的発展のために、知的財産活動の取り組みを推進していきます。

  • 外部機関:株式会社パテント・リザルト。
VOICE

次世代技術の課題をケミストリーの視点で解決

近年、半導体集積回路の微細化が進み、半導体製造にかかる工程数並びにコストの肥大化が問題となっています。今回、当社R&D本部で開発した光硬化性樹脂は、次世代技術として期待されるナノインプリントリソグラフィ(NIL)に対応したレジスト用材料です。特徴とする有機無機複合構造の制御により、迅速な光硬化性並びに優れたエッチング耐性を両立するだけでなく、半導体製造の工程数の大幅な削減が期待されています。今後も、化学メーカーの立場で次世代技術の課題解決と持続可能なものづくりに貢献します。

ポリマ技術 第一本部 ポリマ技術5グループ 研究主任 伊部 武史

ポリマ技術 第一本部
ポリマ技術5グループ 研究主任
伊部 武史

ライフサイクルアセスメント(LCA)の検討

近年、製品やサービスのライフサイクルにおいて、枯渇資源の消費量や環境負荷物質の排出量を定量的に把握することが求められるようになってきています。DICでも、当社グループが製造する製品の環境的側面を把握するために、ライフサイクルアセスメント(LCA)への取り組みや、GHGプロトコル※1のScope※2 等、社会動向への対応を検討していきます。

  • ※1GHGプロトコル:温室効果ガス(Greenhouse Gas:GHG)排出量の算定と報告の基準。
  • ※2Scope3:製造、輸送、出張、通勤等の際に、企業が間接的に排出する、サプライチェーンでのGHG排出量。
VOICE

環境にやさしい包装材料の開発への取り組み

酸素バリア接着剤PASLIMシリーズは、食品包装の廃棄物量の低減を可能にする環境調和型製品です。近年、食品の消費期限を長期化するため、何層ものフィルムを接着剤で貼り合わせた軟包装の多層化が進んでいます。PASLIMは、酸素ガスの透過を防ぐために開発した接着剤であり、これを包装に使用することで、多層化せずに優れたガスバリア性を発揮し、食品の劣化を防ぎます。さらに、包装フィルムの薄膜・軽量化による包装資材の節減や、包装に関わるCO2総排出量の削減に貢献します。今後も、持続可能な社会に向けた環境にやさしい包装材料の開発に取り組んでまいります。

接着剤技術本部 接着剤技術1グループ 研究主任 新居 正光

接着剤技術本部
接着剤技術1グループ 研究主任
新居 正光

VOICE

高性能で環境にやさしい製品開発への取り組み

VOC排出ゼロのUVインキは環境にやさしいインキの代表格です。電子媒体の普及に伴い印刷物需要は伸び悩んでいますが、UVインキはパッケージへの需要が堅調で、オフセット印刷市場での重要な製品群です。近年は地球環境や化学物質の安全性に対する関心の高まりから、消費電力を抑えた環境貢献型UVランプやUV-LEDランプの採用が進んだり、印刷塗膜の衛生性に優れるインキが注目されたりと、印刷を取り巻く環境は大きく変化しています。これらの変化に対応するため、DICの保有する樹脂や顔料の設計技術を最大限に活用し、高性能で環境にやさしいUVオフセットインキの開発に取り組んでいきます。

分散第一技術本部 分散技術9G 研究主任 若原圭佑

分散第一技術本部
分散技術9G 研究主任
若原圭佑

VOICE

次世代自動車部品向けPPSコンパウンド開発に当たって

従来より、PPSコンパウンドは耐熱性、電気特性、耐薬品性等に優れることから自動車、エコ給湯器、Liイオン電池等の金属代替構造部材に使用されています。さらに、近年開発の目覚ましい次世代自動車[HV, EV, FCV ※]部品については、クリーンな環境性能を達成させるため、車体軽量化に伴う部品の小型化および高出力化が加速度的に進んでおり、新たな材料開発および量産化技術が重要となっています。これらの課題を達成するためにもDICグループの総合力を発揮して、PPSコンパウンドの世界シェア拡大に貢献できるよう、引き続き開発検討に取り組んでいきます。

  • HV:ハイブリッド自動車 EV:電気自動車 FCV:燃料電池自動車

成形加工技術本部 GTSプロジェクト 研究主任 芳野 泰之

成形加工技術本部
GTSプロジェクト 研究主任
芳野 泰之

TOPICS 杉江会長と当社社員が合成樹脂工業協会賞を受賞

合成樹脂工業協会賞を受賞
向かって左より2番目に有田主任研究員、
4番目に杉江会長

2014年10月、日本国内の熱硬化性樹脂の業界団体である合成樹脂工業協会の、第38回合成樹脂工業協会賞「特別賞」を杉江会長が、「学術奨励賞」を当社千葉工場 ポリマ第一技術本部の有田和郎主任研究員がそれぞれ受賞しました。

合成樹脂工業協会では、あらゆる架橋性高分子を『ネットワークポリマー』と称し、原料、応用加工、分析・物性、環境対応技術など、周辺分野を含めた研究や議論が行われていますが、年に一度、ネットワークポリマー講演討論会を開催し、同時に学術誌・ネットワークポリマーで発表された優れた研究成果に対して顕彰する合成樹脂工業協会賞を発表しています。

今回、杉江会長は合成樹脂工業協会の前会長として、また企業のトップとして協会の学術活動に直接の指導、支援の功績により特別賞を受賞、有田主任研究員は、従来技術では合成が困難だったナフチレンエーテルの分子量制御に成功し、両立が困難であった、高いガラス転移温度(物理的耐熱性)と優れた耐熱分解性(化学的耐熱性)を兼ね備える新規ナフチレンエーテルオリゴマー型エポキシ樹脂を実用化したことが評価され、学術奨励賞を受賞しました。

サステナビリティ>

Global | HOME > サステナビリティ > 新技術と価値の創造