特集電子基板用エポキシ樹脂・硬化剤

情報社会を支える便利な道具も、環境に優しい配慮がなければ

廃棄処理する際に環境負荷の少ない電子材料を

電子基板用エポキシ樹脂・硬化剤

半導体パッケージ
半導体パッケージ

携帯電話やスマートフォン、パソコンやタブレット端末などの情報通信機器は多くの電子部品で構成され、役目を終えると大半がリサイクルされます。しかし、性能を高めるために使われている物質を不適切に埋設・焼却すると有害物質が発生することがあり、各国・地域で含有物質の規制が設けられています。

そうした中で、半導体パッケージを製造する各メーカーでは、電子部品を基板に固定するための「はんだ」を有害な鉛を含まない「無鉛はんだ」に置き換えています。しかし、無鉛はんだは従来よりも高温で実装されるため、基板材料(エポキシ樹脂)には高い耐熱性が要求されます。

一方、基板材料には、高密度化した回路の発熱などによる火災を防止するために難燃剤としてハロゲン化合物が使われてきました。ただ、ハロゲンは廃棄時に燃焼させるとダイオキシンの発生が懸念されるため、ハロゲン化合物を使わずに(ハロゲンフリー化)難燃性を確保できる基板材料が求められています。

エポキシ樹脂に要求される特性

DICの取り組み

高度情報化

環境負荷物質削減

高耐熱性と難燃性を両立させた環境調和型の高機能エポキシ樹脂・硬化剤を開発

エポキシ樹脂は反応性の高い熱硬化型の合成樹脂で、硬化剤と混ぜることで固まり、樹脂と硬化剤の組み合わせによって優れた成形性・耐熱性・電気絶縁性・接着性などの特性が得られ、幅広い産業で活用されています。そして、DICは国内最大のエポキシ樹脂メーカーとして、電子材料分野に多種多様な製品(商品名:EPICLON)を供給しています。

その中でも、無鉛はんだに対応する「高耐熱性」とハロゲンフリーに対応する「高難燃性」は相反関係にあり、その両立は容易ではありませんでした。しかし、DICは原料(フェノール樹脂)の分子設計・製造から、これらを用いた合成反応で得られるエポキシ樹脂の分子設計・製造まで同一の工場で展開する垂直統合型の強みを活かし、この難問を解決。さらに、熱膨張率を抑えて絶縁不良の原因となる「基板の反り」を防ぐという特性も実現しました。

こうして完成した環境調和型のエポキシ樹脂・硬化剤は、世界の代表的なスマートフォンやパソコンなどに採用されています。

シールド工法の概念図
DICの垂直統合型エポキシ樹脂事業

VOICE

サーマルマネジメントが求める最適な有機材料への展開

高耐熱性と難燃性が両立する樹脂・硬化剤の開発過程で得た知見・技術は、エポキシ樹脂のような「熱硬化性樹脂」だけでなく、加熱すると変形しやすくなる「熱可塑性樹脂(PPSやABS樹脂など)」にも応用できます。この樹脂は、パソコン・プリンター・テレビの筐体や車載用部品など多岐にわたって使われています。特に車載用部品は、ハイブリッド車などの高性能化に伴うパワー半導体の高出力化が著しく、周辺部品のさらなる耐熱性・難燃性が求められています。DICでは、新中期経営計画「DIC105」でカーエレクトロニクスを戦略領域と位置付け、自動車メーカーが追求するサーマルマネジメント(熱制御)に最適な有機材料を提供し、環境負荷の少ないクルマ社会の一翼を担っていきます。

ポリマ第一技術本部 ポリマ技術5グループ 主任研究員 有田 和郎

ポリマ第一技術本部
ポリマ技術5グループ 主任研究員
有田 和郎

従来の発想・手法にとらわれず新しい物質を創造する力

DICが独自の高機能エポキシ樹脂・硬化剤を具現化できたのは、従来の発想や手法にとらわれず常に新しい特性の獲得を目指してチャレンジを続けてきたからです。例えば、電気が溜まりにくい誘電特性を持つ材料の製品化は、基礎理論をもとに10年以上を費やして「燐ユニット導入技術」や「活性エステル技術」などを開発・深耕させ、安定的に工業化したものです。当時は、爆発的なスマートフォンの普及など想像もできませんでしたが、発熱を抑える冷却ファンがない製品構造の中で、薄型化と回路の高密度化を両立させるには、優れた誘電特性を備えたエポキシ樹脂は欠かせないものとなっています。

ポリマ第一技術本部 ポリマ技術5グループ 林 弘司

ポリマ第一技術本部
ポリマ技術5グループ
林 弘司

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